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リザードマンとの宴会

『では、集落に久方ぶりに来た聖族の方とその従魔たちに乾杯!』


『乾杯!』


 僕だけじゃなく従魔たちにまで配られたすごい透明だけとつんとした匂いの香る液体。識別した結果どうやら米酒らしいけど、困ったな・・・


『ぬ?どうした聖族のお方?お飲みにならないのですか?』


「え、えぇと、そのなんというか、お酒は飲めないんですよね。」


 こっちの世界ではもしかしたら飲めるかもしれないけど、飲みたいと思えないのもある。現実の僕は30だというのにも関わらず、成人式で無理やり飲まされた酒で判明したアルコールアレルギーで一度倒れてからというもの、酒に対する恐怖心が付いてしまったんだ。


『それなら己が代わりに飲むとしよう。ここに追加で注げ。』


「うわっ、もう飲み干したの!?」


 レイト用に石器に注がれた酒がもうなくなってる。でもお言葉に甘えて代わりにレイトに飲んでもらうとしよう。


『うにゅー、レイトずるいー、ニももっとのみたぁー・・・』


「・・・ネティスにはこれ以上のませるとやばそうか。」


 小さいネティスにもレイトと同じ程度の量しか渡ってなかったはずだけど、なんかすでに出来上がってる。酔った勢いで大きさが戻ってないのがせめてもの救いか。抱き上げて捕まえておこう。


『不思議な味ですけど、俺は主の作ってくれたリンゴジュースのほうが好きです。』


『私も同感ですね。』


『酒なんて初めて飲んだぜ、なんかぼぉっとするな。』


 ベードとモイザは飲み干してはいるけどお気に召さなかったようで、リザードマンたちはあうあわないがあるから気にすることはないと声をかけてくれたけど。フレウドも少し酔いが出てるか?あんまり飲ませないほうがいいだろうな。


『はっはっはっ!それにしてもすごい従魔ですね。我らでも一対一では戦いたくないですよ。それに雷兎様まで・・・』


『その呼び方はやめろ。己はレイトだ。』


『あ、失礼しました・・・』


 らいと、たぶん雷兎ってことだろうけど、確か蜂もそんな風に呼んでいた気がするな。レイトの過去のあだ名みたいなものなんだろう。


『ぬ、客人に失礼のないようにな。レイト様はお好きなだけ米酒を飲んでくだされ。それでよければぜひ聖族のあなたの旅の話が聞きたいです。お聞かせいただけますかな?』


「うーん、僕の話ですか。まぁ僕は飲めなかったですけど、珍しいもの貰っちゃいましたからね。」


 僕は僕で自身で作ったリンゴジュースを手にこれまでの旅の話を始めた。まず僕が来訪者であることを話すと、魔術師様に会いに行かれるのですねと言われたけど、それがドラゴンが蛇野郎と言っていた四魔帝のことなんだろうか。

 それについてはおいおい聞こうと片隅にとどめておいて、冒険者ギルドに加入したこと、初めにレイトを仲間にしたことやベード、モイザ、フレウドとの出会い。

 ディヴィジョンマウンテンの攻略の日々の話では、ベードのおかげな場面が多くて、ベードももてはやされてまんざらでもない様子だった。

 ネティスを仲間にした話をすると笑いが出るかと思ったら何やら考え込んでる様子のリザードマンが多かった。なお当の本人はそのころには僕の膝の上で完全に眠りについていた。

 今のフレウドはフェニックスから力を貰った話をして炎の鳥の姿を披露してよろこばれたけど、相変わらずまだ持続時間が短いな。

 そして四魔帝の話を始めると女帝蜂の蜂蜜の話題になったので、リザードマンたちにも蜂蜜を渡すと、家から瓶を持ってきて水と蜂蜜を混ぜて熟成というスキルを使ってあっという間に蜂蜜酒を作り上げて豪快に飲んでいた。


『あぁ、こんなおいしい蜂蜜酒が飲めるとは思っても居ませんでした!リュクス様はあの女帝蜂すらも下につけたといっても過言ではないですね!』


「いや、そんなことはないと思うんですけどね。」


『私はこの甘い緑甘樹が気に行っちゃった!今まで食べたことない味なのよね・・・』


「それも僕が見つけたというわけじゃないんですけどね・・・」


 結局緑甘樹の実はここでも喜ばれた。今まであの実の固い皮をとれなかったから知られてなかっただけなんだろうけどな。

 そのあとのドラゴン戦の話も大いに盛り上がった。僕が話すのに捕捉するようにレイトもどんな戦闘だったのかと付け加える。なんか機嫌よさそうだけど、もしかしてレイトさん酔ってらっしゃる?


『それにしてもブラックタワードラゴンと一対一で引き分けてしまうとは、手を出さなくて正解でした・・・』


「いやいや、引き分けではないですよ。消耗が激しかったので続けてたら僕が負けてたと思います。」


『確かにそうなっていたであろうな。だがあそこでとめたのは向こうなわけだから引き分けといっても謙遜ではないぞ。』


 レイトがなぜか僕を持ち上げてる、普段じゃそんなこと言わないと思うんだけど、やっぱ頬もほんのり赤い気がするし酔ってる?

 そんなドラゴン戦の話を終えて最後にここまでの湿地帯の旅の話で続きはこれからということになる。


『いやぁ、さすが来訪者という感じですね。我らの枠組みとは違うと感じましたよ。』


「そ、そうなんですかね?あ、そうだ、今度は少しあなたたちの話を聞きたいです。さっきの熟成の話とか、この石の椅子とかですね。スキルの参考にしたいので。」


『そういう話ならあたいに任せて!まずこの椅子は石魔法のブロックストーンでさっと作れるお手頃なやつだよ!熟成のスキルは酒を造るにも便利だけど、製薬、合成のスキルと合わせてよりいい薬を作るのにも使うんだよ!』


「おぉ、そうなんですか!モイザが覚えたらもしかしたらいいかもしれないな。」


『ふむ、なるほど。モイザ様も製薬と合成をお持ちですか。出来上がった薬を熟成されることでより効果が高くなるのでよかったら覚えてみますか?』


『・・・ではぜひ!』


 うん、やっぱ生産系になるとモイザはなんか嬉しそうだな。さっそく声をかけてくれたリザードマンの一人がモイザに熟成を教え始めてくれるようだ。


『あの、リュクス様、モイザ様がスキル習得する間にぜひお願いしたいことがあります。』


「えっと、改まってなんでしょうか?」


『よければ我らをぜひあなたの従魔にしてほしいのです。希望者だけでもいいので、お願いいたします・・・』


「えっ、な、なんででしょう?」


『正直なところ、このあたりには先ほど米酒につかった米と、マジックスネークという魔術師様が狩りやすいようにと生み出した魔物くらいしか食べるものがないのです。聞いたところ他にも様々な食材をリュクス様は取り扱っている様子。他の従魔の方々も幸せそうですから、ぜひにと思いまして。』


『それはいいね!あたいぜひ連れてってもらいたいものだね!』


「え、えぇっと・・・」


 まいったな。まさかそういう話になるとは思わなかった。するとさっきまでほろ酔いっぽかったレイトがきりっとした顔つきでリザードマンにと迫る。


『もしリュクスの従魔となるとして、お前たちは何が出せるのだ?』


『先ほど言ったように米を扱っていますので、我らを従魔にしていただければリュクス様の土地で米を収穫できるようにいたします。それと先ほどの話にあった店舗の手伝いも行えます。貯蓄しているマジックスネークの皮も差し上げましょう。』


「ちょ、そんないろいろ貰ったら残るリザードマンたちが困るんじゃ・・・」


『ぬ、今の話聞かせてもらった。ぜひ自分も連れて行ってもらいたい。』


『もし従魔にしてくれるなら私もついていくわよ。緑甘樹の実をいつでも食べれるってことでしょ!』


『私もこの集落に未練はないので。』


 そんな調子で11匹が僕の従魔希望らしいんだけど・・・


『モイザ様にスキルを教えてる自分を置いていかないでください!』


 ・・・訂正12匹全員だそうだ。せっかく建てたであろうこの建物はいいんだろうか?はぁ、でも断れそうな雰囲気じゃないよな。


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≪同種対象を12体テイムしました

対象:インテリジェンスリザードマン(12)

12個体の名前をそれぞれ付けてください≫

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 はぁ、12匹分も名前考えるのか、きついから文句は受けないようにしよう。また自宅がにぎやかになりそうだな。

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