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ダンジョン宿

 ギルドを出て教えてもらった宿に到着。ここまで来ると北の壁も見えてくる。そして壁の向こうにとてつもなくでかい山も。この宿はあの山をモチーフにした看板なんだろうな。


「いらっしゃいませー。」


「あれ、アピエギルド長・・・?」


「あら、姉からの紹介ですかねー?」


 青髪のヒュムの女性、さっきまで話してたアピエギルド長とそっくりだ。受付近くでよく見て、やっと違う人なのがわかるくらいだ。


「そうです、アピエギルド長からのおすすめでここに来ました。実は大きな狼の従魔がいるので、一緒に泊まれる宿がいいんです。」


「ばぅ。」


「あらま!大きな狼ちゃんねー。確かに生産宿のうちならその子の大きさでも一緒にお部屋に入れるわよー。一階がいいかしらね?まだ一番大きい形の部屋2つ空いてるわよ。右手前か、左奥か、どちらがいいかしらー?」


「では右手前でお願いします。」


 奥よりは手前のほうがいいかな。ほんとうは角部屋のほうが好きだけど、1部屋1部屋が広すぎて奥だとちょっと宿入ってから歩くし。


「わかったわじゃあ104号室ね。はい、これ鍵よ。ところであなたは冒険者ということはダンジョンにもぐるのかしら?」


「そのつもりですね。アピエギルド長からダンジョンポーチというものももらってしまったので・・・」


「あらま!あの姉がポーチを人に渡したの!?なるほどね、それでうちに・・・じゃあもしかしてダンジョンについて詳しい説明は受けてるかしら?下の階層ほど広いけど、弱い魔物が多いとか。」


「いえ、そこまでは聞けませんでした。宿が埋まっちゃうかもと言われたので。あとダンジョンで手に入れた素材をできれば受け渡してほしいとも。」


「あらま!なるほどねー。確かにこれほどたくましい狼ちゃんと一緒なら、素材もがっぽりかもしれないわねー。従魔もたしかパーティーとして認められてるのよね。それなら狼ちゃんが倒した魔物の素材もポーチに入るのだけども・・・」


「大丈夫ですよ、従魔もパーティになってます。というかこのポーチはパーティー共通なんですね。」


「そうなのよー。といってもこの街にはあんまり出回ってない物なんだけどねー・・・姉だって王都まで買い付けに行くのに結構手間をかけてたはずよ。」


「うっ、そうですか。もらっちゃってよかったのかなほんとに・・・」


「あら?それを私に還元してくれるって話なのでしょう?なら大丈夫よ。ダンジョンポーチの素材は私が買い取るわー。ただし、この街でほかでは売っちゃだめよ?目を付けられちゃうかもしれないからねー。規制はされてないから、絶対にとはいえないのだけど。」


「あまり目を付けられるのは嫌なので、そうさせてもらいます。」


「じゃあとりあえず先に10日で8万リアもらっておくけど、後で素材もってきたら返金するわねー。」


 うっ、8万か。ちょっとこの間大きく散財したけど、一応昨日の稼ぎ分があるから手持ち10万ちょいか。よし、払っちゃうか。


「ありがとう、それじゃあお部屋の説明とこのダンジョン宿の説明するわね。お部屋はタイル目の上で生産して頂戴ねー。タイルの場所は2つあるから近寄せたくない生産をするのに便利よー。そしてこの宿とダンジョンをつなぐ目玉!それがこの奥の部屋にあるの。ついてきてねー。」


 受け付け奥の部屋にと案内されると、そこには不気味で邪悪な真っ黒なオブジェに青い蝋燭の光る祭壇のようなものがあった。


「えっ、なんですか、これ・・・」


「これがダンジョンへの転送具の祭壇よー。10層ごとにこれと同じ転送具が階段のところにあるから、それに触れておいてねー。そうしたらこの祭壇から触れたことのある祭壇まで転送できるわよー。一応、北の2つのダンジョンじゃなくても転送できちゃうのだけど、遠いと大変だからそれなりの金額になっちゃうわよー?」


「あの、転送する際に祈りをささげるみたいな感じですか?」


「あらま?もしかして来訪者の方なのかしらー?なんか来訪者だと教会で祈りをささげてもらうと他の街に転移できるそうだけど。確かにそれとにてるわよー。祈りは捧げないけど、私の魔素を使うことになるわねー。」


「なるほど、それじゃあ空間術を使えば、僕達だけでも行けちゃうんですかね?」


「あらま!空間術をもしかして使えるのですか?それじゃあ姉もダンジョンポーチを渡したのはそっちを見てなのかしらね?ただ、やったことはないからできるかわからないわよー?」


「うまくいかなかったらこちらでお金出して頼みますね。」


「わかったわー、それでいいわよー。ちなみに、この街のダンジョン宿はうちを含めて5つだけなの。生産宿で持ってるのはうちだけよん。それが自慢なの。」


「確かにダンジョンは生産のためというより冒険の為って感じがしますから、生産宿には珍しいんですよね?」


「そうね、冒険者用の宿に置くほうが普通で、うちのはあんまりつかわれてないもの・・・」


 あ、あんまり言っちゃいけないことだったかな?ちょっと悲しそうな感じだ。多分姉のアピエギルド長のおかげで置けてるんだろうし、なんかつついちゃいけない問題だったかな。でもすぐ表情戻してさっきの調子に戻ってくれた。


「あらま、ごめんなさいね。とりあえずそのくらいかしらね。もし他にダンジョンのことで困ったらまた私に声かけて頂戴ねー。」


「わかりました。ありがとうございます。」


「それじゃあお部屋でごゆっくりどうぞー。」


 結構長々話しこんじゃったな。でもいいこともいろいろ知れた。まずはダンジョン10階を目指すとこから始めないとな。あ、そうだ、もう一つ聞いておかないと。


「あ、すいません。10階層いくのに何日くらいかかるものなんですか?」


「えっとそうね・・・10層まではまっすぐ階段進んでも10日かかっちゃうかもしれないわね。あ、でもその狼くんなら半分よりかからないくらいの時間で行けちゃうかも?」


「なるほど、じゃあ10層まではダンジョンで泊まることも想定して動くことにします。」


「ダンジョン用のテントね。持っておくといいわよー。ただテントがあっても階段付近で寝るようにねー。」


「わかりました、ありがとうございます。」


 やっぱり階段付近がセーフエリアなのか。その付近でなら料理とかもできるかな?それはダンジョンの中で確かめてみたほうがいいか。他の人とかもいるかもしれないし。

 最低限の必要なことは聞けたので、部屋にと入る。おぉ、今までの宿の部屋よりも広い!この広さはいいな、製作できるところも二つか。


「モイザ、製作具出すか?」


「――――。」


「ん、なんだ?いらないのか?もしかして今回はずっと僕たちについてくるのか?」


「――――!」


 なるほど、今回は生産よりも戦闘重視するか。生産だけでもレベル上がってたみたいだけど、戦闘経験も必要だろうからね。

 それじゃあレイトはお目付け役として、明日から僕達4人でダンジョン攻略、頑張っていこうか。


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