観戦
12番の観戦部屋に戻ると、ベード、モイザ、フレウドだけでなく、レイトまで僕をねぎらってくれた。嬉しかったけどちょい疲れ気味だったのでソファーでゆっくり座ることに。
そのまま北東のリングの観戦をする。僕に勝った虎のビスタの人は次の試合で炎の術法使いにあたったようだけど、相手の先制の炎の波をうまく上空にかわして、そのままの勢いで相手の懐まで近寄りあとはあっけなく勝利した。
僕も戦闘で思ったけど、やっぱりもっと接近されたときに術法がすぐ使えない場合の対策をもっとしたほうがいいな。とはいえ、近接練習するにしても今の杖はしばらくは使えない。
ひびが入ってて今にも壊れそうだけど、耐久度10くらいが一応残ってる。少しずつ回復するから、それまでは別の杖を探さないといけないな。今日はベード達の試合観戦もあるし、早くても明日の用意になる。それまではもう一回の参戦は控えよう。
先になるフレウドの出番までもうしばらくあるからと、ここからそっと虎の人を応援するかなと思って見てたけど、5戦目前から明らかに疲労が見え始める。4戦目のレイピアのような武器を持った人との打ち合いが結構長かったもんな。
そしてその5戦目の人は樹術を使う人のようで、リング上のいたるとこに背の高い木の棘をはやしていく。虎の人が慌てるように相手方面へと突っ込んでいったけど、なぜか少し形の違う地面から生えた木の一つが術者の前に生えてくる。
虎の人はその木に向かって思い切り爪を振りかざしてしまった。感触で気が付いたのか、慌ててもう一度相手に追撃使用したけれど、伸びた木につかまって、そして場外まで運ばれてしまった。
よく見ると、さっき殴られた木は少し人型をしてる。なにか幻術的な技も使ったんだろうか?ここからじゃさすがにわからなかったな。それにしても4勝か、残念だったな・・・
生やされた木の棘たちは消えず、次の試合まで維持し続けるつもりのようだ。そういうのもありなのか?とがめられてないし禁止事項にはなかったからいいのか。試合開始の合図とともに相手の剣士に対して木の棘を襲わせながらポーションで回復を始める。
そして3本ものポーションを消費した後に、インターバル終了と言わんばかりに相手の剣士の人を木でつかんで場外にと放りだした。そっか、ぎりぎりになる前から回復していけばよかったのか。
斧を投げてきた人くらいで魔素が減ってるという感じあったから、あの場面で回復しておくべきだったな・・・いや、思わずすぐに斧返しちゃったから回復する暇はなかったか。
樹術のあの棘はかなり持続が長くて厄介そうだなと思ったけど、その次の相手に炎術を使う相手にあたる。すべての木々が燃やし尽くされてなすすべないままあっけなく敗北する。当たる相手の悪さとかも考えるとやっぱり対策を練れない状態での7連勝は厳しいな。
トーナメントのほうは表の端と端から始まってるから、前の試合、次の試合をしっかり見れるようになってるようだ。次の試合までのインターバルも長いし、勝った相手の対策は練れるってわけだな。
まだ全部の第一試合が終わってないけど、すでに昼飯時だ。キッチンスペースも用意されてるから、ここで飲食していいんだろうし、作り終えたら食べながら豪傑の部の様子も見てみるか。
「レイト、ベード、モイザ、フレウド。みんないつものでいいか?」
「きゅ。」「ばぅ!」「――――。」「コ!」
「フレウドは油を要求しないでくれよ、炎術か風術で・・・って今の状態じゃまだ回復しきってないから勘弁してほしいな。しょうがない、唐揚げにして残りの油でいいか?」
「ココ!」
丸々鶏のから揚げ使用後の油を飲み干すんだろうけど、同じような鶏種のフレウドはそれでいいんだろうか。ちょっと不安にもなるけど、本人がいいならいいか。
下味はつけておいてある鶏肉を取り出して、片栗粉をまぶしてあげていく。カラっと揚げるのはちょっと面倒なので、今回はジュワリと美味しい感じに仕上げる。
僕の分はから揚げにマヨをかけてを白パンにはさんだシンプルなもの。みんなの分も作って、フレウドには油鍋をそのままどうぞと脚立を置いておく。
さて、豪傑の部のトーナメントはどんな感じなのかな?南西のリングにしてみると、今出てる人はどちらも近接系の人のようだ。片方は人の背の2倍はあるだろう大槍を軽々と振り回し、片方は斧槍でそれを何とかいなしている状態だ。
一般の部の参加者や、斧槍もちの人と違い、大槍もちの人の防具は鉄製のようなまさしく鎧と言える防具だ。頭も兜で覆われているから槍の騎士と言うにふさわしいだろう。
でも防具の差はこの防護の腕輪の防御に関係あるのだろうか?関係ないからこそ軽装の布っぽい服装や皮鎧程度の人が多いと思ってたんだけど。
でも大槍もちの人は鎧を着ていないかのように素早い身のこなしだ。あの大槍を軽々と使いこなす身体能力があるから、それくらい当然なのかもしれないな。
いなし切れない攻撃が何発かあたっていたのか、大きく崩れたところを一突きして防護が壊れ、大槍もちの人が勝利した。頑張ってはいたけど実力差が結構あったな。
もう一方のリングも見てみると、真っ赤なドレスのような装備に身を包んだ人が皮鎧の戦士風の人を手に持った長い鞭で器用に縛り付けていた。戦士の人が持っていたであろう斧はリングの端っこのほうにと飛ばされていた。
少しすると防護が壊れて、鞭の人はあっけなく勝利した。顔に蝶の面をしてるから、しっかりとはわからなかったけど、どこか残念そうな感じで拘束を解いていた。
こっちはあれだな、実力差が開くととにかくつらそうだ。一般の部は相手の疲労度、相性、対策次第では勝てることもあるだろうけど、こっちはどっちもある程度の戦術ばれした状態での戦いになる。本気を隠してなんてできるのは本当に強い人だけだろうし。
うーん、でも強い人の戦いから学べるところもあるかもしれないな。ちょっとフレウドの試合まではトーナメントのほうを見ておこうかな。
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