武術大会ルール
翌日受付の牛のビスタの人に冒険者ギルド、商業者ギルド、そして武術大会の開催場所となるコロシアムの場所を教えてもらった。そして向かうのはコロシアムだ。付き添いに来たのはレイトとベードだけ。モイザは宿で生産活動、フレウドはまだ寝ていたので置いてきた。
そしてとりあえずついたのは北と南を大きく分断しているという門だ。この壁は南側の中央通りですでにうっすら見えてたけど、そういうことだったんだな。それでもこの分断してる門まででも北の熊壁街よりも広いんじゃないか?
それで分断門では普通に南門と同じようにちゃんと証明を使った身分確認をするようだ。再確認が必要なのかと思ったらそれだけじゃなく、南門では従魔証を水晶にかざしただけだったけど、こっちでは門兵の人による識別も行われた。
まぁそれは今までの街でもやってたことだから問題ない。でもなんかちょっと渋い顔をされながら通って良しと言われたけどなんだったんだ?
というか宿を出る前になんとなく兎の半面を付けておいたから、僕の名前スクーリで通っちゃったけど良かったのかな?まぁレイトも怪しいもんだし別に通れたからいいや。
分断門を抜けると街並みの感じがガラッと印象が変わる。南は今までの街と同じような木造の質素な家だったけど、こっちはなぜかレンガのような建物が多い。
頑丈そうながらもきれいな感じの街並みに感心しつつ大通を北に進む。
北の中央分岐部分に到着、少し前から見えてたけど、北に大きな城が見える。あれが王城なんだろうな。真っ白で美しさすら感じるけど、今の目的地はそこじゃなくってここから東のコロシアムだ。
こっちもでかいようでちょっと東側に向いたらコロシアムが見える。黄土色に染められたレンガつくりのコロシアムは、入り口以外はしっかり固められてるけど天井はあいてるっぽいかな?入り口付近には10人くらいの列が5列で並んでる。ゆっくり動いてるけどどうやら誘導してる人の声を聞く感じ、参加する人、観戦したい人、ルール確認などすべてあの受付で行っているようだ。
僕も並ぶけど、ベードには少しずれたところで待機してもらう。そうしないと並んでるとき邪魔になっちゃうからね。当然僕の後ろにも人が並び始める。こればっかりはしょうがない、自分が注目されてるわけじゃないし。結構列はかかったけど、ようやく僕の番だ。僕の並んでた受付の人は青髪のヒュムの男性だった。
「本日はレティス武術大会の受付に来ていただきありがとうございます。大会ルールの確認はなさいますか?不要でしたら観戦、参戦などの受付に入らせていただきます。」
「ルール確認させていただきたいのですけど、その前にレティスっていうのはこの王都の名前なのですか?」
「いいえ、レティスの名は50年ほど前にこの王都に飛来したアースエレメントドラゴンの討伐に最も貢献したという人物の名ですね。この大会はレティスの名のもとに始まった大会なのですよ。」
「なるほど、ありがとうございます。」
「ではルールの説明をさせていただきますね。まず大会には大きく分けて3つの部門があります。勝ち抜き続ける方式の一般の部、トーナメント方式の豪傑の部、そして組み合わせ式の従魔の部があります。
なお、豪傑の部の参加条件には冒険者ランクCが必要となります。参加条件に合わない場合は一般の部になりますのでご注意ください。従魔の部は従魔のみが参加できますので、従魔をお持ちの場合、参加させたい従魔を連れてきていただく必要があります。なお、従魔の参加の方は少し離れた場所で受付しております。」
なるほど、僕は今冒険者ランクDだから参加できても一般の部になっちゃうな。参加するかどうかは細かいルール次第だな。ベード達は参加したいかな?あとで聞いてみるか。
「まずは一般の部の説明から入らせていただきます。初めに言ったとおり勝ち抜き式の対戦となるため、参加者の方が勝てた場合には連戦となります。そして7連勝した方には特賞が与えられます。ただし、どんな相手にあたるのかはランダムになってしまいますが、当たる相手には戦術がばれますので、連戦を重ねるごとに厳しい戦いにはなるでしょう。1敗しただけで参加権を失うというのも厳しいので、唯一2回までの挑戦権が与えられてるのが一般の部の特徴です。そのために豪傑の参加条件を満たしていても一般の部で戦う方が多いですね。」
7連勝でようやく何か特別なものがもらえるのか。この感じだと住人の人とかもいっぱい参加するんだろうけど、どういう勝敗の付け方なんだろう?
「すいません、大会の勝敗の付け方や、試合での使用禁止なものがはありますか?あと処置の説明などをいただきたいのですが・・・」
「おっと、そちらが先がよろしかったですか、これはすいません。従魔を除き大会参加する方には防護の腕輪を付けさせてもらいます。その腕輪の防具性能が壊れる、または場外に足を付けた場合敗北となります。万が一に備え救護班もいますのでご安心ください。ただし、腕輪が壊れたのにもかかわらず更なる攻撃を故意に加えて相手を殺害した場合、その方は重罪人として処罰を受けることになり、当然ながら勝利を剥奪します。従魔の場合は保護術式を2枚かけた状態での戦いになります。こちらは相手の保護術式が1枚破壊したほうの勝利となります。2枚張るのは従魔をなだめるのに時間がかかる可能性を考慮してですね。なお、腕輪の防御性能、保護術式の防御性能を調べてからの参加もできますので、その際にはお申し付けください。
使用禁止なものはありません。従魔も参加する大会なので今年もおそらくかなり派手な大会になりますよ。先ほども言ったように勝敗決定後の戦闘行為が禁止なくらいですかね。」
「なるほど、ありがとうございます。腕輪や術式の耐久は確認はしたいですね、ぜひお願いしたいです。あと戦う場所の大きさとかも見れるんですか?」
「はい、見れますよ。他の部の説明はよろしいですか?」
「大まかな勝敗がわかれば大丈夫です。観戦の受付ってしておかないといけないんですよね?」
「そうですね、観戦席にもリング外周にも防御術式をかけていますが、万が一に備えてさらに参加者用よりは劣るものですが、防護の腕輪をお配りしております。腕輪を付けておいていただければ、一撃ならばほぼ耐えることはできますので。そちらが観戦用の証明にもなりますので当日までに壊れないようにご注意ください。」
なるほどそういう感じか。一応見たくなるかもしれないし、観戦の受付だけしておくかな。
「では観戦の受付をお願いしたいです。参戦するかは防護の腕輪の性能を見てから決めます。従魔ももしかしたら参加させるかもしれません。」
「従魔をお持ちなのですね、従魔が観戦する場合特別な観戦部屋の手配も必要になります。お値段が上がってしまいますがいかがいたしますか?」
あ、そりゃ観戦にお金とるよね。当然っちゃ当然か。どうするから、多分レイトだけならつれて入っちゃってもばれないかもしれないけど、ベードは絶対に一緒に見たがるだろうな。
「従魔も一緒に見ると思うので、観戦部屋をお願いします。」
「わかりました、10万リラになりますがすぐにご用意はありますか?」
「大丈夫です。」
「ではまだ空いていますので受け付けてしまいますね。12番の大観客部屋をお取りしました。こちらが観客用の防護の腕輪と部屋の鍵になります。コロシアム内でリングの大きさを確認していただくとともに、参加者用の防護の腕輪と保護術式の耐久テストもできます。また、外からでも入れるようになってますが、お部屋も確認してきてください。従魔の方が入れない大きさなのでキャンセルしたいという場合はお手数ですがもう一度お並びください。」
結構アフターケアもしてくれるんだな、ありがたい。支払いも済ませて、お礼を言ってさっそくコロシアム内にと入ってリングの確認をしに行く。5つのリングがあるけど結構広いな。真ん中のリングだけさらに大きいからここが従魔用なのかな?そしてリングを見下ろすように円状に広がる観客席が普通の観客席なんだろうな。
リング上に訓練所でよく見る十字の的が置かれている。真ん中のリングはどうやら保護術式の耐久テスト、他のリングでは防護の腕輪の耐久テストをしてるみたいだな。
数人だけど防護の腕輪のテストをしてるのが見える。剣で的を切りつけようとすると的はシールドと言わんばかりの球体に守られる。ガンガンガンッと数度切っているけど、なかなか壊れる気配はないようだ。
あっちではファイアボールかフレイムボールかを的に撃ってる。あれ、あの人どこかで見たことあるな?どこだっけ、忘れちゃったな。さらに水の球も併用しながら試して防護が壊れたのを確認すると結構悩んでいるようだ。
近くにいたスタッフ的な犬のビスタの人が近寄ってきて、的に乗ってた腕輪を違うものに交換する。防護が壊れても腕輪もすぐ壊れるというわけじゃないんだな。
僕も少し離れた的で防護の腕輪をお試ししてみることに。せっかく列待機終わってついてきてもらったけど、またベードには待機しててもらう。まずはフレイムランスを一撃放つ。防護によってしっかり守られたか。連続して15発当てたところで防護が壊れたので耐久的にはかなりあるようだ。
スタッフさんとして猫のビスタの人が腕輪を交換してくれる、ここにいるのビスタの人が多いのかな?偶然かな?まぁいいや他のも試してみようか。