表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/180

食材購入する場所を求めたら

 さーて、今日の目的は魔牛討伐だ、牛肉美味しかったからなぁ、豚の解体もうまくいったから、スキルはないけどだいぶ解体上手くなったみたいだし。というかほんとにそろそろ新しいスキルがほしい。杖殴り重視の戦い方に変えようかな?

 ただ繰り返しやるだけじゃなくって他の条件とかもあるのかもな、ちょっと冒険者ギルドにもよれたら聞いてみるか。まずは牛討伐のつもりだけど。

 まぁ牛討伐に夢中になっちゃう可能性もある、その前にせめて買い物できるところは聞いておこう。ここは輸入が多くていろんな食材期待できるって聞いてるし。そんなわけで宿の受付で水晶に手をかざす。


「質問があります。」


 水晶に担当者が来るのでお待ちくださいと文字が浮かび上がる。とりあえず待ち時間はベードをなでて過ごす。大きくなってよりもふもふ感もましたベードは撫で心地もいい。何より気持ちよさそうにしてくれてる。

 ベードが気持ちよさそうに頭を上げていたのに急にガクっと下向きになる。頭の上にはレイトが顎を差し出すように鎮座していた。

 しょうがないのでレイトも撫でておく、時折急に撫でられたくなるのか?僕としては頭上にいると撫でにくいけど・・・レイトの短めの毛もなかなかに触り心地はいいのでいいんだけど、ベードがシュンとした表情になってるのはちょっとかわいそうだ。


「お待たせいたしました。お取込み中でしたかね?でしたよね?」


「え、えっと、大丈夫です。」


 ドワーフ族の特徴、低身長と手の甲にある真っ赤な3ラインの線、人差し指、中指、薬指の先端から肩まで伸びてるその線がドワーフ族の象徴であり、どんな人にも表れる。この宿の受付してくれた女性にもちらっと見えてたけど、この人の線はすごく太くて色が濃い。ずっと両手をクロスして握ったり開いたりしてるのが気になるけど・・・


「そちらの狼と兎が従魔ですね。お話は伺っていますね、いますよ。わたし、この街の商長を務めています、バンダー・アップロンと申します、申しますよ。よろしくお願いします。」


「僕は・・・スクーリ・ルンアイブです、こちらの名前のほうが良いと思います。」


「おや、わかりました、わかりますよ。特に商いをする際は、そういう対応が必要なこともありますね、ありますよ。さすがトレビス様といったところですね、ですよ。わたしもみならっていきませんと、いきませんね。」


 あぁ、まぁそりゃこの街の商長だもんね、トレビス商長とつながりもあるよね。それにしてもなんで商長が出てきちゃったのかな?僕はこの店の店員さんが来てくれると思ったんだけど・・・


「ところで、どのようなご用件、でしょうか?」


「おや、わたしのほうが用件を聞く立場ですね?ですよ。お伺いしたいことがあるということなので、お伺いに来たのですよ。」


「え、えっと、じゃあこの街で食材や調味料となるものを、豊富に取り扱ってる店が知りたいのですが、おすすめの店はどこにありますかね?」


「おぉ!それならば、わたしたち商業者ギルドの横にある直轄の店をお勧めさせていただきますね、いただきますよ。西門方面に歩きまして8軒先なのですぐそこですね、すぐそこですよ。良ければご一緒に行きますか?」


 おうふ、マジか、そっち方面にあったのか、しかもすぐそこ、なんで気が付かなかったんだ僕。まぁしょうがない、そういうこともあるか。スペシャリティのせいで運はいいはずなんだけどな、うまく働かないもんだな。

 とりあえずどうしようかな、本当は魔牛に挑みに行きたかったけど、この感じは断れる雰囲気じゃないか。いつの間にかレイトは僕の頭上にいる。移動の時はそっちのほうが落ち着くのかね。


「ではせっかくなんでご一緒させてもらいます。」


「そういっていただけて良かったです、よかったですよ。では行きましょうか。」


 とりあえずバンダー商長に連れられるように、商業者ギルドの直轄店にと向かった。近いこともあってすぐについたけど、なんというか小さいビルみたいな建物だ。隣の商業者ギルドと一部渡り廊下のようなのでくっついている。

 中も見た目以上に広く感じる、入り口すぐ横には会計用の水晶と、水晶の横に店員さんがいたので、軽く会釈しておいた。

 展示ケースは南端の街と同じようにそれぞれ区分けされて、いろいろと商品が格納されているようだ。ただやっぱり、南端の街よりも展示ケースの数が多いのがわかる。


「食材類はこちらになりますね、なりますよ。」


 案内された一角にはいろいろと展示ケースに並ぶが、一番目立つのは中央のでかい丸型4つの展示ケース。あんな形の展示ケースもあるんだな、普通のは四角なのに。その4つにはそれぞれ切り裂き豚の肉、魔牛の肉、丸々鶏の肉、眠り羊の肉が並べられている。まぁ名産品で一番押し出したいのだろう。

 そのあたりの食材を見ていく。一番気になっていた野菜類が南端の街のほぼ半額!数もたくさんそろってる!全部買ってしまいたいが、ポーチ面に問題が出てくる。特大の袋型ポーチは1000の量はいるだけでなく、種類も8種類まで入れることができるとはいえ、他の物を入れたりなんだりで結構埋まることも多い。

 ただ金銭面の問題は、実はそこまで緊迫していない。なんというかその、無人露店の売り上げが結構なものになっている。しばらくは大丈夫だろう。


「すいません、ちょっと野菜類がほしいのですけど、ポーチとかも売ってますか?できれば大型のものがほしいんですけど。」


「大型の物ですか。物ですよね。種類を入れられなくてもいいのであれば、良いものがありますね、ありますよ。」


 そういわれて案内されたのはポーチ売り場だ。種類は南端の街と似たり寄ったり、小型、中型がほとんどだが、一つだけ違う商品がある。

 大量型というポーチだ。形は特大ポーチのような形で、1種類の素材しか入れることができないが、区分け処理がされていないために5000もの数が入るようだ。


「おぉ、これいいですね、1万リラですか、結構お安いんですね。」


「そうですね、そうですよ。空間区分け処理の技術と術式がかなり高度で、複数人の魔素が必要になってしまうのですね、しまうのですよ。あえてそこを取っ払った袋は結構お安くできるのですね、できるのですよ。」


「南端の街では見なかったですね、便利そうなのに。」


「実は人気ないのですね、ないのですよ。小さい袋で作ると結局それほど数は入りませんからね、入らないのですよ。この下の形の袋になると一気に入れられる量が減ってしまうのですね、しまうのですよ。そもそも素材が1種類しか入れられないのも人気が出にくい理由ですね、理由なのですよ。この街の周囲の魔物は肉以外は端材なのでこの形ならば少し需要があるわけですね、あるわけですよ。」


 なるほど、冒険者や生産者にとっては素材をいろいろといっぱい入れられたほうがありがたいに決まってる。もしこの袋だけで種類をそろえるなら、それだけ袋の数を買わないといけなくなるわけだ。死体のままで入れる分には使えそうだけど、結局後で分ける用の袋も必要だもんな。そうするにはなかなかなお値段だよね、普通なら。


「じゃあこれを10個もらいますね。」


「10・・・10ですか!10ですよね?10なのですか!?た、たくさんのお買い上げをありがとうございます。ありがとうです。しかし大丈夫なのですか?大丈夫なのです?その10万リラになってしまいますよ?なってしまいます。」


 おぅふ、なんか繰り返し言葉が多い人だったけど、余計繰り返しちゃったよ。


「大丈夫です、10万リラ以上もってますよ、ちょっと稼ぎの手段がありますので。」


「おぉ、もしかして蜘蛛糸ですかね?ですよね。トレビス様より少しばかり伺っておりますね、おりますよ。非常に大きく質のいい糸玉を扱っているらしいですね。ぜひ一度拝見したいものですね、ものですよ。」


 あぁ、まぁそうだよね、トレビス商長から話を聞いてるなら、その話も聞いてるよね。そしてこの流れは今見せてほしいというやつだ、目がそういってる。

 うーん、たしかに今も蜘蛛糸玉を持ってることには持ってるよ?でも露店で扱ってるやつじゃないんだよね。モイザが昨日に時間つぶしといわんばかりに作った20個の糸玉がある。製作蜘蛛の糸玉というやつだ。とりあえず一つだけ渡すか。


「今持ってるのはこれしかないんですよね、いつも扱ってる物ではないんですけど、宿で待っているモイザが作ったものです。」


「おぉぉぉぉ!これは、これは!宿員から聞いた通りの物ですね、ものですよ。これは素晴らしい、どのような識別かご覧になりましたか?なりましたよね?」


「い、いえ、その、材料名と質だけしか見てません。」


 僕は裁縫スキルはないので、重要性を軽視しすぎていたかな・・・マザー種のほうが消えたからちょっと気を抜いていたよ。もう一度しっかり見ておくか。


---------

≪識別結果

製作蜘蛛の糸玉 質:5G

クラフタースパイダーの作成した糸玉。

耐熱性、耐寒性、耐久性に優れた糸で作られた糸玉、この糸から作る布は防具としても使用できる≫

---------


 うーん?思ってるよりすごいという感じはないけど、どのあたりがすごいところなんだろうか。


「見ましたか?見ましたよね?まず初めて見る種族の魔物素材であることですね!あることですよ!どのようにしてそのような魔物と従魔契約したのか、詳しく知りたいですね!知りたいですよ!そしてなにより、この糸から防具が作れるという点ですね、点ですよ!確かに耐久性が高く防具の一部として、糸が使われることがありましたが、この材質ならば、むしろ防具一つ分としてつくってしまうほうが良いでしょうね、良いでしょう。少々防御性能は皮製に劣るでしょうが、今のあなたのローブよりいいものができますね!できますよ!ぜひあなたのローブを作ってみませんか?みましょうよ!」


「え、えぇっと、もしローブを作るなら20個もあれば足りますかね?」


「十二分すぎる量ですね!すばらしいですね!すばらしいですよ。ぜひお預けいただけますか?3日、いえ2日で仕上げて見せますね。見せますよ。」


 なんか押されるままに糸を渡してしまった、というか見たことない魔物ってモイザの種族の蜘蛛は他にいないってことなのか?


「あ、あの、モイザって種族的に未確認なんですか?」


「そうなりますね、そうなりますよ。報告には上がってきていましたが、魔物情報管理はわたしの管轄ではないと少し侮っていましたね、いましたよ。一度冒険者ギルド長にもお見せするべきだと思いますね、思いますよ。」


 おぅふ、なし崩し的にそう言う話に持ってかれちゃったか。まぁいつかモイザ達のこと調べようと思ってたからいいけれど。


「わかりました、とりあえず買いたい物を買ってからでもいいですか?この大量型ポーチ10個と、特大型ポーチに野菜類をとりあえず6種類詰めたいので、キャベツ、ニンジン、長ネギ、ナス、ピーマン、ブロッコリーを買いたいです。それぞれとりあえず100ずつくらい。」


 特大型に詰まってる豚肉やノビルをとりあえず大量型に移せばうまくいくと思うし、ベードの袋用に触れたら入れられる術式を追加できるかも聞いておかないと。


「あと、従魔のベードにもこの大量型を付けたいので、触れたら入れられる方の物があればありがたいです。」


「そちらは大丈夫ですね。大丈夫ですよ。大量型はもともとその機能を付与してありますので、従魔の方につけてあげることができますね、できますよ。」


「ありがとうございます、では今言ったものをとりあえず買いあげたいのですが。」


「かしこまりました。大量購入に加え、このような素晴らしい素材を見せていただいたこともありますので、とりあえず端数は切らせていただきますね。切らせていただきますよ。そして少しだけ下げさせていただいて、15万リラといったところでよろしいですかね?よろしいですよね?」


「はい、ありがとうございます。大丈夫です。」


 水晶まで案内されて証明でお支払い。素材のポーチ移しが必要なものはどんどん移していく。とりあえずお買い物は終了。


「では、宿で待っているモイザ殿という蜘蛛の従魔の方も含めて、この後冒険者ギルドに共に向かうのでよろしいですか?よろしいですね?」


「だ、大丈夫です。」


 少し気は重いけど、必要なことなんだろうし、調べたいこともあるから行きますよ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ