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忘れ事その2

 呼ばれてきたからか、冒険者ギルドではすんなりアピエギルド長に通してもらえた。さて、何の用事なんだろうかね。


「あらら、ちょっとふてくされてるかしらー?あなたが商業者ギルドに依頼してた内容の報告があったみたいなのよー?」


「僕が依頼してた内容・・・?」


「忘れちゃったの?四色羊の赤羊毛と製作蜘蛛糸の合わせ布のことよー。」


 あぁあれか!モイザに言われて売ろうと思ってたけど、調べてからと思ってたらすっかり忘れてたな。そういえばほかにも使わないけど後で売るかなと思ってアイテムポーチ内に入れっぱなしなのがあるな・・・


「すいません、忘れてました・・・」


「あらら、まぁそういうこともあるわよねー。すでに王都に入ったみたいだけど、その前にこっちのほうに南の熊壁街の商業者ギルドから連絡が入ったのよー?ちょうどこっちに来ててよかったわー。」


「そうですね、来てなかった場合はまた王都の冒険者ギルドに回す感じだったんですかね?」


「そうなるわねー・・・王都の冒険者ギルドとはあんまり話したくないから助かったわー。」


「あんまり話したくないんですか・・・?」


「あ、それはどうでもいいのよー!それよりこっちでもらってる結果から話すわー。この布だと火属性への耐性がすごく上がるみたいなの。ちょっとやそっとの火じゃ全く燃えないみたいよー。四色羊からこれだけの素材を作り出すなんて、モイザちゃん相当すごいみたいね。それもこれ、進化する前のものでしょ?今作ったらもっとすごいことになりそうね・・・」


 おぉ、火耐性のある布になってるのか。それでローブとか作ってもよかったかもしれない?でもモイザは四腕熊の皮で作りたがってたから今はこれでいいか。


「それで、どのくらいのお値段になるんですかね?他にも素材があるので、ちょっと整理したいんですけど。」


「あらら、もし売るんであればこの街で売るといいわよー。王都よりは少しだけ高く売れると思うわよー。というかこの布だったら私が買い取りたいくらいかも。・・・うん、他の素材も合わせて買いとっちゃおうかしら?ちなみに南の熊壁街ではこの1枚に3000リラ出すといっていたわよ。この街だったらそうね、4500リラかしら。」


「え、そんなにですか?」


 ちょっと予想外の金額だな・・・そんなに高くても買い取りたいほどってことなのか。


「そうよー、それくらいが妥当かしらね。王都だと多分4000か3800リラくらいかしら。それで、他には何を持ってるのかしら?」


「布は四色そろってて50ほどありますね。他は使わなそうなのは普通の素材ばかりですよ。低級酸蟻の甲殻、舞踏猿の魔核が数個あるだけですね。あと素材ではないですが、自分の店で売ろうと思ってたモイザの作った毒対抗薬ならありますよ。」


「あらら、合わせ布結構な数あるのね。でも全部買い取るわ。リプレも喜ぶだろうし、うちの職員で使う人がいるかもしれないし。蟻の甲殻と猿の魔核はあんまり高くは買い取れないわね。甲殻が300リラ、魔核は500リラかしらね。毒対抗薬は見せてもらいたいけど、買いたくなっちゃうとちょっと合わせ布の出費があれだからやめておくわー・・・」


「わかりました。それじゃあこのポーチに入ってるので、確認してください。」


 そういってポーチを渡すと中身を確認して、自分のポーチにと中身を移す。そして僕が証明を差し出してアピエギルド長も証明を重ねてくる。また結構な額が増えちゃったなぁ。さて、取引も終わったので早く宿に戻りたいかも。


「あらら、ちょっとそわそわしてる感じねー?従魔の子をだれも連れてないのが原因かしらね?気になるなら早くお帰りなさい。ここで転移使っていいわよー。」


「すいません、ありがとうございます。」


 アピエギルド長にも言われて、ちょっと恥ずかしいけど、やっぱり宿に戻って早く祭壇の登録したいから、本当は教会に行ったほうが楽なんだろうけど、その場でトランスロケーションで王都に戻ることにした。

 王都の大神殿に戻ってきて早々に宿にと戻る。そして宿の牛の店員さんに祭壇の場所を聞く。祭壇は裏手の広い場所にと置かれていた。大きい従魔がいても平気なようになのかな?

 触れると青い炎が灯る。これでリターンアルターはこの場所になるはずだ。んで、今になって冷静に考えてみると、レイトたちを30層に送ったけど、僕が今から行ってもそこで特訓してるのか、降りたのか昇ったのかわからない。

 あいつらどう帰ってくるつもりなんだろうか?従魔だけで南門通過できるならいいけど、ダメだったら僕が迎えに行けばいいだけか?

 やばい、今になってあの時送ったのは失敗だったんじゃないかと不安になってきた・・・レイトがいるからよほどなことは起こらないはずだけど・・・

 部屋に戻ってもそわそわとしてたせいか、モイザが不安そうにこちらを見てきた。


「ごめんモイザ、自分のしたことがちょっと考えなしだったかなとね。」


「――――。」


「わかってる。レイトがいるから大丈夫だろうな。それでもちょっとね。」


 結局その日の夜まで僕はそわそわしてたけど、宿にレイトたちが帰ってくることはなかった。明日の昼までに戻らなかったら30層に転移してみるか。

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