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舞踏猿戦

 というわけでやってきました誘踊の森。なんか心なしか、風もないのに木々が揺れ動いてる?気のせいじゃないな、ガサガサと葉の音が聞こえる。なんというか、集中力を欠くな。あんま意識しないようにしよう。

 目的の相手を発見。ちょっと開けたところに10匹くらいで固まって踊ってる。何の踊りだあれ?コサックダンス?謎すぎる。

 先に僕とベードとフレウドにクイックアップをかけておいて、もう少し近づかないとね。ここじゃあ識別すらできない。


「キ?キキ!!」「キ?キー!」


 げっ!?ちょっと開けたとこ入った瞬間気が付かれた!ベードも隠密してたはずなのにという感じだ。僕だってまだ識別できてないよ!しょうがない少し近寄らせて識別だ。


----------

≪識別結果

 ダンシングエイプ 危:C

 踊りを愛する猿。様々な踊りがあるため、すべての踊りを見ることは難しいだろう。

 踊りの中でも特に二匹以上で行う複合舞踏には注意≫

----------


 これ以上寄られたらやばいな。なぜかバレリーナのように回りながら近寄って来るのに、結構な速さで近づいてこられたし。

 意外とスロウダウン、射程が短い感じだ。遠くの相手にかけようと思っても、届かないって感覚で分かる。

 さらに問題は何体同時にかけれるか確認してこなかったとこだ。失敗したな。とりあえず少しでも動きを鈍らせるしかないな。火を波の形で広げるイメージ。


「ファイアウェーブ!」


「キィ!」


 ベードの少し手前から火の波が発生し始める。猿達はその瞬間、すぐにバク転で華麗に後方へとよける。ウェーブが届かないまでに遠ざかったけど、さすがに冷静だな。

 その場で急に2匹ががっちり手をつかんだようだ。そして片方が回り始め、もう片方が力のままに振り回され始める。それはダンスなのか・・・?

 なんて思ってたら結構な勢い付けてこっちに飛ばしてきた!飛んできた猿も回転、トルネードアタックかよ!


「スロウダウン!」


 でも一匹しか飛んでこなくてよかった。スロウダウンを確実にかけられる。にしても、ゆっくりこっちに向かいつつ、ゆっくり回る猿、シュールだ。

 ファイアランス5発を連打でぶつける。フレウドもフレイムボールをその間に3発当て、燃え上がっていたけど、ランスがとどめになったのか、炎がやんでも燃え尽きることなく死体が残った。

 ってあれ?いつの間にか他9匹の姿が見えない・・・なんてのんきにしてたらベードがその場から大きく退避する。地面から殴るように片手を掲げつつ、もう片手は鼻をつまんだ猿が飛び出してきた。

 他8匹もこちらを狙って、流れるように飛び出してきたけど、ベードが素早い動きで回避してくれた。ベードに乗ってなかったらもろに食らってたな。

 というかなんだ今の?まさか、シンクロナイズドスイミング風の地面バージョン?冗談じゃないぞ、地面潜れるなんて聞いてない。

 いつでも潜れるわけじゃないだろうな?うーん、もう一つ考えてきたのがうまく決まればいいんだけど。


「フレウド、そろそろ予定通りやってくれるか?」


「コ。コケッ、コッコッコ!」


 フレウドに指示したのは油弾だ。もちろんダンシングエイプに当てるのは難しいだろうから、そのためじゃない。地面に向かって撃たれた油弾を見て、心なしか猿達も笑ってる?

 4匹がそのままバレリーナのように回りつつ突っ込んで、油弾の当たった地面まで来る。そして横転した。よっし、予定通り!


「猿ども、知らなかったのか?油は滑るんだ。土の地面でもな!」


 横転した猿達の地面に向かい、用意していたファイアランスを投げ射せば、一気に猿達も燃えあがる。慌てふためくけど、足元の油で滑り、また横転。隙だらけのそいつらに向かいファイアランスを打ち込もうとするが、ちょっとまった、他五匹の姿がまた見えない。

 瞬間、ベードを囲むように5匹の猿達が同時に地面から飛び出してきた。さっきと違ってポージングを決めてない?なんかやばいぞ!


「ベード、前三匹の拘束頼む!フレウド牽制!スロウ、ダウン!」


 後ろ二匹にスロウダウン。ぶっつけ本番の複数がけだけど、クイックアップが複数かけれたからいけるはず。

 今にも飛びつかんとする猿二匹の動きがすごくゆっくりになった。よしこれで・・・


「ゴゲッ!」「ばぅがぁ!」


「フレウド!?ベード!?」


 振り向いたけど、僕が姿勢保ててるってことはベードは何ともない。フレウドがベードの頭上にいない!?

 ベードが変に囲まれて動きづらかったせいか、ちょうどクイックアップの効果が切れてたせいか・・・ベードの頭上を一匹のサルの足が通り過ぎていた。


「フレウド!」


 スロウダウンの効果時間も忘れて、慌ててベードから降りて、吹っ飛ばされていたフレウドに駆け寄る。


「コ・・・」


「一発でこれか・・・悪かった。攻撃を受けなければいいとか、僕が甘かった。ヒーリングハンド。」


 ぐったりしてるフレウドはなんとか大丈夫だったけど、かなりの重症のようだ。とりあえずの応急処置がこれしかない。


「キキキ!」「ばぅわぅ!」


 っち、ベードは3匹拘束が限界なのに、スロウダウンの二匹の効果が解けたか。しょうがない。宿の中のモイザ横にフレウドを送ろう。


「トランスポート。」


 光に包まれてフレウドが転送された。これでとりあえずモイザがさらに応急処置してくれると信じよう。


「きゅ?」


「レイト・・・あぁわかってる。僕の起こしたことだ。今回はお前の手は借りないよ。」


「きゅ。」


 僕を諭すようにレイトが久しぶりに声をかけてきた。でもごめん。僕だいぶ頭に来ちゃってるみたいだ。

 今までこんな風に使おうなんて思ってなかったのにな。こうするのが今は一番いいと思う。火の力で右手に覆うように。


「火を愛でる手・・・いや、炎を愛でる手、フレイムハンド。ヘイスト。」


 後方からベードを今にも襲おうとしていた二匹の内、一匹に一瞬で近寄る。狙いは腹、ぶん殴る。焼け落ち腹に風穴があく、一匹絶命。もう一匹にもすぐさま風穴を開けてやる。

 ヘイストが切れる、でも今気持ち悪さなんて言ってられないし、感じない。影で拘束されていた3匹が力任せに拘束を破った。

 ヘイスト追加、一瞬で近寄り、あっけなく3匹の腹に風穴を開けていた。ヘイストが切れる。


「うっ、気持ち悪い・・・」


 思わず地面に四つ這いになってしまった。・・・というか今僕何をしていた?急にこんな戦い方が頭に思い浮かんで、実行してしまった。

 フレウドの怪我を見てから、頭に血が上ったまではちゃんと考えてたし、レイトにもちゃんと返事したはずなんだけど。


「はぁ、今はいいか。ベードは大丈夫か?」


「ばぅ。」


「よし、死体回収したら急いで宿戻るぞ。フレウドが心配だ。」


 ベードに乗って森を駆け抜けて街に戻り、宿にと帰宅。ソファーの上に包帯のように糸をまかれたフレウドが、片翼を上げて迎えてくれた。モイザもよこでしっかり見ててくれたようだ。


「大丈夫そうだな。よかった・・・モイザもありがとう。」


「コ。」「――――。」


 一安心したらどっと疲れちゃって、その場に座り込んじゃったよ。一休憩入れようかな。そうだ、ちょっとスキル観てみないと、さっきの僕は無意識に火じゃなくて炎を使ってた気がする。


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<スキル>


【テイムLv45】【個別指示Lv20】【分担指示Lv20】【統制指示Lv8】


【時空術Lv11】【魔獣言語Lv12】【愛でる手Lv17】【料理Lv31】


【集中Lv32】【炎術Lv1】【合成Lv3】【騎乗戦Lv2】【棒術Lv1】

----------


 あぁやっぱり、火術が炎術になってる。これで威力アップはできるな。もう炭づくりはできなくなりそうだけど。しばらくやってなかったし別にいいか。


「これでフレウドと同じ炎術になったな。フレイムボール食べるか?」


「コ!」


 よしよし、じゃあ初フレイムボールはフレウドに食べさせてあげようじゃないか。おぉ、勢いよく吸い尽くしたな!喜んでくれてるようで何よりだ。

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