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蜜と緑甘樹

『ふぅ、さすがに満足したぞ。しかし蜜とは違うこの甘美な甘さは癖になるな・・・今日しか食べれないのが残念なほどだ・・・』


 結構な量食べてたから相当に気に入ったみたいだ。しかし今日しか食べれないのが残念と言われても、僕だって毎日ここまで来るわけにはいかない。


『それならばこいつの従魔となるか?己は従魔となったことで毎日こいつの飯を食べているぞ。』


「おいレイト!なんでそんな提案するんだよ!」


『従魔となるか。さすがに妾にはこの土地と下の者たちがいる。いなくなったとしても代わりのものが務めるかもしれないが、妾は退くつもりはないぞ?』


 はぁ、よかった。さすがに女帝をテイムしたら下手したら部下の蜂達全員のテイムになるかもしれない。それだけは避けたいところだ、名前を考える的な話で。


『従魔となってもここを離れる必要はないだろ?リュクス、この提案はお前の為でもあるんだぞ。』


「へ?僕のため?」


『そうだ。ホーネットから蜜の一部を受け取り、こちらは緑甘樹の実を渡すのだ。そうすればお前の店がより潤うことになるぞ。』


『ほぅ!それはいい提案だな!妾もこれほどのものならば蜜と交換するのもやぶさかではないぞ。』


「い、いやいや!別に従魔にならなくても方法があるなら蜜と蜘蛛達の作った茹で緑甘樹でよければ交換してもいいですよ?」


『方法ならあるではないか。コネクトポーチという便利なものがあるだろ。』


「あれは今一つしか持ってないんだけど、まぁ確かにできるな・・・」


 とんでもない提案ではあるけど、確かに女帝蜂のあじわう蜜がどんな味なのか僕自身も気になる。はちみつならすでに持ってるけど、全然違うものなんだろうか。


『従魔とならなくてもいいのであれば妾もよりありがたい。その提案こちらは受けてもよいぞ。』


「そ、そうですか。じゃあえっと、蜜を瓶詰めとかできますか?さすがに液体のままいただくわけにはいかないので。話が付けば瓶は何とかこちらで用意します。」


『構わぬ、部下にやらせるとしよう。』


 部下にやらせるんでもこちらとしては問題ない。あとはちょうどいい瓶の大量用意とコネクトポーチをもう一つ用意すればいいだけだな。


「じゃあ一旦自宅でトレビス商長と話を付けてきます。またしばらく後にここに飛んできますけど、問題ないですか?」


『そなたなら日のない時間でなければいつきても構わぬぞ。』


「よかった。それじゃあ早ければ明日また来ますね。」


 話はついたな、ポイントインストレーションを使えばここまで戻って来るのはそれほど面倒でもない。そしたら自宅に一度戻るとするか。

 自宅に戻った後はもう日が真上にあったけど急いでログアウト。ごはんはみんな女帝蜂のとこで一緒に作って食べてたし大丈夫だよね?




 現実のほうでのご飯を終えてログインして戻って来る。ベットから起きて見回すとベードとフレウドが一緒にベットの上にいるだけだった。他のみんなは家の外にいるのかな?


『おはようございます主!』


「うぉ、おはよう。急ぎすぎて翻訳オフにするの忘れてたな。」


 結局ずっと翻訳つけっぱで結構な時間過ごしてたからな。いつの間にか耳も慣れたからこのままでもいいんだけど、そこらの魔物の声も翻訳されたら面倒かな。


「・・・あれ?」


『どうしました主?』


「いや、なんか、翻訳がオフにできない?」


 翻訳オンにしたままログアウトしたからなんか不具合が起きたのか?ダメだ、まったく戻せる感じがしない。不便ではないからいいけど・・・


『ん・・・なんだよ、騒がしい。』


「お、フレウドもおはよう?」


『あぁおはよう主。ふぁぁ・・・』


 相変わらず眠そうなやつだな。態度もちょっと悪いけどこいつも僕を主と思ってくれてるんだよね。


「さて、今日のことを起きてトレビス商長に相談しないとな。」


『あぁ!それならさっきレイトさんが呼んできたようですよ!』


「え、まじか・・・」


 どう呼びに行ったのか気になる所だけど、それは置いといて早く外に出ないと待たせてるかもしれないな。と思って家から出ると案の定トレビス商長が待ち伏せしていた。


「どうもリュクス様。レイト様から呼ばれてすぐに来ましたよ!」


『ふん、よんでおいたぞ?これでお前は少し楽だろ?』


 そういって僕の頭上にと飛び乗ってくる。ありがたいところではあるけど、トレビス商長は大丈夫なんだろうか?


「えぇッと、どう呼んだのか不明なんですけど、来ていただいてありがとうございます。」


「え?これはリュクス様が書いたものではないんですか?」


 そういって小さい紙を渡される。そこには高質なはちみつの入手経路ができる可能性があるので相談したい、リュクスよりという文字が書かれていた。


「か、書いた覚えがありません・・・」


『己が書いたが、お前からで問題はないだろう?』


「れ、レイトが書いたのですか。まぁいいや、はぁ・・・」


「えっ、レイトさん聖族人種の文字もかけるのですか!?」


『今はそんなことどうでもいいだろう。』


「僕も初めて知りましたけど、それよりはちみつについての相談をしたいのですけど、いいですかね?」


「あ、わかりました。どういう状況なのかお教えください。」


 僕はトレビス商長に四魔帝が一匹のエンプレスホーネットと茹で緑甘樹とはちみつでの交換を申し込んだこと。はちみつを入れるために大量の瓶がほしいことをそれまでの経緯とともに説明した。


「さ、さすがリュクス様ですね。まさか四魔帝とそんな交渉をしてくるなんて。コネクションポーチと大量の瓶についてはこちらで用意できますが、それをこちらで売るという話なんですよね?」


「まぁ、できればそうするのがもうかるだろうとレイトが言ってましたから。」


『いい提案だっただろう?儲けた分は己の野菜春巻きをもっと豪華にするのだ。』


「どれほどの品質のものか見なくては、何とも言えないですけど、とんでもないことになりそうですね・・・」


 トレビス商長の目がぎらぎらと輝いているので、どうやらやる気は満々のようだ。僕もとんでもないことになるんじゃないかという不安はあるけど、店にはほぼ顔出してないし、まぁいいかなという感じはある。


「瓶の数は明日までに何とかなりそうですか?」


「はい、瓶の用意は明日までには何とか済ませます、こんなすごいことを私に相談してくれてありがとうございます。」


「え、えっと、どういたしまして?」


「ではさっそく準備に取り掛かりますので、これにて失礼しますね。」


 そういうと興奮気味の様子で走り去ってしまった。女帝蜂の蜜は僕も識別してないからどれほどのものかわかってない。あんなに期待されてそんなでもなかったらやばいかもな・・・

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