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キャラ解説1 (ネタバレあり)

今回は主に勇者サイドについて解説していきます。

こちらでは今まで伏せていた登場人物の名字も明記しています。すべて伝説の武器・アイテムになぞらえたものです。





コシンジュ・カリバーン(性はエクスカリバーの別名から)


 ちょっとやっちまったのかなと思うのが、主役キャラの名前を安易なアナグラムにしてしまったことです。もうちょっとひねりの利いたヤツがよかったかもしれませんね。

(モータルコンバッドの外伝に「シュジンコウ」という名前の奴がいるんですが……)

 コシンジュはいたって普通の勇者キャラですが、伝説の武器は両方とも剣じゃないです。棍棒と斧。

 あえて剣じゃなく、生活用品としても利用できるものを武器に持たせました。これは他の場所でも述べていることですが、剣と言う武器はそもそも戦争の歴史の中で生み出された歴史の浅いものであり、あくまで人間同士で殺し合うためにつくられたものだからです。

 剣じゃないのは主人公の内面を暗示するものであり、伝説の武器が殺し専用の武器であっていいのかと言うアンチテーゼでもあります。あえて剣にしないということで、主人公が持つ正義感、優しさを表現したつもりでした。

 また終盤における主人公の大失敗は、中世におけるキリスト教社会の大失敗にインスパイアされたものです。

 すなわち十字軍のことです。聖戦の名のもとに多くのイスラム教徒が虐殺され、無慈悲な略奪や暴力も横行しました。そして東ローマ帝国の滅亡と言うキリスト教徒同士の殺し合いも行われ、かなり悲惨な歴史だと聞いております。

 今作でも終盤では味方サイドにまで被害が及び、悲惨な結果になりました。行き過ぎた正義は悲劇さえ生む。そういったメッセージが読まれる方に伝わればうれしいです。

 結末は比較的円満ですが、主人公の心には深い傷が残りました。それでも彼にとっては多く学んだことがあり、その結論は最終回における重要なメッセージに結び付いています。





ロヒイン・ニーベルング


 名前のイジリがなさすぎでスミマセン。でもこれ、かの有名な「ロードス島戦記」にでてくるスレインにあやかったつもりなんですよ。もっとも性格を含めてまったく真逆のキャラになってしまいましたが。

 性転換するキャラですが、人によっては苦手意識もあると思います。特に本作では真のヒロインとして扱い、あまつさえあの結末ですからね。正直引いた人もいるんじゃないでしょうか。逆に性に関する悩みをかかえる人にとっては、魔法でその問題を解決してしまう彼女に対して複雑な思いをかかえることになるかもしれません。

 ですが筆者にとっては、ロヒインは本作の中核を担う存在になるので、ある意味コシンジュ以上に彼女を中心に話しを進めたいと思いました。一歩間違えば迫害されかねない2つの重みを背負いながらも、凛として自ら選んだ道を進む彼女は頼もしく、そして限りなく美しい。まさにヒロイン以上のヒロインと言えるでしょう。

 そのアクティビティはどっかの島の魔術師とは大違いです(笑)。






イサーシュ・デュランダル


 主人公の武器が剣ではないため、剣を主体としたキャラクターを創作しました。こちらも名前が簡単なもじりです。

 本当は騎士のほうがよかったかもしれません。筆者はカイトシールド好きですしね。

 ですが強力なパワーに秀でる魔物に防御は命取り。ですのでわりと軽装備で、なおかつ早い立ち回りで攻撃をかわしながら急所を突く、という戦法が発達したことになります。

 イサーシュは教養はあるが常識がないというキャラなので、それとは対象的な主人公とよくケンカします。ケンカするほど仲がいいです。本人たちは絶対に認めませんけど。というよりは主人公を常識あるツッコミ役にしたかったので、代わりにガンコなキャラを創作したというのもあります。

 それとは別に、ロヒインとはお互いの才能を認め合う仲ですね。お互いにない要素でずば抜けた才能を尊重しあっているということです。なのでケンカはしません。本人たちも認めるほどの大の仲良しです。

 融通のきかないイサーシュですが、旅を通じていろいろ反省し、成長していきます。これはコシンジュやロヒインにも通じることですが、イサーシュがもっとも顕著なのは筆者としても印象的なところです。





メウノ・カドゥケウス


 RPGには超必須の回復要員です。魔法とは区別するため、「治療術」という回復に特化した能力に秀でます。なので攻撃面が弱点だったのですが、筆者の別作品の重要アイテムを拝借して彼女に持たせました。

……ダガーじゃなくてカイトシールドにすればよかったかなぁ。そうすれば一応攻撃もできるし。

 実は彼女、不美人ではないんですよ。むしろある種の美人なんです。

 どういうことかというと、彼女を修道院に捨てた親は実は東の大陸出身なんですね。どういう経緯でこうなったかをあまりに話しが長くなるのでここでは説明しません。本作に万が一人気が出て続編が望まれるようになったら説明します。

 メウノは20代後半ということで、パーティのなかで一番年長です。心身ともにまだまだ成長する若い戦士たちの、お目付け役的な優しいお姉さんというポジションですね。結果的に仲間たちにとってなくてはならない存在になりました。





ヴィーシャ・マギノヴィオン(性はもじってます)


 盗賊、剣王女様ですが、設定に少々無理があったかな?

 本作では盗賊は必ずしも必須の職業ではないので、パーティでの重要性もあまり高くありませんでした。本作の舞台でも社会的ニーズは皆無なので、完全に裏稼業です。逮捕されれば無職扱いされます。

 ヴィーシャはあえて、あまり好かれないタイプのキャラにしました。タカヴィーで融通が聞かない。頭の中は欲望だらけ、しかし悪党にはなりきれないという複雑なキャラです。成長しても丸くなるどころか、むしろどんどんひどくなってしまいました。逆に言えば自分に素直になったということでもありますが。

 そんな彼女も、トレジャーハンターという少しはまっとうな職業に転職します。これは筆者が犯罪者を正義の味方にしたくはないという思いから来ています。必ずしも法にのっとっているとは言いがたいですが。

 メイン武器はレイピアと、そして銃器になります。本作の世界観は15世紀あたりのヨーロッパになるので、実は中世とは少し呼びがたいんですね。前の勇者がちょうどガチの中世に当たるのですが、そうなると騎士も鎖かたびらにしないといけないし、いろいろ制約が出てくるんですね。

 みんなが思い描いてるヨーロピアンファンタジーって、実はこのあたりの時代なんですよね。そしてその期間はごくごく短い。ここから時代が進むと戦争の定義が変わってしまい、鎧も騎士も消えてしまいます。

 あのみんながあこがれるファンタジー世界は、実は相当にはかない世界なんです。だからこそあこがれるのでしょうが。





ムッツェリ・ブリューナク(飛び道具ですが弓じゃないです)


 ヴィーシャに告ぐサブヒロインは、ツンデレキャラにしました。ツンデレになってるかはわからないですが。弓矢とククリナイフを扱う狩人は遠近ともに有能ですが、必ずしも必須のキャラではないです。

 イサーシュにとってのヒロインも必要と思って、カップリングさせました。似たような性格をしているので意気投合するのも当然でしょう。しかしイサーシュと同じく、彼女も固定観念に縛られているので、一時は別れを選ぶことになります。それがまさか終盤で貴族とはねぇ……

 ヴィーシャもそうなんですが、短期間限定のヒロインとなると、その成長をかなり急激なものにさせざるをえません。ムッツェリは四六時中コシンジュ達と一緒にいたのだから嫌でも変わらざるをえませんが、ヴィーシャとこのあと登場するトナシェは、ちょっと強引だったかなとも思います。

 それでも彼女たちの心境に大きな変化をもたらす場面を描けたことは満足しています。





トナシェ・グレイプニール


 そろそろ性格に難があるキャラに限界があるかなと、3人目のサブヒロインはロリっ娘にしました。

 もっとも出会った頃はこれまた融通のきかないタイプで、主人公たちに煙たがられます。急にキャラ成長したようにも思えますが、港町には数日滞在したのでお互い慣れ親しんだということです。 

 作品内容が少々ドラクエ的だったので、FFよりの設定を付け加えるために召喚銃を用意しました。ちなみに筆者はFF派です。名前も破壊をまき散らすので破壊神としました。大自然の具現化ということで天界の神々とも因縁があり具体性もたっぷりです。

 トナシェが召喚を行う際、その手綱を操るためキャラ豹変するというのは、召喚後の出番をなくさないようにするためのご都合主義だったりします。





ネヴァダ・ムジョルニア


 手足を使って戦う格闘家ポジションですが、戦士キャラに近いこともあってあまり必然性もありませんでした。

 ですが主人公たちの成長の目安として、歴戦の戦士にある程度追いついたという名目で強キャラを登場させました。ついでに4人目のサブヒロインにしてしまいました。

 にしては、あまり活躍できてません。少々かませ犬キャラにしあがってしまいました。これは筆者のミスでもあるのですが、格闘家という職業がモンスター相手にいかに不利であるかということを示しているかもしれません。

 また活動報告でも話したことですが、実は帝国のスパイだったりするんですね。コシンジュ達のいない時にこっそりアンカーの手下が接触を図ったりしています。だから情報は筒抜けでした。

 もっともそれを本作に反映させる機会はありませんでした。命より大事な娘は結局守られてはおらず、ひどい境遇におちいっていました。娘を保護したことでスパイをする必要もなくなり、結局言えずじまいになってしまったようです。終わってみればいろいろ不遇なキャラでした。





クリサ(名字は考えてません)


 なぜこのタイミングで彼女の名前を出したかというと、実は筆者の中では5人目のサブヒロイン扱いなんですね。ロヒインが正式にヒロインとして昇格する前の、最後のヒロインです。当然コシンジュとも縁が深くなります。

 誰でも読める作品にしたかったんですが、クリサの境遇をきわどい設定にしたのは問題があるかもしれません。ですがここまでクリサとネヴァダの娘ブレベリをひどい扱いにしないと、あの人命第一のコシンジュが死んじまえと言ってしまうほどの強い怒りを抱かせることはできなかったかな、とも思います。

 コシンジュには魔王と戦うために真の力を手に入れなければならなかったため、筆者の中ではこのイベントは必須でした。





チチガム・カリバーン


 旅の最後の仲間として、コシンジュにとって最も尊敬すべき人物をあてがいました。女ばかりの大所帯に男くさい風を送り込むことに成功したと思います。

 スピード重視のイサーシュとは違い、純然としたパワータイプの戦士です。もっともスピードにも秀でますが。コシンジュも成長すれば無骨な戦士タイプであり、彼が何を目指すべきかという抜群の指標ともなっています。

 そしてマイホームパパでもある。勇者の家は基本的に仲がよく、特に夫婦仲は周囲が煙たがるほどのラブラブっぷりです。

 でもだからこそ、コシンジュにとっては重要な存在でした。いろいろと内面的に問題があっても、コシンジュがなんとか踏ん張ってこれたのは、もっとも愛すべき父の影響あってこそです。

 そんな家族愛と正義漢の塊であった彼も、結局魔王には太刀打ちできませんでした。彼は設定上人類最強ではありましたが、魔族の頂点には勝てなかったということで、越えられない人と魔の境界線を表現できたと思います。





ノイベッド(ランドン評議員、のちにベロン国主)


 すべての差部キャラの解説をしてもしょうがないので、本作で重要な役割を果たした人だけを。

 ノイベッドのバックボーンは、実は宗教革命のルターだったりします。人々がラテン語を読めないことをいいことに自分たちの都合のいいことばかり押しつけるキリスト教会に反旗をひるがえし、現地語での聖書の出版にこぎつけた偉人です。またイタリアのルネッサンスにもインスパイアされています。

 本作においてもノイベッドは、魔術にばかり傾倒する知識人たちを批判し、誰もが利用できる科学技術を推し進めようとします。民主主義が根付いた王国で出世し、やがては一国の主にまでのし上がるということで、本作でも特に進歩的な考えを持った人物として描いています。





マグナクタ5・6世


 親子なので、ひとくくりで。

 父親は先見の明のある人物で、革命時に多くの民衆に支えられたことで、彼らにも政治のチャンスをということで民主議会制に転向します。史実の民主革命は上記の宗教革命やルネッサンスより後の時代なんですけど、本作では神々が実在するということで、民主主義が比較的根付きやすい世界観になりました。

 一方息子はかなりシニカルな現実主義で、民主主義の限界を知る人物でもあります。父親よりも有能なので民主主義に代わる政治体制がないことも知っており、象徴権力に収まらなければならない自らの境遇を苦々しくも思っています。

 それがま王の台頭でガマンすることがなくなり、クーデターによってついに王となります。それもわずか数カ月にしかすぎませんが、むしろただの一般人になったことで足かせがなくなり、今後は有能な政治家として辣腕をふるうことになるでしょう。





大帝クリードグレン


 本作に置いてもっとも登場場面の少ないキャラですが、ある種もっとも重要人物でもあります。

 彼が作った帝国は、古代ローマ帝国にインスパイアされたものです。帝政になったことで批判されたローマですが、中央集権化したことで広大な領地を統括しやすくなったという評価も下されています。似たような国家にアメリカ合衆国があり、こちらは非常事態に大統領の権限を集中させることで指揮系統を把握しやすくするというメリットがあったりします。

 自然環境が過酷で飢餓や貧困におちいりやすい南大陸では、民主主義より大陸丸ごとの中央集権のほうがやりやすいとしてクリードグレンは帝政を選びます。

 が、その目論見は大きく崩れます。国の基盤が結局大帝のカリスマ性頼みだったので、彼が倒れると誰も大国家を支えられなくなるのです。結局重臣たちの裏切りによって大帝は無力化されました。

 そんな帝国を救ったのが、永遠の命と、同等のカリスマ性を持つ魔王。魔王の登場によって帝国は再建されますが、引き換えに国の将来を人外に頼らなければならないという、苦肉の選択を強いられました。





エンウィー、ならびにランドンの姫


 いい意味でも悪い意味でもすごくアクティブなヴィーシャと比べ、彼女たちはいたって受動的な姫様がたと言えます。もっとも少しキャラが違いますが。

 エンウィーはアラブ系ながらも典型的なお姫様ですが、実は父親に負けない才覚があると言った感じです。父親に大切に育てられたため、その才能を発揮する機会を得ることができなかったのです。

 ところが魔王と出会うことによって、その秘められたカリスマ性が開花していくことになります。見せかけではなく大国の事実上の君主ともなり、それにふさわしいバイタリティと風格に目覚める、といった感じですね。

 対象的なのはランドンの姫さまです。兄が国王を襲名する伏線として、名前すらつけられてません。ちょっとかわいそうですが、そもそも出番もそんなに多くはありません。最後のあたりでちょっとだけ活躍しましたが、基本的には物語にからまない役割ですね。

 そもそもエンウィーと違って意欲はあっても、才能はありません。それを自覚したのかラストではとんでもない所に嫁に行きます。





黒ひげのヴァスコ


 サブキャラでは一番主人公にからむキャラとなりました。船乗りとして一緒に海を渡るのは当然のこと、なんとその後も主人公(の仲間)に同行することになります。

 イサーシュは一流の船乗りとして尊敬もしますが、基本は海のあらくれ者です。元義賊という設定はよけいだったでしょうか。





錬金術師ビーコン


 地味に活躍する彼ですが、結局自らの信念を貫いてノイベッドとたもとを分かちます。

 彼が扱う錬金術は実在のものと違い、魔法と科学の橋渡しです。しかし本作で語られている通り、進み過ぎた技術は災厄をもたらしかねないため、このまま行けばマッドサイエンティスト街道まっしぐらです。

 そのためギリギリで踏みとどまったノイベッドと対象的なキャラ付けをされています。

 具体的に描く予定はないですがこのあと錬金術は禁忌とされ、彼にとっては不遇の時代がやってきます。





知将マージ


 そうそう、この人のことを忘れていました。彼は正確には魔王サイドですが、勇者たちの味方もするのでこちらで。

 お気づきの方もいらっしゃると思いますが、彼はいわゆるアフリカ系です。デリケートなので少しオブラートに包みました。

 マージは有能でありながら、南大陸の原住民であるためにいわれなき人種差別を受けてきた人物です。クリードグレンやラシリス、ファルシスのような、先見性のある人物によって救われてきました。

 南大陸はかつて北大陸の古代文明からの大量移住によって、迫害のみならず伝染病による被害で大量死を迎えたと言う悲しい過去があり、これはアメリカ先住民の境遇にもインスパイアされています。

 いわば彼はアフリカ人、ネイティブアメリカンの2重写しということです。





天界の四神


 天界の神々のうち、長男がラスボスになってしまいました。とあるゲームのやり過ぎでしょうか。

 もっとも4男がもっとも神としての知見にたけ(カリスマ性は低いものの)、実質的に主人公達を導く役割を担います。助っ子が一番頭がよくしっかりしているのはよくありますね。

 長男は神々の頂点としてのプレッシャーで、頭が固くなってしまいました。他の兄弟は彼をい冷めきれないでいるところはちょっとヘタレですね。

 天界の神々が複数なのは、宗教というものが常に持ちあわせている偉大さ、そして危険性の2面性を現したつもりでした。





 今のところはこういった感じでしょうか。何か思いついたら追加いたします。

 次回は魔王サイドのキャラ解説です。

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