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ディヴィジョンマウンテン第70層

 ダンジョンの階段踊り場からログイン。ダンジョン内でログアウトしたのはこれが初めてだったけど、レイトいわく特に問題は起きてないみたいだったし、攻略がきつくなってくるまではこのままダンジョン籠りで行くかな。

 朝食も済ませて65層に突入。資料によるとここからの洞窟には時折下に沈んで水の満ちた道ができるらしい。階段から出た空洞にも所々に深めの水溜まりができてるな。

 そしてその水の中に魔物の気配がある。気配を消してないと水から飛び出してきたり、水自体を使ったりして襲ってくるそうだけど、ベードのおかげでその点は安心。とはいえ一度は識別しておきたいし、素材もできるだけ種類があったほうがいいだろうからちょっとちょっかい出してみるか。

 水の中から追い出すのにウォータウォールを使って飛び出させると、ゾウガメのような大きさのカメが甲羅に首も足もひっこめたまま出てきた。


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≪識別結果

マウンテンケイブアクアティックプロテクトタートル 危:C

山の洞窟に住む水生の亀。かなりの硬度を誇る甲羅を持つ亀。自身の住みかとなる水場に寄ってきた相手には容赦なく襲い掛かる≫

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 その識別結果の通り、甲羅に篭ったカメにはダメージはほとんどないようだ。甲羅にこもったまま体の周囲に水の礫を作って正確にこちらに飛ばしてきた。それほど数はなかったのでベードがあっけなくかわしてくれたけど、あの状態のまま戦うとなると結構倒すのに時間かかりそうだ。

 カメが撃ち込んでくる水の礫や水の球は威力もそれほどじゃないのか、早さもそれほどなわけじゃないから、防ぐまでもなくかわせる。亀自身も動きが鈍いどころか、その場からほとんど動いてない。動いたのは僕たちが攻撃を打ち込んでずれた分くらいだ。

 途中油弾からの炎による連携も試したけど、水を操る魔物だから当然水で即消火されちゃったし、耐性をけずってもあんな風に対処されちゃ効いてるのかわかったもんじゃないな。

 一匹にどれだけの時間がかかったのか、空間掌握からのディメンジョンブレイクまで使い始めて、ようやく亀の甲羅にひびが入り、そのあともう一発はなったら甲羅ごと砕け散って消滅した。この耐久力は、さすがにめんどくさい・・・

 素材として甲羅が手に入ったけど、これはいい防具になりそうだな。とはいえさすがにもう一匹を狩りたいとは思えないな。


「ベードごめん。一気に68層までかけ抜けちゃってくれ。」


「ばぅ!」


 65から67層の3層分がこの亀の生息域なのでもうそこまで一気にベードに駆け抜けてもらった。途中水に沈んだ道とかも見たけど、ちゃんとそういう道をよけてのルート取りでベードは進んでくれた。

 絶対潜らないといけないような生成の場合とかあるんだろうか?68層69層でもしそうだったとしたら面倒だな。68層ではレイトもベードもそういう場所はなさそうだと言ってくれたので安心。でも向こうの階段には水のあるルートを通ったほうが一番早いそうだ。

 残念だけど、僕達は水を潜って進むのはあんまり向いてない。空間術で奥まで行ければいいけど、見たこともない場所、見えてない場所に飛ぶのは今の僕にはできない。見えてない場所でも行ったことのあるすぐそこくらいなら時間をかければ飛べるけど。

 そんなわけで少し遠回り気味のルートで進むことに、道中には当然この層の魔物に遭遇する。ここも水の中にいるやつばかりだと資料に書いてあったけど、陸地にも出てきてるんだな。


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≪識別結果

マウンテンケイブアクアティックコールアウトフロッグ 危:C

山の洞窟に住む水生の蛙。住処に侵入してきたものに水を操る力で襲い掛かる。自身の身の危険が迫ると叫んで周囲の同種を呼び集める≫

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 大きさ的にはレイト、モイザ、フレウドくらいの大きさだから、現実のカエルの大きさではないな。んで資料にもあったけどこいつの呼び集めがかなり厄介だそうで、今僕のサーチエリアに感じてるだけも目の前のを入れないで12匹、でも大体30匹くらいは呼び集めるらしいからもっと広範囲に呼び集めるんだろう。

 一匹一匹は危険度の割には強くないけど、集まった際には危険度以上と言えるので、追い詰める前に一気にかたをつけることが対処方法らしい。それならここでもディメンジョンブレイクで一気にかたをつけるべきか?

 なんて考えてたけど、ベードの影とモイザの糸が口と喉をぐるぐるにまいてふさぎきってしまった。もちろん拘束して逃げないようにもしてくれた。なるほど、あんな風に声出せないようにしちゃえば確かに怖くないな。

 僕とフレウドの風の槍先によって貫かれあっけなくカエルは消滅。ランスなら大丈夫なはずだけど、やっぱ炎だとモイザの糸に引火しそうだから一応風を使ったわけだ。

 そこから道中の陸に上がってるカエルだけ同じ調子で片づけていく。危なげなく進んでいけたので丁度昼頃に69層を突破、次は70層のボスエリアなのでしっかり休憩を入れておく。

 蛙のドロップは鳴き袋という膨らんだ風船みたいなものだった。破裂させるととんでもない音が鳴るらしい。そのまま使うなら耳のいい魔物とかには効くのかな?素材としての用途はよくわからないけど、武器にでも使うんだろうか?

 そして70層に入る前にフリップエリアを展開する。ここはボスとなる魔物のせいで洞窟内なのに雨が降っているのでその対策だ。そしてその魔物を発見。暗く深い緑色と淡い緑色がぐちゃぐちゃに混ざった変な肌をしたデブくてベードくらいには大きいカエルだ。そしてなぜか普通のカエル型じゃなく二足歩行・・・


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≪識別結果

マウンテンケイブアクアティックレインキングビッグフロッグ 危:B

山の洞窟に住む水生の雨を降らす大蛙。自分が過ごしやすいようにずっと雨を降らし続けている。雨を降らしている際はずっとのどを鳴らし続けている≫

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 雨を気持ちよさそうに受けながら立ちすくみ、ゲルロゲルロと喉を鳴らしてるのが聞こえてくる。もしかしてこの声をやませたら雨は止まるのかな?


「ベード、モイザ、僕が口と喉を塞ぐぞ!体は頼む!ソイルストリング、アンドバインド!」


「ばぅ!」「――――!」


 あの大きさだ、下のカエルと違って僕達3人でも防ぎきれるかわからないけど、やってみる価値はある。大ガエルが伸びてきた影と糸と土に気づいて、僕達にも気づいたけどもう遅い。すでに拘束は開始してる。ベードが下半身を、モイザが上半身を、僕が喉と口を抑える。

 ぐるぐるにされてもがき苦しみ始める蛙だったけど、雨は残念ながら止んでない。いや、それどころか雨の色があの蛙の周りだけ変化し始めた。さっきまでは無色透明だったのがほんのりと黄色みがかった色になってる。

 その雨粒が僕の土やモイザの糸にあたるとジュッという音共に溶け始める。まさかあれ、酸の雨か!?


「フレウド!ぼさっとするな!攻撃開始!ウィンドランス!」


「ココ!?コ!」


 これはすぐにでも拘束解かれる可能性がある!少しでもダメージを稼ぐために風の槍先をぶつけていく。炎も土もこの雨の前じゃ威力減、水は雨が好きなやつに効くとは思えないから風で攻める!

 痛がるというか嫌がるというか、そんな風に体をよじらせながら酸の雨によって拘束が緩んだのか、一気に僕たちの拘束を弾き飛ばした。そしてゲルロと叫んだと思うと黄色の酸の水の波を僕たちに向かって放ってきた!


「こ、これはまずいだろ!フリップエリアで防ぎきれる量じゃないぞ!ベード距離とれ!」


「ば、ばう!」


 やっぱ転移には少し時間かかるのが難点だな!壁で防げるかも怪しい、自分だけの転移なら空間掌握からのショートテレポートもあるけど、みんなで転移するならこうするしかない!


「よく逃げ切った!スペースエリアコントロール!トランスポート!」


 できるだけまっすぐ長く空間掌握する。そしてトランスポートで一気に大ガエルの向こう側にと逃げる。大ガエルは向う側をじっと見てたけど、少しして僕たちの気配が後ろに来たのがわかったのか、のっそりとこちらに向きなおそうとしてる。


「さっさとケリつけよう!全員攻撃態勢!行くぞ、ディメンジョンブレイク!」


「ばぅ!」「――――!」「コ!」


 空間掌握したのはこの技にすぐにつなげるためだ!ベードは影を、モイザは粘土を、フレウドは風をそれぞれ槍先のような形で放つ。ベードの影の槍先はいつもと違い、しっかり槍先となって自身の影から離れて発射されていた。

 振り向いた瞬間だったからか、大ガエルはその攻撃を対処できずに全部真正面から受ける。ひるんだところにすぐに次を打ち込む!真正面からの再度のディメンジョンブレイクと3種の槍先が大ガエルに襲い掛かる。

 大ガエルもすぐさまそれに対処すべく、ゲルロと鳴き声を上げると自身の前に水の大壁が現れる。しかしその壁をディメンジョンブレイクはあっけなく切り裂いて大ガエルを切り裂く、そして数発の槍先3種も裂いた後に続いて大ガエルに突き刺さると、大ガエルは倒れて消滅した。


「はぁ、攻め切れてよかった・・・しかし、結構な距離空間掌握したからだいぶ疲れた・・・」


「ばぅ。」「――――。」「コ。」


「あぁ、階段でいったん休憩を挟もう。ベード、このまま運んでもらって大丈夫か?」


「ばう!」


 ありがとうと言いつつ、ちょっとベードに倒れこんでそのまま階段まで運んでもらう。少し疲れ気味だったけど、70層の祭壇をしっかり点灯させておいてから休憩に入った。

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