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Another Life もう1つの人生  作者: くろべぇ
第二章 帝国動乱編
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それぞれの思惑

 エリアスがママの所に行っていた頃、左近とアイリスとクロエの三人は御所にいたのであった。

 アイリスとクロエは初めて見る、ルタイ皇国の御所に衝撃を受けて、辺りを見渡していたのである、それを見ていた左近はたまりかねて注意したのであった。

「おい、あんまりキョロキョロするなよ、観光で来ている訳じゃ無いんだから」


「すみません……でも1つだけ疑問が有るのですが」


「クロエ何だ?」


「ここはルタイ皇国の帝の居城な訳ですよね?どうしてこんなにも壁が低いのでしょうか?それにそれだけじゃなく、掘りなども無いし、それに衛兵の数が少ないように思えます。

 こんなの……言い方は悪いですが、すぐに攻め落とせますよ」


「そうだな、しかしここはルタイ皇国だ、内乱が起こっても誰も帝に手を出さないさ。

 それにルタイ皇国の臣民全てが帝の塀であり、堀なんだよ」


「そこまで統治が行き届いているとは……」


 何も間違った事は言ってないよな?当てずっぽうだったんだけどね。




 そう言って内裏に向かい進んでいると、内裏の入り口で正成が俺達を待っていたのであった。

「アイリスさん、クロエさん、ようこそルタイ皇国内裏へ……ラナさんは?」


 お前まさかラナ狙いなのか?

「ラナはこう言った事が苦手なので、今日はお留守番だ」


「……チッ」


 今かすかに舌打ちしただろ!……まあ良い、ラナは絶対に渡さないからな。

「で、俺には出迎えの言葉は無しか?」


「ああ忘れていました、ようこそ清興」


「お前、絶対にわざとだろ?」


「まぁそんな話は置いておいて、残念ながらクロエさんはここまでだ、内裏は官位の無い者は入れないので、そこの詰所で待っていてくれ」


「アイリスも官位は無いぞ」


「それなら大丈夫だ、特例でアイリスさんに帝より官位が下された。

 ラナさんにも官位が下されたのだが……まぁ良いや、関白殿達がお待ちだ、アイリスさんの官位を下されてから、本題に入る流れだ。

 もちろんこれは、特例とは言え正式な官位なのでルタイ皇国でも通用する」


「旦那様、関白様って?」


「あぁ帝の補佐をする御方で、正一位で人臣の最高位の御方だ」


「そんな御方が……」


「それだけじゃありませんよアイリスさん、今から中で会われる御方達は全て私と清興より上の官位の御方達です。

 あまり待たせて彼等の機嫌を悪くすると、色々と厄介ですのでそろそろ行きましょうか」


「あぁそうだな、機嫌を悪くしても俺からの提案を聞くと、あの御方達は涙を流して喜ぶさ」

 そう言って俺達は内裏に入って行ったのであった。





 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「帝の名において島 アイリスよ、そなたに正八位上 隼人佑を授ける。今後は島 隼人佑 アイリスと名乗られるがよい」


「島 アイリス、ありがたく隼人佑を承り、以後は島 隼人佑 アイリスを名乗らせて頂きます」

 そう言ってアイリスは静かに、それでいて優雅に平伏したのであった。


「しかし初めて異国の女性を見たが、この様に美しい女性とは……左大将よ正直羨ましいぞ」


「はっ、誠に私には勿体無き女性です」


「良いの、若いと言うのは。ワシも後50年若ければの、ハハハ」

 そう言って関白は笑うと、他の者が一緒に笑ったのであった。


 しかしこの関白のオッサン、後50年って事は最低でも60は越えているのかよ、服とあの長い髭で誤魔化してはいるが、その下の筋肉が凄い……とてもそうは見えないぞ。

 《そりゃそうです、あの関白の冷泉 永富様は【戦人関白】と呼ばれていて、関白なのに戦に出て先陣を駆け抜けるお人なのですから》


 《マジかよ……結構ワイルドなおやじだな》


「帝のおなぁりぃ」


 やっと来たか。

 そう思いながら左近とアイリスは平伏したのであった。


「一同表を上げよ」

 大納言の掛け声で、一同が表をあげると左近は帝の事を不憫に思っていたのである。

 やはり大納言を通して話すのか、自らのスキルの発動を警戒しての事だな……何とか助けることが出来ると良いのだが。


「では左大将、現状を報告せよ」


「解りました、アイリス地図を出してくれ」

 左近がそう言うと、アイリスはマジックバッグから大きな地図を取りだし床に広げたのであった。

 この時のその場の全員の表情が、驚きの表情になったのを、左近は見逃さなかったのである。


 何故だ?こんなに大きな地図を見るのは初めてか?……待てよルタイ皇国は昔の日本の通りの国だとすれば、ここまで正確な地図を見た事が無いだろう、それが原因かな。

 そう思いながら左近は説明に入ったのであった。


「我がルタイ皇国軍はナッソーにて、セレニティ帝国の奇襲を受ける形で、帝国と開戦し、ザルツ王国の協力のもと、これを撃退。

 その後我が軍はここ、パナス迄の村や町を占拠しながら、昨日パナス占拠に成功いたしました」


「では次に今後の方針を説明せよ」


「はい、今後は我等はこのパナスを拠点にします。

 先ずは第一段階は、このパナス一帯の地方、ヴァルキア地方を占領しここをルタイ皇国のアルムガルド大陸に、おける領土と致します。

 これにはザルツ王国、セレニティ帝国の二国間の間に、我等の領土を置く事により、両国の100年に争いを終わらせ、今後の争いを防ぐためでございます。

 次に第二段階ですが、セレニティ帝国の帝都ナリアに向かい進軍し、交渉によって現在の皇帝に退位を迫り、ザルツ王国との和平を締結させます」


「ルタイ人の后妃はどうする?」


「交渉の際に、皇帝に直に話します……それでも受け入れられない場合は、皇帝が退位すれば何なりと方法がございます」


「暗殺するにしても、手を汚すのはルタイ人であるのが条件だ」


 さすがと言うか、やはり解っていたのか……だがそれは最終手段だ。

「かしこまりました。

 そして最終目標ですが、ザルツ王国、セレニティ帝国と有志国家を募り連合国家を作りたいと思っております」


『連合?』

 これには思わず左近達以外の者達が声を上げて驚いたのであった。


「はい、連合で御座います。

 100年に渡って争ってきた両国の溝は、簡単には埋まりません、いくら間にルタイ皇国の領地があったとしても、いつかは再び戦が起こることでしょう、それでは帝のおっしゃる真の和平にならないばかりか、次はルタイ皇国も戦乱に巻き込まれてしまう恐れがあります。

 そこでです、何故戦が起こるのか?軍が2ヶ国以上あり取り締まる機関が無いからです。

 なのでこの連合国家にルタイ皇国、ザルツ王国、セレニティ帝国とその属国を参加させ、治安維持の部隊を残して軍を1つにまとめてしまうのです。

 外敵がいる以上、軍は民を守るのに必要です、なので軍を1つにまとめて、各国との合議でその軍を運営するのです」


「左大将、その様な事がはたしてうまく行くのか?」


「我妻の隼人佑 アイリスは元はセレニティ帝国の騎士、つまりは侍の娘ですので、その辺りの説明は我妻の隼人佑からご説明致します」


「隼人佑、説明せよ」


「はい、セレニティ帝国は北に在る小国のペスパード王朝とルセン王国、この2ヵ国を属国とし北からの驚異の防壁としているばかりか、多大な上納金を巻き上げております。

 この2ヵ国が夫の提唱する連合に入れば、北と南に挟まれたセレニティ帝国は自ずと了承するしか道は無いでしょう。

 それに夫の提唱する連合に似ている国家群が既に御座います。

北方連合(ノースユナイテッド)】この国家群は北方教会を信仰する国家が集まっており、法王を頂点として団結しております、各国の軍は有りますが、各国の元首は法王の許可なく元首にはなれません、そして法王の元に軍を1つにまとめ、他国に聖戦と言う名の戦争を仕掛けるのです。

 しかしここ300年は彼等は聖戦を起こしてはおりませんが、確実にそう言ったシステムは存在すると言う事で御座います」


「では左大将、そなたの提唱する連合国家の内容を申してみよ」


「では私の提唱する連合国家をご説明致します。

 先ずは連合国の各国の政や法は全て各国が独自に行い、元首も各国が今まで通りに行い、ルタイ皇国以外の軍を1つにし、各国には治安維持の部隊のみ配下にさせます。

 そして、各国の国家元首、もしくはそれに準ずる者の家族をパナスに住まわせます」


「人質と言う事か……」

 冷泉 関白が気に入らない感じで、目を細めて髭を撫でながら言ったのであった。


「そうですね人質の意味も御座いますが、同じ都市に各国の元首の家族が住むことにより、次の世代、またその次の世代と交流して、蟠りを無くし争いを無くすのが目的です。

 もちろんルタイ皇国からは我が娘を出します。

 次に、連合国内での人の往来を自由にし、貿易の関税も撤廃します。

 これにより我がルタイ皇国の貿易も一気に広がるものと思われます。

 そして弾正府を連合の公的機関として、連合国内の軍の取り締まり、そして各国に渡る犯罪の取り締まりを致します、これで連合国内での治安に抜け目は無くなるでしょう。

 そして外交に関しては、連合内で話し合い各国の足並みを揃えて対処致します、これは各国がバラバラに対処していれば、その綻びを他国から突かれるのを防ぐ意味が有ります。

 その為に各国から、そう言った外交を決める全権大使をパナスに出して頂き、その大使の合議によって外交を決定致します。

 そして議長は、ルタイ皇国以外の各国が5年事の持ち回りで行うことにします。

 ルタイ皇国は島国の地理的関係で、援軍がすぐには向かう事が出来ません、なので連合に対して兵役の義務を免除する代わりに、議長国にはなれないと言った事にします、この案なら各国は賛同してくれるでしょう。

 最後に様々な国が連合に入る訳ですから、各自の信仰の自由だけは保証していきたいと思っております」


「信仰の自由とは如何なる事か?」


「他国には様々な教えがあります、それを規制し無理矢理押さえ付ければ、押さえ付けた者は反発し我等の敵となり、最悪は我等が最後の1人を殺すまで、終わらぬ世界との戦いになるでしょう、それを避けるその為には、どの様な教えでも、信仰を認めるのが宜しいかと思います。

 しかしながら、それが元に争いが起こる事も有りますので、最低限の決め事は必要かと、お互いの信仰に干渉せず、殺しや拷問はご法度と言うのは如何でしょうか?戦や揉め事の原因になりますので」


「では帝の布教の願いはどうなる?」


「それは教えが素晴らしく、人の心に届く物で有れば、その教えが広がるのは必定で御座いましょう。

 それはそうと、最後に私から制度のご提案が有ります、私掠免状制度と言うのは如何でしょうか?簡単に言うと盗賊や海賊等の賊の免許制で御座います。

 人の往来が自由になれば、御禁制の品を取り扱う密輸商人等が出ます、それを防ぐ為に我等の許可無き交易を襲わせるのです、もちろんその利益の何割かは納めて頂きますが」


「毒を以て毒を制すか……好かんが有効な手だ。

 帝に申し上げます、私はこの制度は正直に申しますと、好ましくは御座いませんが、確かに賊は減ります。

 許可されては如何でしょうか?」


「関白の助言の通りにし、左大将案を許可しよう」

 こうしてルタイ皇国帝は、左近の案を了承しこの先の方針が決まったのであり、アイリスはこのまま帝達にアルムガルド大陸の情勢の説明をレクチャーしたのであった。




「アイリスさんお疲れ様でした」


「さすがに緊張しましたよ」

 内裏から出た左近達はクロエと合流し、正成の案内で料亭で食事を食べながら話していたのであった。


「正成、首尾はどうだ?」


「予定通り、明後日にはパナスに兵を送り始める事になります。ただ皆殺しにしたパナスの名前は、今後は不吉ですね……変更しませんか?」


「変更……変更ねぇ……湖の真ん中に在るから、レイクシティでどうだ?」


「単純だが良い名前ですね。しかし次は私も行きますよ」


「マジかよ……まぁ暴れすぎるなよ、それよりも、此処に来る時にも思ったのだが……」


「ええ、ルタイ皇国の食料事情はかなり深刻になってきております、この貴族御用達の高級料亭ですら、この様にいつまで出せるのやら……」


「それだと、ザルツ王国とレイクシティの繋がる街道を優先して占領し、食料をこちらに輸送するか」


「勇者を使ってですか?しかしそうすると魔力の問題が出てきますよ?」


「魔丸とマジックバッグを使えば一時的には何とかなるだろう」


「魔丸?マジックバッグ?なんですそれ?」


「もしかして、ルタイ皇国には無いのか?」


「有りませんよ……もしかしてアイリスさんが内裏で地図を出した、あの不思議な入れ物ですか?」


「そうだが……これはもしかするとルタイ皇国に技術革新が起こるかもしれんな」

 そう言って左近は、今後新たな技術を取り入れたルタイ皇国の新しい発明に心を踊らせながら、正成達と食事を楽しんだのであった。




 次の日左近達は、パナス改めレイクシティの在るヴァルキア地方平定に乗り出すことになったのである。

 負傷兵と職業が勇者の者を除いた、8千の兵を分け同時作戦に出たのであった。


 ヴァルキア地方から帝国の帝都ナリア迄は3つの街道が在り東西の街道と、レイクシティ迄の最短ルートで在る中央ルートである。

 レイクシティは、ヴァルキア地方の北に位置するために帝国との国境が近く、この中央街道を通っての侵攻が予想された為に、ここに兵力の半数を割き、弾正率いる4千の兵を国境付近に進め待機させる必要があったのであった。


 そして、西は蔵之介率いる2千が、ザルツ王国と接する東は三好 左少将率いる2千が担当し、殆どの兵士がいなくなったレイクシティではフレイアがスキル【創造主(クレアトール)】で城と左近衛府の左近の屋敷等を一気に作って行ったのである。

 これはフレイアに左近が、今後ロンデリックが作成したコスプレの衣装を、プレゼントすると言った事で話がつき、国に戻る前にフレイアが一気に作ると話がついたからであった。


 左近達は、最初に降伏勧告をし受け入れれば、手厚く保護をし、1度でも拒否をすれば皆殺しと言った方針を徹底していた為に、噂が噂を呼び、ルタイ皇国軍の姿を見ただけで戦意を喪失し降伏する町や村、砦などが次々と降伏していったのである。


 この現状に驚いたのは、セレニティ帝国であった、何しろ侵攻速度が尋常では無い早さなのである。

 他の将軍達は驚いていたのだが、総司令官の皇太子ルイスと魔女騎士団(ナイトウィチーズ)のアミリア、そして聖龍騎士団のバスクは落ち着いていたのであった。


 ルイスは性格的に驚く事は殆ど無い、静かな性格であったが、この騎士団団長の二人はルイスの作戦能力の高さを認めていた為に、今回もルイスが何とかしてくれると考えていたのである。


「さすがはルタイ皇国の左近衛大将殿だ、まさに風の様な速さで侵攻してくれる、あの若さで左近衛大将になっただけの事はあるよ」

 そう言って次々と来る報告に、笑みをこぼしながら言ったのであった。


「ルイス様、知っているので?」


「あぁ、君の娘のクリスと一緒にお忍びでナッソーに遊びに行った時に、助けてもらった……その時に左近衛大将の妻としてアイリもいたよ」

 そう平然と言ったルイスの右手には、思わず力が込められていたのであった。


「さて、ルタイ皇国の戦いには我等の戦い方が一切通用しない、文化が全く違うんだ、これは仕方がない事なのかも知れない。

 そこでだ、我が軍もルタイ皇国の戦い方に合わせる……とは言え今から組織だっての戦いも、それに合わせた訓練も一朝一夕にできる筈も無い。

 だが我等の戦いが優れている部分も有るだろう、皆は武名や誇りをここに全て捨て去り、例えどんな作戦でも従って頂きたい。

 さもなくば、この戦いは帝国の敗北で終わる事になり、帝国は蹂躙されるであろう」


 そのルイスの言葉に、軍議に参加していた者は静かに頷いていたのであった。


「さて、ザルツ王国からのスパイの報告によれば、王国の港には輸送船団しか到着しておらず、ルタイ皇国の兵は今の所は、最初に到着した500と見るのが自然だろう」


「しかしパナスの戦いでは9千が、ナッソーの戦いでは1万5千以上との報告が御座います」


「あくまでも推測なんだが、これは我等の目を欺く作戦じゃ無いかと思うんだ。

 考えてもみろ、ルタイ皇国は東の船で何日も離れた島国だ、そんなにも簡単に、兵力を大陸まで投入できる筈も無い、何万何千との兵を上陸させれば目立つし、隠すことは不可能に近い。

 しかし報告は兵は500と言っている、これは左近衛大将が我等に兵力を見誤らせようとした策だよ。

 トリックは簡単だ、ナッソーの傭兵やザルツ王国の兵士に、ルタイ皇国の甲冑を着せれば良いだけの事だ、これで我等に兵力を多く見せて警戒させ、行動を遅せる事が出来る。

 そして、その間にルタイ皇国から本隊がやって来る……気が付いた頃には、時既に遅しだよ」


 ここでルイスは致命的な過ちを犯していたのであった、そう職業が勇者の者の存在である。

 アルムガルド大陸では勇者は数が少なく、各国に1人も居ないのが当たり前であったが、ルタイ皇国は勇者の条件を解明し、量産している為に勇者を数千人も抱えているのである。

 ルイスが勇者の存在に気が付かないのは、当たり前の話であったのである。


「組織的な戦いはその500の兵士がやっており、後は今までと同じだろう。

 そこでだ、魔女騎士団(ナイトウィチーズ)には東の街道より進み、ザルツ王国とのルートを遮断してくれ」


「かしこまりました」


「聖龍騎士団はヴァルキア地方の奥深くに潜入し、ナッソーを占拠してくれ」


「おう!」


「これでパナスへの補給路は全て断たれる事になり、残るは袋の鼠だ。俺は本隊の8万の軍勢を率いて最短ルートの中央街道を通り、パナス攻略に向かう、残りはその隙に他国の動きを見張ってくれ、今はそれが一番怖い。

 ともかく、これで我等の勝利は確実な物になるであろう!」


『おお!』


「その本隊には私も入れてもらえますかな?」

 そう言って入って来たのは、宰相のエミリオであった。


「宰相殿、かまいませんが……戦ですので命の保証は出来ませんよ?」


「かまいませんよ」

 エリアスだけでも確実に殺しておかないと。

 エミリオはそう思いながらも笑顔を崩さずに言ったのであった。


「では各自作戦行動に移ってくれ……そうそうアミリア、ペスパード王朝から1人戦場に連れて行ってくれとの頼みが来ている、お前の所に配属して良いかな?」


「あのダークエルフの国から?……良いでしょう」


「何やら新しい魔導兵器の実験がやりたいそうだ」


「解りました、もしも有効な代物ならば献上させましょう」


「そうだなその方向で頼むよ」

 そう言ってルイスは退室し、この日から帝国軍は、一気に攻勢に出たのであった。







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