表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/180

出発の日までのこと

 宿から戻った後は家でゆったりすると決めたけど、モイザにこの街を出ることを伝えてなかったんだと気が付く、蜘蛛達全部の大所帯はさすがに無理だ。他の従魔が増える可能性も考えて、一人しか連れていけないというと、なんか全員を呼び出して慌ただしく何かを伝えたあと、急にレササとお互いの足を交差する儀式のようなのをしだしたのでそれをみてたんだけど、儀式のようなのが終わったとたんモイザとレササ、あとレサン、レサキの体の全体とその周りまで光りだした。

 光がやんだと思ってみてみたらレササの体がモイザくらいの体格まで大きくなっていた。見てみると、どうやらレッサーマザースパイダーとしてレササは進化した様だった。なるほど、レササに引き継いだのか。レササはすぐに巣に移動したい感じだったので、自由にしていいと伝えた。そういえばレササもモイザのように何かいっているように聞こえてたと思う。

 モイザは体格自体は変わっていなかったけど、体の色がほんのり灰色になったような気がする。あと足の毛が長くなったかな?それぞれの足の内側には、白い毛で付け根から先端まで、一本のラインが付いてる。なんか綺麗な種族に進化したなと種族を見てみると、クラフタースパイダーというのになったようだ。また知らない種族になったな。冒険者ギルドで調べる必要があるかもしれない。まぁクラフターというのは基本職にもあった生産職のクラフターと同じだろうから、生産特化の蜘蛛になったってことか。


 そしてレサンは他のレッサーたちと体格は変わらないがより深い黒になったように見える、他の蜘蛛達の黒はレサンに比べると、茶色がかってる黒という感じがする。種族はレッサースカウトスパイダーという種族になったようだ。スカウトって偵察とかってことかな?この地の見張り番を担当してただけのはずなんだけど、それがスカウト行為になったのか?よくわからないな。これもあとで調べてみようと思う。レサキも体格が大きくなったようで、モイザとレササよりも少し横に大きいと思う、種族はレッサーハウレッジスパイダーというのになっていた。ハウレッジってなんて意味だ?多分レサキがやってたのが糸玉運びとかだったから運ぶという感じの意味のはずだけど。これもあとで調べるということで。もう全部ギルド長に聞いたほうが早いかな?

 そういえばモイザは体格変更がなかったけど、レッサーの称号が消えたんだな、もしかしてマザーを引き継いだことによる進化だったのかな?あれ、これってここの西の森でもこんなのが起こってるってこと?うわぁ気が付きたくなかった・・・やっぱちゃんと情報を伝えなきゃだめだよね。

 そんな風に考えてギルドを目指すかと思ってた矢先に自分の職レベルが上昇、モイザ達のステータス確認も後回しなので自分も後回し。とりあえず魔にポイントを振ってすぐに冒険者ギルドに出発した。


 ギルド長室では運よく、いや運悪く?トレビス商長がいて、一緒に連れてきてたモイザを見られてアーバーギルド長とトレビス商長への報告会みたいになっちゃいましたよ。どうやら西の蜘蛛森をかなり奥に行くとレッサー種でない蜘蛛種も存在しているようだ。ポイズンスパイダーという種族らしく、毒糸という触ると毒になるような糸を操るのでとても脅威であるらしい。モイザが毒生成を持っていたのでレッサーマザーの進化であろうと話したら、どちらにも素晴らしい情報だと歓喜された。ただ進化した種族の情報はないらしい、唯一あったのはスカウトスパイダーの情報で危険度はCとのこと、ただレッサーの称号がないので実際に見ないと危険度は不明といわれた。後日にトレビス商長が見て書きとめておくことを許可しておいた。

 ちなみに、トレビス商長はこんなかんじでうまい具合に僕から土地への侵入許可を取っていたようで、それを同日の別れ際に教えてくれたことを思い出す。蜘蛛たちのことを気にかけてくれるという別れのような挨拶をしたのにと、ちょっと恥ずかしい。


 そんなことのあった翌日は、トレビス商長が朝の光と火の刻から訪ねてきて困惑、たしか今日の光の満つ刻を過ぎたくらいにアールさんが簡易神殿を作りに来ると伝えると、トレビス商長は独自で動いていいかといわれたので、蜘蛛達にも許可を取ってからいいと答えた。

 主にモイザ、レササ、レサキ、レサンには観察対象となってもらうことになるだろう。何をするということもなかったのでしばらくモイザとトレビス商長の問答を遠目に見ていると、アーバーギルド長も使っていた連絡用魔道具を取り出して、どこかに連絡したようだ。そのあと僕のほうにギルド長が来るのを許可してほしいといわれたのでもちろん許可。

 しばらくして到着したギルド長とモイザを含めた二人と一匹でなにやら話し込み始めていた。ちょっと光の満つ刻が近づいてたので、新作リンゴと茹で緑甘樹の実のサンドを置いてあげたら、トレビス商長もギルド長もモイザもおいしそうにほおばっていた。モイザもパンを食べれるんだな、と見ていたらモイザがパンを足で指している。すぐに何か察したのか、トレビス商長がポーチから白パンを何個か取り出す、まだサンド用に切られてはいないものだけど、ポーチにしまって料理セットの小屋のほうへ。パンの切り方とか大丈夫かなと思って見に行きたかったけど、アールさんが到着したので対応することに。

 アールさんを空き部屋となってる部屋に案内すると、さっそく白い台座とその上に白い翼の生えた女性の像を置いた。そして膝をつきアールさんが祈るような姿勢のまま何かを小さくつぶやいていくと、台座と像のあたりに綺麗な白い文様が浮かび上がる、なんと表現していいのかわからないけど、円形の中に花々の模様が描かれた文様は、台座と像と同じ白の色なのに、はっきりと目に見えたように感じた。その文様が消えると作業終了ですと言われたので、事前に決めていた3万リラと新作サンドをおみやげに渡したら、喜んでもらえたようで、深くお辞儀をした後にアールさんは教会のほうへと帰っていった。


 アールさんの作業を見ることに夢中になっていたようで、アールさんを迎えてから2刻弱はすでに時間がすぎてしまっていたので早めに移動、なぜかずっと置きっぱなしの10人ずつ座れそうな大テーブル3つがある広場にむかう、そこの一角でさっきまで二人と一匹が話し合いしてたはずだ。残念ながらそこにはギルド長しか残っていなかった、なにかお茶をすすっているようだ。こっちに気が付いたようでトレビス商長とモイザは露店のほうに行ったとのこと。あと自分の庭よりもここの居心地がいいとか何とか、つなげるの面倒だから儂もここにいつでも入れるように?蜘蛛たちのことは気にかけておくから?わかりました、まぁいいでしょう。

 露店につくとモイザとトレビス商長を発見、あとなんかリンゴと茹で緑甘樹の実のサンドイッチが露店に追加されてる、それ切って入れてあるから緑甘樹の実より1つ分より全然少ないけど、230リラもして大丈夫なの?まぁトレビス商長が設定したんならいいでしょう・・・

 ちなみに、水晶にためた分のリラは遠隔からでも証明と受け渡しできるようにと、そこの話でいつの間にか僕の商業者ランクは銀商にされていた。まぁ便利だからありがたいけど、証明に露店水晶残額という新しい項目ができてしまったので、これも隠蔽にしておくか。


 そのあとモイザが何かを察知したのか蜘蛛の巣のほうへと誘導される、巣にいたのはかなり疲弊したようなレササとレサキ、そして他蜘蛛達とこぶし大の小さな蜘蛛達。僕が来たのに気が付いて、レササが子供たちに何かを指示すると子蜘蛛達が横一列にならぶ、そしてアナウンスレッサースパイダー20匹をテイムしました、名前を付けてくださいね、なるほど。誰か20匹のネーミングセンスある人いませんか?あぁちょうどいいところにトレビス商長が、手伝ってください。え?従魔は従魔契約した人が名前を考えるものだって?はい、じゃあみんなどんな名前になっても怒るなよ。

 というわけで蜘蛛達には左からレサイチからレサジュウ、11匹目からはスパイチからスパジュウとつけさせてもらった、トレビス商長にとても痛い目で見られていたと思うけど、さすがにきついです。これで許してくれ。まぁレササと子供たちは意外と満足しているようでよかった。

 トレビス商長もどのくらいで成体に育つのかはわからないという、レササやモイザに聞きたいけど、聞いても成体になるまで待つわけでもないので、トレビス商長から渡された通信魔道具で知らせてもらうことにした。いつの間にか合流したアーバーギルド長も登録したようだ。これを二回突いた後、呼び出したい人をイメージすると、登録した相手と通話できるそうだ、便利な電話だことで。とりあえずこれでひとしきりの作業は終わったと思う。明日僕は出発すると二人にも伝えた。


 翌日は絶好の出発日和だった、この調子でまだ雨が降るまでに数日はあるというのは聞いている。できれば雨が降るまでに南の肉の街につきたいところだ。トレビス商長に護衛馬車に護衛としてのらないかと誘われたけど、他の人たちに迷惑がかかりそうなのでやめておいた、今回の旅は徒歩で行くつもりだ。

 まずは馬車なら光と火の刻に出発して、何とか闇の刻前につくという丘を目指すことになる。そこには聖域石壁で囲まれていない集落があるそうだ。なんでもその丘全体が聖域土でできているらしく、中心はかなりつよい聖域の力を持っているらしい。広くはない集落だが、貿易の盛んな南端の街と南の肉の街の中継拠点として重宝されているそうだ。

 そこまでは夜通し歩いてなんとか2日、夜は寝るのならば3日ほどかかるらしい。やっぱ馬車結構早いんだな。一度通過するのを見たけどあの速さだもんな。そこまでの休憩用として渡されたのが聖域テントというものだ。聖域の力で編みこまれた布でできたテントで、弱い魔物なら襲ってこないらしい。もっとも僕にはレイトがいるから不要かもしれないと言われたどけど・・・一応ありがたくもらっておいた。この中でならログアウトしても大丈夫だろうか、まぁテントの作り方も教わったしなるようになれだ。ようやくの旅だ道中を楽しもうじゃないか。では楽しかったこの南端の街とも一旦おさらばだ。行ってきます。


指摘があったのでファクターをクラフターに変更。ちょっと変な意味過ぎて伝わりづらかったみたい、前にどこからから持ってきた言葉だったけど、こだわりもないので・・・なお2話のキャラクリの話も変更してあります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ