武術大会参戦登録
ログアウト中の現実でもログインしてからもまたそわそわしてたけど、お昼終わっても音沙汰なし。よし、僕が30層から探しに行って迎えに行くのがいいかな。まだ特訓終わってないのかもだけど。そもそも見つけるのに時間かかるだろうし・・・
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≪魔道具より通信が来ています:レイト・アルイン:通信魔道具をおとりください≫
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「んぁ!?」
何でレイトからの通信が来るんだ?通信の魔道具なんて持ってるはずないのに。いや、それより通信とらないと。
「えっと・・・レイト?」
「きゅ。」
「はぁ・・・ほんとにレイトがかけてきたのか。もうどうやったかとかは聞かないでおく。僕はどうすればいいんだ?」
「きゅきゅ。」
「ん、40層に来いって感じかな。わかった向かうよ。」
結構簡単な言葉だったぽいからさすがに大体わかった。通信終了してさっそく向かう・・・おっと、その前に。
「モイザ、レイトたちを迎えに行くけど、どうする?」
「――――。」
「おっけー、待機するのね。じゃあいってくるよ。トランスアルター、ディヴィジョンマウンテン40層。」
視界暗転して転移する。視界が開けるとぐったりした感じのベードとフレウド。そしてやれやれといった感じのレイトだ。
「おいおい、かなり二人とも疲労してるじゃないか。いったい何させたんだか・・・」
「きゅ・・・」
「いや、別にいよ。多分しっかり聞くとなると翻訳入れないといけないし。二人ともが歩けるならすぐにでも宿に戻るぞ?」
「ばぅ・・・」「こ・・・」
「よし、歩けはするんだな。んじゃ戻ろうか。リターンアルター。」
そうして今度は宿の祭壇にと戻って来る。ほんとにお迎えだけになったけど、僕としてはお疲れの二人には宿で一旦ゆっくりしてほしいところだ。
「きゅ。」
「ん?あいかわらず便利だって?そうだね、特定の場所か近距離なら転移できちゃうからね。ここから部屋にも飛べるよ。歩けなさそうならそれで飛ぶつもりだったかな。」
「きゅきゅ。」
「え、大会登録?休むのは大会登録してからってことか?明日もあるし、別に良くないか?」
「きゅ。」「ばぅ・・・!」「コ・・・!」
おっと、ベードとフレウドも疲れ気味ではあったけど、行く気満々らしい。なら大会登録に行っちゃうか。
フレウドは定位置のベードの頭上に乗っちゃうけど、ベードはそこそこ歩くんだよな。あ、そうだ、兎面をかぶってこれで良し。
「んじゃ行こうか。トランスロケーション。」
せっかく便利な転移があるんだからね。行先はもちろん王都の大神殿。視界が白転して視界が戻ると、豪華に飾り付けられた大神殿の内装の景色になる。特に僕たちが転移してきても神官の人たちは気にも留めていない。僕たち以外にも結構頻繁に転移場所として使われているからのようだ。
術式の書かれた床がそこらにあり、そこから神官たちの力を借りて数人でどこかに転移していく騎士風の人たち。その床が白く光を放ち、そこから帰還してくる6人の集団、あれは多分冒険者パーティーだろうな。
この大神殿じゃこうして転移するのは結構あたりまえのようだ。転移して戻ってきやすいと思う反面、人が多いからベード達のほうに目線が行くんじゃないかとも思ってたけど、でもあの冒険者風の人たちも特に気にしてなかったし、気配がわからないか、やっぱ従魔がいても気にしないかなんだろうな。なんか注目されたりは苦手だし、人混みはあれだと思ってたけど、以外と王都思ってるよりも過ごしやすいかもしれないな。
大通を通れば道行く人々は多いけど、通りの大きさがすさまじく広いから馬車4台がすれ違うみたいな変なことが起こらない限り、人が密集することもないだろう。
でかい従魔がいても平気なようにこの大きさなんだろうか。ベードに気配を出して歩いてみるかと尋ねたところ、レイトから特訓にならないとだめだしされてしまった。
なんてことがありつつ、コロシアムに到着。左側の受付は相変わらず人がいなくて、受付なのか一瞬わからないな。あれ、また、黒猫のビスタの人がいるな。
「こちらは従魔用の受付になります。申し訳ありませんが従魔参加以外のご用件は右受付へどうぞ。」
おっと、まったく同じ受け答えされちゃった。やっぱりベード達に気づいていないのか。
「すいません。従魔の参加申し込みです。ベード、気配を出してあげてくれ。」
「ばぅ。」
「・・・!これは、失礼しました。」
ベードの気配が出た瞬間、垂れ気味だった耳と尻尾がピクリと立ち上がった。ちょっと怖がらせてしまったか?すぐに元の形には戻るけど、ビスタの人はこういうところも敏感に動くんだな。
「こちらの水晶に従魔証をかざしていただければ参加登録されます。当日に保護結界を2枚かけさせていただいてからの参加になります。4種、または5種の組み合わせ式のルールになり、組の中で勝利数が一番多いと次の試合に行けます。今回の参加数から3回組み合わせ戦に勝利いただければ、最終戦になりますね。」
あれ、思ってる以上に従魔の参加者多いっぽい?こりゃベードもフレウドもかなり苦労するんじゃないか?
「わかりました。ありがとうございます。ベード、フレウド、従魔証を水晶にかざしてくれ。」
「ばぅ。」「コ。」
「あの、失礼になってしまい申し訳ありませんが、そちらの鶏の従魔も参加させるのですか?」
「そのつもりですけど・・・何か問題が?」
「いえ、そのサイズの従魔を連れてる方を見たことがなかったので、申し訳ありません。参加自体には問題ありません。従魔の方の試合時間についてはあちらの受付にて組み合わせ表をお受け取りください。」
そういえばそんなことどこかで聞いたことがあったような?基本従魔は乗る用に連れ歩くとかなんとか。そうだとすれば人が乗れるほどの大きさである必要あるもんな。
参加してる魔物が全部ベード以上の大きさってことか?危険度とかじゃなくってもしかしたら脅威度のランクの魔物ばっかりかもしれないな。フレウド、頑張れ!
って、僕も参加受付しないと。また10人ほどの列に並んで参戦受付をおこなう。そこでちょっと気が付く、観戦用の防護の腕輪をつけっぱなしだわ・・・
「それはつけておいて問題ありませんよ。参加者用の防護の腕輪から壊れるようになっております。万が一観戦用のほうまで戦闘中に壊れても、それはこちらで新たな腕輪をお渡ししますので。」
「なるほど、ありがとうございます。」
「開戦宣言は明日の受付終了翌日の光と土の刻からになります。一般の部は宣言終了後から三日間、参加者がいる限り続きますのでお好きな時刻にご参加ください。トーナメントと従魔戦については開戦宣言の後に組み合わせが発表され、光と樹の刻からの開始になります。お客様は12番室のお方ですね。組み合わせ表はお部屋の観戦切り替えの水晶からも確認できます。またコロシアム方面の入り口にも組み合わせ表が置かれているので、そちらでも確認できますよ。」
あれ、確認したときは組み合わせ表なんて項目なかったけど、後から出てくるようになるのかな?というか、入り口に組み合わせ表あったのなんて気が付かなかったや・・・
「了解しました。ありがとうございます。」
「では一般の部でのご健闘お祈りします。」
明日は盛り上がりそうだな。いつもは注目されるのはちょっと苦手だけど、なんか兎面かぶってるとそれほど気にならなくなってる気がするな。識別ではわからなかったけど、そういう効果もあるんだろうか?
まぁそうだったとしても、さすがにここでリターンアルターで転移して帰るというのもあれだしゆっくり歩いて帰ろうか。