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空の旅

『よぅし任せろ!あれだけしごかれたからな!もうみんな乗せて飛べるぜ!』


「ほんとに大丈夫なの・・・?」


『あぁ、ベードまで乗れる大きさになって飛行したとしても、どんなに短くても半日は持つはずだ。』


『危ないと思ったらすぐ降りるから大丈夫だ!』


 むしろ今の言葉が不安ではあるけど、信用しすぎないのはさすがに悪いとも思う。ここは意を決するしかないな。


『それじゃ、いくぜ・・・!』


 体に力をため込むように翼も体も丸める。そして大きく体を広げると今までの火の鳥形態より二回りは大きい姿にと変化した。これならベードも何とか乗れるだろう。


『ちょっと乗るのが怖いんだが?』


『見ていた私でもまだ不安ですよ・・・』


『そういうなよベード、モイザ。俺を少しは信用しろって。』


『そうだよー。ニが少しだけ大きさ戻って乗ったんだから大丈夫だよー。』


 ネティスが大きめになって乗ることでテスト飛行していたようだ。確かにそういう手段を使えばベードが乗る想定もできるってもんか。

 まぁベードもモイザもなんだかんだ言ってはいたけど、僕が先に尾羽の形をしたところから乗ると、それに続いて乗ってくる。

 完全に炎だけどやっぱりあったかい程度な感じで、乗り心地はいいとは言えないけど、みんな少し炎に埋まってるから落ちる心配はなさそうだ。そしてフレウドが大きく羽ばたきながら地面を蹴って飛び立つ。


『うぉ!?け、結構高いんだな。こんな高さは初めてだ・・・』


『高さは平気ですが、温かいだけであまり乗り心地はよくないですね・・・』


 火の鳥状態のフレウドに初めて乗ったベードとモイザはそれぞれに微妙な感想を口にする。確かにこんな高さは二人にとっては初めてだろう。

 レイトはよくわからないとして、ネティスだって訓練で乗ってたって言ってたとはいえ、空の旅は初体験だろうし。


『それじゃあこのまま進んでいくぜ?方向だけは教えてくれよ?』


「おっけー。とりあえずまっすぐで大丈夫。それにしてもネティスはよく飛行訓練平気だったね。」


『うーん、高いのは初めてだったけど、別に平気だよー?』


「そ、そうか。」


 ネティスはどこ吹く風という感じで怖がる様子は一切ない。それに比べてベードはちょっと不安げな表情が取れないし、モイザは燃えてる状態のフレウドの体がどうにも気になるようだ。

 料理だってするんだし、火が苦手というわけでもないだろうけど、さすがにずっと火に当たってるような状態だから気になるのかな?

 レイトは僕の頭上で器用にバランスとりながらもう寝息を立てている。熟睡してるわけではないんだろうけど、ほんとすごいやつだ。

 そんな調子で火の鳥フレウドに乗って空の旅が続く。もう確実に1刻以上たってるはずだけど、確かに火が衰えたり変な風に揺らいだりする気配もない、飛行自体も安定性は十分ある。


『どうだ?思ってる以上に上出来だろ?』


「うん、この調子で進めればほんとに一気に距離稼げそうだね。」


『あぁ。今までのままならこのあたりの空には魔物はいない。だがスライムの件もある。気配だけは探っておけ。』


「言われなくても、サーチエリアはかけ続けてるよ。」


 そう、調子がいいのは何にも襲われてないからであって、空を飛ぶ魔物がいたらこの調子も持つのかはわからない。そうならないように空に気配があったらすぐに止まってもらうつもりだけど、空の周囲には魔物っぽい姿すら見えない。

 遠い地面にうごめく緑のゲルなら見えるけど、あれも結構高い位置で空を飛んでるこちらに対して攻撃とかもしてこないようだし。

 そんな風にちょっと気を抜きながら進んでいると前方方面に小さな雲の塊が現れる。なんだあれ、雲はもっと高いはずなんだけど・・・


「・・・?うわっ!?魔物だあれ!ストップストップ!」


『まじか!?』


『うわっ!?急に止まらないでよー!落ちるかと思ったー・・・』


『あ、わりぃわりい。』


『それよりリュクス、あれが魔物だというのか?気配がしないぞ?』


「え?レイトが気配しないっていうの?でも確かに、なんか魔物反応になってるんだよねあれ、もう少し近づけば識別できるんだけど・・・よって平気かな?」


『寄らなきゃわからなぇならよるぞ?』


『あぁ、寄って確かめたほうがいいだろう。』


 フレウドが慎重にゆっくりと近づいていく。レイト、ベード、モイザ、ネティスは戦闘態勢になっている。


----------

≪識別結果

クラウドスライム 脅:H

雲状のスライム。その身は核と雲でできている。戦闘能力はなく宙を漂っているだけである。ただしぶつかると絡まるので注意≫

----------


「うげっ!?あれもスライムなのか!?あれ、でも今までのスライムと違う識別結果だ。」


『なに、あれもスライムなのか。で、どう違ったのだ?』


「なんか戦闘能力はないらしくて空を漂ってるだけなんだって。ぶつからなければ絡まることもないようだから、無視して少しずれて進もう。」


『おう、了解!にしても空にもスライムがいるんだなー・・・』


「うん、今までのとは少し違うっぽいけどね・・・」


 どうしてこんなのまでいるのかと思いつつ、フレウドが大きく旋回してよければ特に問題なくスルー出来た。ほんとにあれの存在意義って何なんだろう。そのあとも夕方に地面に降りるまで数体の雲スライムを見かけたけど、ほんとにこっちに敵意がある感じではなかった。

 むしろ地面に降りた後にまたゲルスライムが3体も同時に敵意をもって襲ってきて、そっちの方が面倒だったくらいだ。何とか僕が次元拘束しつつ倒せたけどね。

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