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油断大敵

 太陽の光が時折背の高い木で途切れるけど、明るさは進むのに不便な感じはない。不便さはないんだけど、バサバサと時折聞こえて来るのが不穏な感じするんだよな。

 サーチエリアには何も引っかかっていないけど、従魔になってないフクロウはもしかしてサーチエリアにかからない可能性があるかもしれないか?とか思ってたけど、そんなことはなかった。さらに進んだ先で木の上のほうにフクロウっぽい反応がひっかかった。

 向うはこちらに気づいていないようだし、高い位置だし、ちょっとちょっかいかけづらいなアレ。しかも識別するには木の根元でも遠そうだな。とりあえずあいつは無視でと進んでいったけど、フクロウたちの反応はどれも木の上で結局戦闘なしで森を進んでいった。

 いろんなのと戦うためにじゃなく、四魔帝を倒すために狂邪の地に来たから別にいいんだけど、緊張してたのがもうなくなっちゃったな。

 進んだ先には背の高い木だけじゃなくリンゴと同じ程度の高さの木も生えてきていて、木々の間隔もかなり狭くなってる。まだまだベードが進める幅ではあるけど、もしかしたら切り進まなきゃいけない場面も出てくるかもな。

 なんてのんきに考えてたけど、地面に足を付けた魔物の反応を察知してふと思い出す。こういうサイズの木が出始めたら四魔帝の一匹の縄張りと思われる場所って話じゃなかったか?たしか端っこのほうだから脅威性のある魔物は少ないけど、背の高くない木には注意するようにってあったな。

 魔物の反応のほうに行っても木が生えているだけに見えるけど、あの木がおかしい気がする。


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≪識別結果

ショートリーフトレント 脅:F

ショートリーフの木そっくりの魔物。周囲の地面にはトレントの張った根が生えており、突き出てくる恐れがあるため注意。身の危険が迫ると根を切り離し走り逃げる≫

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 おぉ、トレント!資料通りではあるけどほんと近くの木と見分け付かないなアレ。サーチエリアで変な感じだとわかってよかった。

 こっちには、気づいてはいないようだな。近くに他の反応もないし、ちょっとちょっかいかけてみるか。木ならばよく燃えるだろうかとフレイムスフィアを放つ。


「メィィィ!」


 突然迫る炎の球体に驚いたのか、目と口のような黒い部分が絶望的な表情になって開いてへんてこな音を上げた。昔どっかの遊園地で見たお化けの木みたいだな。

 炎の球体をとっさに避けようとはして体を揺らしたようだけど、反応遅すぎて命中。まぁ不意打ちだから当たってくれないと困る。

 こっちには気づいたようだけど、炎が消えなくて根を切り離し慌てふためいてそこらを走り回るばかりだ。放置でもなんか死にそうだったフレイムランスでとどめを刺した。


「ちょっと拍子抜けだったな。」


「きゅ・・・」


「あ、はい。調子には乗らないようにします・・・」


 残念ながらトレントは燃え尽きてしまったようで素材はなかったけどまぁいい。レイトの言う通り調子に乗って燃やしながら進むのも他に燃え移らないとはいえなんか怖いな。通り道にもいなかったので、他のトレントは無視して進んでいった。

 森の木々に細身でショートリーフよりもさらに低い木々が増え始める。今度はその一つに魔物反応がある。


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≪識別結果

スレンダーリーフドライアド 脅:E

スレンダーリーフの木そっくりの魔物。木の根をあやつる力に長けており、その根にとらえられたものは魔素を吸わてしまう≫

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 今度はドライアドか、しかも魔素吸収能力もちの木の根を操るのか?どうしようか、脅威度Eということは最低でも危険度C下手したらBランクと同等の実力があるんだよな。

 トレントみたいな目も口も開いてないからこちらには気が付いてないようだけど、ちょっかいかけるには周囲のドライアドの反応が不安な感じがする。

 すごい近くではないけど、他にドライアドの反応がある。何かの番組で樹は樹同士でつながりあいお互い支え合ってるみたいなのを聞いたことがある。といってもトレントにはもうすでに手を出しちゃったけど、ドライアドっていうとそのイメージかなり強いし、下手に手出しするのはやめておこうか。


「ん、なんだ?」


 ドライアドの横を通り過ぎた後、背後から何かの視線を感じて振り返るけど、ドライアドの向きに変化はない。気のせいだったのか?

 ベードが走り抜けるからすぐにドライアドとの距離も離れるし、気にしすぎる必要はないな。しかし木の魔物だらけで虫の姿が見当たらない。本当に四魔帝は虫系なのだろうか?

 資料にあったのはあのトレントやドライアド以外にグリーンキャタピラー、いわゆる芋虫系の魔物がいるという情報だったのだけど、今のところ見当たらないな。情報通りなら脅威度Fながらもトレントやドライアドの葉っぱを主食としているらしいけど。

 その情報通りなら考えられるのは二つ。そうやって葉を食べさせることでトレントやドライアドにメリットがあるか、実際に虫の四魔帝がいて食べさせるよう命令してるかだろう。

 そんなことを考えてたらちょっと進んでる方向とはずれるけど、トレントの気配に別の魔物の気配がくっついてるのを察知する。


「ベード、悪いけどあっちの方に少し進んでくれるか?」


「ばぅ!」


 指さす方向に少し走るとすぐにさっきのトレントの反応にとたどり着く。そしてトレントにでかい緑色の芋虫がくっついてるのがわかる。


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≪識別結果

リーフイーターグリーンキャタピラー 脅:F

葉を食い荒らす芋虫。主食となる葉は通常の木だけにとどまらず、トレントやドルイドの葉を襲うこともある≫

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「襲ってる、のか?」


 心なしかトレントは縮こまってる様にも見えるけど、ほぼ無抵抗に頭の葉を食われている。ちょっと悩んでたけどフレイムランスを構え、芋虫に向かって放つ!

 さらに炎の槍先が突き刺さったことでトレントから剥がれ落ちたところを、狙い追撃する。


「フレイムブレイク!」


 炎の斬撃波で見事芋虫は真っ二つに。燃やしてしまったトレントの代わりというわけでも何でもなかったけど、つい助けちゃったね。

 トレントが一瞬僕のほうを振り向いたけど、僕の更に後ろを見ておびえるように根をはがして走り去っていってしまった。あんま早くないから追いかけてもよかったけど、なんだと思って振り向く。


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≪識別結果

リーフイーターインビジブルモス 脅:D

葉を食い荒らす蛾。主食がトレントやドルイドの葉となる。また自身の姿を完全に森と同化させ気配すらも殺す≫

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「おうふ、まじかよ!」


 察するにさっきの芋虫の親ですかね!?怒っていらっしゃる雰囲気のようで!僕らに向けて大きく羽ばたくと、すさまじい風とひどい鱗粉が襲う。


「げほっ!なんだこれ!?うっ、あたまが・・・」


「ばぅぅ・・・」「――――・・・」「コケコ・・・」


「ぐぁう!」「きゅ・・・」


 なんかベードの様子がおかしいのかふらついてる。モイザとフレウドもか?ネティスがしっかりしてと声を上げたように聞こえたけど、これ以上はダメかも・・・

 そう思った瞬間バリバリっと激しい音が鳴り響き、その音で体が飛び跳ねて意識が戻る。ふと地面を見ると以前の熊の時のような落雷跡ができていた。


「あぁ、レイト、悪い。サーチエリアに引っかからなかったからって、油断してたな・・・」


「きゅ。」


 まったくその通りだと返されて自分の頬を軽くたたく。サーチエリアにフリップエリアを重ねて発動させておく。今のはどう考えても状態異常系統、初めから展開しておけばこうはならなかっただろう。

 ネティスの水結界もさらに張ってもらっておく。ネティスは張ってなくてごめんといったけど、これは僕の指示ミスだと返しておく。ベード達の意識も戻ったところで、気を引き締めなおして進行再開と行こうか。

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