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I have a legendaly weapon~アイハブ・ア・レジェンダリィ・ウェポン~  作者: 駿名 陀九摩
第7章 勇者、魔界のジャングルを進む
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本作における騎士制度の仕組み

ちょっと小難しいです。読み飛ばし可。

 実在の西洋における騎士制度は一種の階級であるが、本作では少し事情が異なる。


 まず、騎士とは本来その名の通り馬に乗るのが基本であるが、ここでは馬に乗ることがなくとも、国家により指定された甲冑を身につけることができるものはすべて騎士と称する。

 もちろん本作では騎馬隊も登場するが、騎馬隊に属さない一般の甲冑兵も騎士となる。


 上記に記したとおり、ここでの騎士はいわゆる一般職である。

 そのため一般庶子からも幅広く公募し、きびしい審査を経ることでだれでも騎士となることができる。

 ただし国によるが騎士となった者の子弟も広義の騎士となり、大抵は世襲する。

 この場合審査基準は国によっては非常に甘くなる。

 当然、一般公募の審査の基準も国ごとに異なる。


 本作における騎士は基本的に軍人であるが、同時に国内における警察の役割も果たす。

 警察任務に関しては必ずしも甲冑を身につける義務はなく、その場合は制服をまとうか腕章を身につける必要がある。

 騎士たちの中には、国家有事には一切かかわらず国内の治安維持を専門とした騎士もおり、そういった者の中には一切の武芸を身につけず、犯罪学を研究し捜査に役立てる者もいる。


 そのため、各国の騎士団には必ず3つの部門が存在する。

 1つは上記した警察部門。

 2つ目は国境や重要施設、要人を守る警護部門。

 3つ目は有事に備え、常に訓練を行う機動部門である。

 各国に所属する騎士たちは一部の特例をのぞいて数年ごとに部門を移動する。


 大陸のすべてが1つの国家で統一されているゾドラも含め、各国の騎士団には様々な特徴がある。

 以下はそれらの騎士団の特徴を列記する。





ランドン王国青紋(せいもん)騎士団


 北大陸中央にあるランドン国の騎士団。

 名前の由来は、騎士たちの甲冑にほどこされた青い紋章から。


 軍としての団結力よりも、個人の実力が優先される騎士団。

 この気風はかつて国が興った地が誉れ高き勇者を輩出したことに由来する。

 勇者を目指す者はたいてい剣士として各地の道場(勇者の村のチチガム道場が最盛を極める)に通うが、国家に所属する騎士たちもまた統率力よりも個人技を磨く者が多い。

 とはいえ、軍における隊列の重要性は認識している。

 そこで団では各団員達の適性を徹底して調べ上げ、集団行動に適性がある者が属す「本部隊」と、ある程度行動の自由が効く「遊撃部隊」とに分け、配属させている。

 遊撃部隊のほうが実力者が多いとされ、若干人数も多い。


 近年の民主化によりノイベッド評議員が軍事顧問を務めることになった際は、軍の装備品を徹底的に改革した。

 そのため騎士たちの装備も一新され、軽量かつ頑丈な甲冑が作られ両部隊の機動力が上昇、青紋騎士団の評価はさらに高いものとなっている。





ストルスホルム王国赤錆(あかさび)騎士団


 北大陸の北部一帯を統一する、大国ストルスホルムの騎士団。

 騎士たちの装備にほどこされた、魔法耐性のある赤い紋様に名前が由来するとされているが、一部ではあまりに装備の扱いが悪く、すぐにサビが出来てしまうという噂から出ているという説もある。


 守備力に重点を置いた、非常に統率力の高い騎士団。

 大盾をはじめとした重厚な装備と、北の諸国の中でも非常に厳しい軍規による鉄壁の防御を特徴とする。


 これはストルスホルムが北諸国でもっとも広大でありながら、北方ゆえ土地が貧しく農業が盛んにならず、自然と軍事関連の産業を発展させざるを得なかった事情がある。

 軍の入隊は比較的寛容で国内の様々な階級の者が門をたたくが、訓練・軍規ともに北大陸でもっとも過酷で、挫折して去っていく者も多い。

 一部が国内にて一般兵として残るが大半はそれを屈辱ととらえる者も多く、ストルスホルム自体を去っていくことが多い。


 去った者たちの行く末は他国の騎士になることが多く、友好関係にあるランドンの青紋騎士として好意的に迎えられ、かえって真の才能を開花させることもある。

 キロンやベロンの騎士となる者もいるが、必ずしもよい待遇を受けているとは言いがたい。

 南方の都市国家連合では各都市によるが、好意的に迎えられる傾向がある。

 リスベン・ゾドラでは全く登用されることがない。


 ごくわずかながら、どこの諸国にも属さずそのまま放浪の騎士となる者たちもいる。

 しかし彼らは母国の騎士となることができなかったことから、それを恥じて鎧の色をまったく異とすることが多い。





キロン王国紫套(しとう)騎士団


 北大陸西部にあるキロン国の騎士団。

 名前の由来は、所属する魔導師のローブや騎士がまとうマントの紫から。


 キロンはもともと世界最大の大魔導院をかかえていることから、白兵武術よりも魔術を重んじる傾向がある。

 それは国を守る兵団に置いても同様であり、騎士たちの中に混じって魔導師が隊列に加わることが多いのである。


 ただし騎士たちの役目がないがしろにされているわけではない。

 人間の魔術は詠唱に時間がかかるため、周囲の騎士たちはその間魔導師を護衛する役割を担っているのである。

 そのため魔導師を中心とした小隊が個別に編成されており、紫套騎士団は各国の中でも特異な編成をとられた軍として世に知られている。


 もっともキロンは北の連合国の中でも古い国家であることも重なり、古い伝統と習慣に満ちた団内において、魔導師と騎士たちの間に軋轢を生みつつある。

 現国王が魔導に力をそそぎ込み過ぎる傾向も重なり、一部の魔導師による騎士たちへの強い差別意識が徐々に団全体の統制をゆるがせつつある。





ベロン王国金鱗(きんりん)騎士団


 ランドンとマンプス山脈をはさんだ小国、ベロンの騎士団。

 その名の通り所属する騎士たちの格好が非常に豪奢で、パトロンとなる貴族たちが競うようにして甲冑を製造するため、全体としてまったく統一感のない陣容となってしまった。


 そのため、軍としての統率も乱れがちである。

 もっとも現団長のすぐれたリーダーシップにより決定的な瓦解は免れているが、国防をまったく重視しない貴族たちへの不満は日々募るばかりであった。


 しかし以前から団長により進められてきたクーデター計画に加え、勇者一行とレッドドラゴンの攻防における王の失政によって、国家体制は一気に変容することとなった。

 新しい君主となった元ランドン評議員の軍制改革により、装備はランドン式のものに一新しつつ、軍規は既存のものを踏襲するという独自の体制に切り替えた。

 これによりどのような気風がもたらされるのか、周辺各国は注意深く見守っている。





リスベン共和国緑旗(りょっき)騎士団


 北大陸東部にある小国、リスベンの騎士団。

 名前の由来は騎士たちが常に背中から緑色の小さな旗をたはめかせているため。


 小規模ながら、高い統率力をほこるのが特徴。

 もっとも近年は国の統率者たる議長による政治腐敗により、軍内に置いても不正がはびこるようになり、伝統と格式ある軍の統制が乱れつつある。





都市国家連合七色(ななしょく)騎士団


 北大陸南沿岸部に広がる、複数の都市国家に属する騎士団を統合した呼び名。

 各都市の騎士団はそれぞれ甲冑やひるがえす旗も異なり、それらが合流するとまるで7色の違う色に染められて見えるという皮肉から、こう呼ばれている。


 呼び名の通りこれらの騎士団の気風や軍規には微妙な差があり、足並みがそろいにくいという特徴がある。

 しかし外洋の敵に対しては利害を超えて各都市が団結し、得意とする海戦において猛威をふるうさまは、他国においては畏怖の対象となっている。





ゾドラ帝国黒鋼(くろはがね)騎士団


 南大陸全土を統一する、ゾドラ帝国における騎士団。

 すべての騎士が黒鋼と呼ばれる特殊超合金製の甲冑を身にまとっている。騎士団の名前もそれに由来する。


 ゾドラは近年において大帝クリードグレンによって統一された新国家であるため、騎士団の歴史も当然のごとく浅い。

 しかしカリスマと仰ぐ大帝の鼓舞のもと、団の統制は極限までに磨きあげられており士気も非常に高い。

 大陸全土において優秀な人材を幅広く取り入れているほか、黒鋼甲冑による無敵に近い防護力、加えて北大陸には明かされることがない因縁に対する執着など、外敵に対しては非常に恐ろしい軍団となっている。


 が、近年は大帝が病床に伏せており、軍を掌握した大将軍プラードをはじめとする重鎮たちの不正のあおりを受けて、その統制にも若干のかげりが見えはじめていた。

 しかし騎士たちの大半はいまだ大帝に対する忠義、そして北大陸に対する古い怨念のもと、断固としてその命を戦場にて燃え上がらせようと、日々職務に順じている。


追記: つい最近の政変において、魔王ファルシスが実質的統括権を得ることとなった。

 これによる他国への影響が懸念されており、その影響力は計り知れない。





 上に記した格国家所属の騎士以外にも、特定の国家に属さず、世界各地をあてどなくさまよう放浪騎士、またの名を自由騎士と呼ばれる者たちがごく少数ながら存在する。

 たいていは以前いずれかの国家に属する騎士の出身で、何らかの理由で出奔(しゅっぽん)することとなった者たちである。


 自由騎士たちは正規崩れであるためか、世界各地で扱いが悪くなりがちである。

 また軍の気風になじめなかったとみなされ、実力を軽んじられることも多い。

 自由騎士を長く続けるものは多くなく、ほとんどが自分の身の丈にあった騎士団を探すが、あぶれた者は数少なくなった戦場を求め、傭兵に身を落とすこととなる。

 中には自ら放浪を求める者もいて甲冑を捨て旅人としての格好をよそおうものが多いが、中には甲冑への執着を捨てず、騎士の様相のまま各地をさまようつわものもいる。





 なお、残る東大陸においては全く文化、風土がちがうため、騎士団制度はない。

 おもな所領を占める3つの国家はそれぞれ異なる軍事制度を設けており、南北大陸における騎士団制度とは相いれないので、ここでは記載を省くこととする。

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