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転移帰還

 とりあえず目的の教会に到着。南の肉の街と似たような形の建物だからすぐにわかった。中の作りだけちがって、いっぱい長椅子が置いてある。


「おや、教会に何か御用でしょうか。」


「あ、どうも。実は転移を試したくて来たんですけど。」


「おや、ではあなたは来訪者の方ですね。来訪者の方が王都の転移陣に触れてより、来訪者の方々のみが神殿や教会間を転移できる転移陣が、各神殿、教会に浮かび上がるようになったのですよ。ただし、私達神官が祈りと魔素をささげなければ開かないものなので、転移する距離によっての手数料をいただく形になっています。ご了承ください。」


 おっと、そこまで細かいことはログイン前のインフォメーションに書いてなかったな。来訪者しか使えないなら馬車もまだまだ必須になるだろうな。


「なるほど、ありがとうございます。ところで転移陣ではなく、こちらで転移を試す分には問題ないですか?うまくいかなかった場合は転移陣を使用したいのです。」


 転移陣があるから、最悪うまくいかなくても一度家に戻ることはできるはずだ。家の簡易神殿に行けなくても、南端の街の教会に飛んでもいいし。

 とりあえず自分の力でだけで転移出来たら便利なはずだ。昨日あの後、ベードだけじゃなくて、みんな一気に引き戸越しに転移できるようにまでなった。レベルアップのおかげなんだと思う。まぁそれでも今は、他の街に転移できても、転移しやすい教会内くらいだと思う。


「おや、転移魔道結晶をお持ちなのですか?それとも何か別の手段なのでしょうか?」


「転移魔道結晶って何でしょうか。僕は自分の空間術を使う予定です。まだ街間転移をしたことがないので、上手くできるかわからないのですけど。」


「おや、空間術を個人でお持ちなのですか?珍しい方ですね。それとも来訪者の方には珍しくはないのでしょうか。ちなみにですが、転移魔道結晶は王都で売られている教会間を転移する際に使用する魔道具の一つです。かなり高価なうえに魔素消耗型の魔道具なので、魔素量の少ない方には使用できない代物ですね。」


「そういうのもあるんですね。」


 今僕の持ってる魔道具は、どれも魔素の消耗のないものばかりだけど、王都のほうに行ったら消耗型のも増えるんだろうな。


「おっと、そうでした。空間術でしたら使っていただいて問題ないですよ。帰還でしたらリターンロケーションですぐ行えるでしょう。転移でしたらトランスロケーションですね。こちらは一度行ったことのある教会または神殿の名前を添えると発動できるはずです。」


「教会の名前、ですか?」


「おっと、すいません。教会の名前といっても、ここは南の熊壁教会のように、街の名前が教会の名前ですよ。」


「なるほど、それなら難しくはないですね。ちなみに、自宅の簡易神殿の場合はどうなるのですか?」


「おや、自宅神殿をお持ちですか。そちらは自宅神殿で大丈夫ですよ。頭の中で浮かべるだけでもいいですが、初めて使うのであれば、声に出したほうがよいでしょう。私も転移陣を呼び出す際には、アーツ名と転移先を声に出してますからね。」


「わかりました。ありがとうございます。それじゃあ早速やりますか。ベード、近くに寄ってくれ。」


 ベードが僕に寄りかかるように近寄ってくれる。とりあえずこれで良し、すぐに家に戻るより、転移から試すか。まずは南端の街の教会を思い出す。そしてそこに僕たち全員がいることをイメージする・・・


「トランスローケーション、南端の教会。」


 転移の時のまぶしい光が僕を包み込む。視界が開けると、さっきの教会とは違う、南端教会の内装が目に入る。


「レイト、ベード、モイザ、フレウド、みんないるか?」


「きゅ。」「ばぅ!」「――――。」「コ。」


 お、よかった、みんないるってことは転移成功だな。これ気軽にほかの街からここまできて、また街に戻ることができるな。とはいっても、これは休憩は必須だな。魔素がごっそり抜けたんだろう、とても気だるい・・・

 家までリターンロケーションするつもりだったけど、しょうがない、歩くか。

 自宅の土地に帰ってくると、さっそく見張り役をしてた蜘蛛の一匹がこちらに気が付き、すぐに奥にと駆けていった。たぶん僕たちが来たことの報告だろう。

 少し待ってると、40匹の蜘蛛達が10匹ずつの横4列にさっと並ぶ。最前列から一匹だけ前に出てきたけど、どうやらレササのようだ。


「レササ、ただいま、いろいろありがとう、おかげでお金には困らないよ。」


「―――。」


「――――!」


「―――・・・」


「――――。」


 何かモイザとレササで話し合ってたようだけど、まぁ多分、元マザーのモイザが報告を受けたんじゃないだろうか。

 とりあえずみんな元気そうで何より。最前列の9匹を見ると、進化してハウレッジかスカウトになった子達とレサキとレサンのようだ。

 ってあれ?明らかに違う色の子が2列目に4匹いるんだが。ステータスを確認すると、レッサーコックスパイダーとなっている。4匹は他が黒っぽい色なのに、白に近い灰色になってる。料理専門であげているのか。

 ちょっと気になって、料理用に作ってもらった料理セット小屋を見ると、1つだったはずが5つに増えていた。レササが使う分差し引いて4つで4匹か。なるほど、あとでトレビス商長に話を詰めておこう。


「さて、一応みんなに紹介だ。ラウンドバーンチキンのフレウドだ。力の差とか、後に従魔になった、先に従魔になったとか、僕は気にせず仲良くしてほしいと思ってるから、よろしく。」


「ココ。」「―――。」


 フレウドが右翼を上げると、蜘蛛達も右前脚を上げて挨拶したようだ。声を出したのはレササだけのようだったので、他の子達とは言語を使った会話すら難しいのだろうか。

 まぁちゃんと意思疎通はできてるし、レササがしっかりしきってくれてるみたいだから大丈夫だろう。


「とりあえずレイト、ベード、モイザ、フレウド、この土地内だったら自由行動でいいぞ。僕はちょっと魔素消耗しちゃったから家の中で休憩するよ。」


「―――。」


「ん?なんだレササ?これを僕にってことか?」


 ローブをレササに引っ張られる。レササ用ポーチを僕に差し出してくれたようだ。中は緑甘樹の実とリンゴのサンドが入ってる。休憩用のおやつってことかな?


「ありがとう、いただくよ。」


「――――!」


 それを見たモイザが何かを言い残して料理セット小屋に入ってしまった。いったい何だったんだろう?まぁいいか、とりあえず家に入ってゆっくりするか。


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