対決 本の風使い
18人待ちということは結構待つのかな?それともサクサク終わるかなと考えつつ部屋で観戦を再開。
剣と槍の人の打ち合いはどうやら槍を持ってる人に軍配が上がったようだけど、そのあとに来た小斧を持った人にかく乱されて槍の人は敗北。
突風使いの人も残ってたけど、相手がなんかの魔道具を使用したっぽい?風が逆向きになって襲い掛かって自分の風に自分が飛ばされて敗北。
というか魔道具の使用もありなんだな。あんな反射みたいな魔道具もあるなら、こりゃほんと勝ち残るたびに不利になりそうだな。
魔道具を使った人はそのあと剣と盾を持ってたけど、次の相手が大盾と槍を構えた人になって、上手く攻めきれず、盾を縫うような槍さばきで護り切れずで防護の腕輪を消耗してしまい敗北。
近接対近接は結構時間かかってるな。術法使いが出ると試合前から大きな一発を出す準備をしてから始まるからか、その一発で試合が決まることが多い。
もう一つのほうで槍を持った人と、すでに一勝してる本を持った人との対決が始まったようだ。相手の動きがわかってても近接だと術法相手にはつらいかな?と思ったら開始の合図と同時に片手に槍を持ち直し、もう片方の手を前にとつき出すと、すさまじい水流を相手にと向かわせた。
本の人は慌てずに自分が詠唱してたのであろう風の矢の雨を相手の頭上から降らせ始め、そのあとで即座に風の壁で水流を防ぎ始める。
フレウドとは段違いの量の風の矢の雨が降り注ぎ続け、槍の人は槍で撃ち落としたりよけようとしたりと善戦してたけど、水流がやんだところで本の人から飛んできた数本の風の槍先をもろに受けて防護の腕輪の防護が砕かれる。
開幕良い攻めだったけど、相手が悪かったなぁ。悔しがってた感じ、攻めと守りを同時にされたのは予定外だったみたいだ。一個前の試合見れてなかったけど多分、矢の雨しか使ってなかったのだろう。
おっと、トーナメントと従魔の組み合わせ戦のほうも始まったのか。初めはゲイルエクエストリンホース対ナイトフライグレートオウルか。これは他でもよくある組み合わせになりそうだし見なくていいや。
トーナメントの人数も結構なもので60人もの参加者がいるようだ。一般の部の参加者に比べれば少ないほうなのかな?
トーナメント表の端と端の2試合が同時に始まる。これ、二つの会場を見るってできないのかな。二つの画面をちらちら切り替えてたら、モイザが近寄ってきてトーナメント戦のエリアになる南側二つをセパレートで見れるようにいじりなおしてくれた。どこにそういうボタンあった?え、ここ?あ、ほんとだ。
さて、トーナメントの試合を見てと思ったら、もう僕の腕輪黄色くなってる!しょうがない、さっきのところ戻ろうかな。
参戦受付のところに戻ると、係の人が8人に増えてた。それでもちょっと対応待ちになったけど、すぐに僕にも対応してくれる人が来てくれた。
「腕輪が黄色ですね。かしこまりました。中に試合内容を見れる魔道スクリーンが二つあります。どちらかを見る椅子に会場側から順に座ってもらっていますので、それにしたがってどちらかにお座りください。」
「なるほど、わかりました。」
案内された中に入ると左右にスクリーンがあって、その前に五人掛け用に区切られた長いベンチが置かれている。左と右どっちも3人座ってたけど、丁度右が一人ずれて2人になったので、そっちに座ることに。
座ったら隣の人にちらっと眼を向けられたけど、すぐにその人はスクリーンのほうに向きなおした。まぁ勝てれば僕と当たることになるし、気になるよなそりゃ。
僕も僕でちょっと隣の人を見ちゃってたけど、スクリーンに集中しよう。こっちは北東方面か、さっきの開幕に風矢を使ってた人のほうだな。まだ残ってたのか、これで4連戦目のようだ。
今度も開幕に風の矢の雨を展開。すかさず背中に弓を背負った人は何か魔道具を掲げる。すると風の矢の雨は空中に展開された見えない壁によって防がれ始める。反射できる魔道具ではなかったのか。それじゃあきついんじゃないかな?
やっぱり矢の雨を降らせ続けながらもすぐさま別の技を出そうとしてる。気づいたのか片手で腰の矢筒から矢を一本取り出して口に咥える、さらに背負った弓を取り出して、そのまま右手で弓を構え、口で弦を引っ張り、矢を放った。
綺麗に相手を狙う矢だったし、動きも悪くなかったけど、さすがに真正面から一本じゃ避けられる。追撃できず相手の風の紐が弓の人を拘束し、そのまま場外にと投げ飛ばしてしまった。芸達者だなあの人、厄介な相手になりそうだ。
次に試合となる人が立ち上がるけど、息をのんで肩慣らししてる。どう攻略するかいろいろ練っているんだろう。さらにポーチから出した手持ちの魔道石を見つめている。
意を決めたのか会場にと歩いていく。おっと僕も席ずれなきゃ。画面集中してたから気づかなかったけど、すでに横に二人座ってる。
隣の人なんかフードを深くかぶってるせいか顔がわからない感じだな。あんまり顔を隠して参加してる人は見てないけど、僕も兎面かぶってるからな。たぶん認識阻害系のフードなんだろう。顔を隠してる同志がいてよかった。
おっと、試合が始まるみたいだな。一応の対策は思いついてるけど、それがうまくいくかはわからないし、すぐに対応されるかもしれない。
どうやらさっきの人も防御系の魔道具を持ち込んでたみたいだな。反射の魔道具は用意するのが難しいのかな?それか上空からのは反射しても意味がない?
上空からの風の矢は防げたけど、やっぱり拘束の風の紐がきつそうだな。片手の剣で何とか切り払おうとしてるけど、ついに足が捕まって動き回ろうとしてたからかその場に倒れこんでしまった。そのまま完全に拘束されて場外にと放り出されてしまった。
・・・よし、僕の番だな。あの人はこれで5連勝か。悪いけど、ここでとめさせてもらう。使えるものは全部使わせてもらうよ。ちょっと肩慣らししつつ杖を構える。狙うは速攻、決まらないとそのあと対処されちゃうと思う。
リングに上がるとわーっと歓声が響き渡るのが聞こえる。大丈夫、注目されてるのは他の試合もだろうし、僕は今スクーリだから。
「それでは北東リング、試合始め!」
試合開始の合図とともに、やっぱり僕のいる側に風の矢の雨を降らせてくる。でもそのあと何かするには、少し時間がいるだろ?こちらは準備済みだ!トランスポートで一気に相手の近くにと転移した。
「フリップスペース、インパクト!」
相手は驚きの顔をしてよける間もなく僕の杖先に込めた弾き飛ぶ衝撃をもろに受ける。インパクトって言ったのはなんとなくだけど、一気に吹っ飛んでいって場外にと吹き飛んだ。
・・・やばい、やりすぎた?大丈夫かと覗いてみたけど、座り込んで悔しそうな顔ではあるけど、ローブに傷の一つもついていないので大丈夫のようだ。
「ちょ、挑戦者勝利!」
「よし。」
場外狙いの一発勝負、上手く決まってよかった。防護の腕輪の防御性能は高いけど、こういう吹っ飛ぶとかに弱いのは突風の人で学んでたからね。この調子でガンガン勝利していくぞ。目指すは7連勝だ。