四色羊混合戦
四色羊緑との戦いは開幕は防戦になってしまった。まず僕だけだったから気配を消すというのがうまくできないわけで、識別できるところまで近づいたら、先制するまえに気が付かれてしまった。
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≪識別結果
フォーカラーシープグリーン 危:D
四色羊の緑個体。四色の羊はそれぞれ色に適応した属性の術法を扱う。
色は違うが使うスキルアーツは同じ特性を持つものである≫
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緑羊はこちらに気づいてすぐに、体の周囲に風の粒を展開した。白い風の流れがまとまって粒になったような感じだ。
その粒を見てすぐに、土の奴の出した土礫と同じものだと分かったので、ファイアウォールで防ぐことはできた。でも礫に交じって風の球体まで飛んできて、ファイアウォールを切り開かれた。
風の球体は威力も大きさもかなり弱くなってたからよけれたけど、その球体が開けた穴から飛んできた風礫を、何発か受けてしまった。
結構痛かったけど、動けないというほどじゃない。休憩中に考えてたもう一つの壁対策をしながら反撃してやろう。ファイアウォールを火の礫に変える。その礫の半分を羊の向こう側に送るイメージ。
「ファイアバレット、アンドトランスポート。くらえ!ファイアバレット、挟み撃ち!」
挟み撃ちの形になったファイアバレットを防ごうと風の壁を出す羊だったが、やはり片面しか守れないようで、僕側のバレットを防ぎに来たな。後方からのバレットをよけるために飛び退いたようだけど、何発かは命中。さらによけた先を狙ってすでに準備済み!
「ファイアスフィア!」
「グメ!?グメェェ!!」
横広げの壁をなまじ出したせいで、僕への意識がすこしそれてたな。風の壁を貫通して火の球体は緑羊に無事命中。すかさずファイアランスを手に作り、今回は思い切り投げる!直接突き刺してよし、投げ当ててよしの説明通り、投げやすい形状だな。
「グメッ!」
燃え上がった羊にさらに火の槍先が命中。ひどい声を上げたが、体中に風を纏って何とか火を消そうとしてる。でも動きが取れてなくて隙だらけだ。駆け寄り、頭上から杖をたたきつけて絶命させた。
前の羊と同様、とりあえず死体のままポーチに回収。解体は別に僕がしなくても、解体屋に頼んだほうがいいかもしれない。解体屋を使えないとかの時にやればいいだろう。
さて、ちょっと遠目に見えるベード達の戦闘でも見に行きますかね。この周囲の羊たちがだいぶ少なくなってるから、結構狩ってるみたいだけど。
今狙ってるのは赤羊のようだ。まずベードが気配を殺して十分なほどに接近。ベードの影術、モイザの糸術の二つで拘束。当然羊は拘束を燃やそうとするけど、フレウドが火を吸収することで、拘束を維持する。顔まで拘束されてる、反撃できず、あとは3匹でたこ殴り、これはひどい・・・
今度は青、同じく二匹で拘束、ウォーターカッターみたいな技はもってないようで、糸と影の拘束を解けずにタコ殴り。どちらも死体はモイザが回収。
「無理に死体残ししなくてもいいぞ。自由に戦ってみたらどうだ?」
「――――!」「ばぅ?」「コ。」
どうやらモイザが何かやりたいようだ。近くの青羊をまた拘束。そしてモイザはポーチからフラスコを取り出し、羊に投げつけた。
口まで拘束されてるせいで、何か叫んだような気がする程度だったけど、瓶から出た紫の液体は当たった拘束箇所を溶かし、さらに羊の腹まで多分溶かしたのだろう。もう羊は動かなくなっていた。えげつないことをするもんだ・・・
即座にフレウドが火葬、そのままだと危ないと思ってたのでありがたい。いや、僕が火葬するべきだったかな?
次はフレウドが赤い羊を翼で指し示す。あれと戦いたということのようで、ベードとモイザで拘束。そして拘束した赤羊にフレウドが油弾を浴びせる。
そして油たっぷりのところにさらに炎の球をぶつけた。とてつもなく燃え上がり、火が消えた時には赤羊は跡形もなく燃え尽きてしまっていた。
ベードは二匹の攻撃を見て引いてしまったようで、ほとんど2匹のための隠密、拘束係に徹していた。
そんなこんなで周囲の羊たちを完全に殲滅。僕も緑と黄色に時折一人で戦ってみたりして、日の暮れる前に切り上げた。
あとは死体を今日聞いておいた解体所で解体してもらうとしよう。でも羊毛どうしようかね?
「モイザ、羊毛使って何か裁縫してみたいか?」
「――――。」
「おーけー。じゃあ仕立て機でも買うか。」
「――――。」
「ん?仕立て機は必要ないのか?まぁそれならそれでいいけど。必要になったらいつでもいい。ただうまく伝えてくれよ。」
やりたいようだったけど、仕立て機は必要ないのか。糸と組み合わせてどうにかするのかな?どうするつもりなのかちょっと気になる所だ。
解体屋では結局50越えの羊の山になってた。僕はせいぜい8匹倒しただけだったんだけど、拘束してタコ殴りで倒すの、どれだけやってたんだ・・・
まぁそれだけカラフルにあれば、羊毛はしばらく困らないだろう。といっても使うのはモイザだから、わからないけど。
宿に帰ると、さっそくモイザが羊毛と糸を足先で器用に合わせていく。どういう原理かわからないけど、赤羊毛に足先で糸を縫い合わせるようにしていくと、いつの間にか一枚の布のようになってしまった。
使った赤羊毛と蜘蛛の白糸がいい感じに混ざっててきれいな布という感じだ。次々と四色羊毛で布を作っていくけど、ちょっと待ってほしい。
「モイザ、これどうするんだ?」
「――――。」
「ん?旅商鞄?売ってほしいってことか?」
「――――。」
こっちに持ってきたはいいけど、ポーチに入らないので宿におきっぱにしてた旅商鞄を前足で指さしたけど、売ってほしいってことだったのか。
うーん、じゃあ明日は狩りの前に布を商業者ギルドにもちこんでみるかな。そのあとはアント狩り行きたいから、旅商するかどうかはそのあとで考えよう。




