ネティスに乗って
『それじゃあ元の大きさに戻るね!』
「うん、お願いするよ。」
ネティスがぴょんとトンで茶色い水にと飛び込みつつ、全身が光りその大きさを変えていく。初めに出会った時の大きさだ。ちょっと久しぶりに見る気がするけど、やっぱでかいな。
水に大きく広がる広がる波紋、後こっちにしぶきが少し来たけど、離れていたから汚れることはなかった。問題はさっさと寄ってあげないと、もうすでに何匹かピラニアらしき反応が寄ってきてるってことだ。
「やっぱ水に入った瞬間来たか!左前方、右前方方面だ!」
『大体の位置を言ってくだされば、俺らでも射程に入れば後はこちらで気配を捕らえられます!』
『頑張れよ、危険だと感じない限り己は手を出すつもりはないからな。』
『マジですかレイトさん!?俺らだけでがんばれと!?』
ネティスにみんなで乗り込みつつ、迫りくる魔物に対処する。泥水のせいで姿がしっかり見えないからほんとにピラニアなのか識別できないなこれ。そんな場合でもないか、右から迫る近いやつらに向かってディメンジョンブレイクを放つ。
『あなたはこの戦闘ではあまり役に立たないではないですか・・・まぁいいです。来ますよ!ストーンランスレイン!』
『ぐっ結構早い!?リモートフリージング!』
やばい、迫ってきてる数は10だったけど、確かに結構早かった。でもモイザが降り注がせる石の槍先の雨には、むしろまっすぐ当たってきてるようで、突き刺さっりまくった5匹は息絶えたようだ。
ディメンジョンブレイクが当たった右側の2体も息絶えて、ベードが3体をすこし凍らせたのか動きが鈍くなったやつは水中から打ち上げて識別する。
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≪識別結果
カニヴォレスピラニア 脅:D
肉食性のピラニア。縄張りに入った動くものに所かまわず噛みつく凶暴性をもつ≫
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打ち上げたのは凶暴そうな歯を持つピラニアだった。なんというか識別結果的には知能の低そうな連中だな。脅威度Dなら術法系も使ってくるんだろうか?打ち上げた連中はそのまま槍先の雨で処理した。どうやら水中での速さはあるけど耐久力はあんまりないようだ。
「こいつら、ほんとに動くものにかまわず襲ってきてるってことか。ベード、3匹が限界か?」
『す、すいません、三匹が限界かもです・・・』
「わかった、べードとモイザは左側の来るやつらに集中してくれ。」
『了解です!』『かしこまりました!』
『ニも減らすの手伝うよ!』
「助かる!右側から来るやつを手伝ってくれ!よし、進もう!」
そこからはひどい状態だった。ネティスが時折生えてる木々をよけながらすいすい進むと、どんどんピラニアが寄ってたかってくる。左側から迫るのは大体をモイザがストーンランスレインで処理してくれる。水中でも勢いを失わない石術は、動くもの襲うこいつらには効果てきめんのようで安心した。
石の槍先の雨を抜けてくるのも大体3匹ほどでそれをベードが凍らせて動きを鈍らせ、確実に仕留めていた。
右側のほうが僕がソイルランスレインで注意を知らして、ネティスがフロートレイで一掃していった。問題はこの土の槍先の雨じゃ水に入ると勢いが落ちて、そのうち崩れちゃうことだろう。
これでも一応大体のピラニアの気を引くことはできるけど、引き付けられなかった奴はディメンジョンブレイクで処理するから消耗が激しい。
この間のドラゴン戦でだいぶ魔素量が上がったと実感したけど、それでも完ぺきとはいいがたい。特にこういう連戦はきつい。
まだ日の傾きが浅いころに見つけた陸地にと上がる。陸地付近はピラニアが少なめであるのが救いかな。陸に昇り切ったら追ってきてたのも散っていったし。
『ストーンフィールド。今日はここで休憩ですよね?』
「ありがとうモイザ。やっぱり石術便利だね。ふぅ、僕はちょっと消耗がきついよ。」
『主も覚えたらいかがでしょうか?主ならすぐ覚えられると思います。』
「うーん、そうなの?たしかに覚えられたらもう少し楽に行けるかもしれないね。」
モイザが石にしてくれた地にと手を付ける。今日半日中土術使ってたし、これまでも少しづつ育ててきた。もしかしたら行けるのだろうか?上がってきたところがちょうどまだ少し泥っぽい大地が残ってる。
「ストーン、フィールド。」
お?おぉ!地面がちゃんと石になってる!スキルはどうだ?こっちも石術になってる!よし!
『さすが私たちの主です。』
『すごーい!これだと水もいつかニみたいなになるかも?』
『そうだろうな。水と風もかなり使っている。後はお前の意思次第で進化するだろう。』
「そ、そうなんだ・・・」
いつの間にか小さい状態になってたネティスが寄ってきた。あんな光線みたいな水術かちょっと使いたいかも。ただ石術だって覚えたばっかでまだまだ練習は必要だと思うけど。
そのあとの夕飯作ってる最中に石から元の泥っぽい土に戻っちゃってたからね。そこには近寄らないようにしててよかったよ・・・