リザードマンたちの住居
ポイントインストレーションをリザードマンの集落にと置いて、リザードマンたちを自宅にと転移させる。モイザが先にと出て行って、レササとドライアドの一人を家の前に待機させておいてくれたので、紹介は結構スムーズに終わった。
「それでリザードマンたちの住む場所はまだ広がった部分で開いてる場所があっただろ?あのへんに自由に使わせてあげるつもりなんだけど。」
『主がそれで構わないと思うなら、私達もそれで構いません。ドライアドも構わないそうです。』
『ぬ、これからは自分たちもレササ様に従いますので、いろいろお声がけください。ですがその前にリュクス様にお願いがありまして・・・』
「ん、できることであれば聞いてあげるけど。」
リザードマンの12人のまとめ役をしていたらしいリジェンと名付けた彼からお願いされるとは思ってなかったけど、すむ場所が一気に変わるわけだしできうる限りのことはしてあげたい。
『それでは、もしよければなのですが、あの集落で作った家をこちらに転移してもらってもよろしいでしょうか?一から作りますと材料がかさみますし、時間もかかりますので・・・』
「あー、確かにそうだね、ちょっと待ってね、大きさ的に転移させたことのない大きさだからやってみないとわからないな。」
『よいのですか主?そんな願いを聞いて・・・』
「うん、できるかどうかはわからないけど、空間術の練習にもなりそうだし。レササも何か僕にできることがあったら言ってね?」
『えっと、私は現状に満足していますので・・・』
うーん、頼みがありそうな感じだけど、遠慮してるのかな?
『主、私から失礼します。料理セットをできればもう二つほどレササはほしいそうです。それと主の作る料理が食べたいそうですよ。』
『も、モイザ様!?な、なぜそんなことを知っているのですか!?』
「了解了解。料理セットはトレビスさんにも聞いてみるから少し後になるけど、とりあえず今日は参加したければドライアドやトレントも含めてリザードマンたちが増えたことを祝して僕が料理を作るよ、モイザとレササも手伝ってね。」
『もちろん了解です。』『えっと、その、ありがとうございます。了解です!』
『おぉ我らの祝宴!宴ですな!』『ひゃっほう!さすがリュクス様だね!あたいたちが宴好きなのわかってる!』
「とりあえず住居の転移が先だけどね。」
かなり遠いけど集落から自宅への転移自体の感覚はつかめてる。問題は自宅のほうの場所指定と建物一つの大きさだ。ただ生物じゃないから転移自体は少し楽かもしれない。
場所指定のために家を転移してくる予定のところにリザードマンの三人を代表してリジェン、ドマ、テリードを立たせて待っていてもらって、一旦集落にと戻る。
うん、これひとつづつ転移させていけばいけそうな感じだな。高くなった部分的にリザードマンがつぶれたりはしないはずだし、彼らの位置に向けて転移させるイメージで。
「トランスポート。」
家の一つに触れながら唱えると、なんかいつもと違い魔素が一気に放出された感覚が体中に走る。家の下にぽっかりと黒い穴のような空間ができ上ったかと思うと、その穴にと家が飲み込まれていく。
「やば、なんかいつもと違う!?・・・あれ?」
いや、黒い空間の先がどこなのか作った僕にはわかる。リザードマンを立たせた僕の土地だ。なんだ今のは?
いや、どっかで似たようなのを見たことがあった気がする。たしかそうだ、アーバーギルド長のメティシスタイスゲード、転移門の術法だ。
ただあの時は空間の先まで見えたはずだけど、僕のは空間の先が真っ暗だったな。イメージ不足か?それとも違う術法なのか?というかトランスポートじゃなくなんでこれが発動したんだ?
「はぁ、まぁいいか、一度ちゃんとむこぅに戻ってうまくできてるか確認してこよ。ポイントインストレーション。」
そして自宅にと戻ってみんなの待つ場所まで行くと、しっかりと家の一つ転移されてるのがわかる。
『あ、焦りましたよ、自分の足の下に急にぽっかりと黒い穴ができ上ったので、慌てて逃げてしまいましたが、そこから家が生えてきましたので・・・』
「ご、ごめん驚かすつもりはなかったんだけど、ちょっといつもと違う感じのスキルアーツになっちゃったみたいなんだ。この後もこうなると思うから二人もうまく逃げてね。」
『りょ、了解です。』『わかりました。』
『それを伝えるためだけに戻ってきたのか?』
「いや、うまくいってるのか不安だったから確認しに戻っただけだよ。それじゃあもっかい行ってくる。」
・・・そういえばちょっとした転移とはいえベードどころかレイトもついてこなかったのはちょっと意外だったな。あれか、もしかして僕に少しでも負担掛けないようにとかだったりして。
おっとそんなこと考えてないでさっさと残り二つも済ませちゃおうか。試しにメティシスタイスゲードととなえてみると、さっきと同じように暗い空間が家の下にできて飲み込んでいった。これ上手く使えばポイント使わずに僕たちの転移もできるようになるかな?またいろいろ試しつつ練習しないとな。