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進展のない日

 結局日の暮れるまでの3刻ほどの時間、ベードのゲル凍らせ特訓に付き合っていたけど、成果はいまいちといったところだった。

 本人曰く、ただの水ならすんなり凍らせられるけど、普通の生物相手なら少し動きを止めたりできるだけですからと言ってたけど、ゲルスライムはその少し動きを止めるよりさらに止められる時間が短いのは明らかだ。

 僕が拘束したあとにゲルスライムを凍らせようともしてたけど、相手が大きく動けないとか関係ない様だったし。

 帰ってきて今日のフレウドの訓練を終えたレイトに話すと、どうにもベードの中での固定概念が悪さしてるとか何とか。スキルレベルの問題じゃないのか・・・

 ちなみにフレウドのほうは訓練を終えたというより、中断したというのが正しいようで、本人はぐったりとつぶれてネティスに突かれていた。夕飯の準備が終わるとちゃっかり起き上がって熱々の煮たばかりの魚を食べていたけど。

 夕飯を終えてみんながテントに入ったところで、レイトが僕だけを少し離れたところにと連れ出す。


「それで、何の話なの?」


『大した話ではないんだがな、この方が話しやすい。フレウドはまだかかりそうだ。ただブレイズ系統が一度使ったことがよかったのか、だいぶましにはなっている。後は時間の問題だな。』


「そうかー、またその間ベードを連れてスライムと戯れてくるつもりだけど、こっちは進展みられないからなー・・・」


『・・・そうだな、こればかりはベード本人の問題だろう。他の氷術使いであぁいう生物のほうが凍らせやすく、通常生物のほうが難しいというのもいたからな。己にとってはすべて同じようなものなんだが。』


「うーん、意識の問題だというなら難しいのかもねぇ。でもフレウドの方だってそんなすぐに終わるわけじゃないんでしょ?」


『あぁ、あれに乗って長距離移動したいなら、明日いっぱいはかかると思う。』


「ならその間くらいは頑張らせてみるよ。ベードはまだやる気だったし。そんじゃもう夜も遅いし寝ようか、僕は今日[ログアウト]するから夜はよろしくね。」


『ふ、それくらいはまかせろ。』


 そんな感じでログアウトを挟んで次の日、ログインしてきてもとりあえず周囲の異変はなし。レイトもぐっすり寝てたようで。そして朝からベードと二人きりでスライム狩りにと出発。


『そ、そういえば主とこうして二人きりって今までありましたっけ?』


「え?急にどうしたの?まぁ多分今回が初めてじゃないかな?」


『やっぱそうですよね!なんかスライムと戯れるよりこのまま走り続けたい気も・・・』


「おいおい。そうはいってもほら、あそこに居るっぽいぞ?無視するのか?」


『じょ、冗談ですよ!あぁいうやつも凍らせられるようになって、もっと主に貢献したいですからね!』


 うーん、忠実なのは嬉しいけど昨日のログアウトで思ったこともある。現実のほうがそろそろ僕の時間切れなんだよな。別にログインできないわけじゃないけど、間隔はかなりあくと思う。そうなったらみんなにはちょっと悪い。

 そしてそれを考えてちょっとだけだけど最後の四魔帝に会うのを急ぎたい気持ちもある。でも急ぎすぎてもしょうがない。一応そこまでの時間はあるはずだから、今は目の前の敵に集中しないと。


『リモートフリージング!』


 ベードがゲルスライムを凍らせようとし始めるけど、相変わらずちょっと凍ってもすぐに動かれてバリンと凍った部分が割れてしまう。


『ぐっ、やっぱりだめなのか・・・』


「ディメンジョンバインド!おいおい、今日始めたばかりだろ。あきらめるのか?」


『・・・そうですね!何度もやってみます!リモートフリージング!』


 それから僕に核を縛られて多少体はうねうねと動かせるけど、大きく動けなくなって的と化したゲルスライム相手に何度も何度も魔素がかなりやばくなるくらいまでベードはリモートフリージングをかけた。

 さすがにこれだけずっとやったおかげで多少の成果は出た。明らかにゲルスライムのゲルの量が少なくなってる。凍って割れた部分はどうやら修復できていないようだ。

 ただそれでも一匹を倒し切ることができなかったのにだいぶ悔しがっていた。でも昼時というのもあったし、魔素量だってもうやばいからと一度キャンプしてる場所まで引くことにした。


『そうか、まだ駄目だったか・・・』


『はい、面目ないです・・・』


「どうする?休憩したらもう一度行くか?」


『・・・ぜひ!』


『うん、そうするといいよー。フレウドのほうもさっきへばっちゃって、まだかかりそうだからねー。』


「あいつ、大丈夫か?」


 鳥の開きのようにあおむけになって翼を広げている。あんなだらしない格好寝てるときでもめったにしないぞ?


『大丈夫、ただの魔素不足ですよ。私の作ったリンゴ味の魔素回復薬を熱して飲ませたので、少しはましになったはずです。』


「そ、そうか。ありがとう。」


 フレウドはフレウドで大変そうだな。レイトが今日の残りで一気に仕上げると鬼教官モードだったけど、ほどほどにな。でも空を飛べれば一気に進めるはず。本人もやる気だったし、期待は高いだろう。

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