ログアウト
とても短め
というわけで、お昼は道中でサンドを食べて、今は毎度おなじみ南兎平原です。
ちなみに、兎炭の依頼は僕のために一枚のこしてくれていたらしい。
ただ、炭になる条件が完全には不明のために、難易度的にも難しい依頼になってしまっているようだ。
かくいう僕も、問題点があるわけで、秘のステが上がってしまったのだ。
とりあえず兎を一匹発見。すかさずファイアメモリーで焼き上げてみる。ファイアボールよりも燃費もいいからこっちだ。使い勝手もいい、すぐ燃えるし、単体、複数、どっちにも使える。
ただ、打ち出す威力を乗せれないから、もっと強い相手にはあまり有効ではないかもしれない。
あと、目視出来ないといけないことと、直線射程が短いことがネックかな。まぁアタックラビットには関係ないけど。
「というかレイトよ、同じ兎だけどいいのか?いや、お前も弱肉強食の考えで、同族だろうと気にしないか。」
「きゅ。」
なんとなくうなずいたように感じる、頭上だから見えないけど。燃え尽きた兎は、どうやら無事炭になったようだ。
しかし、鑑定結果は3E。威力を抑えたつもりだったんだけど、まだ火が強すぎたか。
一応、炭はできたから、後は威力の試行回数の問題だな。さて、この調子で10匹、闇の刻になる前に終わるのかな。
「ちょっと間に合いそうにないか?」
始めの一匹からまったく見つからん。探してないときはあんなに見つかるのに、探すといない兎たち、なぜだ!
「きゅ・・・きゅきゅ!!きゅー!」
「うぉ、なんだ?」
急に変な鳴き方して、何の意味のある鳴き方なんだ?ん、なんかいっぱい来る?
げっ、周囲のアタックラビットが寄ってくる!?10匹程度が囲むように出てきたけど、すぐに走って全部見える位置に陣取れた。
「お前が呼んだのか!?くっまぁいい、抑えて、抑えて、ファイアメモリー。」
前と同じ感覚で使ったらまた質が下がるだろう。依頼は質3C以上が必須、うまく燃えてくれよ!突撃してくる奴はみんな燃えてくれる。
それにしてもすんなり動けたな。兎に突撃される前に下がれたし。これもステータスアップのおかげだろうな。
燃え尽きたのは12匹だったようだ。できるだけ抑えたけど、炭はどうかな?お、ちゃんと全部3Cで出来上がってる。あっけなく終わったな。
「うーん、お前のおかげなんだよな。一応ありがとう。」
「きゅ。」
「うーん、ノビル所望ってか?しょうがない、探してやるよ。」
この間の群生地地帯とは離れてるけど、この辺にもあるかな?うーん、メヒシバとオヒシバばかり見えてだるい・・・
識別酔いっていうのがあったら、今なりそうだけど、何とか見つけた。採取のスキルとかはないけど、いつも通り適当に掘り起こして、土を払うだけで傷付けずに採取できる。
汚れた手は水の出る魔道具できれいにする。この魔道具はよく使うから、ローブのポケットに入れてある。
料理セットから別にして持てるから便利だ。ただし、皿、箸と違ってこれは補充されないようで。
というか、皿と箸も30組から5組ずつ補充だそうで、商業者ギルドで洋食食器を買いに行くついでに補充しておこう。
今は料理セットを出してノビルを包丁で切り分ける。10組を切り分けたら葉も根も皿にのせて、頭から降りてたレイトにと、料理セットの地面においてあげる。
「何か低めのレイト用の机とか器でも買うか・・・」
「きゅ、うぎゅ。」
「もうちょっと言葉がわかればいいんだが、まぁ気長にやるか。」
魔獣言語のスキルがあるから、そのうち理解できるようになるはず。というかなってほしい。
あと、レイトはこちらの言葉の意味を、ある程度は理解しているのがわかったのは収穫だ。
理解してなきゃ、あんな兎呼びのようなことはしないだろう。さて、食い終わったようだな。
しゃがんでやればまた頭に乗ってくる。これから街に帰って、ギルドに報告後、宿で料理だからな。
まぁ定位置としてそこにいてくれるほうが、街で勝手に歩かれるよりは僕も安心する。
冒険者ギルドに行く前に、ショッピングをした。予定通り皿箸セットの補充と、洋食食器セットの購入。ナイフ、フォーク、スプーンの30組が追加。
あと、白パンという耳のない食パンを買った。自分で作るサンド用だ。明日の朝昼用に作って、アイテムポーチに入れてみるつもりだ。
ギルドにはドーンがいたのでスムーズに報告ができた。残念ながら今のところ僕以外の達成報告はないらしい。
明日も頼むと半ば強引に同じ依頼を押し付けられて、宿に戻ってきたあとは、予定どおり料理を決行。結構な量の豚肉があるので、昨日と同じ味だけど焼いてしまう。美味しいけど、少し味を変えたくなってきたな。
昼の兎サンドは、マヨネーズのような調味料を使っていたけど、あれは輸入品なのだろうか。
あと醤油、みそなんかも欲しいけど、醤油は似たような調味料を試験の時に使ったな。
匂いが違ったように感じたけど、食べてないし識別してないから、どういうものなのかはわからないな。明日は調味料探しに専念するのもいいかもしれない。
しかし、目先のことを考える必要がある。まぁ簡単なことなのだが、ログアウトしていなかったのだ。
このゲームは現実世界の24時間でも続けて平気なように、現実の肉体は【ゆりかご】による熟睡をしているけれど、負荷をかけすぎないように、推奨は連続12時間まで。23時間経過で警告のアナウンス、24時間で強制ログアウトだ。
強制ログアウトしたら8時間ログインできないが、自分でログアウトしたら、最長でも3時間のログアウトでいい。
12時間以内にログアウトできれば30分ほど、それ以降は経過時間によって、【ゆりかご】に休憩時間が表示される。
どれほどログインできないかは不明なので、ベッドインした状態でログアウトすることにする。
「レイト、僕は明日起きるのが遅くなるかもしれない。そうしたらごめんな。」
「きゅ。」
別にいいといわれたような気がして、安心した。ログアウト中はその場で死んだように眠る。何をされてもDWD内の肉体は起きない。
危険地帯でログアウトしたら、DWDのキャラが死んでしまい、一週間のログイン規制が起こるらしいので、それだけは避けなくちゃいけない。こうしてベッドで眠るのが、一番安心なのだ。
シューという音とともに、カプセルが開いて、僕の目も開く。あの宿じゃない、狭い僕のアパートの一室。
適当に選んだ大量のカップ麺から、カレー味のものを一つ。ケトルを沸かしつつ、トイレを済ませた。
体がだるい感じはない、けれど空腹感はかなりある。ふと時計を見れば午前5時を過ぎていた。
えっと、1時間が現実の10分、一日20時間で約六日間いたから、うん、どうやら19時間分ほど遊んでいたようだな。
普通に食べて、普通に寝てるからついログアウトを忘れてたな。次からは気を付けよう。
沸いたケトルの湯をカップに入れて3分で出来上がり。面倒なときはこれに限る。
さすがにDWDでさっき作って食ったばかりだから、腹は減ってても作る気にならん。
ズルズルと食べるのは、向うでは食べれないだろう味だ。悪くはないんだけど、これより露店の兎焼きのほうが、風情がある分、美味しく感じたように思える。
再ログインまでの時間は1時間半を指定されてる。向うで9時間寝ることになるのか。
闇の刻を回るちょっと前に寝たから、ある程度は明日の光の刻を遊べるかな。もう僕はDWD基準になってきてるな。
でもこの現実30日分くらいはいいだろう?そのあとはいやでも現実時間が長くなるのだから。