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北を目指す他プレイヤー

 ログインしたけど、あいにくの雨が続いてる。現実は晴天だったってのになぁ。まぁこれはしょうがない。

 レイト、ベード、フレウドだけでなく、染色練習の布切れがなくなったモイザも一緒に、フリップエリアで雨を弾きつつ買い出しに行く。

 染色練習に使えそうな布があるかを店員に聞くも、売り出してはいないようで、一部の生産品で使わなかった素材の破片があの布切れ端材らしい。まぁモイザはモイザ自身の糸を使って染色し始めてたし、無理に買う必要はないかな?

 とりあえず乾かすための布かけと、廃棄ボックスを購入。あと染色瓶にどんな色があるかを少し見たけど、あんまり何度も染色はしないかと思って、とりあえずモイザが気に入ったきれいな青色を10瓶購入。

 他にも大型ビーカーというポーション瓶10本分作れるビーカーと、まさかの魔道ミキサーを発見したので購入。これで料理の幅が広がるし、リンゴジュースとかも自分で作れそうだ。

 とりあえず買い物は終了、今回のもう一つの目的に向かう。それはログイン前にカプセルに表示された、追加インフォメーションの件だ。

 なんでもプレイヤーが王都に到着したことで、教会、神殿での転移サービスが開始されたようだ。ただし個人ごとに一度行ったことのある教会、神殿にしか転移できないそうで、たとえパーティーメンバーでも、行ったことのない場所には転移させられないそうだ。

 ただし、従魔は別に教会に行かなくても、主人が移動できれば、一緒に移動できるそうだ。なので今回の目的は僕が教会を訪問すること。そして雨でぬれるのを避けて身動きとりづらいから、この機会に一度みんなで家に戻り、家の蜘蛛達の様子を見ておこうと思う。まぁ、教会の場所はわからないので、まずは冒険者ギルドに来てるわけだけど。


「四腕熊討伐パーティー募集してます!そのまま北の熊壁街まで行くルートです!ぜひ参加してください!」


「こっちも熊パーティー募集中、実力に自信ある人どんどんどうぞ。」


「パーティー募集中ー!あと一人ですけど、レベル上げも兼ねて動きますー!」


 ギルドの机スペースでパーティー募集といってる人が3組いるようで、3人組、4人組、5人組のようだ。ちょうど割れば6人で2つできるんだから、同調してやればいいとおもうけど、5人パーティーはどうやら熊以外にも狩り目的があるようだ。

 まぁ僕には4人も従魔がいるし、どこのパーティーに入るにも二人に待機指示することになる。でも何となくレイトと別行動というのは考えられない。ベードも移動面や大量狩りにと役に立ってくれてるし、モイザは宿で待機させてることが多いけど、料理とポーションを製作してくれてるので、補充が簡単だし、何より他の蜘蛛達を置いてまでついてきたんだ。

 フレウドだって最近加入したけど、油術からの火術炎術のコンビネーションは、結構な火力が出せるので、これからも頼りにしたいと思ってる。ようするに、わざわざ誰かに待機指示してまであのパーティーに入ろうとは思わないってことだ。

 そう思ってたのに、受付列に並ぶ前に3人パーティーの一人で、白胴着を着たヒュムの男になぜか声をかけられた。


「おいお前!最近じゃ見なかった顔だな。[プレイヤー]か?」


 ・・・どうこたえるべきだろうか。この人もプレイヤーなのか。問題は僕がプレイヤーだというと、僕以外に従魔を持つプレイヤーがいなかったときに、ごたごたが起きそうなことだな。というか、予想だけど多分いないはずだ。


「来訪者でも住人でも、ここでは関係ありませんよ。僕は受付で用事があるので、申し訳ないのですけど退いてください。」


「あ?なんだよ?この街来たばかりの[プレイヤー]なら、俺がこの辺の魔物のこと教えてやるって話だよ。悪い話じゃないだろ?」


「いえ、資料室で自分で調べるので大丈夫です。」


「あん?そんな面倒なことしなくても、俺達とパーティー組んで一緒に倒したほうがわかるの早いぞ?一人なんだろ、パーティーはいたほうがいいぞ?」


「いえ、一人じゃないですよ。従魔たちがいますから。」


 あんまりベードたちのことは言いたくはなかったけど、ここはベード達の気配を出してもらうしかないか。さすがにレイトは頭上で気配消したままでいいけど。

 というか気配に気が付けなかったってことは、気配探知系のスキルは持ってないのか。

 ベードが気配を出したってことは、その上のモイザとフレウドのこと見えてるはず。これで僕が4人パーティー以上であることはわかるはずだ。


「従魔・・・って掲示板で乗ってた大狼か。お前が[プレイヤー]か[NPC]か知らないけど、この[ゲーム]は多分、人同士でパーティー組んだほうがいいぞ。一匹くらいここでさっとパーティー外しちまえよ。」


 あぁ、やばい、こいつ僕の苦手なタイプだ。プレイヤー同士で遊ぶのが一番だと思ってるやつだ。別にプレイヤーパーティープレイならほかのMMOでだってやったことあるし、そのうちこの【DWD】でもやってもいいとは思ってる。けれど今はテイマープレイ中だから、従魔たちとそりの合わないようなのと組む気はない。

 そもそも、僕はどちらかといえば、いろんなゲームでソロプレイしていることが多い。一番の原因は自分の人酔いしやすい性格というか、体質というかが原因なわけだ。ウマの合わないのと無理してパーティー組むなんて論外だな。


「なんであなたにそんなことを言われなくちゃいけないんですか?僕がこの世界をどう楽しもうと自由なはずです。邪魔です、退いてください。」


「あん?俺はお前のためを思って言ってんだよ。というかお前やっぱり[ゲーム]ってちゃんと聞こえてるだろ?といことはお前[プレイヤー]なんだから協力しようぜ。[ゲーム]は[プレイヤー]同士で協力して楽しむもんだろ。」


「もう一度言います。退いてください。衛兵呼びますよ。」


「は?なんでそうなるんだよ?」


「コウキさん、そこまでにしましょう。今のはコウキさんが悪いです。すいません邪魔してしまって。」


 僕の前を塞ぐ白胴着の男を引き寄せたのは、オレンジローブにオレンジの三角帽子をかぶったヒュム女性だった。


「退いてくれれば今回は不問にします。」


「ちっ。また俺が悪いのかよ。俺は[プレイヤー]のためを思ってだな・・・」


「私とアズキはそれに同意してますけど、いろんな方がいらっしゃるのですから。」


 ヒュムの女性がそういうと、白胴着のコウキとかいうのも机側にと下がってくれた。面倒な目にあったし、ベードが姿現したせいで視線がベードに集まってる。

 まったくまいったな、今日は宿に帰るべきだろうか?そう思ったけど、ベードに集まっていた視線が一斉にギルドの階段にと向く。


「あー、職員から通達があった。そこの従魔契約者の君、ギルド長室に従魔と共に来い。」


「え、僕ですか?わかりました。」


「よし。あとそこの白胴着の拳闘士の君。パーティー加入は個々の意思を尊重しろ。君は強要が過ぎるようだと、すでにこれで3度目の連絡だ。次に同じ連絡が来た場合、冒険者資格の剥奪もあるからやめとけ。」


「は、はい。わかりました。」


 おぉう、多分だけどこの人ギルド長なんだよね?その人から資格はく奪といわれるとはね。まぁ僕は迷惑してたけど、他の人にもこんな感じでいいよってたのか。とりあえず僕はおとなしくギルド長室についていく。


「よし。まぁ面倒な目にあったな。わざわざ呼び出して悪い。」


「いえ、僕は大丈夫ですよ。ところで、どういう用件でしょうか?」


「ん?君がここに用件があるんだろ?それを聞くために呼んだが。」


「え、そうなんですか。大した用じゃないんですけど、教会の位置を聞いておこうと思いまして。」


「あぁ、なるほどな。土地について教えるのは冒険者ギルドの仕事だ。問題ないぞ。北門のすぐ近くにあるから行くといい。ついでに北門から広がる森を塞ぐ壁も見るといいぞ。」


「森を塞ぐ壁、ですか?」


「あぁ、この街初めてなんだろ。遠いと見えないけどな、この街の北にある四腕大森林のフォーアームベアが森から出るのを塞ぐために、森全体を壁が覆ってる。

 いわゆる本来の聖域壁の使用法をしてるってわけだ。この街は、国の第一期に作られた街だからな。北は需要と壁の強化に第二期に作られた街だ。だから森を抑えてる壁は名所としてはこの街の所有なんだぜ。まぁ俺はどうでもいいけどな。」


 どうでもいいというなら何で教えてくれたんだろう?やっぱり見てほしいからなんだろうか?なんとなくそうなんだろうな。


「わかりました。ありがとうございます。教会に行くついでに見てみますね。」


「おう、そうしろそうしろ。忙しいからあんまり出られないけど、困ったことがあったら、ギルド長から許可済みって言っちまっていいからな。」


「え、はぁ。わかりました。重ね重ねありがとうございます。」


「良いってことよ。それじゃまたな。」


「はい、失礼します。」


 ギルド長室を出たけど、ギルド長からの許可済みって何の話だったんだろう。まぁ教会まで行けばわかるか。一階ではまだ3組がパーティー募集をやってる。みんなこっちを向いた気がしたけど無視無視。

 外は雨はまだやんでないので、ギルドを出る前にフリップエリアを展開。濡れないほうがいいからね。


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