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サラマンダー

 だいぶ森の出口付近に近づいたはずだけど、なんだか感知する蜂の動きがおかしい。みんなどこかに向かって進んでいる?ちょっと気になったのでベードにいって蜂達の向かう方向にと足を進めてもらう。

 そこで見た光景はまさしく悲惨と言える状況だった。結構な数の蜂達と数匹のちょっと変な感じのトカゲが倒れている。生命反応が感知できないからあれ全部が死んでいるんだ・・・

 魔物と魔物の縄張り争い?それとも女帝蜂が言ってた通り向こうの縄張りの奴らが好戦的だから?

 死屍累々な森を進むとちょうど森の切れる場所でまだ蜂とトカゲが戦っているようだ。急いで駆け寄ると、丁度背中が燃えてるトカゲが蜂達に向かって口から火を吹き出すところだった。


----------

≪識別結果

ウォーライクサラマンダー 脅:C

好戦的なサラマンダー。動く相手を見つけると所かまわずに火を噴いて襲う≫

----------


「フレウド、あの火を吸い尽くせ!」


『まかせろ!』


 急いで識別したあとフレウドにと指示を飛ばす。6匹蜂達は疲れているのか地面に落ちて動けそうになかったからだ。

 蜂達の前にと立ち迫る火をすべて吸い尽くすフレウドだけど、全然焔がやむ気配がない。仕方ない、発生源をたたくか。


「水でもかぶって頭冷やせ!ウォータスフィア!」


『助太刀します!アイスランス!』


 水の球体とベードの氷の槍先が命中して、グギャラと変な鳴き声を上げて転がり、ようやく火を噴くのをとめる。

 というか、こいつの悲鳴は翻訳されてないのか?まぁいいか、それはどうでもいいか。


「ウォータストリング、アンドバインド!これで容易には動けないだろ?」


「グギャギ・・・」


 あおむけになったサラマンダーを水紐で雁字搦めに拘束する。一番危険そうな口を塞いでいないけど、聞きたいことがあるからな。


「おい、なんで蜂を襲うんだ?やっぱ縄張りがほしいからか?それともただ戦いたいからか?」


「ぐぎゃ?ぐぎゃー!」


「のぁっ!?」


 炎を吹き出してきたので慌てて口を塞ぐ。あれ、こいつの言葉まったく翻訳できない?


『そいつには無駄だ、言葉がわかっていない。話すという行為を知っていない存在だろう。また火を噴く前に始末しろ。』


「そ、そういうのもいるのか、倒すしかないのか?」


『会話できない魔物などそうするしかない。それとも従魔としたいのか?』


「そういうわけじゃないけどさ。」


 対話知能のない魔物は普通倒すしかないのか。確かに僕にはテイムがあるからそれでもいいけど、蜂達が見てる半面襲ってきたこいつをテイムするのもなんか違う気がする。縛る水紐の力をさらに強めて、そのまま締め上げる。


「ウォーターストリング、ストレングル。」


 口まで拘束してあったからか、声も上げずサラマンダーは絶命したようで、背中の炎も消えた。

 サラマンダーの死体はしまいこんで蜂達によると、ぐったりした様子の隊長格の蜂がちょっと這い寄ってきて声をかけてきた。


『ありがとうございます。おかげで助かりました・・・』


「ん、気にすることはないぞ。それよりじっとしてろ、効果は薄いかもだけど回復をかける。ヒーリングハンド。」


『あ、温かい、気持ちいい・・・』


 ヒーリングハンドで同時に回復できるのは両手で二匹までだ、まず隊長格と近くの一匹を癒す。気持ちいいらしいけど、羽をばたつかせてブーンと音を立ててるのはそのためか?


『羨ましい・・・』


「ん、なんか言ったかベード?」


『あ、いえ!別に!』


 蜂達を癒す途中、ベードがぼそっとなんか言ったのは聞こえなかったけど、とりあえず癒し終えた二匹は元気に飛び始めた。


『おぉ、飛べる、飛べます!女帝の友よ、ありがとうございます!』


 もう一匹のほうはぺこりと頭を下げるだけだった。おそらくだけど隊長格以外はこうして会話するのは無理なんだろうな。

 他の四匹も癒し終えたところで、蜂達は森の奥にと帰っていくと、癒すためにしゃがんだ状態だった僕の後ろから何かが乗ってくる。


『ねぇねぇ!それ気持ちいいの?ニもやってほしい!』


『おいネティス。リュクスに無理を言うな。あれは怪我を治す技。何ともないネティスに使うものではない。』


『えぇ、そうなの?』


「使われたいからって怪我したりするなよ?本当にしてほしいなら夜にでもしてやるからさ。」


『ほんと!?やったぁ!』


『甘やかすな。』


『主、俺も頼む。』


『フレウド!主に負担をかけるな!・・・俺もできればやってほしいですけど。』


『はぁ・・・あなたたち欲が出すぎよ。』


『そういうモイザも気になっているだろ?浮足立ってるぞ。』


『そ、そんなんじゃありませんよ!き、気にはなりますけど・・・』


「わかったわかった、みんな夜に余裕があればな。」


『ぬ、そういうことなら己も頼む。』


「結局レイトもじゃないか・・・」


 変な約束はしちゃったけど、これで森を抜けた。今のサラマンダーみたいな好戦的なやつらのいるドラゴンの縄張りにと足を踏み入れたんだ。

 森から少しは緑の地面だけど、すぐに茶色のひび割れた土地が広がってる。ベードに足元に注意するように伝えつつ、また東にと足を進めてもらう。

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