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終戦

「おっといけねぇ!やり過ぎちまったか!?やば、これは死んだかな・・・ついお前のいい一撃がうれしすぎて力入れすぎたか。」


 僕の体は少し地面をすべったところで止まったようだ。なんというか、今の衝撃でもう意識が飛んだのか、なぜか僕の体をちょっと上から見ているかのような気分だ。

 口は開きっぱなしだけど目は閉じてる、ダメージはすごいものだったのだろう。当たった部分の服が異様な感じにねじれている。

 そんな風に見ている僕は今ので死んだのだろうか。あっけなく一撃でやられてしまったのだろうか。これじゃあほんとにみんなに顔向けできない・・・

 テイムという力は使ったとはいえ、僕はみんなの主人なんだよ。そう、あのレイトの主人なんだよ!・・・そうおもうと右手がまだ動いた。


「ヒーリング、ハンド・・・」


「んなっ!?」


 自分の体中に癒しの力が巡る。この温かい感じのが空間中から僕に集まって来るかのようだ。


「自分で自分を癒している!?イリハアーナの奴、なんて力を与えてるんだよ!いや、自分の力じゃないのか、この感じ、まさか、俺様の魔素・・・?」


「まだ、いけますよ?」


 ゆっくりとだけど僕は立ち上がる。相変わらずちゃんとした意識はないけど何をどうすればいいのかっていうのはなぜか頭の中にいろいろめぐってくる。その感覚にすべてをゆだねてみようじゃないか。


「今のは、魔素を愛でる手といったところか?魔素を吸収して回復するとは思わなかったぜ。愛でる手は、やはりとんでもないスキルだったようじゃねぇか。この分体にまでとどきえるというなら見せてみろ!」


「ならまたこちらから行きますよ。フレイムハンド・・・!」


 炎を愛でるように自分の右手にと纏わせる。さらに両足にはウィンドシューズをかけて、ヘイストもかけなおす。

 掌握した空間内に分体のイギルガブラグはまだ入っているのを確認して、ショートテレポートで真後ろに一瞬で転移する。


「おいおい、そんなに近づいていいのか!?ぶん殴れるほど近い位置だぜ!?」


 イギルガブラグは即座に振り向きながら、その拳をこちらにと振りかざしてくる。僕もしっかり踏ん張って、炎を纏った右手を拳にしてにさらに風を凝縮させて振りかざす。


「エクスプロージョンインパクト!」


 僕の拳とイギルガブラグの拳がぶつかった瞬間、炎じゃなくまさに爆発のようにはじけ飛ぶ。


「っ!?おいおい、なんだ、今の威力は?これの右腕無くなっちまったじゃねぇか・・・」


 瞬時に大きく体を引いていたようで、体全部にダメージはないようだけど、接触した右腕の肘から先が消し飛んでる。爆発のイメージが浮かんでは来たけどこれほどの威力とはね・・・

 これなら通用するというのはわかった。だけど僕の右腕もめちゃくちゃ痛くてしびれてる。爆発ダメージはないけどイギルガブラグに殴られた痛みだ。


「こりゃもう、近くに寄れねぇな?」


「遠距離でいいなら、こういうこともできますよ。エクスプロージョンブレイク!」


 今は右手がしびれてるから好都合だ。炎と風を合成した爆発の斬撃波を左腕から飛ばす。


「ちっ!こういうのはまねできねぇんだよ!オーバーロールシールド!」


 イギルガブラグの目の前に巨大な盾が現れて、斬撃波はその盾に防がれてその場で爆破した。術法完成の速さが違いすぎる、やっぱ遠距離だと少し不利なのか。

 さっきのエクスプロージョンインパクトの感覚はつかんだ。杖を手に取って杖の先にとイメージを固める。


「ショートテレポート!」


「そう何度も同じ手は食わないぞ!ノックオフ!」


 背後に転移した瞬間、大きく吹っ飛ばされる。やっぱ同じ手は効かないよね。でもそれは想定済み、振り返るだろうイギルガブラグを想定して、僕が転移すると同時に、あえて真正面に力を込めた杖を転移させておいた。


「行け、エクスプロージョンインパクト!」


「んなっ!?」


 さっきの爆発よりもさらに激しい爆発が起きる。多分杖はダメになっちゃっただろうけど、そのつもりでこうしたんだ。

 分体はどうなったんだ?今ので決まってくれないともう不意打ち手段はないぞ。爆発による炎の粉塵が消えると、そこにはまだ黒い影が残っていた。


「やっぱ決めきれなかったか・・・」


「・・・いや、もういい。充分だな。」


「え?」


 分体のところからではなく、空間の奥、僕の背後から声が聞こえてきた。よく見ると分体は体は残っていたけど、片足と残ってたもう片腕がなくなってた。うん、ちょっとやりすぎたかな・・・


「見ての通りだ、俺様の分体は一応まだ動けるが、あれじゃ負けも同然だ。お前もだいぶ消耗してるだろ?戦闘で盛り上がってて気づいてないだけで。」


「そう、なんですかね・・・?」


 一度起き上がってからむしろすこぶる調子がいい。まだ動けるほどだ。確実にさっきの爆発の合成術はかなりの魔素量を使ってるはずなのに・・・


「思ってる以上に元気そうだな?お前の魔素じゃなく俺様の魔素を使っているってことなのか?ならあの威力も納得するか・・・」


「あんまり意識してなかったんですけど、イギルガブラグの魔素を僕が使ってたのか・・・」


「この空間は俺様の魔素空間ともいえるからな。もちろん全部使われてたわけじゃこう一握りにも満たない一部ほどなんだろうがよ・・・」


 この場所だからこそできた芸当だったのかもしれないってことか。ただ自分を回復させたいがためにヒーリングハンドを使っただけのつもりだったんだけどな。しかしなんにせよ勝ちは勝ちだよね?


「えっと、とりあえず分体との勝負は僕の勝ちってことでいいんですかね?」


「あぁそれでいいだろ。まぁ俺様もそれなりに楽しめたしな。」


 ふぅと大きくため息をつく。これでおおむね張って戻ってレイトに報告できるってもんだ。そういえばいまみんなはどうしてるんだろうか?

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