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狂邪の地への準備

 いろいろとテストされる気があった面もあるからちょっと拍子抜けもあったけど、目的である狂邪の地に入ってもいいことになったんだからと、次の日から頭を切り替えていろいろ準備を始める。

 食料の買い足し、テント睡眠用の大きな毛布2枚と、ベードも一緒に入れるほど大きいサイズのテント。他にも製薬用の素材や出来上がってる薬そのものを買ったりする。

 別に戻ってこないわけではないんだけど、向こうにどれくらいいるのかの予定があるわけじゃない。夢中になって進みすぎることを想定しておくに越したことはない。

 そういえば狂邪の地にも神殿みたいな転移できる先はあるんだろうか?もしあるなら容易に行き来できるんだけど、できなかった場合のことも考えて新しい空間術を今の僕が使えるのかを試すためにと一度南端の街にと帰る。

 僕が家から出る前にモイザが先に家からでてたけど、レササ率いる蜘蛛達が出てきた僕たちを迎える。やっぱり伝えに行ってたんだな。別に無理に迎えにきてくれなくてもいいんだぞ?

 空間術を試す前に兎面をかぶって店にと顔を出す準備をする。目的は毒対抗薬の更新だけど、これ多分値段変えたほうがいいよな? 前の毒対抗薬よりも質が上がってるしアイテム名だって違ってる。

 ちょっとなやんだけど、やっぱりトレビス商長にと連絡を入れる。ちょっと待てばすぐ向かうので店の裏でお待ちくださいと言われたので、無理にはいいですよと返そうとしたけど、急いで済ませてしまいますねと通信切られてしまった。で、言われた通りしばらく待ってると店の裏手にとトレビス商長が走ってきた。


「はぁ、はぁ・・・お、おまたせしましたスクーリ様!毒対抗薬の補充の件ですよね!?」


「え、えぇ。そうですね。そ、そんなに急がなくてもよかったんですが。」


「いいえ!できるだけ早く補充していただけるとありがたいので!ですが伺った感じですとさらに品質向上したのですよね?」


「そうなりますね。とりあえずお渡しします。」


 モイザが進化してから作っていた合成製作蜘蛛の毒対抗薬をわたす。品質はすでに5Eとかなりのものになってるけど、どのくらいの値段になるのだろうか?

 以前と同じように紫の明らかに毒液のような液体を対抗薬にと一滴入れてからグイッと飲み干してしまう。ただそのあとちょっと険しい感じの顔をする。


「これは、どうしましょうか・・・1500、ですがそれだとこの南端の街で買える方が少なくなってしまう。それでも安いと思うのですが、しかし・・・」


「えっと、とりあえずずっと品切れというのもあれですから、1500リラでいいですよ。買える人だけに買ってもらう感じにはなってしまうでしょうが。」


「そ、それもそうですね。もうしわけありません。では1500リラで登録させてもらいますね。後はこちらで済ませておきます。」


「ありがとうございます。お願いしちゃいますね。」


 そんなやり取りの後トレビス商長が店にと入っていったのを見てから近場で空間術の試していなかったスキルアーツであるポイントインストレーションという技をためす。

 この技は割とどんなところにでも転移してこれるポイントを設置できるという便利そうな技だけど、一度ポイントに転移してくるとまた設置するまで使えないし、転移先に魔物がいて襲われる可能性もあるので細心の注意が必要なようだ。

 とりあえずポイントの設置はうまくいったようだけど、問題は転移するほうだった。祭壇への転移の時よりもさらにひどい転移酔いが起きるんだ。何度も使えばなれるかもしれないけど、そのたびそのたびにポイント設置するのが面倒ではあるな。

 とはいえ全く慣れてないといざとなって使いたいときに不便だから、気持ち悪さを治すために休憩を入れつつ何度か練習した。

 ログアウトを挟んだ次の日には王都の訓練場にてフレウドの新しい技を確認することに。一番目新しいのは焔巨影というスペシャリティだろう。


「おぉ、かっこいいなフレウド・・・」


「コ!」


 コという鳴き声は変わらないのだが、炎を全身にまとい肥大化した姿は100層で出会ったフェニックスそのもの。そしてその焔の翼に触れても僕らが燃えることも熱いという感じもない。温かい感じはしたけどね。

 ベードごと乗せれるほどの大きさにとなっていたけど半刻ほど維持するのが精いっぱいのようでまだ乗って飛んでもらうには少し不安は残るな。なおそのあともっと魔素量を増やせばいいと言い放ったレイトによる鬼特訓がフレウドを襲った。

 ただその特訓は僕も見せてもらえた。もしかしてだいぶ僕のことを信用してくれるようになったのかな?ただ特訓内容はえげつなかった。

 レイトがフレウドに触れるとビリリと小さい電流のようなのが流れる。コココココと声を上げて震えるフレウド。思わず僕が止めに入ろうとしたけど、ギッとレイトににらまれてすくんでしまった。

 ただフレウドも気丈に大丈夫と片翼を上げる。補足するようについてきてたモイザが説明してくれようとしたのだけど、よくわからなかったので翻訳して再度教えてもらうことに。

 あの電流は魔素濃度を高めた電流で、あれでレイトの魔素をフレウドにと送っているらしい。ちなみにベードとモイザもあれを受けたことがあるらしい。

 あらかた流し終えたのか電流を止めると、フレウドが再びポーズしてフェニックスのような炎の鳥にと姿を変える。そんな中ネティスがレイトにと近寄っていく。


『ニにもあのびりびりってやってみてよ!ニだけもらってないよ!』


『貴様はいらぬだろう。十二分なほどの魔素量を誇る。』


『えー!いいじゃんいいじゃん!ケチ!』


『黙れ。己のイカヅチを受けたいか?』


「ちょ、ちょっと、厄介事はやめてくれよ?というかネティスは水属性なんだからあんま電気浴びるのは危ないと思うぞ?」


 どうやらネティスは従魔で入ったばかりで仲間外れ感があったようだ。別にそんなことはないと思うんだけど。


『む?属性など無関係だ。その程度で己の魔素電流は危険にはならぬ。』


「そう、なのか?とにかくネティス、無理強いはよくない。お前も無理にこれやれって言われたらいやだろ?」


『むぅ?ニはリュクスがいったらやれることはやるよ!』


 お、おう、そうか。結構かわいいやつだな。っていかんいかん!そうじゃない、そうじゃないだろ。


『・・・しかたない。一度だけだぞ。ただし魔素を先に使っておけ。過充電はさすがに体に良くない。』


『わぁい!わかったよ!ありがとうレイトおじさん!』


『そうよぶのはやめろと言っているだろう。やはりやめるべきか。』


『わわっ!ごめんなさいレイトさん!』


『わかればいい。』


 え、レイトおじさんってよばれてるの?もしかして結構な年なのか?そんな風には見えないんだけど、魔物だからな。もっともその呼ばれ方嫌いらしいから僕は忘れることにしよう・・・

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