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ディヴィジョンマウンテン第87層

 タコ足集め一番の功労者であるベードどころか、フレウドすらタコは食べたがらなかった。作ったタコのマリネおいしいかったけどな・・・

 気を取り直して83層にと昇るけど、相変わらずの水場まみれ。これずっとベードが凍らせて進むとなるとやっぱ負担がやばそうだな。


「ベード、僕のウィンドウォークってやつを使えると思うから、それで一気に飛ぶんでもいいぞ?それか空間術を使ってもいいし。」


「ばぅぅ。」


「ベードがこのまま進むんでいいならいいけど・・・」


 ウィンドウォークは水場が多い場所ように一応調べておいた風術のスキルアーツの一つだ。ウィンドシューズと違って風を使って空を歩ける技らしいけど、ずっと掛けていられるわけじゃなく、大体5歩から10歩くらいしか持たないらしい。

 ただ、この階層あたりの魔物の資料を作ったらしいパーティーは氷術士がいたようで、ベードがやるように凍らせて進んでいたそうだけど。


「きゅきゅ。」


「え?ベードの氷術の練習にもなるからやらせるべきってか?うーん、それもそうか。」


 一気に大河や湖を凍らせるからかなり扱えてるようには見えて、実は前足の冷気放出しか使えていないってのはわかる。もっと使っていって他の技も使えるようになった方がベードとしてもいいんだろう。


「それじゃあこの83層の魔物もベードに頑張ってもらっちゃおうかな?」


「ばぅ!」


 任せてと言われちゃったのでなら任せちゃおう。83,84層も湖底で生活している危険度C級の魔物で、マウンテンレークフレッシュウォーターノーチラスという魔物らしい。資料通りならノーチラスはオウムガイのことだそうだ。

 なんか以前パソコンでオウムガイを食べてる記事を見た気がするけど、僕は食べたいとは思わないから食用としてじゃなくギルド用としての狩りになる。

 湖に差し掛かると、湖底に10匹の反応あり。ベードに伝えると貯めに貯めて右足の冷気を放ち、湖の半分を一気に凍らせる。氷が砕かれて反撃されることもなく、オウムガイたちは絶命してしまったようでサーチエリアの反応が消える。

 でも毎回のことだけど、湖を凍らせた後はベードが大きくため息をつく。やっぱり消耗が大きいんだろうな。ただ全部倒せたことを伝えたらちょっとどや顔を振り向かせた後、元気にまた走り始めたけど。

 オウムガイ狩りは84層を越えるまでの道中に通った湖が5つだったからその分だけになった。81,82層では湖に8回も差し掛かったけど、構造がだいぶ違ったな。もちろんまっすぐ進むのに大河には何度も差し掛かったけど。

 ベードに乗ってるから気が付かなかったけど、この辺の水階層は大河や湖の数からして明らかに下の階層よりも広くなってると思う。一応はここは山なのに下より広くなってるのはちょっと不思議な感じもするな。

 そんなこと言ったらそもそもこの構造がちんぷんかんぷんすぎるか。ダンジョンなんだし深く考えるのはやめておこう。ただ85層からはまた広くなってるんだろうと階段で休憩を入れておいた。

 それだけじゃなく、ここからは魔物の種類と大まかな姿形はあったけど、詳しいことはほどんど記載されてなかったってのもある。資料を書いたパーティーは氷術で89層までの魔物は何とか対処したようだけど、90層のボスに氷術が効かずに即座に撤退したとあった。

 85層から87層までの魔物は水生の魔物だけど大河の上を歩いてることもあるとあったけど、進んでいたら本当に川の上を悠々と歩いている姿を見つけた。

 体の上部は美しいほどの栗色の毛並みをしているけど、ちょうど半分から下は緑の皮膚に黒の斑点が付いたちょっと気持ち悪い見た目をしている馬だ。


----------

≪識別結果

マウンテンワイドリバーインバイトケルピー 危:C

山の大河に住む馬の姿をした幻獣。他の生物を見つけると自身の背に乗るように誘う。誘われるまま背に乗ると水に潜り乗ったものをおぼれさせる≫

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 おうふ、ケルピーの伝説そのままな感じの生物なのね。ただこの識別結果じゃ何か攻撃的なことをしてくるかどうかがわからないな。

 確かドロップは魔石らしいから肉とかおとすわけじゃないのかな?そもそも馬の姿はしてるけど、馬ではないんだろうか。

 なんてちょっと考えてたけど、とりあえずベードに処理できるかどうか試してもらうことに。オウムガイの時と同じように冷気を前足から大河に向けて放つ。

 すると水が氷るかのような速度で、水上の馬の姿も凍り付いていた。もしかして水でできた体だったのか?なんかそんな感じがする。

 時間がたつと馬の姿の部分の氷だけくだける。やばいかと思ったけど、こっちが襲われる気配はなし。ポーチを見るとケルピーの魔石が一つポーチに追加されていた。

 水生生物はとことん氷には弱いんだなと思いつつ、結局87層を越えるまでの道中のケルピーたちはベードがすべて片を付けてしまった。

 87層を越えた階段踊り場で、ベードは疲労感はあるけど満足げな顔でべったりと横になっていた。また夕飯は豪華にしてやらないとな。

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