キャラ解説2 (もちろんネタバレあり)
今回は魔王サイドのキャラ解説です。
ファルシス・レーヴァテイン
今作の魔王です。ゴリマッチョ鎧タイプとイケメンタイプがおりますが、良識派的キャラにしたかったので後者にいたしました。
正直、超王道を目指すならあくまで悪を貫かせる選択もありました。しかしこのまま王道を突っ走っても面白くないかなと思い、魔が差してしまいました。
しかし、きちんとした勇者VS魔王にはなったと思います。理想が高すぎる勇者と冷徹な魔王は結局相いれず、何度も衝突を繰り返すことになります。この辺りは三国志の劉備と曹操を意識しています。
ファルシスの心境の変化が少々唐突だったかなというのは否めませんが、弱点が身内であるという点は全体を通して変わっておらず、どれだけ強力な力を得ても不安は常につきまとっています。それを表に出さないのが彼の本来の強さです。
嫁選びも含め結局彼は人間との共存を選びますが、のちのちの時代ではどうなるか。想像していると楽しくなります。
スターロッド・アンサラー
主人公の初恋のお相手、見た目美少女の露出過多ダークエルフでございます。
最近スマホゲーだと女キャラの露出ぶりがハンパないですが、そんなもの実在してたら見てみなさい。みんなドン引きですよ。ましてやリアル中世は露出NGですからね。
余談はさておきマジメにキャラ解説していくと、彼女の肌は褐色じゃありません。アンガクの沙耶も真っ青の純白肌でございます。
どういうことかというと、最近はダークエルフを茶褐色にしてしまうと人種差別(色黒=悪)になってしまうのでNGなんだそうです。かといって死人みたいな肌もイヤだから、いっそ真っ白にしてしまおうと思い立ちました。どうせ住んでる場所でダークエルフ扱いされてるだけですからね。
スターロッドというキャラを創作していくうちに、面白いことがわかってきました。
彼女のモデルに当たる悪魔アスタロト、並びにメソポタミアの戦いとエロの神イシュタルは、なんでも金星の守護者だそうです。そしてファルシスのモデルであるルシファーはラテン語で「明けの明星」という意味があります。ものすごく因縁めいてます。
そして人間としての腹心となるマージのメイン武器はモーニングスター。まさに明けの明星。
思えばファルシスの魔剣もトゲトゲ武器です。ますます因縁めいています。
ゲン担ぎのつもりでしたが、呪われてしまったかもしれません。お助け下さい……
ベアール・ダーンスレヴ
全身真っ赤な鎧づく目なのに、中身はお調子者のオッサン。デーモンの族長は魔王サイドのコメディリリーフで、ツッコミ役のスターロッドとの相性バッチシ。
魔法は一切使わず、東の大陸で鍛えた剣の腕だけで敵と戦う。戦法はかなり硬派です(魔法が使えないだけ)。
もっとも彼が全身鎧なのはひそかに魔族コンプレックスだったりするわけで、表向きは「イケメンだから」と抜かしていやがります。これはどっかのロックスターにインスパイアされました。
ちなみに本作にもレッサーデーモンとアークデーモンがいますが、それぞれ体型が違うだけで戦闘力はあまり変わらないということにしました。ちなみにベアールはレッサーデーモンです。
そしてマイホームパパ。ちなみにわかりにくいですが妻のウィネットはれっきとしたアークデーモンです。女性アークデーモンがあまりにゴツイとかわいそうなので。なのでハーフは2人の子供ということになります。
竜王ファブニーズ(名字なし)
普通のレッドドラゴンじゃちょっとムコせいかなと思って、1本角にしました。結果護身用武器として使えたのでよかったです。折られましたけど。
今作におけるドラゴンは、伝承に言われるほどタフじゃないです。もちろん皮膚は頑丈ですが、光の魔法や重火器に対してはそれほどの耐性はないです。本作でドラゴンが恐れられているのはむしろ戦法のほうであり、空高く舞い上がり、高所から強烈なブレスを吐きかけてこられては、剣と盾だけではどう仕様もありません。
ところが本作では15世紀ヨーロッパを参考にしているため、銃や大砲に対してはあまり対処できません。竜王であるファブニーズはスペックの高さでうまく対処してますが、いずれは彼でさえ手をこまねく兵器が登場するでしょう。
本作におけるファンタジー要素が実ははかないものであるのと同時に、ドラゴンに対する畏怖もいずれ忘れ去られるでしょう。そのためファブニーズの背中には常に哀愁のようなものがただよっています。
ルキフール・アゾット
ずるがしこそうな魔界の重鎮、というイメージでホブゴブリンを宰相にしました。下級魔族から大出世したところは豊臣秀吉を意識してたりします。
もっともフォームチェンジすると死神っぽくなりますが。持ってる武器もキモイです。
野心家のように見えて実は忠臣、なんとなくカッコイイと思います。そしていざという時は命懸けで戦う。物語の序盤とラストでもっとも印象の変わったキャラかもしれません。
メインキャラと呼べる人物の中では、唯一の死亡キャラとなってしまいました。結果的に重い作品でありながら、犠牲を彼だけにできたのは非常によかったと思います。とはいっても死神モードになってほどなくなくなってしまうのは、作り手としては少しさびしいです。
暗殺者マドラゴーラ
実は本作の中で、こいつが一番最初に思い浮かんだキャラなんです。というより、コイツが夢に出てきたから本作を思いついたと言っていいでしょう。
暗殺が基本なので、手口が割れてしまうとまったくの無力です。なので途中から勇者サイドになります。
結果的に本作のマスコット的存在となり、物語に深みが出てきたと思います。
コシンジュ達がかけ合いをするなか、コイツが腰の袋から真っ赤な頭部だけを出していると思うと、思わずクスリとさせられてしまいます。
ちなみに巨大なメスに同化させるという設定は、ちょっとエグかったかなとも思います。
縛り女のエドキナ
本作で最も遅く登場したメインキャラです。
終盤ではほとんどの強硬派が全滅し、そのあとが魔にのし上がる野心家の魔族です。
右寄りの魔族から見ると、どういった視点になるのかというコンセプトで登場させました。もっとも彼女はトラウマ持ちであり、勇者に容赦なく殺された恨みを引きずっています。
かなり好き放題に暴れさせました。映画に出てくるような鬼軍曹として、かよわい人間たちをいじめさせまくるのは黒い痛快感がありました。
もっとも本心は自分の過ちに気が付いており、天使の愚行を目の当たりにして悔い改めます。これによって親友を失い、そして新たな力に目覚める。書いていてなんだかスカッとしました。
魔王軍の中でも貴重なブレーンタイプなので、最後はルキフールの立派な後継者となりました。
牛頭のマノータス
属性魔族の長はどれもろくでもない奴ばかりでしたが、マノータスはもっともえげつない奴になりました。
そもそもの発端は、彼らのような人間を見下す輩の存在です。彼らにとっては人間は使い勝手のいい奴隷か食料。そんな連中の目線に立ってみろと言われる方が、かえってムチャぶりなのかもしれません。
だとしても、マノータスの卑怯さはゲスすぎます。他の属性魔族からも嫌われる炎の軍団は、いわば本作における鬼畜キャラです。倒しても良心の呵責がないという、あくまでド悪党なポジションに殉じていただきました。
もっともそのパトロンであるヴェルゼックの駒にしか過ぎなかったんですが。
狂える猛将ヴェルゼック
ザ・ヘンタイキャラ。メンヘラ感たっぷりのイカれた戦闘狂です。行動原理はすべての存在の破壊、時として重要な局面でも衝動に走ってしまい、自身を窮地に追い込みます。
ところが、ラストにおいてとんでもない告白をします。単なる破壊衝動の権化かと思いきや、その裏には「ある存在」に対する強い忠誠心があったのです。究極の平穏を求める狂った思想には、実は平和主義者であるコシンジュの心に触れるものがあったようです。
もっとも弁護すべきではありません。究極の平穏をもたらすために、彼はすべての存在に苦痛と死を与えようとしています。それならまだがよくに満ちた破壊者のほうがマシと言えるでしょう。
結局、ヴェルゼックは理想主義にかこつけた単なるキ○ガイにしかすぎません。
このキャラ解説で、本作の連載は終了します。
ここまでお付き合いしていただいた方、本当に最後までありがとうございました。
リクエストがあればまたあらためてがんばらせていただきます。




