対決 4人の一般の部の参戦者たち
息つく間もなく、2戦目の人がリングにと上がってくる。お相手はあの深くかぶったフードの人、服全身が濃い青という感じでちょっと不審者感があって怖い。もち武器は二刀の短い刺剣のようだ。
「それでは北東リング、試合始め!」
試合の合図とともに一気に駆けよってきた。そりゃ近接武器だから当然か。ちょっと風の人のまねごとだけどこれが一番効きそうだな。
「フレイムストリング、そしてバインド!」
ちょうど僕たちの間くらいで20本の炎の紐をリングから延ばし、一斉にからめとるように動かす。一瞬驚いたけど、素早い動きですべての紐を切り飛ばしていく。
全部対応されるとは思わなかったけど、隙だらけだね。フレイムランスレインの準備が整っちゃったよ。杖を振り下ろすと同時に空中より炎の槍の雨が降り注ぐ。
いくつか打ち返しつつよけようとしてたけど、数発は体に直撃して防護の腕輪の耐久を削ったようだ。畳みかけるように逃げ場の少ないフレイムウェーブを放つ。さすがによけきれずに炎の波に押し込まれて行って、場外に押し出そうと思ったけどその前に防護が壊れたようだ。慌てて止めたけど、大丈夫かな?
「防衛者勝利!よく止めてくれた。」
係りの人が出てきて相手に駆け寄る。どうやら大丈夫だったようだけど、かなり悔しがりながらリングを後にした。一応ここまでは予定通りだな。近接の人が来たら炎をこうして徹底して使うことで、僕が空間術と炎術の二つがメインだと思わせる。
いや、実際の戦いでもその二つばかり使ってるけど、水、土、風の対策は怠るんじゃないかな?あとは魔道石を使われた時どうなるかだな。
次の試合の人は大きな鎌の武器を持ってる。皮鎧を着てるから死神らしさはあまりないけど、鎌自体は死神の鎌って感じだよな。
「それでは北東リング、試合始め!」
僕が開幕拘束のための炎の紐を出し、その対応中に炎の槍の雨を降らせるというさっきと同じ戦法をとった。でも懸念してた通り、槍の雨は魔道具を使って防がれてしまう。
しかも、槍の雨に意を介さずこっちに近寄ってきてるし、なんてやつだよ!ダメだ、フレイムウェーブは間に合わない。杖の先にフリップスペースを作り、相手の鎌が振り下ろされるのに合わせて、鎌に向けて思い切り振り上げた。
ガキン!という音とともに思い切り鎌が吹っ飛んでいく。鎌は場外にキレイに突き刺さり、相手はそれを見て両手を上にあげた。
「降参だ。あれが無きゃ俺はやってられん。」
「防衛者勝利!」
肩を落としながらリングから降りて鎌にと向かっていった。思ってる以上にうまくいってよかった。けど今ので杖の耐久度が一気に減っちゃったな。治るスピードはじわじわという感じだから、下手に使うと壊れちゃうかもしれないな。
予備の杖を持っておくんだったかな。もう一戦は持つかもしれないけど、念には念を込めておこう。代わりにスペースボールを使っていこうかな。
攻撃的な空間術ももう少し覚えておいた方がいいかもしれないな。王都の図書館にならそういう術法も記載されてるかな?とはいえ発動出来るか分からないし、今は今ある技で対応したほうがまだいいだろう。
折り返しになる4戦目に出てきた人は武器を何も持ってなかったけどどうやら水術使いだったようで、僕の炎の紐をあっけなく水流でかき消した。そのまま僕のほうにまで水流は来たけど、なんとか転移が間に合った。
相手の真正面から弾き飛ばすスペースボールを放つ。至近距離からそれが直撃した相手は場外へと吹っ飛ぶ。防護以外に防がれた感じは無かったけど、フリップスペースよりもやっぱり飛びが悪いな。
「防衛者勝利!」
5戦目の相手は小柄だからドワーフなんだろうけど、なんかおっきい斧を横持ちしてて、すごく嫌な感じがする。
「それでは北東リング、試合始め!」
開幕の合図とともに体をぐるんとまわして、その大斧をこっちに投げ飛ばしてきた!まじか!
「と、トランスポート!」
慌てて投げられた大斧を転移させた。転移先は相手の真ん前だ。今まで相手の前にやってた癖でついそうしたんだけど、そのままその大斧が相手に直撃してしまった。
バリンッという激しい音が鳴って大斧は砕け散り、相手の防護もくだけていたようだ。
「防衛者勝利!」
相手は少し唖然とした表情を浮かべていたが、少し考えるようなそぶりを見せつつリングから降りていく。あれか、転移は僕自身しかしてなかったから自分しか転移できないと思ってたのかな?
というか、斧壊れちゃったことはいいのかな?それとも投げて壊れるっていう斧なんだろうか?
なんにせよこれで5連勝だ。あと2試合、試合としてはかなり速い流れだけど、少しばかり疲れてきたかもしれないな。もちろん休憩の間はほぼないから、気を引き締めないと。
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