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わがまま姫と泥棒さん  作者: 瑠花
3/12

出会い 2

青年リアムは、余りにも簡単にここまでこれたことに不信感を覚えた。

お城には、確かに警備兵がたくさんいた。

だが"わがまま姫"がいるとされる城から塔への道のりには警備兵どころか誰もいない。

初めはトラップがそこらじゅうに仕掛けられてるのかと思い慎重に進んだが、トラップなども特に見当たらない。

リアムは大きなため息をついた。


「酒飲みの言うことなんざ信用するんじゃなかったな。」


頭を掻きながらそういえば飯くってなかったなぁ何食べよう?そんなことを考えながら塔の上を見上げた。

すると塔の上の方で黒いなにかが動いた。

人影だ!"わがまま姫"がいる!そう確信したリアムは、剣を強く握りしめ塔の上を目指した。



ここだよな?

あの影を見たとき"わがまま姫"だと確かに思った。

だが実際に部屋前までたどり着くと急に不安になった。

城から塔に着くまでもそうだが、塔の中に入ってからも誰にも会わなかったのだ。

嫌われ者のわがまま姫といえど一応は王女。

こんな所誰もいないところに王女様がいるのか?

だがもし、もしも"わがまま姫"がいるのであればこれはチャンスなのではないか?

もしかしたらいつもの我が儘で人払いをしているのかもしれない。

こんな千載一遇のチャンス逃していいのか?

いや、逃していいはずがないだってあいつは…

リアムは再び剣を強く握りしめて呼吸を整えた。


人影が見えたということは、起きてるって事だよな?

運良く誰にも会わなかっただけで、騒がれたら警備兵か来るかもしれない。それは面倒だ。

何かいい方法はと考えたがいい案が見つからず、とりあえず扉をノックしてみることにした。

すると部屋の中から女の子の声が聞こえた。


「アンナ?こんな夜遅くにどうしたの?入ってきても大丈夫よ。」


どうやら俺をアンナという人物と間違えてるようだ。

心臓がドクドクいってる、掌にも汗が滲み出てきた。

高鳴る気持ちを抑えゆっくりと扉がを開ける。

すると床に座り本を手に持った女の子が窓の方を見ていた。


「アンナ見て?凄く大きなお月様よ。ウサギさんがいるのか確認できそうね。こんな綺麗な満月だから私がまた、夜更かししてないか心配で見にきたんでしょう?」


クスクスと笑いながら俺に話しかけてきた。


『俺たちにあんな事したくせに!なぜお前はそんなに楽しそうに笑ってる!?』


爆発しそうな怒りを抑えリアムは剣をゆっくりと抜いた。

何も返事が返ってこないのを不思議に思ったのか女の子はようやくこちらを振り向いた。


「お前が"わがまま姫"か?」


そういいながら俺は剣先を少女の喉共にやった。




『"わがまま姫"は贅沢しすぎてバケモノみたいに太ってるんだってさ!』


『目をこーーなに釣り上げながら扇子をパタパタさせて我が儘いってるらしいぜ!』


『部屋には世界中の宝石が飾ったあって宝石をジャラジャラつけながら私綺麗でしょ!って言ってるんだって!』


これは国民全員が知っている"わがまま姫"。

だとしたら俺が今剣を向けている少女は誰なんだ?

リアムは混乱していた。

今目の前にいる少女は思っていた"わがまま姫"ではない。


なぜならとても美しかったからだ。

白く透き通った肌、長いまつ毛、ほんのり色づいたピンク色の唇そして、まるで吸い込まれそうな透き通った水色の瞳。

月明かりに照らされたプラチナブロンドの長い髪は、少女の綺麗さをより一層引き立てていた。

『月の女神』そんな言葉がしっくりくるほどに目の前の少女は美しかったのだ。

呆然としていたリアムより先に少女の口が開いた。

とても綺麗な顔で微笑みながら


「わたしを殺しにきてくれたんですか?」


そんな言葉をはっするなんて想像もできないような微笑みで。

リアムは先ほどとは少し違う口調で確認の意味を込めてもう一度聞いた。


「お前が本当に"わがまま姫"なのか?」


「ええ。私が"わがまま姫"で間違いございません。さぁ早くしないともうすぐ見回りの時間です。兵がきてしまいます。あなたは私を殺しにきたのでしょ?」


まるでそれが当たり前のように少女は先ほどと変わらぬ笑顔でそう言った。

リアムは、想像と違う事が起きすぎて逆に冷静になってきた。

この子は俺を騙してるのか?

だが、嘘をついてるようにも見えない。

部屋を見渡してみると宝石どころか何もない。


ただ広い部屋に質素なベットと小さな本棚それだけ。

平民の俺の家の方が物があるんじゃないか?そう思えるくらい何もなかった。

そんな事を考えてるとまるでリアムの考えを邪魔するように部屋にコンコンっとノックの音が響いた。


「マリアンヌ様?失礼いたします。話し声が聞こえた気がしたのですが声を出して本でも読んでいるのですか?どうせ夜更かししていると思ってハーブティーをいれて…」


ノックは一応したものの部屋の主人の返事を待たずズカズカと女性が喋りながら入ってきた。

やっと名前が…

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