ディヴィジョンマウンテン第45層
ログインして済ますことを済ませたらさっそくダンジョンへ。砂の中の魔物を上に押し出すのはとりあえずモイザに頼むことに。僕ができるようになったら僕もやるつもりではいるけど、まだ土壁を作れるほど土術は上達してない。
というか四属術になって全部上がりやすくなったらしいが、炎と水は今まで通りだからよかったけど、風と土についてはアローと砂地を歩く補助は使えるけど、他はまだからっきしといった感じ。この感じだと新しい風術、土術を使うなら四属術のスキルレベルを上げないといけないかなぁ。
なんにせよだ、ここからはどんな魔物がいるのかわかっていない状態だ。サーチエリアを展開、これもまだ慣れたわけじゃないから目をつぶりながら使うことになるけど、目視確認はベード、フレウド、モイザに託した。
ちなみに、ベードは難なく砂漠を歩けてはいるようだったけど、せっかくなのでウィンドシューズとサンドアダプテーションもかけておいてあげたら、かなり走りやすくなったようで喜ぶように進んでいた。
ん、さっそくなんか3匹いるな。しかも3匹とも形が違う?砂の中じゃなくて砂の上にいるみたいだし、ちょうど進行方向にいるようだからサーチをやめて目で見てみる。
あれはラクダか?こぶが3つあるように見えるけど、気のせいじゃないようだ。もう一匹は頭に二本の角が生えた山羊のような生物だ。色が独特で砂地に合わせたようなクリーム色のグラデーションをしている。どっかで見たことある姿なんだけど名前が出てこない。
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≪識別結果
マウンテンデザートスリーノブキャメル 危:D
山にある砂漠地帯にすむ三つこぶをもつ駱駝。とても温厚な性格で他の生物がいても何も気にしない。ただし怒らせた場合は強力な水の魔法が飛んでくるだろう≫
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≪識別結果
マウンテンデザートカモフラージュガゼル 危:D
山にある砂漠地帯にすむ隠密性の高いガゼル。自身の危機が迫ると砂地と同化するように気配を消す。そして逃げる際に強力な風の魔法を残していく≫
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≪識別結果
マウンテンデザートミニスクゥイル 危:H
山にある砂漠地帯にすむとても小さな栗鼠。その小ささは肉食生物の格好のえさとなるだろうが、砂地に住み砂地にもぐり逃げることを覚えたことで生存している≫
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あぁ、今までにないほど小さい感じだと思ったら本当に小さいようだ。識別できて、よく目を凝らしたら砂地にポツンといるのがわかった。現実的サイズのリスだな。3匹で集まっていたというわけではなかったようで、たまたま近くにいただけなんだろう。
ラクダもガゼルも我関せずといった感じで違う方向にと歩いて行ってしまう。リスはこの辺が生息域だったのかな?ちょっと震え気味ながらも動くことはなかった。
リスにちょっかいを出すのはさすがにかわいそうだな。とてつもなく弱い生き物なのにこんな上層にいるのは意外だったけど。ラクダとガゼルも温厚的な生物みたいだし、特に素材目的なわけでもない限りここで戦闘することもないだろう。
わざわざベードの気配をさらしてラクダとガゼルを刺激することもない。ベードにそのまま突っ切ってもらうことにした。
1層越える間、ずっとサーチエリア、ウィンドシューズ、サンドアダプテーションの三つの術法を使い続けてたわけだけど、消耗は数値的には3800か、確かに結構消耗してるな。とはいってももうすでに僕は2万後半ほどの魔素がある。3層分くらいなら余裕で使えそうだな。
42層も41層と同じラクダとガゼルがいるのを目視で確認。それで試しにベードにサンドアダプテーションをかけるのをやめてみたけど、やっぱり走るだけならかけなくても平気そうだなと思った。
43層もまたラクダとガゼル。なるほど3層分こいつらの生息層だったか。そういえばリスをあれから見かけなかったな。サーチエリアには時折引っかかってたけど、砂の中にいたようだし、あの個体がたまたま砂の上にいただけかな?
3層分サーチエリアしながら時折目でラクダやガゼルを目で追うというのをこなしていたから、だいぶサーチエリア中に目を開けるのにも慣れてきた。44層は敵対的な魔物が来るかもしれないからな、もっと慣れていかないと。
早めの昼を済ませて44層に突入。サーチエリアを展開しながらベードに走ってもらってるけど、なかなか反応に引っかからない?
いや、いた!比較的浅めだけど砂にもぐっているようだ。あれくらいの深さならもう少し近寄ってもらえば識別できるな。
「ベード、もうちょっと右側になんかいる。一応どんなのがいるのかは把握しておきたい。」
「ばぅ。」
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≪識別結果
マウンテンデザートヴォミットリザード 危:D
山にある砂漠地帯にすむ蜥蜴。砂地の中より飛び出して、体内で魔素を練り上げ炎を吐き獲物を焼き仕留める≫
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うん、これは確実に敵対的な魔物だろう。って飛び出してきた!?
「やばいベード、あいつは炎を吐いてくるらしい!」
「ばぅ!?」「グラ!」「コ!」
近寄りすぎたのか気配を消していたはずなのに襲ってくるとは、フレウドがあいつの吐き出した炎の吐息のようなのを吸い込み切ってくれたからよかったけど。
多分だけど、炎を使うこいつに炎は効かないよな?フレウドみたいに炎が主食でむしろ食べられて元気出るとか冗談にならないので、一番炎に効きそうなウォータアローを放つ。
突き刺さる水矢にトカゲは少し体をよじるが、また炎を吐き出してくる。でもすべてフレウドが吸いつくしてくれる。
「コ、コココ!」
「ん?不味いとか言ってる場合じゃないだろ!」
なんか味に不満を言ってるようだけど、そんな場合じゃない。どうやら炎を食べるので精いっぱいでフレウドは攻撃に参加できないようだ。
ベードは影爪、僕は水矢を放ちながら立ちまわるが、当たってはくれるもののなかなかしぶとくまだ倒れない。
「――――!」
「モイザ!?」
ずっと後ろで動いてなかったモイザが急に動き出す。右前脚から糸を噴射し、その糸でトカゲを絡めとった。
「よし、よくやった!・・・・え?」
モイザがそのまま糸を強く引くと、トカゲは絡まった糸がさらに強くめり込んで、そのままダウンしてしまった。少しして消滅したので、どうやらあれがとどめになったようだ。
「すごいなモイザ。そんなに力はないのに、どうやったんだ?」
「――――。」
「うーん?アピエギルド長直伝?なるほど・・・」
どうやら力ではなく、この流れすべてがスキルアーツのようだ。あの糸の力は術法の力で引き締めてるみたいな感じのようだ。正しく何と言ってるかはわからないけど、大体そんな感じだろう。
なかなかに恐ろしい技を教えてくれたなアピエギルド長、でもやるのに結構事前集中力が必要なようだ。モイザの糸縛りを使ってもらうならしっかり僕たちが時間稼ぎしないとな。
とはいえ結構な耐久力があるトカゲを僕たちが時間稼ぎがてら削り、攻撃はフレウドが吸い込み、モイザが仕留めるという感じで44層も進むことができた。今までの層に比べて数は多くなかったけどトカゲしかいなかったし、おそらく45層もトカゲがいるのだろう。
そう思って45層に突入、予想通りトカゲしかいないけど、44層より明らかに数が多いな。とはいえ離れてるから他のと戦っている間に別のトカゲに乱入されるということもなく難なく突破。ただ戦闘数が多くなったせいもあってかなりいい時間だ。今日はここでいったん休憩して46層からは明日進めていこう。




