アイリスのライバル?
俺達は空間移動で、リリアナ王女を助けた場所まで一気に戻って来た。勿論、人目に触れない様に、森の中に移動してだが。
移動していたら、予想通りに、魔力減少の為の、あの疲れがやって来た。俺はすぐに魔丸を飲み回復したのだが、人数が増えただけ、魔力消費が激しい気がする。
これは移動する質量によって、魔力消費に違いがあると言う事だな。
さて先ずは、ナッソーに行く前に、アイリスとの、連係の確認の為に、モンスターとの戦いだ、気配探知のスキルを使ってみた。……反応が無い。
「この辺りには、モンスターも、誰もいない様だな」
「街道の近くには、モンスターは滅多に現れませんよ。街道を外れてみましょう」
「そうだな、所でこの世界には、レベルって在るだろう、あれって何か意味が有るのか?」
「どうしてですか?」
「どうしてって、前に俺が王女を助けた時の兵士は、二人ともレベル20を越えていたのに、レベル一桁の俺が倒せたんでな。盗賊の時もそうだったんだ」
「御主人様って、一桁だったんですか!?」
「そうだよ、悪いかよ……」
そんなに驚く事は、無いじゃないか、やはり弱いと思われて、嫌われたかな?
「すみません、御主人様のレベルと、強さが釣り合いがとれておらず、思わず驚いてしまいました、お許しください。しかしそれなら、父が言っていた事も、納得出来ます」
「何を言っていたんだ?」
「男と女の力が違う様に、同じレベルでも能力は違う。元々の能力が高い、レベル1の者もこの世にはおり、そもそもレベルとは、身体の能力値を表しただけであり、技術や心は数値に現れない。
それにいくらレベルが高くとも、攻撃が急所に当たれば、即死する。レベルとは己自身の中の強さの段階なのだ。って言ってました」
「そうなのか、アイリスの父上は、博識あるお人だったのだな」
しかし、それでも1つの強さの目安にはなる、あのおばば様には、絶対に勝てそうに無いからな。って言うかあのおばば様、死ぬのか?それすら怪しいぞ。
でも考えてみたら、筋トレしなくても、レベルが上がれば強くなる世界って、楽で良い。
しかし、今のうちにステータスの確認は、やっておいた方が良いな。
名前:島左近 種族:人間 レベル7
職業:浪人 剣士 戦士 覇王 勇者
固有スキル:ステータス閲覧 気配探知 職業変更 自動翻訳 経験値50倍 鑑定 アイテムボックス 詠唱省略 色欲増大 空間移動
装備:朱槍 妖刀村正 長船小太刀 紅蓮の甲冑 覇王の陣羽織 マジックバッグ
おっ、レベルが上がっている。そうかあの兵士を倒したからだな。
そう言えば、職業変更のスキルで、アイリスの職業の最初を奴隷じゃ無く、剣士に設定したら、どうなるのだろうか?他の人には、最初の職業しか解らないって、神様が言っていたからな。
でも性奴隷じゃ無くなると、いなくなられても困るし、暫くは止めておくか。
そんな事を考えながら、俺はもう一度、気配探知を使ってみた。
すると森の奥に僅かに反応が1つ出た、しかも色は黄色だ。もしかしてコレが、モンスターの反応かな?
「アイリス。反応があった、森の奥に行くぞ」
「はい」
そう言って俺達は、森の奥の反応を目指して、馬を走らせたのであった。
俺達が森の中を進むと……いた、少し大きなウサギで、額にユニコーンの角の様な物が付いている、動物が。
これがホーンラビットと言うモンスターか?可愛いだろ、こんなの、殺せるのか俺は?先ずは、モンスターのステータスの確認だな。
名前:****** 種族:兎 レベル:4
職業:魔物
えっ?種族が兎なんだ、しかし職業が魔物って何なんだよ。……まてよ、職業が魔物なら、他の職業を覚える可能性も有るって事か。
しかし今回は、心が痛むが倒すしか無いな。
「アイリス、あれがホーンラビットか?」
「そうですが、通常ホーンラビットは、群れで行動します……何か変ですね」
「群れから、はぐれたとかは?」
「考えられますが、普通は焦って動き回るんです。でもあのホーンラビットは、呑気に草を食べています、もしかするとモドキかも?」
「モドキ?」
「はい、ホーンラビットモドキ、姿はそっくりなんですが、ホーンラビットを捕食に来た魔物等を、逆に捕食する魔物です」
「そんなのがいるんだ、とりあえず警戒して行くぞ、俺が前衛でアイリスはバックアップ、フォローしてくれ」
「それだと、御主人様に危険が」
「大丈夫、俺は甲冑を装備しているから、防御力は高い、だから俺が前で攻撃を引き付けて、お前が速度を生かして攻撃をするのが、理にかなっている」
「確かに……解りました、それで行きましょう」
俺達は、ホーンラビットに向かって、ゆっくりと近寄った。
手には朱槍、これは勿論、リーチが在るからだ。
それに昔の戦場は、弓や槍で戦うのが一般的だ。刀で戦うことは殆んど無い。
刀は、市街戦闘や密集した乱戦では有効なのだが、統率の取れた戦場は弓や槍が有効なのだ。戦場で名の通った武将の二つ名で、槍の○○と言うのが多いのは、その為である。
俺も同じだ、俺も刀より槍の方が得意だ、刀は扱えるが、サポートするだけの物だと思っている。
しかし、初めての戦闘の連携と言うならば、後方のアイリスの動きも、考えなければならない。
俺は気配探知のスキルを発動しながら戦う事にした。
これならば、後方のアイリスの動きが解るし、半透明なので少しは気になるが、邪魔にはならない。
俺がホーンラビットに、近付いた時だった。
ホーンラビットの頭が分かれると、中は無数の歯に唾液まみれの、そうエイリアンの様な姿で、俺に向かい飛び掛かって来たのだった。
キモッ!
俺はそう思いながらバットを振る様に、朱槍を振り抜きホーンラビットをブッ飛ばした。
けして、キモくてブッ飛ばした訳じゃないからな。勿論、ブッ飛ばした先にはアイリスが移動している、それを狙ったのである、そしてその狙い通りにアイリスは、ホーンラビットをブッた斬ったのであった。
真っ二つになったホーンラビットが地面に落ちた、その時であった、シャボン玉の様な泡となり空中に飛んで行ったのである。
「アイリス、あれは?」
「モンスターが死ぬと、あぁなるのですよ、それに今のやはり、ホーンラビットモドキでしたね」
やはりあれがモドキか、しかしキモくて最悪じゃねえか……あれ?
「御主人様、どぉかしましたか?」
「いや、モンスターは死んだら、あぁなるんだろ?それなら昨日、宿屋で食べたホーンラビットの肉ってどうやって調達したんだろな?」
「……本当ですね、言われるまで、気が付きませんでした」
そう言ってアイリスは、地面に落ちた何かを拾っていた。
「何だそれ?銅貨?」
「そうです、2シリングです。モンスターは倒すとお金と、たまにアイテムを落とすんですよ。何でも持ち主の無くなったお金に、さまよう霊が取り付きモンスターになり、倒すと元に戻ると言われています」
「付喪神の一種かな?」
「何です、それ?」
「まぁ神様の一種かな。それよりもこの調子で、ナッソーに向かいながら、モンスターを狩り続けるぞ」
「はい!」
そう言って夕方まで探したが、何処にもモンスターがいない。それ所か、盗賊も出てきやしない、何かがおかしい。
ここはナッソーの近くだ、話によると傭兵崩れの盗賊が多いはずだ……何かが変だ。
しょうがない、ここで野宿するか。
「アイリス、ここで野宿するぞ。俺はテントを設置するから、飯を作ってくれないか?」
「え?……し、食事ですか?」
「ん、どうした?」
「い、いえ大丈夫です」
こっちも何か変だな、まぁ良いか。とりあえずテントを設置しないとな、やったことがないけど、力仕事は男がやらないとな。
そういや、初めてのアイリスの手料理だな、何だかオラわくわくしてきたぞ。
「あ、あのお食事が出来ました」
「こっちも終わった所だ」
少し手間取ったが、何とかテントを設置し終わった……崩れないよな?まぁ何にせよ、アイリスの手料理だ、テンションが嫌でも上がる。
「シチューを作ってみました、その……干し肉等も入っていますので、あまり美味しくないかもしれませんよ」
「大丈夫、アイリスが作ってくれたのなら、俺は何でも食べるよ」
そう、料理は愛情って言うしな。そう言って俺は、アイリスの作ったシチューを食べてみた。
………………マズイ!何かダイレクトに胃袋にガツンと来る不味さだ。これは食べてはいけない気がする、HPが見えるなら、一口食べる度に、減っていく様な感じだ。
これはどうする?
「やっぱり不味いですよね?」
「そんな事無いよ。俺好みだ、美味しいよ」
ヤバい、俺はいったい何を言っているんだ、こんなの生死に関わるぞ。
「良かった、実は父に何度か作ったのですが、その度に怒られ、最後には「お前はもう二度と料理はするな!」って言われたんですよ」
お父様その判断、間違っていませんよ。
そう言ってアイリスは、笑顔でシチューを口に運ぶと……あっ吐いた、やっぱりアイリスも不味かったんだ。
「すみません!すみません!すみません!こんなに危険な物を、御主人様に食べさせるなんて、本当に申し訳御座いません!」
そんなに、全力で土下座する勢いで、謝られても困るな……フォローしておくか。
「大丈夫だよ、アイリスが作った物は何でも美味しいよ。
もしもアイリス自身が、納得できる食べ物を作りたいなら、喜んで俺も協力するから。
それにアイリスには、俺の故郷の料理も作って欲しいから、今度教えるし、一緒に作ろう」
「はい、有難う御座います」
「さて明日の事なんだが、ナッソーに行く前に、ナッソー近くの、あの湯気の出ていた山に登るつもりだ」
「もしかして、本当にあの山に、住むおつもりですか?」
「そうだ、アイリスの話を聞いていて思ったのだが、もしかすると、その変な臭いの熱湯は、俺の故郷にあった温泉と言う物かもしれんのだ」
「温泉?」
「浸かれば疲れや、怪我や病気が治るお湯だな」
「でも熱湯ですよ、大火傷すると思うのですが」
「それは水を入れて調整すれば大丈夫だ、湧き水さえ有れば何とかなる」
その時である、俺の気配探知に反応があった。
反応は赤い点が3つ、真っ直ぐこちらに向かってくる、何故だ?そうか、焚き火の明かりだ!明かりでこちらの居場所が解るんだ。
「アイリス、焚き火を消せ!お客さんが来たぞ」
アイリスは、俺の言葉を聞くと、すぐに土をかけて火を消した。
「御主人様、モンスターですか?」
「違うみたいだ、3人この方向から、真っ直ぐこちらに向かって来る」
そう言った瞬間、反応が止まったのである、向こうも気が付いたかな?
ゴクリと唾を飲み込んだときであった、アイリスが小声で言ってきた。
「御主人様、後ろにモンスターが……」
バカな、後ろは何も反応は無かった筈だ。
俺が、後方をチラッと見ると、いましたドデカイ蜘蛛が。まだ距離は有るが、音も無くこちらにソッと近付いてくる。
俺は、すかさず蜘蛛のステータスの閲覧を発動した。
……何も反応が無い、何でだ?これは変だぞ、気配探知にもステータスの閲覧にも反応が無い、まるでいないかの様だ。
……ん?いない様?
「アイリス、幻影を見せる職業ってあるか?」
「有ります、幻影士と言って、幻影を操り攻撃をする者です……まさか?」
「そのまさかだよ、おそらく後ろのモンスターは幻影だ、本命は前方の3人で、その中の1人が幻影士なのであろう……幻影でダメージは食らうのか?」
「もらいます。それに、こちらからの攻撃が幻影には、効かないんですよ、幻影士を倒さないと幻影は消えません」
「ならば、俺達の取る行動はただ1つだな」
俺達は、すぐに馬に飛び乗ると、二人乗りで前方の幻影士達に向かい、森を駆け抜けた。
しかし、何も言わなくても、俺の行動に合わせてくるアイリスは、凄いと思う。もしかすると俺達の相性は完璧なのかもしれない。
自惚れでは無く、こんな時だからこそ本当に実感する。
後方から、大きな蜘蛛が、俺達を追い掛けて来るのが見えた、これはスピード勝負だ、速攻で幻影士を殺すしかない、俺はそう考えて、夜の森の中を馬を走らせた。
「アイリス、敵前方、数3。前衛に2後衛に1」
「かしこまりました、前衛左は私が、右は御主人様が」
「承知、後方も任せろ!」
「了解です」
アイリスがそう言った時に、前方に黒い人影が見えた。
あの後ろが幻影士か?俺はすぐに空間移動を使用し、後方の人影の背後に出口を出して、一気に朱槍を突き立て、すぐに抜いた。
「ギャッ!」
その声を聞いた二人は、背後からの攻撃と思い、後ろを見た瞬間であった。俺が馬上から、右の者に朱槍を突き立てると同時に、馬から飛んだアイリスが、左の者にレイピアを突き立てて、殺したのであった。
その瞬間、俺の気配探知にもう一人の反応が、一瞬だけ反応が有り、すぐに消えたのだった。
これは何処かに四人目がいる、何らかの方法で、反応を消しているのであろう。
そう思った俺は、反応のあった方向をジックリと見渡すと、アイリスも何か感じたのか警戒して辺りを伺っていた。
……いない、そんな筈は無い、確かに反応が……いた。木の上に黒い服の人影がじっと動かずにいる。俺は朱槍の穂先に空間移動の入り口を出して、黒い影の後方に出した瞬間、思いっきり突いたが手応えがそんなに無く、影が落ちていくのが見えた瞬間、アイリスが落ちた先に向かい、走り出したのであった。
俺もアイリスの後を追って、影の落ちた方向に向かうと、黒い装束のダークエルフがアイリスに押さえ付けられていた。
「放せよこのアバズレ!」
「御主人様、コイツ殺しても宜しいですか?」
おいおい、今の一言は確実に、アイリスの逆鱗に触れてるじゃないか。しかし女の声って事は女か?
ならば勿体無い、それに何か情報が手に入る可能性も有るからな。
「殺すのは少し待て。アイリス、通訳してくれ……おいお前、仲間はお前で最後か?」
「ルタイ語……誰が言うかよ!」
「そうか、まぁ調べればすぐに解るから、別にどうでも良いかな。しかし、それすらも出来ないとなると、殺すしかないが、良いかな?」
「そんな事でビビると思っていたら……」
「アイリス、生きたまま腹を開き、木にこいつの内臓で身体をくくりつけて、モンスターの餌にしろ、連係の練習をするぞ」
「解りました、服は邪魔ですね、脱がせましょう」
そう言ってアイリスは、不安なのかキョロキョロとする、ダークエルフの女の服の背中を斬った。
しかしアイリスは上手に斬るなぁ、革の鎧と服だけで皮膚には傷も付けないとは。あっ、肩に貫かれた傷が在るんだが、心臓を狙ったのに、肩に当たったのか?それとも、攻撃をかわして肩になったのか、どっちか分からないが、どっちにしても、もう少し精度を上げないとダメだな。
「な、何するんだよ!」
「御主人様が、お前が答えない様なので、お前の腹を斬って、内臓で木にくくりつけて、生きたままモンスターの餌にしろとの命令だ」
「う、嘘だよな?」
「まぁ御主人様の、慈悲を自ら踏みにじったのは、お前だ。私はただ実行するだけだ、諦めろ」
自分で言っておきながらだが、こんな時のアイリスは怖いな。
「すみません、すみませんでした!何でも答えますから!」
まぁ無表情で、こんな事をやられたら、誰でもビビるわな。助け船を出すか。
「待て、アイリス」
アイリスの剣がピタリと止まり、アイリスはこちらに顔を向けた。
「アイリス、通訳をしてくれ。もう一度聞く、他に仲間は?」
「いない、私以外みんな、あんた達に殺されたよ」
「名前は?」
「ラナ」
俺はその言葉を聞いて、ダークエルフのステータスの確認をした。
名前:ラナ 種族:ダークエルフ レベル19
職業:盗賊 暗殺者
ほう暗殺者か、だから気配探知に、ひっかからなったのかな?それだと、かなりコイツは使えるかもしれんな。
「お前は盗賊か?嘘をついても解るぞ」
「……盗賊です、でもあの3人組に、雇われたんですよ」
「雇われた?どこでだ?」
「ナッソーで、簡単な斥候の仕事って聞いて、1日50シリングで1組見つける度に100シリングの1ヶ月契約だったんだ。それが、あんなに見境無く襲う奴等とは、知らなかったんだ!」
何だか必死だな、まぁこんな状況だから仕方が無いのだが。でもナッソーって、こんな事も仕事で募集出来るんだ。
「ならばお前は、ナッソーの住人か?」
「はい、産まれも育ちもナッソーです」
「アイリス、こいつを案内役にしよう、暗殺者の職業も有るから、何かと使えるぞ」
「こんな奴、すぐに裏切るに決まってます!御主人様の命が危ないですよ!」
「……何か良い案は無いか?」
「…………職業が盗賊になっておりましたら、本人の了承無しでも奴隷商人に手数料を支払い、奴隷に出来ますし売る事も出来ます。それならば御主人様の命は保証されますし、脱走すれば、いくらナッソーでもどんな目に合うか解るでしょう」
「よし、1度コイツに聞いて見てくれ、断れば売り飛ばそう」
一瞬だけだが、アイリスが悲しい顔をしたな、やはり他に奴隷を作られるのは、嫌なのか。
しかし、俺にも計画は在る、そうハーレムと言う名の高貴な計画が。
「御主人様が、お前は使えそうなので、奴隷にしたいと。断れば売り飛ばすだけだし、それが嫌なら、先程言った様に、モンスターの餌になってもらう。どっちが良い?」
「……あんたは、どっちが良いと思う?」
「それは、他の人の元に、奴隷として行くのが良いでしよう。御主人様はお優しいですが、何を考えているか解らないですし、王都に行けば、服屋の男と何かコソコソやっているし、たまに後先の事も考ず行動しますし、エッチですし本当に最低なんですよ」
あ、あの~、アイリスさん全部聞こえているんですが……マジでへこみそう。
「御主人様って、もしかしてあんた奴隷か?」
「そうよ、御主人様の奴隷は、私だけで良いのよ」
アイリスさん……本音が出てますけど。
「決めた、私もこのルタイ人の奴隷になる!」
えっ?まさかの展開?俺も選ぶ権利が……よく見ると可愛い、顔が汚れていて、気が付かなかったが、かなりの可愛さじゃないか!これは神が、ハーレムを作れと言っているに違いない。
「何を言っているの!私の言う事を聞いてなかったの?」
「あんた、このルタイ人に、惚れているんだろう?どうせ奴隷として売られるなら、あんたに仕返しが出来て、こっちは少しでも、スッキリするってもんだ」
「こ、この……御主人様!やっぱりコイツを殺しましょう!」
「アイリスお前の負けだ、諦めろ」
「だって……だって」
泣きそうになっているアイリスを抱き締めて、頭を撫でてやったが、アイリス足はラナの背中を踏んだままだ、むしろ力が入っているようであった。