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王都でお買い物

 ベードとフレウドは帰って来て早々、レイトにずっとぐちぐちとあの動きは何だとか、拘束解除がどうとか言われて続けていた。そのせいかどっちもしょげまくっている。

 僕がよく頑張ったと声をかける暇すらなかったし、とにかくレイトをいったん止めよう・・・


「れ、レイト、その辺でいいだろ?昼飯にしよう?」


「・・・きゅ。」


 よし、なんとかとめれたな。さっそく軽めに昼食を作ってあげる。あげるついでに二人はよく頑張ったと僕は褒めておいたぞ。そして僕用に作ったサンドを食べながら従魔戦の続きを観戦する。

 あれから結構時間たっていたのもあって、すでに決勝組み合わせ戦が進んでいた。ベード達と戦っていたミノタウロスの二戦目が始まる所のようだ。

 すでにこのミノタウロスが一勝しているようで、この試合に勝利で優勝決定のようだ。そして優勝決定戦になるかもしれない相手がレイジウォータエレファントというグレーの象のようだ。大きさ的には現実のほうで動物園で見たインド象くらいかな?

 んで、もう一匹のこってきてたのはがテンペストグレートイーグルっていう鷲か。おそらくフクロウ戦のように斧投げで撃ち落とされて負けたんだろうな。

 さて、あのミノタウロスは象相手にどう攻め込んでいくんだろうか?でも象ってイメージ的には耐久力のある魔物なんだよな。保護術式の耐久力は同じだろうから、その点での有利はとれなさそう。あの体格だから場外に吹っ飛ぶということはないだろうけど。


「それでは中央従魔戦、試合開始!」


 開戦の合図と同時に象の鼻先がミノタウロスにと向き大量の放水を始めた。それもホースのような水の量じゃなく、ミノタウロスを丸ごと飲み込むほどの水量だ。

 さすがにそれを真正面から受けるミノタウロスじゃない。すぐさま横に避けるけど象はよけた方向に顔を動かして、水流を横に薙ぎ払い始める。

 水に追われる形になったミノタウロスだが、着地と同時に両斧を横に構えて、水流に向けて振りかざした。斧が当たった瞬間、バシャッと水のはじける音がすると、象の鼻元まであった大量の水流がはじけ飛んで雨のように降り注いだ。

 自身のとっておきの技を破られ、鬼神のような気配を持ったミノタウロスに一瞬にらまれ、象はびくりと体を震わせた。

 ミノタウロスが一気に懐にまで駆け寄る。掲げた鼻をミノタウロスに振り下ろした象だが、あっけなく斧で受け止められる。そのままま回り込まれ、斧の連撃をその巨体に受ける。その場を動かないけど、横の動きが遅いせいか全然ミノタウロスの動きに対処できてない。翻弄されるままあっけなく保護術式が破られてしまった。


「勝者フォーレッグミノタウロス!今回の従魔の部優勝はフォーレッグミノタウロスとなりました!」


 ミノタウロスが斧を掲げる。今頃会場は拍手と歓声でも上がっているんだろうか?観戦部屋に聞こえるのは映してるリング上の音と音声だけだ。

 まだ豪傑の部のトーナメントは続いてるようだけど、いったん観戦は満足したかな。まだ杖を新調してないからこのままだと一般の部の2回目の参戦も危うい気がするし、他の戦闘でもなんだかんだ杖があるとないとじゃ違うだろう。術法は杖なしでもできるけど、やっぱり近接戦になった時の保険はほしいところだ。


「せっかくの王都だいろいろそろってるだろうし、杖だけじゃなくいろいろ買うか。レイトは、一緒に行くのか。ベード、モイザ、フレウド、お前らはどうする?」


「ばぅ。」「――――。」「コ。」


 みんなついてくるみたいだ。それじゃあ宿で聞いておいた北のほうの商業者ギルドに向かうか。コロシアムを出たらそこから南にのびる大通りを歩いていく。

 しばらくすると聞いていた建物が見えてくる。すごくおっきいのですぐわかると聞いていたけど、本当にそうだな。

 見た目は巨大ショッピングモールという感じだし、建物内に直轄店が入ってるんだろうか?入り口が中が見えない硝子の扉だし、とりあえず入ってみよう。


「いらっしゃいませ。王都北部商業者ギルドへようこそ。本日はどのようなご用件でしょうか。」


 入ると今までの商業者ギルドのように真ん前が受付で、受付の青髪のドワーフの女性が対応してくれた。


「すいません、ここの商業者ギルド直轄店は奥の扉からいけますか?もしくは扉を間違えたとか・・・」


「直轄店のご利用目的ですか。失礼ですが、商業者ギルドには加入していらっしゃいますか?」


「加入していますよ、えっと加入していないとはいれないのですか?」


「王都では商業者ギルドの加入が直轄店を使用する条件になっています。また、こちらの北部の直轄店にはさらに金商以上のランクが必要となります。ご確認させていただいてもよろしいでしょうか?」


「大丈夫です。お願いします。」


 北部ではってことは南部だったら加入だけが条件になってるんだな。金商でよかったな、南まで行かなきゃいけないところだったよ。そうなったらなったで行ってただろうけど。


「はい、確認しました。金商のスクーリ様ですね。奥へどうぞ。」


「ありがとうございます。」


 そういえばコロシアムから仮面つけっぱだったな。視界が悪いわけじゃないし、別に外す必要もないか。受付奥の扉に案内されて入っていくけど、入った先で僕の案内を変わるためか、待機していた青髪のドワーフの男性の人が僕の後ろを見てぎょっと驚いた。


「えっと、どうかしましたか?」


「あ、いえ、すいません。従魔を連れてこられる方は時折いるのですが、気配を消されていたようで気が付くのが遅れて驚いてしまいました。申し訳ありません。ここからは直轄店が広いのでわたくしデリケスがご案内させていただきます。」


「えっと・・・なるほど、よろしくおねがいします。」


 言われた通り並みのショッピングモールよりも広い。なんか奥行きが外観よりも広そうに見えるし、すぐ横に上だけじゃなく地下にも行く階段が見えた。


「本日はどういったものをお探しでしょうか?」


「実は今愛用してる杖が昨日の一般の部でかなり消耗してしまったので、修復までの予備か、またはもっといいものがあったら買い替えようかと思ってるんです。」


「承知しました。では、その杖を見せてもらってもいいですか?もしくは杖の種類をお教えください。似たような杖のほうが扱いやすいでしょうから、そういった杖を取り扱っている場所にお連れします。」


「なるほど、確かにそうですね。今使ってる杖は活性樹の杖です。」


「おぉ、耐久値の回復する杖ですね。杖自体の威力や耐久値が落ちてしまうのが難点ですが、そういった杖を扱う店がありますのでお連れいたします。」


 デリケスさんについて二階にと上がってすすんでいく。横を見るとブースみたいになっていて上部に取り付けられた看板から剣や斧や槍などいろいろ扱っているのがわかる。

 それも剣もダガーのような小ぶりの剣、中世のロングソードのような扱いやすそうな剣、大会でも見た大剣など細かい分類でブースが分けられてる。かなりの種類があるんだろうか?


「こちらのブースが耐久回復効果を持つ杖を扱うブースです。ごゆっくりご確認ください。」


 しばらく歩いて緑のオーブのような球体が付いた杖の看板のブースにと案内された。中を見るとかなり細かく分類されてる。同じ活性樹の杖でも質4Cから5Aまで質違いで用意されてるし、活性樹の杖に緑の球体が先端に組み込まれた杖も扱ってる。杖の名前表記を見ると活性樹と活性のオーブの杖と書いてある。


「この、活性のオーブのオーブというのはなんですか?」


「そちらは王都より北部の魔物の一部が落とす素材ですね。活性のオーブ以外にもいくつか数の取れるオーブを取り扱っていますよ。活性のオーブを装具に使用すれば自動的に耐久を回復する効能を得られます。

 ただしそれほど強い効能ではないので、消耗の激しい武具にはあまり好まれませんね。杖ですと術法使いの方が自身の術法を扱いやすくするため、もしくは急な相手からの攻撃を一瞬でも防ぐために使用する程度なので、こうして組み込んだ商品を取り扱っております。」


「なるほど、ありがとうございます。」


 回復が早まるってことだろうからオーブが付いてる杖のほうがいいだろう。先端が大きいからか、威力も少し高くてダメージも期待できそうだし。

 いろいろ杖を見てたけど、一種類の杖が目に付く。生命脈動樹と活性のオーブの杖というやつだ。これだけ他と違って質違いの杖がなくて、しかも7Gという今まで見たことない7の質が明記されてる。


「それに目を付けましたか。そちらは王都北西に生えるという世界樹の木の周囲にある生命脈動樹を使った一品です。元の素材が7Eの品質ですが、そのレベルになるとやはり、杖に加工する際にどうしても品質劣化が起こってしまいます。

 活性のオーブを組み込んだことでようやく7Gの品質にまで上げることのできた商品ですので、お値段のほうがかなりの額になってしまいますが・・・」


 横をちらっと見ると生命脈動樹の杖が並ぶが、一番質の高いのでも6Bか。そっちも十分高いけど、今僕の目についた杖は300万リラととんでもない額だ。正直杖一本でそんなにしていいのかと思うけどお金は足りちゃってるんだよな・・・


「・・・これをいただきたいです。」


「毎度ありがとうございます。ではわたくしの証明と重ねてください。」


 支払いは付き添う案内役の人がそのまま受け持つってことか。それで水晶がどこにも置いてないんだな。僕の証明と重ねることで支払い終了。デリケスさんが展示ケースから杖を取り出し、僕に手渡してくれた。

 おぉ、活性樹の杖と大きさは変わらないけど、少しずっしりと感じる。先端の緑のオーブを覆うように少し赤みがかった生命脈動樹がまとわりついてる感じもいい。

 高い買い物だったけど、いい買い物をしたと思う。しばらくはこれを使っていこうじゃないか。腰につけて歩いてもいいけど、邪魔になりそうだし今はポーチに入れておこう。


「杖のほうはご満足いただけたでしょうか?他にご入用の物はありますか?」


「うーん、今のでだいぶ持ち合わせ減っちゃったんですけど、一応食材系を見せてもらいたいですかね。」


「かしこまりました。食材系は地下になりますので少し歩きますが、ご了承ください。」


 僕は小さくうなずいておとなしくついていく。杖だけでもこれなんだから食材も期待しちゃうところだな。ただいくらいっぱい持ってるからって、これ以上の散財は控えないと、現実にも影響出ちゃいそうだな・・・

 だから食材はある程度見るだけ、ちょっと見てみるだけだからね。

杖の種類名を決めるのに時間かかりました・・・

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