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合成術

 夜になってリザードマンとの戦いを思い返してみると、あのリザードマン蒸気で飛んで来たり自爆だったけど毒炎を使ったりと、おそらく合成術と思う技を使ってきたな。


「なぁレイト、合成術って合成のスキルがないと使えないんじゃないか?」


『己に聞くな、使ったことがないから知らぬ。』


「うーん、レイトでも知らないことはあるのか。」


『・・・聞いた話だが、会話知能のあるリザードマンの集落ではお前のやってるような薬物合成もしているらしい。そこから生まれ落ちた会話知能のないリザードマンでも、合成を持っている可能性はあるかもな。』


「おぉ、やっぱり物知りじゃん。」


 でもそうか。やっぱり合成を持っている可能性は高いってことか。そろそろ僕も合成術を一つは使えるほどのレベルまで来たし、一度試してみるのもいいかもしれないな。

 確か資料では水と炎を持っていれば、一番作りやすいのは蒸気の合成術って書いてあったな。えっと、普通に水と炎を混ぜるイメージでいいはずだけど、なんか普通に水に炎を当てるだけでも蒸気って出そうな気がする。ただ立派な合成術の一つらしいんだよね。


「おぉ?おぉぉ・・・」


『うぉ、なんだそれは?』


『なになに?主何してるのー?』


 もわもわと僕の手から立ち上がる白い霧、これが蒸気か、やってみると確かに水に炎当てた煙とは違うな。あのリザードマンも確かにこれで姿を隠して、さらに後ろに噴出して一気に飛んできたよな。僕にはヘイストがあるけど、ヘイスト酔いもあるからあれも使えたら便利かもしれないな。


「合成術で蒸気を出したんだよ。ただもくもく出すくらいしかまだ無理だけど。」


『ふむ、かなりの量を出せるようだな。これなら視界を途切れさせるのは有効手段だ。』


『煙すごいー!もくもくー!』


 ネティスが興味津々といった様子だけど、煙を掴もうとしてつかめなくてなんか残念そうな感じだ。


「煙はつかめないぞー?」


『うんー、すごいもくもくだけどやっぱむりだねー・・・』


 まぁわかっててやってるならいいか。蒸気が晴れるのを待ってから先に入った三人の待つテントにと戻ってゆっくり寝ることに。

 そして翌日また少し進むとリザードマンの気配を察知する。もしかしてあいつ夜のうちに気づいて、そのあと待ち伏せでもしてるんじゃないか?


『リュクス、昨夜の蒸気の煙を使え。できるだけ広範囲にな。』


「え?あれをつかうの?まぁいいけど。」


 レイトに言われた通り両手からもくもくと蒸気を出していく。僕たちの周囲一帯が霧のように白い蒸気で覆われた。


『よしベードよ、このまま右にすすめ。己が左からこれを纏い迫る。』


『了解です!』


「え?」


 レイトはそのまま僕の頭上から飛び降りて、左にと走り、ベードは右にと走る。走ると蒸気がつられてさらに広がっていく。

 ベードもレイトも蒸気を纏ったまま青い鱗のリザードマンにと近寄る。リザードマンは僕たちのほうにと殺気を向けて、水の剣のような物を両手に作りだして握る。

 しかしその直後に雷の一閃がリザードマンの腹を突き抜けた。おそらくレイトの攻撃だろうけど、片膝をついたけど、まだ倒れきってはいないようだ。

 すぐに追撃に僕はフレイムブレイクを放ち、ベードが氷の槍先を、モイザが石の槍先を、フレウドが風の槍先を放つ。ネティスは相手が水を使っていたからか、見物していただけだったけど、すべてを受けてさすがにリザードマンも絶命したようだ。


『己の一撃で倒せぬか。固いやつだな。』


「一応こっちで攻撃用意しておいてよかったよ。というか戦闘に参加してくれたのはありがたいけど、前のもっと激しい雷のほうがよかったんじゃない?」


『あれはむしろ拡散して威力を消してあの見た目になっているだけだ。威力は今のほうが洗練されている。』


「あ、そうなんだ・・・」


 ということは本気の威力で一撃放って耐えられたってこと?やっぱリザードマン相当強いんじゃないか。逆にこの前の奴は自滅でよかったかもしれないな。


『とりあえずこいつだけのようだな。リュクスよ、次にまたリザードマンがでたら四属ではなく空間術の技で対応するんだ。』


「え、あ、はい。」


 そんな指示を受けたのもあって、さらに進む道中サーチエリアの感覚により気を張ってたけど、結局また夕飯時まで魔物に出会うことなく進んでこれた。


『・・・おそらくこの調子だと明日にはブラックタワードラゴンの元ににつくだろう』


「え、まじ?」


 戦闘狂が多いって聞いてたからもっと戦闘が続くとおもってたけど、ほとんど戦闘はなかったじゃないか。うまくよけれてただけなのかな?


『俺の気配消しもあまり意味なかったですね・・・』


「そんなことはない、よね?」


『なぜ己を見る。リザードマンに気づかれるのはまだ仕方ないと言えるだろう。ずっと蒸気の霧を纏いながら進めば、もしかしたら気づかれぬかもしれないな。』


「え、ほんと?じゃあ明日はそれでドラゴンのところまで行くか。」


 そんな話を交えながら夕飯を終えると、モイザが寄ってきた。


『主、合成道具を出してもらってもいいですか?』


「あぁごめん!合成術ができたからって錬金セット出し忘れてたよ・・・」


 すぐに用意してあげるとモイザはそそくさと毒対抗薬の製作に取り掛かる。対抗薬用の薬草が結構少なくなってきちゃったな。もっと上位のものを使えばモイザの望むようないい薬になるかもしれないから、ドラゴンとの戦いが終わったら一度王都に戻って仕入れるかな。

 僕は僕で合成術の練習に蒸気だけじゃなく別の合成術も使えるかやってみることに。ちょっと難しいらしいけど、風と砂の合成でいわゆる砂塵を起こせるらしい。蒸気と同じでこれも合成じゃなくてもできるんじゃないかとも思うけど、砂塵は砂塵で一つの合成術となるようだ。

 手から砂が風と共に舞い、手首にまでまとわりつくように吹き荒れる。まだまだ弱そうな感じだけど、上手く使えば何かに応用できるかな?

 それを見てたレイトに相変わらずお前は何でもすぐできるのだなとあきれたように言われたけど、僕がすぐこういうのをできるってそんなにおかしいのだろうか?

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