第49話 少女の覚醒~その4~
天界の支配者、フィロス、クイブス、アミスの姿は、平原を一望できる神殿の前広場にあった。
3者とも目の前の出来事が信じられず、ぼう然としている。
「母上が、やられた……」
「強力な戦力が、2つも倒されるとは。
よもや奴らが例の大巨人を召喚できるとは。予想外すぎる……」
つぶやくクイブスもアミスも、がく然としている場合ではなかった。
2人の中央に立つフィロスの表情が、徐々に怒りに満ちていく。
「よくも……よくも、わが母を……」
顔の憤怒が頂点に達した時、フィロスは両手を大きく広げた。
そこからすさまじいまでの雷電がほとばしり、天空をつきぬけていく。
すると彼らがいる場所がはるか天空にもかかわらず、上空が暗雲でおおわれた。
そこから稲光がほとばしり、地表に向けて次々と放たれた。
クイブスとアミスが、すぐさま兄を取り押さえようとした。
「やめろ兄者っっ!
これ以上魔王の怒りを買おうとするなっっっ!」
「その力は使うべきではないっ!
無差別に、地表の者たちを攻撃するぞっっっ!」
弟たちの言う通り、彼がはなった雷はふもとのルサレムにまで舞い降りた。
高い建物の屋根を砕き、一部では火の手があがっている。
弟たちは必死に取り押さえようとするが、怒り心頭の神はありえないほどの腕力で姿勢をくずさない。
「知るかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!
このワシの怒りをぉぉぉぉぉぉ、けがれた地底のクズどもにぶつけてやるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっっ!」
フィロスが叫びあげた瞬間、弟たちはやっと彼の身体を押し倒した。
寝そべったまま、クイブスとアミスはそれでも必死に取り押さえる。
「許さん、許さんぞぉぉぉぉぉぉぉっっっ!
母が受けた屈辱と苦痛は、何倍にも、何千倍にしても返してやるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっ!
くそったれなファルシスめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっっ!」
両手からの電流が鎮まった後も、稲光は地表を貫き続けていた。
地表では、フィロスの報復を受けた連合軍が混乱をきたしていた。
幹部たちが必死になだめようとするが、無差別に襲ってくる点からの攻撃を騎士たちがかわしきれるはずがない。
軍のあちこちで光がまたたき、彼らの身体が無残にもはね飛ばされる。
そんなとき、トナシェの身体を必死に抱きかかえるネヴァダは、頭をかかえる女巨人と両手を天にかざすファルシスがゆっくり近づいてくるのを見た。
彼らは自ら避雷針となって、無力な兵士たちを雷鳴から守りにきたに違いない。
雷が止んだ後も、空の暗雲はなかなか晴れることがなかった。
どんよりとした曇り空が、傷ついた兵士たちを暗澹たる気持ちにさせた。
自分たちは、あまりに強大な相手を敵に回している。
その事実をいやというほど思い知らされた。
すでに多くの者が傷付き、倒れた。
それでも戦いは終わりではない。むしろ、これからが本番であるとさえいえる。
やがて遠くから、誰かをかかえる者がやってきた。
全身がヤケドだらけのヴァレリアを両腕に乗せ、オルディントが戻ってきた。
すぐにドゥールがかけつけ、「大丈夫なのかっ!?」と呼びかける。
「ヴァレリアは、かろうじてな。だけどヘールダールは……」
ドゥールをはじめとして魔王軍の面々が彼方を見ると、ヘールダールの肉体は土くれになり、少しずつ崩れ始めている。
「そんな、ヘールダール姉さんまで……」
がく然とするドゥールをよそに、ヴァレリアの骨の兜をかぶった頭がわずかに持ち上げられ、「うぅ……」とうめく。
トナシェが「大丈夫ですかっ!?」とそばによると、兜の暗がりからわずかに光がもれた。
「わ、わたしは……それより、姉さまは?」
トナシェは思い切り顔をしかめ、首を振りながらうつむいた。
それを見たヴァレリアも口をわなわなとふるわせる。
「お姉さんは、最後にこう言ってました。
迷惑ばかりかけていた、自分を許してほしいと……」
「そんな。わたしはただ、姉様にさみしい思いをしてほしくなかっただけなのに。
姉様には、わたしたち家族しか、いないのに……」
それを聞き、オルディントもドゥールもうつむいた。
いまわしき力をかかえながらも、無意識のうちに絆を高めていった、禁断の神々。
長い眠りの先には多くの力とともに、記憶が喪失される。
神々同士のきずなも、振り出しに戻る。
それを思い、涙を流すトナシェ。
前方を見ると、3つの神の身体が様々な色の光に包まれていた。
トナシェは思わず「待って!」と声をかけた。
「どうやら、時間が来ちまったようだぜ。
短い時間だったけど、大嫌いな連中に俺たちの力を見せつけることができて、せいせいしたぜ」
「またね、お嬢ちゃん。
ひょっとしたらもう会うこともないかもしれないけど、また呼ばれた時にはよろしくね!」
オルディント、ドゥールが別れの言葉を口にする。
ヴァレリアは無言で、トナシェの差し出した手を受け取った。
その手を軽く握り、すぐに離すと、彼女は身をぐっと縮めた。
とたんに彼女の身体が回転する風に包まれ、上空へとかき消されていく。
消えゆく彼女を抱きかかえたオルディントもまた、地面から発生した赤いひび割れに少しずつ飲みこまれていく。
ドゥールの足元からも緑色の沸騰する粘液が発生し、少しずつ飲みこまれていった。
手を振る彼らになにもできず、トナシェは悲しみの目で彼らを見送った。
その様子をはるか上空から見守っていたレンデルもまた、頭上に黒い渦が発生している。
「おやおや、アタシも時間が着ちまったようだよ。
もっともアタシは眠りにつくわけじゃないけどね。お嬢ちゃん」
そう言ってレンデルは人差し指を、見えているかどうかわからない少女にまっすぐ差し出した。
「破壊神の多くが消されちまったけど、あんたにはそれ以外にも味方がいることがわかったんだ。
困ったときはまたアタシを呼んでくれよ。
アタシの名はレンデル。よろしくね」
トナシェは振り返り、今度は強くうなずいた。
そして眉間にしわを寄せながら、元気よく彼女に手を振った。
レンデルが軽く手を振ると、その身体が徐々に浮かび上がった。
コケの長髪におおわれた頭部が隠れたところで、トナシェは手を下げた。
決して小さくはない犠牲を払い、連合軍はルサレムの門前に進み出た。
悲しみを心の奥に閉じ込め、立ちはだかる天使の軍を魔王たちはいとも簡単に打ち破った。
大門を開くと、そこにはおどろくべき光景が広がっていた。
街の建物の前には、なぜか数多くの水場が並んでいる。
1人の兵士が透明度の高い水場を見下ろす。
「おい、この水場、深くまで続いているみたいだぜ!
ひょっとしたらこの下に何かが……ぐおわっっ!」
言うなり兵士の身体が頭を何かにつかまれ、水の中に飲み込まれた。
それを見た兵士たちがいっせいに門の前まで引きさがる。
前方に立つスターロッドが手を横に広げた。
「水の妖精、『ニンフ』たちじゃっっ!
先に進むでないっ! これより先は水棲魔族たちの役目じゃっっ!」
「地属性の役目ではないのかっ!? 弱点属性だろうっ!」
ルキフールは叫ぶが、スターロッドは首を振った。
「ニンフたちに地の魔物たちは倒せないが、奴らも同様じゃっ!
水の中では思うように動けん!」
言うなり、ダークエルフたちが飛び出した。
上空からも、デーモンたちが3人1組で魔法陣を出現させる。
現れた魔法陣から、勢いよく水棲魔族たちが飛び出した。
魚が融合したかのような姿をした人型の生物を皮切りに、様々な魚のような魔族が飛び出し、躊躇することなく水の中に飛び込んでいく。
「うわっ、どれも凶悪そうなのばっかり……」
ヴィーシャが思わずつぶやくと、スターロッドは大きくうなずいた。
「奴らなら十分ニンフどもに対抗できるじゃろう。やりすぎねばよいのじゃがな。
さあ、奴らに任せている間に我らは進むぞ!」
周囲に気をつけながら、ファルシス達は進んでいく。
水面からは激しくしぶきがあがり、次第に真っ赤に染まっていくのだが、それが敵なのか味方なのかはわからない。
奥に進むと、魔王軍は市街地に入る。
すると入り組んだ路地の中から、背丈は低いが屈強な身体つきをした、真っ白な髭の老人たちが現れる。
どれも相当な重量のありそうな武器を軽々と手にしてる。
前方に立つルキフールが叫んだ。
「今度は地属性の種族、『ドワーフ』かっ!
全くこりずに立ち向かってきやる!
気をつけろ! 奴らの皮膚は頑丈なうえに、魔法も使うぞ!」
ドワーフの1人が武器を手にしていない片手をかかげると周囲の外壁がはがれ、手の上で球体に固まった。
それを容赦なく投げつけると、ルキフールは短い呪文を唱えてそれをはじいた。
「遠慮するなっ! 我らはみな幾多もの戦いをくぐり抜けた猛者だ!
長らく戦いを忘れた奴らに、そのことを十分思い知らせてやれっ!」
狭い路地の中へと、ドワーフめがけて騎士たちと魔物の群れが飛びかかっていった。
戦いは順調に進んだ。
ニンフもドワーフもすぐに根をあげ、おとなしく投降した。
特にニンフたちは水辺へあがると下半身が魚のヒレのようになっているため、さほどの力は持たない。
彼らがおとなしく投降したのには、特別な理由がある。
どちらも片方の性しかないからだ。
ニンフはすべて女性、ドワーフはすべて男性といった具合。
彼らはもともと善良な地上の人間で転生によって仲間を増やすが、失った数はなかなか元に戻せない。
戦闘に加わらない住民たちもまた、現れた魔王軍に協力的だった。
彼らは先刻フィロスの放った雷電の巻き添えになり、傲慢な神に対する忠誠心が消えうせていた。
連合軍はこうして、ルサレムの街を比較的軽微な被害で占領することができた。
しかし、これでフィロスの足元にたどり着いたわけではない。
彼らの前に、新たな難題が当然のごとく振りかかる。
夜になり、連合軍は休むことになった。
とはいっても夜型の魔族たちが街じゅうで暴れるため、残りの者はすべてその対応に追われることとなったのだが。
ファルシスたち魔王軍幹部は街の有力者に引き連れられ、最奥に連れていかれた。
「ここです。
これが、神々の住まう宮殿にたどり着くための最後の試練となる場所です」
ファルシス達の目の前に現れたのは、天高く突きだすようにそびえる、巨大な門だった。
門には様々なレリーフが刻まれており、目の届く場所に四つの光かがやく円が見える。
それぞれ赤青黄緑に照らされている。
周囲を見ると、正面の門よりは小ぶりな4つの大扉が見える。
それぞれの扉の中央には正門と同じ色の円がかがやいており、門の奥にはそれぞれ同じ色の照明で照らされた豪奢な建物がそびえ立っている。
「これこそ、神々に仕える最上級の天使たちが居を構える、
『守護の宮殿』と呼ばれる場所です」
壮年の有力者は4つの宮殿を手で指し示した。
スターロッドが片手でわきを押さえながら、もう一方の指の関節をほおにつけた。
「4つあるということは、それぞれの宮殿には4つの魔法属性を持つ守護たちが鎮座しておるのじゃな?」
「よくご存じで。
それぞれの守護には、それにふさわしい強大な魔法の力が備わっております。
周囲をごらんください」
有力者が指し示す通り、ファルシス達は宮殿の大扉に目を向けた。
「向かって右側の宮殿、
青の扉はニンフの女王、『水のカブラ』の神殿です。
彼女は水を自在に操る力を備えています。
宮殿はもちろん多くの水で満たされているはずです」
案内人はなぜか扉に近い方は指し示さず、なぜか反対の方向に手を向けた。
「黄色の扉にはドワーフの王、『土のウール』が鎮座しております。
彼は地の魔法を使いこなすだけでなく、身体が非常に頑強で、刃を全く通さないと聞き及んでいます」
老人の手は扉に近い方に移った。
「緑の扉はハイエルフの統領、『風のラルフ』の館。
風をまとい神速の動きをなすと聞き及んでおります。
しかし彼の姿はここ数百年の間、誰も見ておりません。
ハイエルフの一部の幹部だけが、彼の宮廷に出入りするだけです。
彼のことに関しては未知数の部分が多い、と言っていいでしょう」
ここでようやく、有力者の手が最後の扉を向いた。
「赤の扉には、エンジェルの皇帝、『炎のミゲル』が居を構えます。
しかしお気をつけなされ、彼こそは4つの守護の頂点に立つ者。
フィロス神にもたいそう気にいられ、最近では我々のうかがいしれぬ重要な任務についているとの話です」
「重要な任務?
それが何かはわからないが、フィロスのお気に入りと言う話は聞き捨てならないな。
よほど性格が悪いのだろう」
感心したように言うファルシスの横で、スターロッドが首を振った。
「中にいるのはどれも危険な輩じゃ。
そう思ったほうが覚悟が定まる」
「なあ、なんでまわりの宮殿の中にいる連中の話をしてるんだ?
俺たちは別に観光しに来たんじゃないだろ?」
ベアールが言いながら、まっすぐ正面の門を指差した。
「正面の扉、どうしても開けなきゃいけないのか?
扉のまわりには結界がはられているとでも言うのかよ?
どこからか、進入路を探した方が早いんじゃないのか?」
「ムダですね。
おっしゃる通り、門の周囲は強力な結界がはられている。
ドーム状になっていて、上空から接近してもムリです」
「この街をいったん出て、地中を掘り進めたらどうなんだい」
「どうぞお好きなように。
もし地中に結界がなかったとしてもこの扉の先は巨大な湖になっていて、そこには数多くの危険な水生生物が潜んでいます。
華麗な水中戦を挑まれたいのならそちらをお勧めしますが?」
「いいかげんにしろベアール。案内の者も言いすぎじゃ。
とにかく、宮殿の中の守護を破って門を開くしかあるまい。
そんなことはわかりきっておるだろうに」
スターロッドは言うが、ファブニーズは難しそうな顔をする。
「しかし、これは敵の懐に飛び込むようなものです。
宮殿の中はおそらく侵入者を排除するための強力な機能が設けられているはずだ。
だからこそ彼らは我らを待ちかまえているのでしょう」
「だとしても、飛びこまねばならぬ状況に変わりはない。
どうせ無傷では通れぬ戦いだ。むしろこれまでの被害のほうが少なかったはずだ……」
ファルシスの声を聞き、ロヒインが悲しげな目をした。
「少ない、ですか。
多くの者が傷付き、命を落としているというのに……」
それを聞き、幹部たちのほとんどが複雑な表情をした。
ルキフールはそれを払いのけるかのように、首を振った。
「わかりきっておるはずだ。
神々と、その使徒たちとの戦いなのだぞ?
本来なら多大な犠牲を払ったとしてもおかしくないものだ」
「そうですね。
ルキフール様、失礼なことを申し上げました」
ロヒインが素直に頭を下げると、ルキフールは手と首を振った。
「よい、よいのだ。
むしろ私は、今までの犠牲が少なかったことを喜んでいる。
もちろん命を落とした者たちを悼む気持ちも、まだ残っておる」
「悼む気持ち、か。
ルキフール、お主また人間に近づきおったな」
言われ、老魔族はスターロッドを横目で見る。
「はるか前世は人間だったのだ。
人の感情が残っていたとしても、不思議ではあるまい」
そう言い、ルキフールは杖をつきながらその場を立ち去ろうとした。
「いずれにしろ、対策は考えておかねばならん。
しかし今はもう夜だ。少しでも体を休め、英気を養っておかねばな」
いそいそと立ち去っていく彼の姿を、多くがだまって見送っていた。
ただ1人スターロッドの身が、あわててその後ろ姿を追いかけていく。
「待て! ルキフール!」
人気のない場所に出たところで、スターロッドは呼びかけた。
立ち止まって振り向いた彼に対し、若づくりのダークエルフは横に並び立つ。
「あの時の話、まだ話していなかったな。
飛空艇でお主に聞かれたことじゃ」
「小声で話せ、ヴェルゼックやエドキナに聞かれるかもしれん」
「魔法を使ったほうがよかろう。
お主なら一言だけで発動できるはずじゃ」
言われ、ルキフールは魔術語をつぶやいた。
そして「話せ」とうながす。
「ファルシスは、ずいぶんと悩んでおるようじゃ。
この戦い、はじまったのは自分に責任があると思っておるようじゃな」
「コシンジュと、フィロスを怒らせたことか?
気にするべきではない。この戦いは、いずれにしろ始まるはずであった」
「だが、焚きつけ方がひどすぎる。
あのように激昂させなければ、フィロスはあそこまで怒り心頭にはならんかったろう。
そのことを気に病んでおった」
「それで、お前はなんと言ったのだ?」
「ファルシス自身が、天界に対する深い憎しみに憑かれておるのではないか、そう思ったのじゃ」
「……ありうる話だ。
殿下が闇属性の統領である以上、その御心には『あの力』が働いているはずだからな」
スターロッドは音を消す魔法を発動させているにもかかわらず、小声で「ナグファルの呪い……」とつぶやいた。
2人は無言で、狭い路地を歩き続ける。
道はかがり火で照らされてなお、薄暗い。とても天界にある街とは思えないほどだ。
「スターロッド。
お前ももしや、闇の呪いにかかっているのではないのか?」
「なにを言う。
わらわが、天界の住民に対する憎しみを抱いているとでも言うのか?」
「私を甘く見るな。
お前の心情など、私からすれば手に取るように分かる」
言われスターロッドは腕を組み、首を振る。
「だからわらわは昔からお主が苦手じゃった」
「フン、なにをいまさら。
お前の考えなど、自分が思っている以上に浅いぞ」
「そういうお主は、どうなのじゃ?
よくもまあ、天界の連中を前にして平然としていられるな」
「ゴブリン上がりだからな。
底辺からはい上がっただけ、闇の影響も少ないのだろう」
「ベアールやファブニーズも、影響は少ないようじゃが……」
「ファブニーズの奴は人間が誕生するはるか前の、古竜や巨大爬虫類の生き残りだからな。
ベアールは、お前よりおめでたい考えの奴だからかもしれんが、結局のところはわからん」
「わらわとファルシスが、ナグファルの影響を知らず知らずに受けている、と。
いや、奴の存在を知っているからこそ、わらわたちはそうなってしまったのやもしれんな」
「フレストの登場は、その考えにたどり着く手がかりになってしまったかもしれん。
神々と同程度の光の破壊神がいるということは、闇もまたしかり、だとな……」
それを聞き、スターロッドは立ち止まった。
少し前に進み出たルキフールも、立ち止まって振り返る。
「お前も、くれぐれ闇に呑まれるな。
もっとも、そうやって私に打ち明けている限りは大丈夫かもしれんがな」
言って、ルキフールは闇の中に姿を消した。
スターロッドは、ただそれをだまって見送ることしかできなかった。
クライマックスになって、ようやくドワーフを出すことができました。
最初から天界の住人設定だったので、別に忘れてたわけじゃないですよ?




