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続きです。微エロ回になります。

苦手な方はご注意を。

よろしくお願いします。

 

 一泊二日の幸せなイベントも、もう残り時間が少なくなってきた。夕食を食べ終えて後片付けを済ませたキッチンで私はタバコを吸った。それから私の元にやって来た寂しさとともにアイスコーヒーを飲んでいる。時刻は8時半。明日からの事を考えたらそんなに遅くなることは出来ない。響子さんの部屋から私の部屋までは道がすいていればタクシーで20分くらいの距離だから私自身は多少遅くなっても平気なのだけれど。


「なにそんな顔して。寂しいの?」


「ん?ああ、えーと、うん。今日は帰らないといけないから」


 私がぼうっとしていたのが見えたのか、響子さんがキッチンにやって来て私の腰に手を回して寄り添ってくれた。少し物思いに耽っていた私は間の抜けた返事をしてしまった。


「そんな寂しそうな麻衣子に提案があるんだけど」


「なに?」


「私たち、今は月に一度くらいで会っているわよね」


「うん。そんなものだよね」


「でももっと会いたいって思わない?少なくとも月に二度、いえ、いつでも会いたいときに。それがお互いに可能なら。どうかしら?」


 なんとも魅力的な提案に私は一瞬固まってしまった。物凄く嬉しいし、そんなの思うに決まっている。

 そう逸る気持ちを落ち着けて、私は響子さんの目をじっと見つめた。今朝のように悪い冗談でしたと言わせるつもりは無いけれど、私は響子さんが本気かどうかを計かねている。


「私はいつもそう思ってるよ。でもきょうちゃんそれ本気なの?」


「私から言い出したのよ。本気も本気よ」


「本当に本気?」


「本当に本気。で、いいの?」


「そんなのいいに決まってるでしょ。凄く嬉しいっ」


 私は嬉しくて堪らなくなって寄り添っていた響子さんに抱き付いた。あまりの勢いに響子さんがうわっと言って驚いていたけれど私を受け止めてくれた。逢いたいときに逢えることになって私の感じていた寂しさはどこかに消えていった。私の気分はもうスペシャルMAXだ。


「ふふふ。よかった。私も嬉しい」


「ねぇねぇきょうちゃん。次はいつにする?私はね、次の週末なんていいと思うんだよね。なんちゃって」


「ふふ。いいわよ。また土日に会おうね」


「ほんとっ。やったっ。凄く嬉しいよ。きょうちゃんありがと」


 私はあまりの嬉しさに響子さんを抱きしめる腕に力が入ってしまった。うっとうめき声がしたので慌てて力を緩めた。


「ごめんね、きょうちゃん。嬉しすぎてつい力が入っちゃった」


「大丈夫よ。ちょっと苦しかっただけよ。でも麻衣子がそんなに喜んでくれるとは思わなかったわ」


「何で?嬉しいに決まってるでしょ」


 私は響子さんの言葉に眉を顰めた。響子さんはなぜそんな風に思うのだろう。私が嬉しくないはずがない。そんなこと響子さんも分かっているだろうに。嬉しさのあまり浮かれていたけれど、そもそも響子さんはどうしてそんな嬉しい提案をしてくれるのかしら。

 私は響子さんの様子を窺おうと体を離して響子さんを見つめてみる。その表情は少しだけ安堵した感じに見えなくもない。


「そっか。そうよね。良かった」


「ねぇ。きょうちゃん何かあったの?」


「別に。なんでもないのよ。ただなんとなくよ」


「ふ〜ん。なんとくねぇ」


「何よ?私がもっと麻衣子と会いたいと思ってもいいじゃない」


 響子さんはぷいっと横を向いた。響子さんは誤魔化すように拗ねたのだ。これは何かあるのは確かだと思った。


「きょうちゃん何だかあやしいよ?あっちで座って話そう」


 拗ねる響子さんは新鮮で可愛いけれど、私は少し強引に響子さんの手を取ってリビングに戻ってきた。ソファに並んで腰を下ろし、私は体を響子さんに向けて響子さんの手を両手で包むように握った。


「きょうちゃんからそんなこと言うなんて、絶対何かあるに違いないと思うのよね。さぁ、きょうちゃん。きりきり吐きなさい。吐けば楽になるわよ」


 私が響子さんの顔を覗き込みながら暫くせっついていると、響子さんは言いにくそうにしながらも溜息をついてから口を開いた。眉間にしわを寄せて負けたみたいな顔をしている。


「嫉妬よ」


「なに?」


「だから、嫉妬よ。嫉妬したの」


「嫉妬?誰が誰に?何で?」


 私には言われた意味がよく分からなかった。響子さんと嫉妬なんてなんとも似合わない組み合わせだ。私は響子さんに妬かれたことなんて一度もない。一体なんの話だろうと思っていると響子さんがまた溜息をついてぼそっと言った。


「麻衣子がパートナーを探すなんて言うからよ。この先ずっと一緒にいられる人を探すとか言って。しかも何よ?最後の恋って」


「ん?」


「それに会社の子が気になるとか言って。ノーマルだって分かっているから好きになりたくないとか言ってる癖に、でも凄く可愛いだのゆるふわだの何だのって。何かもの凄くイライラしたのよ」


「んんん?もしかしてそれってきょうちゃんが焼きもち妬いてるってこと?」


「だからそう言っているでしょっ。もうっ」


 響子さんはソファにあったクッションを掴んで私を叩いた。響子さんを間近に覗き込んでいた私の顔にばっちり当たり、ぽすっと音がして床に落ちた。当然驚いたけれど別に痛くも痒くも無かったし今はもっと驚いた事があるのでそれどころではない。何にせよ響子さんが妬いているのだ。そう思うと顔がどんどん綻んできてしまう。


「むふふふふ」


「なによ急に笑い出して。気持ち悪い」


「むふふ。きょ〜うちゃんっ」


「なんか凄くムカつく顔だわ」


「むふふふふ。きょうちゃんがねぇ。焼きもち妬くなんてねー。むふふふふー。きょうちゃん可愛いねー」


 私は途中から変な節を付けながら握っている響子さんの手をぶんぶん振った。響子さんは鬱陶しそうにしているけれど手を離すことはしなかった。それから私は片手を離し響子さんが膨らましている頬をつんつんと突いた。


「焼きもちきょうちゃん可愛いねー」

 

「やめてよ。そうやってからかって。だから言いたくなかったのよ」


「違うよきょうちゃん。私からかってないよ。喜びを表現したらなんかこうなってるだけなの」


 響子さんが怒って私のつんつんしていた指を鬱陶しそうに払った。私はすぐに響子さんに叩かれた指を摩りながら否定した。そして再び響子さんに手を伸ばす。私は響子さんの頬にキスをして抱きしめた。


「凄く嬉しいのよ?私、ほんとに」


「からかったくせに」


「違うよ。ほんとにほんとに嬉しいのよ?」


「それならまぁいいけど」


「ほんとよ?」


「わかったから。もういいのよ」


 響子さんの声が柔らかくなって私の髪をそっと撫でた。私が力を入れて抱きしめると響子さんもぎゅっと抱きしめてくれた。私は身体を離し響子さんの唇に私のそれを重ねた。響子さんは少し激しめに応えてくれた。私がその行為に夢中になっていると私の服が捲られてその手がお腹を滑り胸へと進んできて私の身体がピクリと反応した。伝わる刺激が少しずつ強くなってついに先端を触れられた私は鼻から甘い吐息を漏らした。私の唇から響子さんの唇が離れ、それが私の頬を伝って首すじへと降りていき、耳を回ってさらに鎖骨をほんのりと濡らしていった。私は胸への刺激とその唇の動きに合わせるように甘い吐息を漏らしていた。


「麻衣子」


 響子さんは唇を離して手の動きも止めてしまった。私はつい不満げな声を出してしまった。響子さんはそんな私をソファに寝かせて上から私を見下ろした。


「ここで抱きたいの。かまわないわよね」


 私は響子さんがキスに応えてくれた時からすでに私を求めているのを感じていた。私を抱きたいのだと分かっていた。それは私も同じだった。響子さんの激しいキスと優しい唇と指先ですでに蕩けていた私はこくりと頷いた。


 響子さんは私を見つめながらTシャツとキャミを一緒に捲り上げていく。私が腕を上げてそれに応えると響子さんは私の顔と二の腕にTシャツとキャミが掛かったあたりで捲るのを止めた。私が戸惑っていると口の辺りを覆っていた場所だけが捲られたのを感じたけれど、またすぐに柔らかく暖かい湿ったもので塞がれてしまった。そしてまた別の柔らかなものが私の口の中を動き回り出した。私はそれを捉えようと息を荒くしながら夢中で追いかけていた。暫くするとそれは離れていってしまって私はまた不満の声を漏らしてそれを追いかけた。そのとき急に私の顔を覆っていた服が捲られて私が明るさに目を細めた隙に響子さんは捲くり上げた部分を私の頭の後ろに押し込んだ。私はTシャツとキャミに腕を上げたままの格好で拘束されしまったことに気がついた。私は部屋の明るさの中でキスに夢中になって晒していた姿や普段見せることのない脇をさらけ出されたままになってしまったことに凄く恥ずかしくなってしまった。響子さんは妖しく微笑んでさらけ出された二の腕の裏から脇の下を通って胸の脇までを指で優しくそっと撫で始めた。初めての感覚と恥ずかしさで私は身を捩らせて小さく声を漏らした。


「いやぁ」


「その格好が嫌なら動いていいわよ。麻衣子にまかせるわ」


 動こうと思えば簡単に動けるけれど響子さんは明らかに私がこのままでいる事を望んでいるのがわかる。私はそれに応えたい。優しく撫でられる感覚に耐えながらそう思った私は昨夜のあのせつなさが蘇って堪らなくなった。私も同じだった。それを望んでいるのだ。


「………ゃない」


「そう。ならその格好まま麻衣子は私のものだってちゃんと教えてあげる」


 響子さんの指は私を撫で続けている。私はその感覚と煽られる羞恥心に昂りながら響子さんを見つめて頷いた。


「私、実は嫉妬深いの。覚えておいて」


 響子さんは意地悪く微笑んだ。その瞬間に私は身体をぶるりと震るわせた。優しく撫でる指はだんだんと胸に集中するように移っていく。私は自分の姿が恥ずかしくもあったけれどそれ以上に興奮もいていて早く抱いて欲しくて堪らなくなっていた。響子さんの言葉が私の中で弾けてもうどうにでもして欲しくて甘えるようにせつない吐息を漏らしながら響子さんの名をうわ言のように呼んだ。その声を塞ぐように唇が触れたけれど響子さんの唇は焦らすように触れては離れを繰り返した。私は欲しいものが手に入らないことに焦り必死にそれを手にしようとしていた。唇を離した響子さんがいきなり私の胸の先を含み私と短パンの隙間に手を滑らせていった。その瞬間に私は声を上げた。





 私は今、響子さんの部屋からお暇してタクシーに乗っている。ふと、さっきのことが頭に浮かんで赤面してしまった。


 あれからのことは詳しくは言わない。ただ響子さんは意地悪するだけでなく甘く優しく抱いてもくれた。それを繰り返すことで私を翻弄する響子さんとその手管に完全に溺れてしまった私は、私の全てを溺れるままに任せていった。


 そのせいで私が単なる染め直しではなく、一から新しく響子さんによって染められたことと新しい扉をさらに開いてしまうようなことがあったのは確かだ。開いたのは断じてほんの少しだけだけれど。






長くなったので切りの良い所で分けました。

もう1話上げます。

読んでくれてありがとうございます。

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