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ディヴィジョンマウンテン第100層

 ゲーム内で寝るまでは次は100層だからしっかり休まないとという気持ちが強かったけど、ログアウトして現実に戻って来ると、そこに何が待ち受けているのか、どんな場所なのかと気になり始めてしまった。

 そんなそわそわした気持ちのままログインしたからか、そのままゲーム内で光の刻過ぎほどに起きてしまう。体の眠気や疲れはないけど、早く起きすぎちゃったよなぁ。

 二度寝はできそうにないので、従魔のみんなはできるだけ起こさないようにしつつテントを出る。外ではベードが寝てたけど、僕が起きてきたのに気づいちゃったようだ。


「あ、おはようベード。ごめん起こしちゃって。」


「ばぅわぅ。」


「気にしてないってか?それならいいんだけど。」


「きゅ。」


「・・・レイトはまだ寝てたかったなら僕の頭上にいなくてもいいんだけどな。」


 ほんといつの間に頭に乗ってた?さっきテントから出た時は毛布の上で丸まってたように見えたんだが。起こさないようにに起きてきたつもりだったのに。

 起きてきちゃったものはしょうがないかとそのままいつも通り朝食準備をする。おそらくレイトも少ししたらいつも通り頭上で寝息をたてているだろう。ただ今日はしっかり朝を食べることにしよう。大物との戦闘になる可能性は高いと思うし。

 そんな感じでちょっと量多めにとゆったり用意しているとモイザ、フレウドネティスが匂いに釣られてか起きてきてしまった。ありゃりゃ、早めに用意するのはよくなかったか?

 皆に起こしてごめんというと、モイザとネティスには何の問題がという感じでそっけなく返された。起きた時間に関してはあんまり気にしていないようだな。フレウドはまだ少し寝ぼけてたけど。

 しっかりと朝食を済ませて片付け終えたらみんなでベードに乗り、いざ100層にと突入する。階段を上り切ると、平らな円形の大地にと出る。ただその場所の回りは崖のようになっていて、落ちそうでかなり危なく見える。実際には崖向こうに手を出して確認できたけど、目に見えない謎の壁があって落ちることはないみたいだった。

 ここが山頂ということなのか。一応今昇ってきた階段と逆側にも階段が見えるけど、昇る用の階段が見えないのであっちも降りる専用なんだろう。

 それにしても何もいないな。絶対何かいると思ってたんだけど、向こうの階段もふさがってないし、ボス格の魔物はいないのか?


「うーん、とりあえず進んでみるか?」


「きゅ!」


「え、気を抜くな?」


 レイトがそういうと、一応掛けておいたサーチエリアに急に何かの反応が山頂の中心に現れる。そこを見ていると小さな火種が出てきたと思ったら、一気に燃え上がり巨大な鳥のような形にと変化していた。


「なんだ、あいつ・・・」


 この距離なら識別できるな。明らかにこちらに気づいている雰囲気だけど、こちらにすぐ襲ってくる感じじゃないし、識別するくらいの余裕はあるか?


----------

≪識別結果

マウンテンサミットブレイズフェニックス 危:S

山の山頂の焔の不死鳥。その焔は消えることはなく何度でも再生し、焔の力によって何度でも蘇る≫

----------


 おう、危険度Sかよ。これは油断できないどころの騒ぎじゃない。逃げたほうがいいんじゃないのか?今ならすぐ後ろに階段がある。あの姿ならカマキリのように追ってこないとは思うけど、それも確証があるわけじゃない。最悪帰還石を使うことも考えて・・・


『聖族なるものよ。これで伝わるか?この山をよく越えた。』


「へ?えっと・・・」


『通じているようだな。我はこの山の頂の存在である。ここまで来たのは頭上の力ではなく、ほとんどおぬしたちの力のようだな。』


 どうやらこのフェニックスが話しかけてきているみたいだけど、そんなことまで分かるのか?というか話せるなら戦いは避けれるか?


「えぇっと、フェニックスさん。ここを荒らすために来たわけじゃないので、できれば帰ってもいいですかね?」


『それはつまらぬな。せっかくここまで来る力があるのだ。その力我に示して帰るのが礼儀というものであろう?』


 バシン!と背後から謎の音がしたと思って振り返ると、真っ赤なテープが階段に貼られて戻れないようになってる!向うの階段にも遠めにだけど同じようにテープが張られてるようだ。

 慌てて帰還石を取り出したけど、なんか帰還石にも赤いテープが巻き付けられてる!?触れても一応何も起こらなかったけど、使えそうな雰囲気ではないなこれ。


『安心しろ聖族よ。我が力に及ばなかったときは我が力で癒してやろうぞ。』


「あぁそうですか!わかったやればいいんだろ!えっと、レイトは参戦してくれたりしないか?」


「きゅ。」『そのものが出れば、我などひとたまりもない。』


 そうですかレイトさん。やっぱりとんでもない存在だということはわかったよ。でもこっちにはネティスがいる。見た目的にも識別結果的にも炎を使う相手のようだし、いけるっちゃいけるか?というかやるしかないみたいか!


「しょうがないな!行くぞベード、モイザ、フレウド、ネティス!」


「ばぅ!」「――――!」「コ!」「ぐぁう!」


『そうだ、それでよい。我を楽しませてくれ!』


 楽しむ間があるといいけどね!どうやら雰囲気的に先手は譲ってくれるようなのでまず僕はスペースエリアコントロールで空間掌握しておく。


『ほう、これが我が感じていた力の片鱗か。』


 なんか恍惚な感じに酔いしれてるけど、そんな悠長に構えてていいのかあいつ!


「ぶちかましてやれネティス!」


「ぐぁう!」


『90層の迷い子の力程度では、我が焔を消せないぞ?』


 ネティスの水光線がフェニックスを襲うが、翼をはためかせ放出する焔で水光線を打ち消してしまった!まじかよ!すかさず用意しておいたディメンジョンブレイクを打ち込むが、さらに上空にと逃げられてしまう。


『くっ!さすがの我でもこの技は危険そうだな。注意しておこう。』


「おいおい、冗談きついんだけど?」


『そちらの攻撃は終わりか?』


「ばぅ!」「――――!」「コ!」


 ベード、モイザ、フレウドが影と石と風の槍先を放つが、片翼をさっとあおぐと、あっけなく槍先が燃え尽きる。


『まだまだ威力不足であるな。こちらから行くぞ!』


 フェニックスが羽を大きく広げると炎が一気に集まり、まるで太陽のような見た目の巨大な炎の塊をつくりだす。あんな大きさじゃこの山頂すべて燃え広がるぞ!


『落とすぞ、ブレイズサン!』


「ぐぁう!」


「なっ!水結界でも防げそうにないのか!?」


「ココ!」


「え、フレウド!?さすがに吸い込み切れないだろ!無茶するな!」


 ネティスの言葉を聞いた瞬間、フレウドがまかせろと僕の言葉を待たずに大きく吸い込み始める。落ちてきた炎の塊はまさに太陽が落ちて来るような迫力。あの速度じゃ空間術でよけれもしないから、確かにフレウドの炎吸い込みにかけるしかなかった。

 ただあの大きさはいくら何でも大きさが違いすぎて無理だと思っていた。思っていたんだけど、フレイムサンは落ち切らず、ある一定の場所で止まると、そこから一気にフレウドにと吸収されていった。何とか吸い込み切ったフレウドがゲプッと声を上げる。


「もう一発来たらやばいな!ディメンジョンバインド!」


『ぬぅ!?吸い込まれただと!それになんだこの拘束は、どこから!?』


 ぐいぐいと暴れられるけど、簡単には拘束とかないぞ!こうしておけばさっきのブレイズサンとかいうのは変な体勢とってたから打てないと思うけど、僕も反撃できやしない!


「今だ!とにかく技撃ちこめ!」


『小癪な!いや、いい策か。』


「え?」


 次元拘束がそのままフェニックスをあっけなく引き裂いたように感じた。でも感触が明らかに弱すぎたぞ。でも確かにフェニックスは炎が掻き消えるかのように拘束された場にはもういなくなっている。

 ベード達も技を繰り出そうとしていたのをいったん止めたけど、あのフェニックスどうなったんだ?まさか倒してはいないだろうけど。そう思ってると再び炎が集まりだしてフェニックスの形にとなっていく。おいおい冗談だろ、さっきの感触からして多分だけど一度わざとただの炎になって拘束から抜け出した感じだな。


『ふっ、さぁどうする聖族。手は残っているか?』


「くっ・・・ん、手?」


 空間掌握はできてるから炎を封じられたらあいつは無力化できる?さっきのブレイズサンのおかげで回りに炎の魔素が集まってる感じはする。その魔素の感触に触れようとすると、炎はいつも僕が操ってる炎の感触じゃなくその二段階は上の感触がする。その炎をすべて封鎖するイメージを作れ!


「スペースエリアコントロール、ブレイズクローズ!」


 あたりを漂う炎の気配が消えた。ただ僕の炎術も使える気がしなくなったけど、もともと使うつもりはなかったからいいか。


『ぐぅ!?なんだ、これは・・・』


 あれ、なんか明らかに弱ってる?あいつ自身がすべて炎でできた体だったからか?何にしろチャンスか!


「みんな技を打ち込め!行くぞディメンジョンブレイク!」


「ばぅ!」「――――!」「ココ・・・!」「ぐぁう!」


 空間を切り裂く斬撃波、3本の影の槍先、いくつもの石と風の槍先、そして水の光線が異常に炎が弱ったフェニックスを襲う。


『がぁぁぁ!』


 僕にもわかる悲鳴と鳥の甲高いような鳴き声を上げて白い煙が上がる。僕たちは煙が消えるまでじっと構えていたけど、消えた場所にフェニックスの姿はなかった。


「やった、のか?」


「・・・きゅ。」


「え?そんなはずはない?」


『そうだ聖族。我は死なぬ。』


「え!?ど、どこから声が!?」


 フェニックスの姿は見えないが声がする。というか死なないってホントに不死鳥かよ!


『しかし戦いは終わりだ。聖族とそれに付き添う魔物たちよ、そなたらの力しかと見た。』


「えっと、それは僕たちの勝ちってことでいいのか?」


『そういうことになる。だから、その、申し訳ないのだが、我の姿が保てぬ故、この焔が使えぬ技をといてくれないか。』


「あ、うん。」


 なんというか、威厳を保ちたかったのか?さすがにこんなこと言った後に襲ってくるとも思えなかったので解いてあげると、炎が集まって再びフェニックスが姿を現した。


『ふぅ、そなたは我が感じていたところ、炎までしか操れなかったはずだが、まさか我が焔も封じてくるとはな・・・』


「それはブレイズサンの技でこのあたりにフェニックスさんの炎の魔素が広がったおかげですね。」


『フェニックスでよい。我が焔の太陽もその鶏の魔族に吸い尽くされるとは思っておらなかった。あの技で押しつぶした後癒すつもりだったのだがな・・・』


「あんなの食らったら無事じゃすまないですよ、癒し間に合うんですか?」


『無論だ。我は再誕をつかさどる不死鳥フェニックスだぞ。』


 なるほど、そういわれるとちょっと納得もできるか。


『さて、我を下した褒美として、我の力を取り込んだその鶏に我が力の片鱗を渡そうか。』


「コココ!?」


「おぉ、それはよかったなフレウド。たぶんだけど進化したかったんだろ?」


 驚いてたけど僕がそう聞くと何度もうなずく。それを見たフェニックスが自身の炎の翼に息を吹きかけると、一枚の燃え滾る羽が翼に現れる。それをフレウドにと差し出すと、フレウドはちょっと緊張しつつもそれを受け取った。

 フレウドの姿が光り輝いて進化が始まる。光がやむときれいなオレンジの羽に変わったフレウドが現れる。大きさは変わってないな。


「よしどう進化したか見せてもらうぞ?」


「コ!」


------------

<キャラクター>

 名:フレウド・アルイン

 性:雄

 種:ブレイズヴァニティチキン

<ステータス>

 種:Lv1

 命:90200/90200

 魔:6000/10200

 力:808

 技:588

 速:1520

 知:2415

 秘:1030

<スキル>

【転体Lv36】【業焔魔法Lv1】【聖族言語Lv16】【油術Lv15】

【風術Lv33】【騎鳥Lv1】

<スペシャリティ>

【卵産】【焔食】【風食】【焔巨影】

------------


「おぉ、見違えたな、種族も全然違ってる・・・」


『我が力の片鱗を完全に取り込んだからな。少しの間ならば焔を纏うことで我が姿と酷似した姿にとなれるだろう。信頼を置いているものには触れても焔は燃え移らない。その狼のように乗って移動するのもよいと思うぞ?』


「おぉほんとですか!フレウドもネティスとは違うけど巨大化できるようになったな。」


「コココココ!!」


 なんかすさまじく喜んでるようで何よりだ。あ、でも今はやめておこうな。時間ができたら確認しよう。


『そうだ。そのネティスというのはこの地に迷い込んだその子のことだろう?』


「あ、はいそうですね。そういえば迷い込んだんですかこいつは?」


 ネティスを翼で指されて頷く。戦闘中もそういえばそんなこと言ってたような気がするな。


『そうだ。そのものと酷似した存在が90層の存在としていたのだが、おそらくその存在に引き寄せられたのだろう。異様な空間の歪みから現れてしまったそのものはもともとこの地の存在ではない。連れだしてくれて感謝する。』


「あ、えっと、はい。そういえばちょっと気になることがあるんですけど、この地のダンジョンの魔物って倒しても復活するんですよね?それもフェニックスさんの力ですか?」


『いいや、復活ではなく別の個体だ。この地は永遠に輪廻を繰り返すための地だ。むろん他でも新たな魔物の個体が生まれるが、この地は速い輪廻であるというだけだ。』


「あ、そういえばほかでもリポップはするから普通っちゃ普通か。変なこと聞いてすいません。」


『リポップ?まぁよい。久しぶりの戦いは実によかった。最後は我が何もできなくなってしまったのは悔しかったので、また挑みに来るといい。』


「え、えっと、考えておきますね。」


 絶対対策される奴じゃんそれ!おっと確かにこれ以上長居するのもあれだったので奥の階段にと向かうことに、階段を降りたけど祭壇はないようだ。もしまた100層にくるなら90層から昇って来いってことか。それじゃあリターンアルターで帰るとしますかね。

王都でダンジョン素材をさばいたらやっと登場人物とかのまとめをかける

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