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続きです。日常パートですがやけに長くなりました。

よろしくお願いします。

 

 響子さんが浮気じゃないからねと言っていた土曜日、私は午前中から溜まってしまった洗濯物をじゃんじゃんこなして、この際だから部屋の掃除と片付けを徹底的にやってやろうと汗だくになりながらその日を過ごしていた。


 洗濯や掃除をしていた間、私は物思いに囚われては振り払ってを繰り返していた。

 今朝、行ってくるね、帰ったら連絡するからねというハートのスタンプが付いた響子さんからのメッセージがあった。うん、気を付けてねとハートのスタンプを付けて返したけれど、実はこの一週間、毎日一度は必ず響子さんからメッセージが送られて来て、私たちはこうしたやり取りしている。私はこれはもう恋人でいいんじゃないかと思っていて、明日響子さんにもう一度きちんと告白してみようかななんて思っていたりもしているけれど、急に訪れたこの幸せな関係が再び元に戻ってしまうのが怖かったりもするのでどうするべきかと悩んでいる。



 真夏に部屋の片付けとか馬鹿じゃないのと途中で気付いたけれど散らかしたまま止めるわけにもいかず、私が全てを片付けて汗だくの体をシャワーで流し、冷房の効いた部屋で一息ついた頃には夕方5時になっていた。


 私は幾度となく繰り返した物思いを一旦脇に置いて、さて夕飯をどうしたものかと考える。冷蔵庫にあった食材はお昼に刻んで炒飯にして食べてしまった。あるのは野菜ジュースと水とアイスコーヒー、冷凍庫にジャイアントなコーンひとつと、戸棚にあるトマトとチリ味のカップラーメンがあるのみだった。食材を買いに行こうかとも思うけれど明日は響子さんの家にお泊りするのだ。平日はほとんど料理をしないので、足の早い物はもちろん、そうで無い物でも買い込むことは気が引ける。そうして考えた結果、駅の向こうの商店街まで行って美味しいと評判の総菜屋さんの竜田揚げとサラダを、パン屋さんで明日の朝食のパンを、それからどこかで少しのお菓子を買ってくることに決めた。それを肴にお酒を飲みながらぼーっと過ごして響子さんからの連絡を待っていることにした。


 紺色のカットソーとクリーム色の七部丈のパンツに着替え、トートバッグに財布とスマホとハンドタオル、それから一応タバコも入れて、UVカットの伊達メガネを掛けてキャップを被り、定番の白地に緑の三本線のスニーカーを履いて部屋を出ようとドアを開けた。するとさっきまで晴れていた空に西の方から厚い黒雲が広がっているのが見えて若干涼しい風も吹いている。ひと雨来そうだし、もうカップラーメンでいいかなと思ったけれど、買い物して帰るまで30分も掛からないのだからと思い直して、折りたたみ傘をバッグに突っ込んで家を出た。



 アーケードがある商店街でお目当の物を手に入れた私は部屋へ帰ろうと歩き出した。するとアーケードの先の小さく見える空に黒雲が重く垂れ込めて外がかなり暗くなっているのが見えた。さらにひんやりとした強い風が商店街を吹き抜けて雷がかなり近くに聞こえてきた。


「やばいなぁ」


 ここから部屋までは信号に引っかかったとしても10分も掛からない。もうすぐにでも雨が降り出すかもしれないと思ったけれど、私はゴリラゲイ雨には少々頼りない折り畳み傘を手にしてすたすたと歩き出した。


「ふふふ。ゴリラゲイ雨」


 それにしてもゴリラゲイ雨だなんて、誰が呟いたかは知らないけれどなんか面白いわと私は顔をニヤつかせた。


 雷と冷たい風が吹いているなか、私が順調にアーケードのある商店街を抜けて目の前にある駅前のバスターミナルを迂回するように進んだところで、大きな雷の音とともに大粒の雫がポツリポツリと落ちて来た。瞬時に考えた結果、私は商店街まで戻ることに決めた。今降り出したのだから後30分は止まないと踏んで、直ぐ先にある駅でぼーっと止むのを待つよりもアーケードのある商店街で時間を潰そうと思ったのだ。すると、私が来た道を戻ろうとしたところでいきなり激しく降り出したので商店街に走って戻るたった30秒くらいの間でもそれなりに濡れてしまった。


「あーあ。濡れちゃった」


 私は濡れたところをハンドタオルで適当に拭きながら、やはりこのゴリラゲイ雨ではこの折りたたみ傘ではどうしようも無かったなと思いつつ、急な雨で身動きの取れなくなった人や雨から避難してくる人で混雑してきたアーケードの入り口から奥へと進んでいくことにした。それからほんの少し歩いたところでお二階へどうぞという喫茶店の看板を見つけて、私は迷わずその看板に従った。




「ナポリタン……」


 席に着いて渡されたメニューを開くと私を誘惑してくるものがあった。私を食べてと大きな写真で乗っている昔ながらのナポリタン。私はトートバッグに入っている竜田揚げとサラダのことを考えて我慢しようとしたけれど、私の中の小さな私がこう言ってくる。


  大丈夫よ、私。だって竜田揚げは冷蔵庫に寝かせて明日響子さんの家に持って行けばいいのだし、1日寝かせた竜田揚げはそのまま食べても凄く美味しいのだから。きっと響子さんは喜ばないと思うけれど、それなら私が食べれば済む話よね。それにサラダは後で部屋に帰ってから食べればいいのだから何の問題もないじゃない。


 なるほど。私はリトル麻衣子がそう言うのだからと納得して、ナポリタンとアイスコーヒーを注文した。

 その際、セットにするとドリンク代が安くなってサラダも付いてお得ですよと言われてしまった。当然サラダは有りますと言える訳もなく、私はじゃあそれでお願いと頼んでしまった。去っていく店員さんの後ろ姿を見ながらタバコに火をつけた私は少しだけ負けた気がした。



 私が先に来たアイスコーヒーをちびちび飲んでスマホをいじっていたら思わぬ人から声がかかった。本当にまさかの人達だった。


「あの。もしかして麻衣子さん?」


「えっ。あ、広子さん。それに美冬さんも」


 名前を呼ばれて顔を上げた私は、その女性達を見てとても驚いた。広子さんとその恋人の美冬さんが私の席の側に立っていたのだ。ふたりとも私かどうか確信を持てなかったらしく、私の顔を正面から見てほっとした顔をした。


「やっぱり麻衣子さんだった。でも驚いた。こんな所で会うなんて。ね、美冬」


「ほんと。ビックリしたね」


「私も。ねぇ、もしよかったら一緒に座らない?」


「いいの?じゃあ、失礼して」


「麻衣子さん、久しぶりだね」


 私が向かいの席に手のひらでどうぞと誘うと、ふたりはそう言って並んで腰を下ろした。


「帽子と眼鏡で変装してるから自信なかったんだけど、本物だったよ」


「変装してると雰囲気全然違うもんね」


「ふたりとも、コレ変装じゃないからね。一応紫外線対策なのよ」


「外、大雨だよ?」


 私が知ってるよと言おうとすると店員さんがやって来て、お待たせしましたと私の前にサラダとナポリタンを置いた。立ち昇る湯気がケチャップの匂いを漂わせて食欲をそそる。私は勿論のこと、ふたりもナポリタンに釘付けになっていて、広子さんは美味しそうと言って、美冬さんはなんか食べたくなっちゃったねと言っている。店員さんはそんなふたりにメニューを渡して去っていった。


「ごめん。食べちゃうわね」


「気にしないで。食べて食べて」


「ここの美味しいもんね」


「そうなの?じゃあ、頂きます」


 美冬さんの言葉に少々疑問が湧いたけれども、私は漂ってくる美味しそうな匂いに負けた。私はまずナポリタンに粉チーズを振りかけてから、サラダのお皿を持ってぱくぱくと食べていく。サラダを食べている間にチーズが溶けてパスタによく絡むのが私の好みなのだ。向かいに目をやれば、ふたりはメニューを見て食べるか食べないかを話し合っていた。私はサラダを食べ終わって紙ナプキンで口を拭いた。そして再びフォークを手にしてナポリタンを適当に混ぜ合わせ、パスタをくるくると巻いて口に入れ、もぐもぐと食べて美味しいと呟いた。

 私はふたりの相談が始まってから美冬さんが店員さんを呼んでナポリタンのセットと玉子とチキンと野菜のサンドのセットを注文するまでの間、くるくる巻いてはもぐもぐ食べてを繰り返していた。その何度目かを飲み込んだあと、美冬さんの注文が終わった所で、また紙ナプキンで口を拭いてからふたりに尋ねた。


「ふたりは何でここに?」


「買い物しようとここまで出て来たら、雨に降られて愉快な広子さんと美冬さんなわけ。それで避難して来たんだよ」


「麻衣子さんは?」


「私もそこの総菜屋さんで買い物して帰る所だったの。そしたら雨が降ってきたからここを見つけて入ったのよ」


「総菜屋ってやま屋のこと?」


「美冬さんよく知ってるわね。そこの竜田揚げがふたパック、そのバッグに入っているのよ。あとサラダも」


「あそこの竜田揚げとかメンチとか美味しいんだよね」


「それならどうしてナポリタン?」


 私が適当に手を向けた方を見た美冬さんは総菜店のやま屋をよく知っているようだった。やはりそれを不思議に思っていると広子さんがナポリタンを指して頭の上に疑問符を浮かべていた。竜田揚げがあるのになぜそれを食べているのかということだろう。そこへ店員さんがふたりの飲み物を持って来た。私はそれに構わず話を続けた。


「それをあてにお酒でもと思っていたんだけれど、メニューを見たらナポリタンが私を食べてと言うものだからつい、ね」


 そう言って私は再びナポリタンをフォークでくるくると巻いて口に運んだ。好みはあるとは思うけれど、家で食べるような素朴な味で変に凝っているよりも断然美味いしい。


「あ。それ私も言われたから頼んじゃった」


 美冬さんが私に同意してくすくすと笑っていた。私は彼女にシンパシーを感じてしまう。分かってくれると嬉しくなる。私が、そうよねと言うと彼女はうんうんと頷いていた。


「ねぇ。もしかして麻衣子さんてこの辺に住んでるの?」


「ん?そうよ。駅の向こう側」


「ほんとっ、私はこの商店街の先なんだよ」


 私達のシンパシーには我関せずの広子さんの問いに私がそう答えると、美冬さんがこの辺に住んでいることを教えてくれた。私はそれで彼女は色々と知っていたんだなと納得した。


「へー。それでやま屋もここのナポリタンも知ってるのね。私、美冬さんがこの辺に住んでるなんて知らなかった、と言っても私達って基本、名前しか知らないのよね」


「そう言えはそうだね。みんな美樹さんの所で繋がってるだけだもんね」


「えー。でもさ、この前美樹さんのお店で連絡先交換したじゃん。名前だけって言うのは悲しいなぁ。麻衣子さん冷たいよ」


 私は広子さんが言ったこの前の夜にBARであったことを私は思い出した。広子さんが酔ってしまって大変だったあの夜だ。


「ああ。あの時は酔った広子さんが抱きついたり頬にキスしてきたりして、かなり強引に迫ってきたのよね」


「あっ、ダメ」


 私が胸を守るように両腕で覆い隠しながら、広子さんから身を守るように体を丸めてあの夜のことを話すと、急に慌てた広子さんが美冬さんをちらっと見てから私に言うなと唇に人差し指を当てているけれど、もう美冬さんは何かを感じ取っているようだから意味がないしそんなことしたら余計に怪しく思われるのに、広子さんは一体何をしているんだろうと思ってしまった。


「ねぇ。広子がキスとか一体なんの話?」


「ちょっと違うからね美冬。落ち着いてね」


 やはり不機嫌になっていた美冬さんを広子さんが慌てて宥めた時、店員さんが二人の料理を持って来た。暫し黙り込む私達。この間がなんとも言えなくて私はくすりと笑った。店員さんが去った後にむくれた美冬さんが広子さんの腕を軽く叩いた。彼女は凄いやきもち焼きなのだ。彼女が広子さんを責める様子に、この間の響子さんの姿がふと浮かんで私の笑みはますます広がっていった。


「あの時の広子さん、ほんと強引だったわよね。私、あの雰囲気に流されちゃった」


「ほら浮気じゃん。確定じゃん。広子が麻衣子さんと浮気した」


「麻衣子さん何言ってんの?美冬も落ち着いて、ね?違うに決まっているでしょ」


「本当のことでしょ。広子さんがとても強引だったから私達みんな受け入れたのよ」


「みんな受け入れた?ねぇ広子、みんなってなに?あなた何したの?」


「ちょっと麻衣子さん?さっきから言い方おかしくない?」


「事実でしょ。頑張って」


 可愛らしく頑張ってを言ってみたけれど、口だけでは藤宮さんの様にはいかなくて広子さんは私を睨んだ。でも私は嘘は言っていないし特に口止めもされていない。私がミッションをスタートさせたあの夜、酔った広子さんが一緒に居た私達にに迫り、腕を取ったり抱きついたり、終いには頬にキスをしたりして互いの連絡先を強引に交換させたのだから。世話好きの広子さんらしくはあったんだけれど、とにかく大変だった。


 私の言葉を受けて揉め出したふたりをよそに私はナポリタンを完食した。とても美味しかったので私はとても満足だ。それからアイスコーヒーをちびちびと飲みながら揉めるふたりを暫く眺めていた。

 私の予想以上に美冬さんが不機嫌になってしまったので、広子さんには後でちゃんと謝っておこうと思った。



「料理、冷めちゃった?」


「誰のせいよ誰の」


「そんなでもないよ。これはこれで美味しいよ」


 私が適当な所で美冬さんに説明をして、ちょっとここでは言えないことを広子さんが約束させられたことで美冬さんの不機嫌は何とか収まった。けれどキスに関しては別だった。広子さんは酷く酔うとキス魔になるらしく、私はこの前初めて見たけれどふたりはその事でたまに揉めるそうで、広子さんはかなりキツく怒られていた。


 その広子さんはサンドセットに付いているもう温かくは無さそうなスープを飲んでいた。彼女の神妙な顔は反省している様にも見える。一方美冬さんは機嫌よくナポリタンを食べていた。きっと今の凄い内容の約束のせいに違いない。


「そのちょっとパスタが伸びた感じがまた美味しいのよね」


「そうなの。ねちょねちょしててこれはこれでありなんだよね」


「ふたりとも味覚がおかしいよ?」


 広子さんの言葉に私と美冬さんは目を合わせ、残念な人を見つけてしまったという顔をして首を振った。それを見た広子さんもまた意味がわからないと首を振っていた。


「何その顔。私がおかしいみたいじゃん」


「まあまあ広子さん。怒ると眉間に皺が刻まれるわよ」


「元はと言えば麻衣子さんが悪いのよ」


「ふふふ。ごめんなさい。お詫びにやま屋の竜田揚げをひとパック進呈するから許してね」


「ほんと?やったね広子」


「いらない。食べるなら揚げたてがいいもん」


「嘘でしょ?」


「ううん。広子はこういう人なの」


 広子さんが拗ねているのか本気で言っているのか分からないけれど、本気なら残念としか思えない。冷えているから味がよく馴染んでいてより美味しくなるのだ。揚げたては衣がサクサクしているけれど熱くて舌が火傷しそうになるし、熱さに耐えきれずに直ぐに飲み込んでしまうから良く味わえないというのに。私がそう思って残念そうに広子さんを見ていると美冬さんが分かる分かると手を伸ばして肩をぽんぽんと叩いてくれた。さすがは同士だと私はその手を握った。


「何よもう、その顔やめてよ」


 そう言って広子さんは美冬さんの肩を小突き、丸めてあったストローの包み紙を私の方に放って来た。当然それは当たりも掠りもしなかった。私と美冬さんは広子さんの様子に再び顔を見合わせて声をあげて笑った。




「ねぇ。ふたりは幸せ?」


「もちろんよ」


「幸せだよ」


「そっか」


「麻衣子さんどうしたの?」


「何でもないの」


 美冬さんが不思議そうに聞いてきたけれど、私はただ何となく、広子さんと美冬さんにそう聞いてみたくなっただけ。普段私たちが篭る薄暗いBARの様な狭い世界ではなくて、この何気ない日常に溶け込んでいるふたりを見て、私もそうで在りたいなと思ったのだ。ふたりが羨ましいわけではない。私も響子さんと過ごしている時は間違いなく幸せなのだから。私達にとって色々と生きにくい世界ではあるけれど、幸せは確かにここにあってそう悲観したものでもないのだ。ふたりを見ていてそんな事を思っていると、広子さんが私を見て微笑んでいた。


 私達は一時間ほどで店を出た。私は別れ際にもう一度竜田揚げを渡そうとしたけれど受け取って貰えなかった。それを残念そうにしていた美冬さんが広子さんに竜田揚げをねだっていて、広子さんがはいはい分かったよと言いながらふたり並んで歩いていった。




 買ってきたお菓子を摘んでチンザノドライをロックでちびちびと飲んでいると響子さんからメッセージが来た。時刻は午後9時過ぎていた。


 帰ったよ。いい物を手に入れたから明日楽しみにしていてね。明日は11時以降に来て。それまでは寝てるからという内容だった。メッセージには女の子がキスをしてくる動くスタンプが付いていた。響子さんがわざわざこのスタンプを買ったのかと思うと私は驚きのあまりにまたしても固まってしまった。

 少しして驚きから立ち直った私はまだ返信していないことに気が付いた。私はそんなスタンプは持っていないので、うん。わかった。楽しみにしてる。おやすみハートと送っておいた。



 グラスを空にしてソファに転がる。昼間の二人の姿が頭をよぎる。あの二人は本当に幸せそうに見えた。別に羨ましくなんかないけれど。


 私は先週末からずっと響子さんに驚かされてばかりだった。でもそれは嬉しい驚きだからまったく問題はない。響子さんはどういうつもりなのだろう、明日告白しても大丈夫かしらとそんな事を考え出した私は、再び物思いに耽ることになりそうだった。焦らず頑張ろうと思っているけれど、鉄は熱いうちに打たなくては駄目だ。響子さんの気持ちが盛り上がっているうちに私から想いを伝えてみるべきか。いや、焦ってはいけない。急いては事を仕損じるのだ。


 私の思考が堂々巡りを始めてしまった。きっと今夜はベッドに入ってもこうして考えてしまうのだろう。幾ら考えたところで明日までに答えが出ることなんて無いんだけれど。


「あー」


 私は起き上がって空にしたグラスにお酒を注ぎ、一口飲んでタバコに火をつけた。煙を胸一杯に吸い込んで思い切り吐き出すと何となく気分は落ち着いてくる。けれど何の解決にもなりはしない。


 言うべきか言わざるべきか、それが問題だ。


「本当にどうしようかなぁ」




読んでくれてありがとうございます。

日付が変わる頃にもう1話上げます。

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