1章 目覚めと出会い 1話 探偵 1日目 0:00 &¥」
冷たい灰色の床と壁、暗くチカチカと点滅する頼りない豆電球、そして重そうな両開きの扉……俺が目覚めたのはそんな部屋だった。俺は起き上がり辺りを見渡す。体の節々が痛いのはどうやら床なんかで寝てたせいだろう。
そんな体を押して起き上がった。すると俺以外に倒れている人たちを見つけた。倒れているのは白いスーツの男性、医者だろうか?白衣を纏った小さい人、性別は一見しただけではわからない。そして次に学生だろうか?制服を着た女性だ。この状況を見て職業柄色々考察に入るがどれも根拠に欠けてしまう。とりあえずこの3人を起こすことに決め、まず1番近い学生の体を揺すり声をかける。
「おい、起きてくれ」
彼女はどうやら目を覚ましたようだ
「んー?だあれえ?お母さん?あと五分~」
前言撤回、どうやらまだ寝ぼけてるようだ。俺は目を覚まさせるために転がしてみる。
「ぎゃあああ」と2回転、想像よりよく転がったな。おや立ち上がった……鼻を押さえてる。どうやら何処かでぶつけたようだな。
「いきなりか弱い女子高生になんてことするんですか!?バカなんですか!?死ぬんですか!?」
随分と元気なようだ。そんなことに納得しながらも尋ねる
「それは済まなかったな。所で私は君にもこの部屋にも見覚えがないのだが何か知らないかな?」
彼女はそう言われ気が付いたのか辺りを見渡し再度叫ぶ。
「ここは何処ですかあああああ!?まさか誘拐!?おじさんは誘拐犯!?」
相変わらず煩い。そしておじさんとは失礼である……俺はまだまだ若いのだ。
彼女はあたふたして、その後左手の人差し指をこちらに向けて言い放った。
「私に家にはお金なんてありませんよ!自首しなさい!」
どうやら彼女の中で俺は犯人と決まったらしい。さて、どうやって誤解を解こうか