輪廻蛇からの情報
所々説明は難しかったけど、何とかゆりかごの説明はできたと思う。一番安心したのはカプセルの説明がうまくいったことかな?ただウロボロスのほうは僕の話を一通り聞いて何か悩むように唸っている。
『ふむ、わからないところも少しあったが、今の話を聞くに君の異界の概念には他の異界があるという意識が薄いのではないかな?』
「そうですね、そういう話があったりはするんですけど、実際にあるという意識は確かに薄いかも・・・」
というかそういう話をしてると、まるでこのDWDの世界が僕の現実の世界とは違う異世界みたいな気分になってくる。いや、でもまさか、そうなのか?
ゲームだと思うところもありながら、のめりこんでいくこの世界はどこか現実味もある所もあるとはおもってるけど、それでも僕はゆりかごを使ってこの世界を遊んでるはずで・・・いや、あんま考えすぎるのはやめよう。
『やはりそうなんだな。今までこの世界に迷い込んだ来訪者とは根本的に違うということか。面白い、これが今回イギルガブラグ様とイリハアーナ様が何かこの世界への変革を起こすと言っていたことなのか。』
「世界の変革・・・?」
『おっとすまない、今のは忘れてほしい。我の独自で入れた情報なのでな。他の四魔帝の連中は知らないだろうし、当然聖族の連中も知らないだろうから広めないように。』
「は、はぁ、わかりました。」
え、あんま聞いちゃいけないことを聞いちゃったの?ま、まぁ忘れちゃうのがいいよね。
『それにしても有意義な話を聞けた。来訪者のこんな話を直接聞けるとはな。やはり情報は直接聞くに限る。これで我からもイギルガブラグ様に会うための権利を与えるとしよう。』
「え、えっと、ありがとうございます。」
というか四魔帝と会う予定はもともとあったけど、それがいつの間にかイギルガブラグに会うことに発展してるんだよな。
『君は確か次で最後の四魔帝だったか。おそらくそのあとはイギルガブラグ様との戦になるだろう備えておけよ。』
「えっ!?」
イギルガブラグと戦いになる!?そんなの聞いてもいないんだけど!?神と戦えっていうのか?
『もちろん全力ではなく分身体との戦いになるだろうが、イギルガブラグ様とはそういうお方だ。その前におそらく隣の競い好きのチーターと戦いになるだろうけどな。』
「チーター・・・」
『己と入れ替わったやつだ。それについては己のほうがよく知っている。』
『それも、そうだな。だが君がいなかった間に増えた面倒なのがいる。スライムだ。あのチーターが増やしたのか、イギルガブラグ様が増やしたのかはわからないが、かなり厄介な敵となるだろう。知能は低いから隠れてやり過ごすのもいいかもしれないな。』
「スライムですか・・・」
作品によっては雑魚キャラ扱いされることもあるけど、ウロボロスが面倒だというってことはかなりやばい部類なのだろう。そもそも狂邪の地にいる時点で脅威度判定されてるんだろうし。
『それで、ここから向かうのか?それとも王都に一度戻るのか?あいつは端にいるだろうから王都からだとかなり遠くなるぞ。ここからでも狼くんの足でも10日はかかるかもな。』
「そうなんですか?それなら補給もこの間したばっかで一応大丈夫だし、ここから向かうことにします。」
『ふん、そのスライムとやら以外になら己のほうがよく知っているといっただろう。あやつが隅にいることも知っている。』
『そうか、まぁもともとはあの場所がお前の場所でもあったからこそあそこにいるんだろうからな。』
『やはりそうなのか・・・』
もともとレイトがいた場所か・・・スライムなんていうレイトにとって知らない魔物が増えたようだけど、それでも真の故郷への帰還になるわけだ。
でもそれでいてレイトが何かで負けた相手のチーターがいるってことだ。おそらく競い好きって言ってたから僕も何か競うことになるだろう。
いつの間にかあたりの霧も晴れて方角もわかるようになってる。まだ日も高いからこのまままた進むのがいいな。
「それではこれで失礼します。ベード乗せてくれるか?」
『了解です、主!』
『あぁそうだ、道中に他の集落を見つけて君の従魔になりたいといって来たら、リザードマンのようにぜひ入れてやってくれ。』
「え、えっと、か、考えておきます。」
『ふっ、ではまた来い、次はもう少し歓迎しよう。』
「はい、それでは。」
そういってウロボロスと別れを告げて東へと進み始める。できれば道中に他の集落がないほうがいいかな・・・従魔が増えるのは別にいいけど、やっぱ名づけは大変だからな・・・