ディヴィジョンマウンテン第38層
さぁ38層に挑みますか。31層からは全部飛ぶ系の虫の魔物だったけど、ここも飛ぶタイプの虫の魔物だ。
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≪識別結果
マウンテンコンフュージョンドラゴンフライ 危:D
山に住む混乱を招く蜻蛉。その不快な羽の音で軽い混乱状態に落とし、さらに目と目が合った相手をひどい混乱状態にする≫
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調べてた通りトンボを発見して識別。なんか今までの虫たちよりも長くてでかい感じがするな。個別タイプで危険度Dだから気を引き締めて戦う必要があるはずだ。
対策になるかは不明だけどフリップエリアははっておいたから、混乱状態にならないといいけど。混乱状態についても一応調べてきた。
軽い混乱状態だと呼びかけたり、体をたたいたりすれば治るけど、ひどい状態になると拘束してでもとめないと、そこら中に剣を振り回したり、魔法を放ったりしてくるそうだ。
お茶にもなるってお勧めされて、他の薬草と一緒に買ったリラックスハーブという薬草は持ってきたけど、一応資料では対抗用の薬草として書かれてたとはいえ、ひどい状態だとこれも効果が薄いらしいから気休め程度だな。
というか、せっかくなんだからこれも薬にしてもらって置けばよかったな、ついそんな暇もなく調べて草の状態で持っていけばいいやなんて思ってしまった。
ちなみに調べた内容には、蝶々と違って混乱させて終わりではなく、混乱させた相手が疲弊しきった後、食すらしいと資料にあったけど、どう調べたんだか・・・
向うはこちらに気づいてはいないようだけど、飛行経路だったのか識別できる範囲からさらに近寄られている。うーん、なんと表現していいのかわからないけど、非常に不快な羽音だなほんと。
蚊のような羽音でも蜂の様な羽音でもない、もっと違う感じの音なんだけど、とにかくこれ以上聞いていたいとは思えない。一匹ならばこれが一番だろう、炎の槍先を構えて投げ放つ。
気配を消したところからのそこそこ近い距離での横からの炎の槍、いつもならそれで命中するのだが、なぜか上にふわっとよけられてしまった。さらにこっちを向いてきた。
「なんだ、こいつ、今のをよけたのか?」
「ば、ばう!」
あ、やば、目を合わせるのはまずい!慌てて目をそらす。頭にもやがかかった感じが一瞬したけど大丈夫。いやでもこれ、相手を真正面に見て戦えないのはかなりきついな。
「・・・きゅ。」
「レイト?お前から声をかけてくるなんて珍しいな。で、なんでお面を持ってるんだ?」
ダンジョン内では不要だと思って外してた兎の半面をなぜか抱えて膝の間に降りてきたレイト、というかいつの間にポーチから取り出したのやら。
「きゅ。」
「かぶれっていうのか?それで直接見て起きる混乱を防げるのか?」
「きゅ。」
ぬぅ、それで防げるのか?まぁレイトが言うならとりあえずつけてみようか。面を装着してあいつをしっかり視界にとらえる。よくわからないけど、大丈夫そうなのかな?
「ベード、モイザフレウドは引き続き目を合わせないようにな。フレイムランス!」
炎の槍先を再び投げるも、ふわっと上昇してまたよけられる。こいつあれか、よけるのかなりうまいんだな。
こういう感じの敵は苦手だな、どうするか。そういえばVR弓うちゲームの中で避けのうまい敵が出てきたときがあったな。あのゲームでも5本とか10本とか一気につがえられたけど、あの敵はどうやって倒したっけな。
確か上下左右にしかよけれないから、今本体のいる位置と上下左右のよける位置を狙って5つの矢をバラバラに打ち込むんだったかな。
こいつにも効くかどうかわからないけど、一番イメージで来たのはそのゲームだしやってみるか。ついでに少しかっこよく名前を付けてみよう。
「クロスフレイムアロー!ってあれ!?」
クロスは交差とかの意味もあるけど、十字の意味もあるしと適当に付けたんだけど、放った炎の5つの矢がつながるように十字の炎になって飛んで行ってしまった。
想定外のことだったけど、トンボのほうは急に十字になった炎に対応できなかったのか、たじろぐようにしてよけることができずに命中。でも燃え上がることも、焦げ跡がつくこともなく、その炎の十字が蜻蛉を突き抜けるように飛んで行って、やがて消滅した。
蜻蛉の方はふらふらとだけれどまた飛行している。倒し切れなかったかと思ったら、ベードの影がその蜻蛉をがっちりと拘束。そこにモイザの粘土矢とフレウドの風矢が突き刺さり、絶命したのか消滅した。
「はぁ、当たったからよかったものの、避けられ続けるのは厄介だな。斜めによけなかったのが奇跡だよ。」
「きゅ・・・」
「なんだレイト?不満だったか?とりあえず面のことはありがとう。おかげで混乱せずに済んだよ。」
意外な効能があったな。いやでも直接見ないだけで効果があるとは思えない。フリップエリアの軽減も含めた感じかな?
で、面倒だった割にドロップはなしか。情報ではまれに眼球を落とすってあったけど、レイトよ、お前の運で落とさせることはできなかったのか?
実際に聞くのは野暮なので聞いたわけじゃないけど、そこまで万能なものではないんじゃないかと思ってる。そして厄介で面倒な相手なのだけど、何度か蜻蛉との戦闘をしつつ進むことに。
時間的に階段に光と影の刻には着くようにと思って進んでたけど、結局闇の刻を過ぎて到着。眼球は5つだけ集まったけど狩った数は30は超えてたはずだ。
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≪識別結果
山混乱蜻蛉の眼球 質:4A
生きていたころの力が残っているのか、見つめ続けると混乱してしまう眼球≫
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怖いので取り出したりはしないけど、マジで何に使うんだろうか?考えられるとしたら薬に使うんだろうかね。
「モイザ使ってみるか?」
「――――。」
「いらないよなぁ。これも売ってしまうか。」
さて、あんまり夜遅くなるとあれだし、今日はここで寝てしまうか。それとも39層を突破してから寝るか、悩むところだ。
「ベード、フレウド、モイザ、どうしたい?」
「ばぅわぅ!」「――――・・・」「コ・・・」
ベードは夜のほうがやる気なのかな?森だしダンジョンだしで朝も夜もないように感じるけど。ただモイザとフレウドは寝たい感じ。
「ベードには悪いけど、じゃあ今日はここで休憩しよう。40層はボスがいる、時間がかかることも予想して39層はかけ抜けてもらう、ベード頼んだぞ?」
「ばぅ!」
いい返事だ。めげずにそういうところでがんばってくれるベードには、今日の夕飯用の豚肉を多めにしてあげようじゃないか。
相変わらず戦闘シーンは難しい・・・
そして今更ですが、兎面は少しあるゲームのキャラクターをイメージしています。
そのキャラの兎面は耳たってるし血のりついてるけどね。