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南の熊壁街を目指す道

 ログイン後は朝に旅中のサンドをモイザとともに少し作った後に、すぐに眠りの地方面に出発。

 門から出て少し離れたくらいでベードにと乗る。ちなみにフレウドはちゃんと起きてて、ベードの頭上にいるから後姿が見えてる。

 さて、眠気の来ないこの辺からしっかりと展開しないと。昨日の練習を思い出せ。テレビとかで見た紫外線をはじくCMを思い出しつつ、球体状のベールでベードも僕も全部包み込むイメージ。


「フリップエリア!」


 よしよし、練習のかいあってうまくいったな。僕たちを中心に球体状にほんのり空間が歪んでる。とはいってもこれは触れても害はない。それは宿でちゃんと実験済み。

 ベードの影術を弾いたけど、ベード自身は通ることができたから、多分物質は通して、術法系を弾いてると思う。

 ちゃんと眠りの地でも機能するかは今から試すわけだ。一応街道上なら眠りの効力も強くはなかったけど、眠気が襲ってきたとき用に苦味草の丸薬は用意済み。


「とりあえず、街道沿いに進むぞ。眠気に襲われたら危険と判断して引き返そう。大丈夫そうなら四色の地まで行っちゃおう。頼むぞベード。」


「ばぅ!」


 強く返事してくれた後、ベードが走り始める。フリップエリア維持のために僕は集中、索敵は前方をフレウド、後方がモイザだ。一応僕の頭上のレイトも索敵してくれてるかな?

 街道沿いにベードが駆け抜ける。道中冒険者や馬車を追い越したり、すれ違ったりしたけど、結構な速さも出てるし気配も消してるからか、いやな目線も感じなかった。

 このまま街道沿いだと、四色の地との境まで馬車で3日、さらにそこから南の熊壁街まで4日、馬車だと計7日の旅になるらしい。

 ベードだとどのくらいかかるかな?要石と大狼のとこからは森抜けてきたから、どのくらい早かったのかわからなかったんだよね。とりあえず馬車は余裕で追い抜いてるから早いのは確かだけど。

 日中は特に何事もなく、日が落ちても駆け抜けていく。飯はベードは走りながら食べたし、みんなはベードの上で食べてるから結構快適な旅だ。

 夜も走り続けるのは、どうやら馬車も同じのようで、街道上を3台の並んだ馬車が進んでいるのをみた。あれは輸送馬車と護衛馬車なわけだ、魔物襲撃と勘違いされても困るし、街道からさらに膨らんで追い越した。

 ここまですれ違ったり追い越したりした馬車はこれで5組、特に南の熊壁の街に向かう馬車が多いみたいで、今日の昼前ごろにも輸送馬車を追い越した。

 街道沿いに時折テントが張ってあるので、それも膨らんで回避する。きっと徒歩勢の冒険者が眠っているのだろう。

 こっちは夜になるとベードの調子が上がるようで、さらに速さが増す。種族的にも暗いところのほうが真価が発揮できるようだ。


「飛ばしすぎるなよ、フレウドとかが落ちちゃうかもしれないからな?」


「ココ?」「ばぅ?」


 え?落ちるわけないよ?といわんばかりの返答だった。まぁモイザの糸で一応の固定もしてるし、そもそもいつも頭の上だし、大丈夫か。

 日が昇っても、まだ見えるのは眠りの地の赤土ばかり。さすがに一日程度じゃつかないか。まぁベードも疲れはないようだし、僕も眠気はない。モイザは平気そうだけど、フレウドはいつのまにか寝てたようで、日の光で目を覚ましたようだ。


「ベードがきつかったら休むぞ?もしくは僕がきつくなっても休む。でもできれば眠りの地を抜けるまでは休まず行きたいな。僕はテント内なら眠りの地の眠りの力も平気だけど、ベードがテントに入れないだろうからな。」


「ばぅわぅ。」「ココ。」「――――。」


 みんな大丈夫というかんじだ、ベード頼りだけど2日目もどんどん行こう。

 相変わらず走り続けてもらってるから、ずっとベードの背に乗ってるわけだけど、お尻が痛いとかは、ベードの毛のおかげもあるのか今のところない。

 フリップエリアもまだ持続できてるけど、魔が1000をきりそうだから、一応魔素補充しておこう。ポーチから魔素補填ポーションを取り出して飲んでおく。

 うーん、苦味草の丸薬よりは全然ましだったけど、ちょっと苦め。でも体の中がすっきりした感じがする。

 数値的には200回復してるようだ、昨日フリップエリア練習中にレベルが上がったおかげで、魔の最大数値は3050、今の数値は回復して1210となったところだ。ちょうど今昼過ぎだから明日まではこれで持つと思う。

 張る瞬間には一気に消耗したけど、張り続けてる分にはそんなに消耗しないみたいだ。時間経過で10ずつ消耗、大体2刻ほどで100の消耗という感じなので、持続させる集中力はいるけど、つらさは感じない。

 それにしても、全部魔に振ってるんだから、もうちょっと魔素量上がってもいいと思うんだけど、なんかダメだったのかな?もしかしたら、消耗量が最大量に比べて、最近少なかったせいかもしれない。今回ので結構消耗するから、また一気に上がってくれると助かるんだけど。

 そんなことを考えたりもしながら、しっかり張り続けてることにも意識してたけど、夕暮れ時から空に雲が張り続けて、かなり視界が暗かった。

 少しだけ雲が晴れると、月明りで照らされた地面が赤一色じゃなく、緑のある場所、白めの土の場所、薄い青色の石の場所の4色の赤、緑、白、青4色の混ざる土地に入ってたことに気が付く。いつの間にか四色の地までついたようだ。

 でもすぐに雲が空を覆い始める。さらに雨が降り始めてしまった。うっかり忘れてたけど長い雨の時期が始まるって、トレビス商長が言ってたことを思い出した。聞いてた日よりも降り始めが遅かったけど、まぁ早くてもっていわれてたもんな。

 雨は降ってしまったけど、フリップエリアによって、雨は弾かれてるようだ。これなら濡れることはないから、雨降る前に使えるようになっててよかったと言いたいが、朝までは持つだろうけど、補填しないと魔素量的に明日以降は続かないだろう。ずぶぬれ覚悟するか、まだ19本残ってる魔力補填ポーションを飲むか。

 ポーションももうちょっと飲みやすい味ならいいんだけどな・・・そうだ!


「モイザ、魔力補填ポーションとリンゴジュースって合成できそうか?」


「――――?」


 首をかしげてしまった、できるかわからないという感じだ。合成は僕よりモイザのほうはレベルは高いし、ポーションは数もそんなにはないから、朝になったらモイザにやってみてもらおう。

 そんなこんなで雨の中の朝、薄暗いけどこれなら見えなくはない。フリップエリアを少し広げつつ、錬金セットを用意して、モイザに合成を頼んだ。

 出来上がったのは魔力補填リンゴジュースというのだったので、さっそく飲んでみる。魔力補填の時の苦みが消えて、さっぱりしたリンゴ味のジュースになっていた。ただ、回復量は半分の100になってしまっている。ここまで2日以内についてるから、なにもなければ多分、南の熊壁街まで3日以内には着く。残り魔素数は、エリアを広げたのもあってあと580。とりあえず後8本分をリンゴ味で作ってもらって回復しよう。

 もちろん作ってもらってすぐ飲むわけじゃない、さすがにお腹ちゃぽちゃぽになっちゃうからな。製作終了したらいったん全部ポーチにしまい、エリアを最低限の広さに縮めて出発。

 ベードの上ですぐにもう一本だけ飲んでおく。また100くらい減ったら飲むとするか。まぁ魔素切れでフリップエリアが切れても、ずぶぬれになるだけなんだけど、できれば濡れないほうがいいに決まってるからね。

 リンゴ味で美味しく飲めた分だけでは当然足りず、苦めなのを我慢しつつそのままでも魔力補填を飲む。

 でもある意味よかったかもしれない。苦味草の丸薬をつかわずに眠気覚ましになったから。さすがに3日目の昼くらいから眠気が出てるんだよね。

 集中力が切れたら、フリップエリアが消えちゃうと思っても眠いのは眠い。雨の音もまた眠気を誘う。

 夜となった今の悩みはログアウトはどうするかだ。いや、雨の中でもテントを張れば、テント内では濡れずに寝れることを知ってる。

 ただ、テントにはベードは入れない、さすがに狭いだろう。いや無理すれば入れるか?


「ベード、僕はテントで寝るけどどうする?狭いけど無理やり入ってみるか?」


「ばぅわぅ。」


「んん?入らないのか?雨でぬれるぞ?外でいいんだな?」


「ばぅ。」


 うーん、外でいいのか。まぁでも森にいたときはずっと外だったんだもんな。雨で外で寝るのも経験済みか。

 あんまり気にしすぎてもあれだな、とりあえず定期的なログアウトしたほうがいいだろうし、眠気だって今もある。さっさとテントを張って寝てしまうことにしよう。

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