ディヴィジョンマウンテン第5層
そんなわけで翌日2層を攻略。といっても出てくるのは同じフットマウンテンスモールマウスばかりで、レベルが上がってるのかもしれないけど、僕達の一撃で沈むやつらばかり。
ここでさらなるレベルアップができるのかと、一応100体くらい倒したが、やはりLv1になったのが早かったのはそういう仕様だったんだろう。さすがに僕のレベルは上がらなかったので、そのあとはベードにまっすぐ突き抜けてもらった。
前よりもかなり速い速度で走り抜けてもらえたと思う。だいぶベードの速さに体が慣れてきたのかな?騎乗のスキルも少しだけど上がってきてるし。
そして第3層、フットマウンテンマウスとの対峙。膝元よりもさらに大きい、太ももくらいまでありそうな大きさ。
これマウスというよりラットなんじゃないのといいたい。もしかしてラットだと腰くらいの大きさあるのか?うぅん、あんま考えないでおこう。
その大きさの割には、下のと同じようにベードの影爪でも一発で倒れるあっけなさ。僕もフレイムボールやフレイムランスなんかで遠隔で倒していく。
ちょっと明るかったせいか、他のも寄ってきちゃったので、せっかくなので水術に切り替えて、ウォータボールで応戦。
まだ水術に慣れてなかったけど、それでも一発で倒れちゃうのか、危険度Fでもそんなものなのか。噛まれたりしたらさっきの奴らより痛いんだろうけど。
想定より早く3層を突破、その調子で4層も様子見する。聞いていた通り、3層と同じフットマウンテンマウスだ。ただ3層よりも少しタフなやつがいるようで、ウォータボール1発では倒せないやつらがちらほらといた。
まぁそういうのはベードが追撃の影爪で仕留め切れていたから、進行ルート上の奴らを倒すだけですんなり突破してしまった。
でも突破するまでに僕の種族レベルが1上ったので、本当に経験値的な何かの効率はいいようだ。あんまり倒したって感じしなかったからね。
さて、光と空の刻の半分程か。小さいほうの鼠の100匹討伐とかもやってた割には、想定より早くついちゃったな。昼は4層上がる前に食べちゃったし、今から戻るとさすがにログアウト予定には早すぎるか。
うーん、じゃあ勇気出して5層の魔物の様子見だけでもしてみるか。階段を上ると、また草原が広がる。天井なはずな上も空のように青い。下4層と同じ感じか。
そして遠目に見えるのは猫かあれ?ベードに頼んで気配を消しつつ近寄ってみると、やはり膝ほどの大きさの全身茶色い猫だった。
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≪識別結果
フットマウンテンキャット 危:F
山のふもとに住む猫。格下相手には自ら襲ってくるが、格上とわかった相手にはむしろ逃げる傾向がある≫
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おろ、なんか鼠より気弱そうな感じ?でもアニメとか漫画なんかでは猫は鼠の天敵だからな。試しにベードが気配を表すと、想定以上の近さに猫がとてつもなく驚いたように飛び跳ねて、遠くのほうの見えないとこまで逃げ走っていった。
うーん・・・気のせいかな?ベードなんで目を輝かせてるんだ?止める間もなく猫の走っていった方角へとベードが走り出してしまった。
そして見えなくなったはずの猫に追いつく。どうやら逃げ切ったと安心しているのか、くつろいでいるようだ。
その猫めがけ、ベードが自身の爪を振り下ろした。グニャっという悲鳴を上げて引き裂かれた猫は数秒もせずに消えてしまった。
うーん、ちょっとかわいそうに思えてしまったな。いや、やめておこう。ベードがはっとしたように申し訳ない顔でこちらを見ている。
まぁはしゃいじゃったのだろう?そういうときもあるさ。さて何かドロップしたのかな?ポーチの中身を確認すると200を超える鼠の歯が詰まってるのがわかる。
二種類のネズミ倒したはずだけど、入ってるのは山鼠の歯だけか。小さい大きいで差はないんだな。まぁそれは今はいいか。それよりもこっちだな。
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≪識別結果
麓山猫の尻尾 質:2G
その魅力的な尻尾は、肉食性の魔物に投げつければひと時の間意識を奪うかもしれない≫
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なんというか、逃げる用のアイテムみたいな感じなのかな?それともそっちに意識を行かせてふいうちみたいな?
どう使うのがいいんだろうか、ちょっと気になるけど、誰かに聞いてみてから試したいなこれは。
でも先に一応5層の様子見を続けるか。なんて思って階段までベードに走ってもらった。まぁ聞いていた通り猫だけだったんだけど。
あえて気配を消さずにベードが走ってもらう、そうすると想定通りに猫達はこちらに気が付くと逃げてくれた。ベードがそんな猫を見かけるたびに、スピード減速してちょっと顔で追ってしまうなんてのがあったけど。
6層も同じような感じなのかな?まぁ時間もいい時間だし一旦宿に帰ろうか。
リターンアルターで帰還して、受付奥の祭壇室から出てくると、受付のアピエギルド長の妹さんとちょうど目が合った。
「あらま、お帰りなさい。どう?順調だったかしら?」
「はい、なんかノリで5層まで突破してきちゃいました。手ごたえはあんまりなかったですけど、特訓はできたのでよかったです。」
「それはかなり順調そうねー。さてと、使わない素材があったら買い取るわよー。どうかしら?」
「あ、じゃあ鼠の歯をお願いします。さすがにどう使うのかわからないので。あと、猫の尻尾は使い方次第ですかね・・・」
そういってポーチを預けると、中を見て結構驚いた顔してた。
「あらま!こんなに鼠の歯が・・・この2日ほどでどれだけ狩ったのかしらねー?鼠の歯は1個10リラ、243個で2430リラよー。いいかしら?」
「それで大丈夫です。」
「あと猫の尻尾についてね。聞いた話だけど、これはそのままでも危険度Eくらいの肉食系魔物に投げつけると少しくらい意識そらせるはずよー。逃げるくらいには使えるんじゃないかしら。でもできれば売ってほしいわね。アクセサリーなんかにすると結構人気あるのよ。これも鼠の歯と同じであんまりドロップしないからねー。1つ15リラよ、どうする?」
「わかりました、とりあえずお譲りします。」
そんなわけで2445リラの稼ぎになった。ちょっと思っちゃうのは、この二日で店の売り上げは20万越えしちゃってるから、物足りなく感じちゃうってとこかな・・・
「うふふ、ありがとうねー。この街だとなかなか手に入らないのよ。でも安くてごめんなさいね。これが一応の相場なのよ。ドロップしにくいっていうくらいだから、もっと高くつくと思ってたわよねー?」
「いえ、そんなことはないです。あの弱さですから、狩りまくったらすぐ集まるのでしょう?」
「そうね、そうなのよ。ダンジョンポーチ持ってる人にとっては集め放題なのよ。だから商業者ギルドではそこそこの数を持ってるのよねー。」
そういえばこの街の商業者ギルドも3階建てだったな。1階しか見てないから上の階ならダンジョン素材も売ってたのかな?
「それで、この後はどうするのかしら?」
「あ、今日は宿で寝泊まりして、明日は一気に10層まで上がっちゃおうかと思いまして。5層は猫とわかったので、その上から教えてもらってもいいですか?」
「あらま!もうそこまで行っちゃうつもりなのねー。まぁ狼ちゃんたちがいればそのくらい余裕かしらねー。実はね、5,6,7層まで猫達が居座ってるのよ。そして8,9,10層まで危険度Fのフットマウンテンドッグが居座ってるわよー。
祭壇を目指すつもりなんでしょう?10層と11層の間の階段には踊り場みたいなところがあって、そこに祭壇があるわよー。」
「なるほど、奥側なんですね。ありがとうございます。ちなみに10層ごとに強いのがいる、とかはないんですかね?」
ダンジョンでよくあるボスパターンみたいなのがあったら、その犬だけじゃない可能性があるからなぁ。
「あらま!詳しいのね。20層にはそういう魔物がいるらしいわよー。ただ、10層では聞いたことがないわね。そういえば30層もそういう魔物だったかしら・・・そう思うと10層がいないのは不思議ねー。」
「なるほど、ありがとうございます。一応注意はしておきます。」
まぁ今まで多くの住人の冒険者が抜けてるみたいだし、何かやばいのにぶつかったりはさすがにしないだろう。
さて、ダンジョンポーチも空になったし、聞きたいことは聞けたから部屋に戻って明日に備えるか。
そういえばモイザはせっかく一緒に来たのに、今回は何もしなかったな。まぁベード乗りこなしの練習くらいにはなったか?
糸で体巻き付けてるといっても強く巻いてるわけじゃないから、前の熊のときみたいに激しい攻撃で糸が切れることもあるかもしれない。
ベードだってモイザも載せた状態の動きに慣れておくに越したことはないだろう。現にだいぶ様にはなってきてると思う。
ベードとモイザとフレウド、まったく種族は違うけど、しっかり連携も取れてるし、それなりに仲もいい。
夕飯の支度してる今だって僕から離れて3人で何か話し合ってるようだ。ちょっときになるけどバゥバウとかコココとか、離れると何の話してるのか全くわからないもんだな。
モイザに至っては何か言ってるのかすらわからない。まぁ3人の会議なんだろうし、邪魔しちゃ悪いな。僕はおとなしくレイトも含めた4人への料理も作ってあげておきますかね。