初給料
子供達と遊んでいるといつの間にか日が暮れ始めていた。すると不意に、30代前半くらいの女性が入って来た。
「あら、今日はあの子いないのね。」
「あ、おかーさんだ。」
「ふふ、いい子にしてた?」
どうやら女性は子供たちの母親のようだ。
「今日はあの子がいないからあなたに渡すわはいこれ。」
そう言い女性は僕に封筒を渡し、帰って行った。封筒を開けてみると万札が3枚程入っている、僕としてはこんなお金をもらうことをした覚えはないのだが・・・まあもらえるものはもらっておこう。
・・・急に暇になってしまったな、このお金で何か食べに行こうかと考えていると、彼女が元気よく帰ってきた。
「たっだいまー、おっそんなにもらえたの、じゃあ何かおいしいものでも食べに行こうか、ということでしゅっぱーつ」
そう言いながら彼女は僕の腕を引っ張りながら走り出した。
「ぷはーやっぱり仕事終わりのビールは最高だね、君は飲まないの?」
「まだ未成年ですから・・・」
どうやらここは彼女の行きつけの飲み屋のようだ。
「ところで今日どこで何をしていたんですか?」
「そんなことを聞くのは野暮だよ、ワトソン君」
「わけわかんないですよ、ていうかあそこ何なんですか、託児所かなんかですか?」
「あれ言ってなかったっけ、うちは何でも屋さんであそこは事務所だよ。」
聞いていない、全くもって聞いていない!
「まあいいじゃない、今日は私のおごりだよじゃんじゃん飲もう、乾杯!」
そのお金は僕がもらったものじゃないか、と言おうとしたが言っても無駄な気がしたのでやめた。
「起きてください、もう帰りますよ」
「うるさい!私はまだまだ飲むんだ!」
「勘弁してくださいよ、帰りますよ」
らちが明かないので彼女を担いで帰路に就くことにした。
「事務所でいいですよね帰る場所」
返答はない・・・はぁ、とりあえず行くしかないか。
「着きましたよ、ここでいいですよね?」
「あぁ、ごくろうごくろう、君も休むといいじゃあおやすみ」
そう言い残し彼女はベッドで寝てしまった。部屋を見渡すと所々生活感がある。どうやら彼女はここで生活しているらしい。
時計を見るともう日付が変わっていた。さて、僕も寝るとするかな。