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狂邪の地での一夜

 巨大樹の見えた方向にとベードに足を進めてもらう。途中またあのラフレシアのいるだろう木のないエリアに差し掛かったけど、ラフレシア単体と戦うのはまだいいけど、ハエに集まられるのはちょっと遠慮したいので避けて進んでもらうことに。

 トレントやドライアドの近くを通り抜けることもあったけど、やっぱりドライアドの近くを通り抜けるときだけ視線を感じる。実害があるわけじゃないから無視する方向で。

 ガンガン進んではいるけど森の景色があれから一向に変わり映えしなくなってきた。大きすぎて距離感がつかめなかったから正直ベードの足でもどの程度かかるかは僕にもわからない。

 日が落ちてきて木漏れ日も差し込まなくなったところで、サーチエリアでできるだけ周囲の魔物反応が少ないところを選んで一旦休憩をとる。もう少しすると月が出てきて多少は明るさもましになるだろうけど、無理に進むこともないか。

 まずはテントを組むことにする。テント自体に一応の聖域の効果があるので魔物は近寄ってきにくくなるらしい。とはいえ今まで街道の近くやダンジョンの階段踊り場みたいな安全そうな場所でのキャンプばかりだったから、こんな森のど真ん中でキャンプするのはちょっと緊張感もある。

 この間の蛾のようなのもいるから完璧とまではいかないけど、サーチエリアを張り続けて魔物の気配には注意しつつ夕飯を作る。

 相変わらず小さい体ですさまじい量を食べるネティスだけど、好き嫌いなく何でも食べるので、他のみんなに作る料理の量を増やして増やした分がネティスに行く。

 一番好きなものはと聞いたけど、どれもおいしくてわからないし、みんなと同じもの食べれるのが楽しいらしいからこれでいいらしい。ちなみに僕の今日の夕食であるトンカツ丼も一緒に食べる。


「米とトンカツと一緒に食べると美味しいだろう?僕はパンにはさんだほうがいいけど、たまには気分かえないとね。」


「ぐぅ?」


「うん?あぁそうかトンカツサンドは食ったことなかったか。まぁそんなには変わらないかな。すぐできるけど食べてみるか?」


「ぐぅ。」


「ん、今日はいらないか?じゃあまたこんどな。」


「ばうわう!」


「あ、あぁ。その時はベードもな。」


 きょうのトンカツ丼の前にベード用に別に厚切り豚肉を普通に焼いちゃったけど、意外とカツも気になってたのか?もっと早くいってくれてもいいのに。

 ダンジョンからの日課にもなってる合成も行っておく。僕がつくるのよりモイザの作るやつのほうが質も効き目も全然上だろうけど、僕も合成術を使いたいからね。

 おおよそ30くらいになれば1つ2つほど合成術を作れて、50にもなれば気軽に合成できるようになるって資料にはあったけど、まだ20にすらなってないからな。

 結局狂邪の地が気になって合成だけを上げる時間も取ってない僕自身の問題だろう。

 そんなことを考えつつも月光が木々の隙間から時折差し込み始めたのでだいぶ深い時間になっただろうから終了。広げた大きなテントにとみんなで入る。


「この大きさならベードも入れるだろ?」


「ばぅ!」


「おぉ、嬉しいか?」


 ちょっと顔を摺り寄せてくる。あんまこういうことしないからよっぽど嬉しかったんだろうか?ベード用にもう一枚買っておいた大きな毛布を敷いたところを教えてあげると、その上で少しくるくると回ってから横になった。狼なはずなんだけどあの動きはまんま犬だな・・・

 ちょっと手狭になってた毛布も一応敷いてるけど、僕はせっかくなので大きい毛布にとくるまって寝ることに。近くにレイトとモイザとネティスも寄ってくる。

 フレウドは前の毛布を独占したようだ。ぬくぬくといった感じですでに寝息を立てている。僕も寝るとするかな。

 寝てる間サーチエリアは消えちゃってたけど、翌朝は特に何事もなく起床。いや、何事もなかったわけじゃないか。ベードがいつの間にか僕を枕に寝ていたようで、苦しくて起きたんだよな。

 おいベードと何度か声かけると目を覚まし、ハッと顔上げて謝るように何度も顔下げたけど、いやそこまですることじゃないぞ?だからやっぱ外で寝るなんて言うなよ。

 朝は軽く済ませてと行きたいけど、ネティスだけは朝から夜の半分ほどの量は食べる。夜の半分といっても僕の夕飯くらいの量にはなるので、昨日の夜のうちに作り置き済みだ。

 とはいえ普通にトンカツをむさぼるのもあれなので、昨日の夜に話題にしたようにサンドにと仕上げる。僕とベードとネティスはトンカツサンドをほうばる。レイトは野菜だけの春巻きをまたほうばってるし、モイザは薄く切ったパンに切った果物をサンドして食べる。フレウドだけは朝が弱いので食事なしが多い。本人が食べる気分ではないというのでまぁいいだろう。もし食べるなら僕の炎を食べることになるし、胃もたれとかするんだろうか?

 テントを片付けてベードにまたがり再出発する。周囲の魔物反応はあるけど、すぐ近くじゃないようなので問題はなし。やっぱトレントやドライアドはあんま動かないようだな。

 問題は虫系の魔物だろう。さらに進んでいくと時折上空を飛来する気配がかすめるようになってくる。結構上を飛んでるようだし、こっちには気づいていないみたいだ。

 心配なのは次の夜に魔物に襲われたりとかしなければいいんだけど。一応僕はログアウト予定なんだよな。テントだけで脅威度の魔物もちゃんと対策できてるならいいけど、他の対策も考えておいた方がいいのだろうか?

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