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リザードマン

 蜂達があらかた倒していたのもあってか、森から出た付近にサラマンダーとかの魔物の気配もなく、森の蜂の気配も察知できないほど離れたころには日も傾き始めていた。

 僕が気配を読めないような魔物がいる可能性も捨てきれないけど、レイトにも確認して付近には魔物はいないだろうとのことだったので、いつもよりも早くにキャンプを張ることに。

 夕飯と合成スキル上げをした後は、寝る前にみんなに約束していた通り、ヒーリングハンドを使って撫でる。


『うぅん、こんな飼いならされるような行為と思ってしまうが、気持ちいいものだ・・・』


『最高です主、気持ちいいです。』


『うぅ、うらやましい・・・早く変わってほしいです。』

『俺の番はまだか!』


『ニも!ねぇニも!』


「おう、ネティスは悪いけど、まだまだ待つんだ。次はモイザとフレウドな。それに二人ももうちょい撫でてやらないと。」


 騒がしかったけどなんとか収めつつ、半刻ほど二人を撫でて交代。ヒーリングハンドで撫でるとモイザとフレウドも気持ちよさそうに目をつぶる。

 その間もバタバタとニもニもとヒレを動かすネティスに、モイザがしょうがないですねと少し撫でられただけで譲ってくれた。


「いいのか?」


『はい。私は少しでも満足です。』


『ぅ・・・ありがとうモイザ。』


 それまで騒がしかったけど、しょぼくれた様子でモイザと位置を変わる。申し訳ないという気持ちはあるようだけど、撫でられるの交代はするんだな。

 そのあとは特に何事もなく就寝してログアウト。ログインしてしばらく後に起床、テントを片付けるまで襲われたりすることもなかった。

 何事もなかったのは朝までで、あれた大地を進むと遠目に何かが立ち尽くしているのがわかる。反応的にはどうやら魔物のようだけど。


『・・・あれは避けれないな。すでにこちらに感づいていると思っていい。』


「まじか。」


 レイトがそういうなら遠回りで抜けるとかも難しいんだろう。ならこのまままっすぐ当たるしかないな。話の通じ合わない相手なことも考えて、戦闘態勢を取っておく。


----------

≪識別結果

ウォーライクリザードマン 脅:C

好戦的な二足型蜥蜴。個体によって多種多様な属性を操る≫

----------


 やばい、識別結果が全く役に立たないんだが?赤のうろこのリザードマンだから炎を扱ったりするんだろうか?なんて思ってたら片手に炎の槍先を作り出してこちらに投げてきた。


「ぐぎゃら!」


『この程度、避ける!』


「ナイス回避ベード!」


『ニのフロードバリアーもあるから、あのくらいの炎なら平気だよー!』


『いざとなったら俺が吸い込んでやるよ。』


「炎相手には強気だなフレウド、ネティスも頼りにしてるぞ。じゃあこっちから反撃と行こうか!ウォータランスレイン!」


『微力ですけど、手伝います。ストーンランスレイン!』


 水と石の槍先の雨が赤いリザードマンにと降り注ぐが、器用に水はしっかり避け、石は火を腕にまとわせて弾いている。


『あれなら隙だらけ!ニに任せて!フロードレイ!』


 ネティスの水の光線が縦なぎに槍先の雨をしのぐリザードマンにと放たれる。よく見えなかったけど、多分直撃しただろう。

 僕達の槍先の雨をやませたけど、リザードマンの気配はその場から動いてはいないはずなのに、なんか湯気だって見えないな。


『油断するな!来るぞ!』


「え?」


『んなっ!』


 すさまじい速度で一気にベードの目の前にまでリザードマンが突っ込んできた。自身の背後に蒸気を吹かせて突っ込んできて、ネティスの水結界もその勢いで破ってきたのか!

 そして驚いてたベードが後ろに下がるよりも早く、グバッと口を開いて炎を吐き出してきた。


『まかせろ!』


『ぬ?駄目だ!飲み込むな!』


 レイトがなぜか止めるのも遅く、フレウドがリザードマンの炎を吸い尽くしてしまった。突っ込んできたリザードマンのほうはなぜか炎をはき終えた後、そのまま絶命してしまったようだ。


『ぅ、なんだ、これ・・・』


「フレウド!?」


『くっ、あれは毒炎だ。それを吐き出すとは、あいつ自爆覚悟だったな。』


「毒炎って、そんなのもあるのか!とりあえずヒーリングハンドを使うから、モイザは毒対抗薬を飲まてくれるか?」


『わかりました。』


 急激に顔色が悪くなっていくフレウド、毒を食ったらそれもそうだ。両手でヒーリングハンドで癒し、モイザがフレウドの口を無理やり開いて毒対抗薬をゆっくり流し込む。

 ・・・ダメだ、悪化はしてないけど、よくもなっていく気配がない。どうなっているんだ?


『やはりだめか。無理やり体内に入れた毒ならともかく、フレウドが自ら飲み込んだ毒だ。ただでさえ炎と混ざっていて分離させなくては解毒は難しいというのに・・・』


『くっ、私の毒対抗薬では解毒しきれないのですか、申し訳ありません・・・』


「モイザのせいじゃないさ。レイト、炎と毒を分離できれば解毒できるのか?」


『ぬ?おそらくはできるだろうが、何をするつもりだ?』


「フレイムハンドで分離できるか試してみる。フレウド、反応しなくてもいいけど、一度ヒーリングハンドをとくぞ?」


『ぅ、大丈夫だ、やってくれ、主。』


『フレウド・・・』


『苦手なんだけど、二が少しでも楽になるようにするね。ウォームライト。』


 不安そうなベードを見てか、ネティスが暖かな光をフレウドにとかける。


「ネティスも回復使えたのか?」


『回復じゃないの、暖かくなるくらい・・・』


『じゅ、十分だ。俺にはいい熱だぜ。』


 ちょっと強がってみせるフレウドだけど、さっきより苦しそうなのは間違いない。できるだけ急がないとやばいな。

 フレイムハンドを使ってフレウドの体をまさぐる。フレウドの中のフレウドのじゃない炎を感じ取れればいいんだけど・・・そうだ!目を閉じてサーチエリアの範囲をぎゅっと狭めてフレウドに集中させる。

 多分これだ、周りのオレンジ色に比べて少し他の炎より紫色に感じる。この紫の部分を取り出せればいいんだな?

 直接触れられないから難しいけど、羽毛の体をまさぐって何とか分離させようとする。


『あの、ちょっと、くすぐったいんだが・・・』


「我慢して!」


 あともう少しだ、よし行ける!フレウドから思い切り手を引き離すと、おなかから紫の炎が抜けて出てきた。


『・・・お前、本当に規格外だな。』


「え?あれ?違った?」


『いや、普通体内で分離させるのであって引き抜くとは思わなかったぞ。』


「あっ・・・」


『・・・おっ!?おぉ!?急に楽になった!』


『おぉ!さすが主!』


 ま、まぁすぐにフレウドの調子は戻ったようだし、右手の紫の炎は霧散したし、いうことなしだろ!


『治ってよかったー!』


『おう、ネティスもありがとう。』


『お疲れ様です。私ももっと良い毒対抗薬を作れるよう頑張ります。』


「お、おう。まぁ無理しない程度に頑張ってくれると助かるかも。」


 そんな一波乱はあったけどまた気を取り直してベードに乗って東にと進み始めた。


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