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四色羊黄色戦

 朝はレササだけに3日後にまた戻るとだけ伝えて、自宅の簡易神殿から南の熊壁教会まで転移した。モイザは今回自宅待機じゃなく、どうやら戦闘についてくるようだ。

 そういえばモイザの戦い方って見てなかったけど、どうなんだろうか?ちょっと気になる。

 まぁ転移はうまくいったけど、すぐに戦闘というわけにはいかない。まずは冒険者ギルドの資料室で周囲の魔物の情報収集だ。ついでに魔素の回復もしたい。

 あんまりこの街の冒険者ギルドに行きたいと思えないのは、変な勧誘がいたからなんだろうな。今は仮面かぶってるから別人に見えるのか?

 そうだとしたらなんかまた声かけられそうで厄介だな。神官の人もいないし、今ここで外しちゃうか。

 そういえば南端の街の神官のアールさんも教会にいなかったな。なんでだったんだろう?まぁ何かしらの用事で外に出てるんだろうな。なんて思いつつ外に出ようとしたら神官の人とばったり遭遇した。


「おや、戻られていたのですね。転移お疲れ様です。」


「いえ、疲れは確かにありますけど、大丈夫です。」


「おや、従魔とはいえ1人と4匹をまとめて送っているのです。かなりの消耗かと思っていたのですが、術法に長けていらっしゃるのですね。」


「そんなことはないと思うんですけど、そうなんですかね?とりあえずこの後の用事もあるので、失礼しますね。」


「おっと、呼び留めて申し訳ありません。それともし我々神官にご用の際は、教会入口横のベルをおならし下さい。いない場合ですとすぐに私が、とはいきませんが、その場合でもある程度対応できるものが来るので、ご安心ください。」


 入り口横の黄色の鐘って飾りだと思ってたけど、ならして神官の人を呼ぶものなのか。あれも魔道具なんだろうな。


「わかりました、ありがとうございます。」


 とりあえず何か教会側に用がある時はあのベルならすのか。うーん、転移は自分でできちゃうし、特に用という用ができると思わないけど、覚えておくか。

 神官の人にお辞儀はしっかりしてから教会を後にして、冒険者ギルドへ。中央に向かう北門からの大通り沿いにあるからそれほど遠くはない。

 冒険者ギルド内でまたパーティー呼び込みしているかとすこし身構えたけど、今日はメンバー募集してる人たちはいなかった。

 そういえばなんだかんだ他プレイヤーとちゃんと話したのって、多分あれが初めてだったよな。まぁみんながみんなあんな感じとは思ってないけど。

 それはさておき、資料室に行きますかね。やはり冒険者ギルドは同じつくりのようで、ここでも資料室は3階にあった。

 目的の情報の乗ってる資料も発見。まず南の四色羊か。南の肉の街では羊毛の素材として使えるということしかわからなかったけど、ここではちゃんとそれなりに書いてあるな。

 正式名フォーカラーシープ危険度Dか。集団性は低くて各個撃破が可能だけど、それぞれ赤、青、緑、黄色という四色がいて赤が炎、青が水、緑が風、黄色が土の術法を使ってくるそうだ。さらにそれぞれ得意属性に耐性も持ってるようで、これは狙うなら緑か黄色だな。それぞれの毛色の羊毛を解体で手に入れられるけど、他部位は捨てるべきか、なるほど。

 西にいるのはヴォルガーアシッドアント危険度D、集団行動するし、追い込まれると口から酸という、金属製防具をも溶かす危険な液体を出してくるね。酸攻撃は厄介だな、追い込まれるとということは普段から出すわけじゃないのか。そういえば金属といえば鉄製っぽい装具ってたまに見るし、この街の直轄店で売ってたけど、どこで鉄とかとれるんだろうか?まぁ今はいいか。

 東のはダンシングエイプ危険度C、こっちは基本一匹だけど、気が付かれると集団で襲ってくること、踊りながら攻撃を仕掛けてくる、変則的な動きに注意か。お、火に対しては弱いみたいだな。素材は体内の魔核?魔核って何だろうか、調べてみるか。

 周辺で取れる素材一覧とか書いてあるし、この本かな?この街の特産だろう熊素材のことばかり書いてあるな。ちゃんとダンシングエイプの素材の魔核についても書かれていたけど。魔核は魔道具の核となる素材のようだ。ダンシングエイプの魔核は小さいけど、魔道水石の核によく使われるそうだ。あれ、猿から出た核だったのか、まぁいいけど。

 周辺の魔物資料に戻って、最後はフォーアームベア危険度B。ついにやばいのが出てきたというところか。こいつはさすがに個々に戦えるみたいだな。一度暴れ始めると周囲の木々を破壊するほど暴れると。まぁ今すぐ挑むべきではないのはわかる。こいつは最後だ。

 まぁあとは変異種とかの情報がちらっと乗ってるのと、周辺の街の魔物情報だな。さて、無難に倒しに行くなら羊か蟻だろうな。どっちから狙うかね。やっぱり来る道で見た羊に挑んでみるか。狙いは黄色と緑で、赤青にあたりそうでもやれるだけやってみるつもりだけどね。

 後は今のままだと僕だけじゃ少し火力不足感があるよな。牛の時とは違って、まずはソロで戦ってみたいし、もう少し威力のある火術に挑んでみるか。

 時空術はフリップスペースがあるけど、あんまり攻撃向きなスキルアーツは今のところないし、そもそも資料にも術式で発動するものくらいしか書かれてないし。

 そういえば空間術はよく使ってるけど、時術は使ってなかったな。この機会に練習してから使ってみるのもありか。この街にもおそらく訓練所はあるだろう。

 うーん、結構やりたいことふえてきたぞ。とりあえず今日は羊相手に火術のもう少し強そうなのを2,3試すことにしよう。よし決まり!




 そんなわけでやってきました四色の地、ベードの上からよく羊たちを見ると、地面の四色にそれぞれ同じ色の羊がいることに気が付く。あ、黄色だけは白めの土の上でちょっと違うか。

 とにかく、まずは黄色から行こうか。まず相手を識別しておかないとね。


----------

≪識別結果

フォーカラーシープイエロー 危:D

四色羊の黄色個体。四色の羊はそれぞれ色に適応した属性の術法を扱う。

色は違うが使うスキルアーツは同じ特性を持つものである≫

----------


 よし、情報通りかな。では新しい火術、ちゃんと発動するかね。イメージは槍を手に握るイメージ、といっても槍は握ったことないから杖のイメージが先行しちゃうけど。意外と形になるもんだ、右手に火の槍先のようなのができ上った。


「よし、僕だけで行ってくる。僕がヘルプって言うまでここで待機な。」


「ばう・・・」「――――!」「コ。」


 ベードの上だったおかげで、結構近寄れている。降りたらそのまま一気に駆けより、右手に握る火の槍先を突き立てた。


「ファイアランス!」


「グメェェ!?」


「さらにフリップスペース!」


 杖を引き抜く暇はなかったので、手にフリップスペースを込めてぶん殴ってみた。距離は取れたけど、まだ決定打にはいかないか。体勢立て直したな。

 ならこれはどうだ?より多くの火を丸めて固めるイメージ、両手の中にバスケットボールより二回りほど小さな球体ができあがる。あとは立て直したばかりのところにそのまま打ち込む!


「ファイアスフィア!」


「グメ!メ゛ッ!グメェェェエ!」


 あの体勢ならファイアスフィアをかわせないと思ったんだけど、羊は地面に足を突き立てて、土壁を出現させた。しかしファイアスフィアはその壁を突き抜けて羊に命中し、燃え上がる。

 即座に羊は自身の体を土で覆い、火を消火した。器用なことをするもんだ、あれも土魔法の一つなのだろうか。しかしだいぶ消耗したはずだよね?

 体にまとわせた土が、羊の周囲にいくつもの小さな塊となって浮かび上がり、そのとがった先はこちらを向いてるのがわかる。やはりこちらに飛んできたか!

 僕もあいつのように、思い切り地面に足を踏みしめる。同時に僕を守る壁をイメージ!


「ファイアウォール!」


 僕の目の前に火の壁が現れ、土つぶてを燃やし尽くしてくれた。一応やろうと思って目星付けてきた技が全部うまくいって何より。

 さて、今の魔法僕も使えるかな?イメージは石礫みたいな感じか。火の壁が変化して、羊の飛ばしてきたような形の数十個の塊になる。

 後はそのまま羊に飛んで行け!うーん、ファイアバレット?


「よし、ファイアバレット!」


「グ、メ!」


 羊はよろけ気味に地面に足を踏ん張り、また土壁を作ったけど、さっきより明らかに小さすぎる。自分を守り切れていなくて数発は当たったようだ。さらにひるんだここがチャンス、杖を構えて一気に駆けよる。杖を真上から振り下ろす!


「フリップスペース!」


 ドゴッという音とともに羊は絶命したようだ。うーん、キメ技になってきたなこれ、せっかくならもうちょっといい名前にしたいところだな。おいおい考えておくか。違う名前でも発動してくれればだけど。


「よし、各々好きに狩りしていいぞ。僕も少し休憩したら今度は緑に挑んでみるよ。」


「ばぅ!」「――――。」「ココ。」


 ベード、モイザ、フレウドトリオで狩りに行ったようだ。こっちもあとでどんな戦い方してるのか見せてもらうとしよう。さて、一息つきますかね。


羊の識別シーンを追加

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