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ディヴィジョンマウンテン第90層

 翌朝に88層にと進み始める、ここと次の層までは危険度Cの魔物だけど、90層は危険度Aの魔物との初めての対面になる。今から緊張してもしょうがないけど・・・

 今はこの層の魔物との戦いに備えよう。丁度陸でのんびりと一匹でいるやつに遭遇。全身がなぜか青いけど、大きさ的には現実にいそうな感じのワニだ。


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≪識別結果

マウンテンワイドリバーブルーフロスアリゲーター 危:C

山の大河に住む青い鰐。動きが遅いがその顎につかまったが最後かみ砕かれるだろう。獲物に追いつくため口から出す泡をまとわりつかせ鈍くする≫

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 うぅん、かみ砕きについては記載されてなかったけど、泡については資料通りだな。ちょうどまっすぐな進行方向塞いでるし、ちょっと手を出してみるか。

 他の水生生物と同じならやっぱこいつも炎は効きづらいだろうから、何で攻めるのがいいだろうか。空間掌握してもこちらに気づかれなければディメンジョンブレイクを放つのが一番効きそうだけど。


「なんか空間術を先に使うのはばれそうでやってなかったんだけど、やってみるか。ベード、気づかれたらおそらく泡が飛んでくるからそれは凍らせてこわすんだ。」


「ばぅ!」


「モイザとフレウドもベードが落とし切れなかった場合泡の対処をしてくれ。あいつが迫ってきたら普通に攻撃でいい。」


「――――!」「コ。」


「よし、それじゃあいくぞ、スペースエリアコントロール。」


 さて、空間掌握が広がってあのワニの周りの空間も掌握したけど、ちょっとびくりと体を震わせたけど、やっぱ気づかれたか?いや、あたりを見回して入るけどこちらに気づいてはいないみたいだな。


「空間掌握だけなら気づかれない?それならいける、ディメンジョンブレイク!」


 放ったディメンジョンブレイクが空間ごとワニを切り裂く。グガァと大声を上げてたし、大きな一撃を受けたはずだけど、ギッとこちらをにらんできた。


「さすがに一撃じゃ落ちないか。もう一発使うのはちょっと時間かかるぞ、頼んだ!」


「ばぅ!」「――――!」「コ!」


 僕達との距離を見て突っ込んでくるんじゃなく、その場で口を大きく開けて大量の泡を出し始めた。あれの処理はベード達に任せた。僕はディメンジョンブレイクをもう一発放つことに集中。

 泡のほとんどはベードの冷気で凍らせて破壊しているけど、大きく横に広がった一部はふよふよと回り込むようにこちらに迫る。でもそれもモイザとフレウドが難なく撃ち落とす。


「よし、もう一発食らっとけ!ディメンジョンブレイク!」


 口を開いてたのに僕が手を振りかざしたのが見えたのか、慌てて口を閉じてのたのたとよけようとするけど、遅すぎてあっけなく切り裂かれ、大声を上げた後動かなくなって消滅した。


「ふぅ、疲れるけど威力絶大だなやっぱ。ただフレイムブレイクくらい2発目をもっとスムーズに打てるようにしないとな・・・」


「きゅ。」


 レイトにもその通りだと言われる。まだまだ空間術を磨いていかないとな。もちろん他もだけど。うーん、目標が多いね、嬉しいことだけど。

 そのあとも陸上のワニに会うたびに空間掌握とディメンジョンブレイクで倒して進む。途中からはベード、モイザ、フレウドも初激に加わってほとんどのワニはさっと倒せたのはよかったけど、89層を越えるころにはかなり消耗していたので昼飯も兼ねて休憩をいれることに。

 水の中に潜むワニとも一度戦ったけど、ベードが水ごと凍らせても氷を割って這い出てきたのは驚いたな。だいぶ弱ってたのもあってそのあとすぐに倒せたけど。それ以外にも炎も試したけどやっぱり効き目は薄そうな感じだったな。

 90層の危険度Aのロングネックモンスターとやらはこのワニなんて比じゃないほどだということだよな。当然炎の効き目は薄めだろう。フレウドの油術も正直水で洗い流される未来が見える。フレウドもそれを見越してなのか油術使ってないし。

 やっぱり僕は空間掌握して空間術をメインにつかって攻めるのがいいだろうな。いざとなったら避けるためにも使えるし。資料での情報だとタコとは比べ物にならない強力な水の防御結界、水の光線のようなブレス、陸は少ないけど結界なしでも陸移動も可能とあったから苦労しそうだ。

 特にベードが苦労しそうなんだよな。陸が少ないとなると水を凍らせて進むことになる。まだまだ慣れてないから広範囲を凍らせるのには時間かかってるし、さっとウォンドウォークで補佐することも考慮したほうがいいな。

 そんな作戦を考えてみんなで作戦会議に入る。僕の案を伝えると、ベードは凍らせて進むことに集中するためにちょっと攻撃参加しづらいかもしれないとのこと。それはもう考慮済みだ。

 モイザは粘土でフレウドは風でできるだけ広範囲な技を使って牽制とダメージの両立をするみたいだ。ただ粘土は水に浸かるとふやけて威力は落ちるし、風も水の中から発生させてもダメージは少ないようだ。この間みたいに巻き上げるの大きい相手には効かないだろうとレイトもつけ足す。

 つまりそれはやっぱり大きいってことですね、なんて聞くと、しまったと顔をそらされた。そういうのを知ってるとはさすがレイトさんです・・・

 大まかだけど作戦は決まった。撤退用の帰還石も準備はしておく。使おうとすれば砕けて一瞬で王都の宿まで戻れるはずだ。いざ90層へ。

 階段を上ると本当に申し訳程度の陸地となる島の先はほとんどが水。遠目に何とか次の足場になりそうな島は見えるけど、ベードのジャンプでもあそこまでは絶対届かないだろう。

 ベードが意を決するように巨大な湖を凍らせながら進む。氷は壊されたりしなければ大体1刻は維持するから、短時間の戦闘くらいなら足場にできると思う。

 ただ少しでもひびが入ると、凍らせた箇所が一気に割れることもあるので過信は禁物。相手的にもそういうことを狙ってくる可能性はある。

 進んでいくとついにうっすらと大きな影が見え始める。あれは、でかいな。やばい、でかすぎる。いや思ってる以上のでかさだよあれ?まだ識別範囲外だけど、それでもベードが背に乗れそうなくらい大きいんじゃないかと思うほどだ。


「ちょ、ちょっと止まろうかベード。」


「ばぅ。」


 丁度陸地に乗れたのでそこでベードに止まってもらった。そしてスペースエリアコントロールでできるだけ広く空間を掌握する。湖面を優雅に泳ぐ影が、少しづつだけどこっちによって来てる気がする。気づかれてるのか?だいぶはっきりと見えるようになった姿はまさしくネッシーなんて言われてたあの首長竜のプレシオサウルスそのままな姿だ。


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≪識別結果

レークロングネックアクアティックモンスターリザード 危:A

湖に住む水生の首長怪物蜥蜴。大湖を支配する存在であり、その大きさは幻とも言われている≫

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 あれ、マウンテンの称号が付いてないけど、なんでだ?いや、それはどうでもいいか。明らかにこちらに気づいてるだろあれ。まっすぐ向かってきてるもん。

 でもなんだろうか、敵意を感じない?襲われてるのであれば水の光線だか何だかをはいてきてるだろうし。下手にこっちから手を出さないほうがいいか。


「ぐう?」


「え、あ、なんでしょう・・・?」


 やっぱ気が付いてたんだな僕たちのこと!長い首を下ろしてこっちに寄せてきた!い、いや、でも声かけてきたってことはやっぱ敵対はしてない?


「ぐぅ!」


「えぇっと・・・なんていってるのかわからん。レイトたちの言葉はわかるんだけどな・・・」


「きゅ・・・」


「翻訳しろって?あ、なるほど。」


 あれか、レイトたちは聖族言語があるからなんとなくわかるとかなのかな?そういえばワニの叫び声とか別に痛いとは聞こえてはいなかったもんな。


「えっと、もう一度お願いします?」


『ニの住みかに何の用!?』


「に?自分って意味かな・・・えっと、その、この先を目指すためにこのダンジョンを上ってるんです。」


『そうなの?聖族ニの場所荒らす?』


「えっと、階段を進むのに倒さないと進めないならば・・・」


『かいだん?なにそれ?』


 ん、階段という単語を知らないのかな?でもここに住んでいるなら見たことありそうだけどな。


「このダンジョンの北と南にある入り口?出口?まぁそんな感じのところですよ。」


『あれに行くの!じゃあ連れてって!』


「え、つれていってといわれても・・・その大きさじゃ困るんですが・・・」


『じゃあ小さくなる!』


「え?」


 ちらっとモイザとフレウドを見ると湖面から急にジャンプしてこっちに飛んできた!?とおもったらその体が光って一気に縮んでいく。そしてモイザやフレウドのような抱えられる程度の大きさにとなってベードの上の僕にと引っ付いてきた。


『ニはね!ここ今の場所だけど、前ここじゃないの!出たい出たい!』


「う、うーん・・・じゃあよくわからないけど、連れて行ってみようか。」


『わぁい!』


『また面倒そうなのを・・・』『主、それ連れて行くのですか・・・?』


 レイトとベードに飽きれられるけど、話せる相手なら無理に倒す必要はないだろ!階段が封鎖されてたら考えなきゃいけないけど・・・


『ご主人様の慈愛ですね。』『俺もそれのおかげで生きのびちゃったしなぁ・・・』


 なんかモイザとフレウドも言ってるけどもう翻訳切りたいぞ!ベードが湖を凍らせて階段まで進んだけど、どう考えても走るたびにキャッキャとはしゃいでいたこの小さくなった首長トカゲに乗ってくほうが楽だったと後から思う。


「で、なぜか階段の封鎖がなかったけど、何か知ってるか?」


『うーん?よくわからない!』


「そりゃそうか・・・」


『ここに貴様以外の魔物がいただろ?』


『え?うん!ニにすごく似たやつ!でも襲ってくるから倒すしかないの・・・』


 なるほど、似たやつということはここにも同じようなやつが湧くのか。そういえば場所はここだけどここじゃなかったとか言ってたっけ?なんかの影響でダンジョンに飛ばされたのか?


「はぁ、なんかうだうだ考えてたの無駄になったな・・・」


『いいじゃんか!俺は楽でよかった。』


『俺に乗って活躍する主が見たかったです・・・』


「そ、そうか。」


 ちょっとはっきり聞こえすぎるのも困惑するな。耳もなんかキーンと痛くなってくるし、あんまり長くならないうちにこの小さい首長トカゲくんをどうにかするのが先決だろうか。


『この手あったかいね・・・ニずっとここにいたい・・・』


「え?」


 ----------

≪対象をテイムしました

 対象: レークロングネックアクアティックモンスターリザード

 名前を付けてください≫

 ----------


「えええええ・・・」


『そうなると思ったぞ。』


『そうなるでしょうね。』


 なんだよレイトモイザ!そうなりそうなら先言っといてくれよ!はぁもういいよ、着いてくるんだろ!じゃあちゃんと名前考えないとな。


『ぅ、なんか変な感じ。ニ、着いて行っていいの?』


「はぁ、別にいいぞ。でも名前考えないといけないんだよ。」


『ぅ?』


 うーん、見れば見るほどネッシーってつけたくなるんだよなぁ!やばい、どうしよう、ネームバリエーションが思いつかない!えぇいままよ!


「・・・よし、ネティスって名前でいいか?」


『ニがネティス?いいよ!』


----------

≪個体名が確定しました

ネティス・アルイン

種:レークロングネックアクアティックモンスターリザード≫

----------


 うぅん、思わぬところで一匹戦力追加?どうなんだろうか、なんか精神的にどっと疲れたし、耳も痛いので翻訳を切る。こいつの能力見るのは後でにしよう・・・

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