奴隷契約
俺は斬り殺した盗賊の死体を見て、昔を思い出していた、昔と言っても生まれ変わる前の話だが。
この血と臓物の香り、懐かしいな……おっとこのレイピアだけは、貰っておくか、それとステータスは確認しておかないとな。
俺はアイテムボックスにレイピアを入れて、ステータスを見た。
名前:島左近 種族:人間 レベル:5
職業:浪人 剣士 戦士 覇王 勇者
固有スキル:ステータス閲覧 気配探知 職業変更 自動翻訳 経験値50倍 鑑定 アイテムボックス 詠唱省略 色欲増大 空間移動
装備:朱槍 妖刀村正 長船小太刀 紅蓮の甲冑 覇王の陣羽織
レベルが一気に、5になっているじゃねえか、ん?職業に勇者が有るぞ。
これはもしかして、何かの条件を満たせば職業が増えると言う事かな?
盗賊を討伐とか、複数の敵を一人で倒すとか、もしくは、その両方とかかな。
スキルに空間移動も有ると言うことは、勇者固有スキルと言う事かな?1度実験するか……って適当な場所が思い付かない、移動もとりあえずは、そこの馬車で良いか。
そう思い、空間移動を念じてみると、真っ暗な暗闇が目の前に出てきて、向こうの馬車の隣にも、真っ暗な暗闇が出ていたのであった。
これを通れば、向こうに着くのかな?
そう思うと俺は、朱槍を死体から引き抜き、暗闇に突き刺してみた。
おぉ、ちゃんと向こう側に出るじゃないか、これで移動が楽になるぞ、しかし何だこの身体の芯から来る疲労感、もしかしてこれがMPが減る感覚なのか?これでは連発で使用は、もう少し先の話だな。
さて、馬車の中の震えているご婦人に、紳士らしく謁見願いましょうか、俺は紳士だからな。
そう思いながら、馬車の扉を開けると……居ました、震えて小さくなっている、おっさんが。
悲しくはないぞ、女性と確定していたわけでも無いからな、けっして悲しくは無いからな……悲しい。
「おい」
「ひっ!命だけは、命だけは」
「盗賊なら、俺が倒したぞ」
「えっ?ルタイ語?……どちら様で?」
やはり、言語が違うのか、しかしルタイ語って。
「俺の言葉は解るか?」
「な、何とか話せます」
「話すのはそちらの言葉でも大丈夫だ。しかし俺は、そちらの言葉が話せん解ったか?」
「解りました、貴方はルタイ皇国の兵士様ですか?」
「違う、俺の名前は島 左近と言う、お前の名前は?」
「助けて頂き、有難う御座います。
私の名前はゼニトです、名字が在り、その鎧と言うことは、隠しておられるのかルタイ皇国の武将様等のご子息様で在りましょう」
こいつ勝手に自分で納得してやがる、まあこのまま放置しておいて良いかな?勝手にゼニトが勘違いしているだけで、俺は何にも言っていないし。
俺はとりあえずは、おっさんのステータスを観てみる事にした。
名前:ゼニト 種族:人間 レベル:16
職業:奴隷商人
ど、奴隷商人だと?じゃあ、もしかして後ろのもう1つの大きな馬車の中身は、奴隷か?助けるんじゃ無かったかな。
「ところで左近様は、これから何処に行かれるので?」
「特に目的地はないが」
「ではご一緒に、王都レンヌまで一緒に行きませんか?」
こいつ、俺を護衛の代わりにしようとしているな、気に食わんな。
「俺は、誰かと行動を共に、するつもりは無い」
「……実はですね、こちらの警護の傭兵の人が、先程の盗賊に殺られてしまい、王都まで護衛をして頂きたいのですよ。
1日100シリングでどうですか?」
シリング?通貨の単位か?
しかし物価が解らないから、それが高いのか、安いかが解らない、すぐに了承したら、足元を見られると困るので、一度断るか。
「安いな、そんな金額で俺を雇おうとは……」
「では、300シリングでどうですか?」
いきなり倍以上か、やはり足元を見ていたな、どうする……ここは悩むふりをしてやろうか。
「んーどうするか……」
「じゃあ、1日500シリングでお願い致します、これ以上はこちらも流石に出せません」
「それじゃ、それと何かの他の特典も付けてくれ」
お金と情報を貰えればこちらは何も文句はないからな。
「では、私は奴隷商人で御座いますので、左近様が奴隷を購入する際には、利益を度外視して購入費用と経費のみでというのは?」
そう来たか、ここらが引き際かな、あまり行き過ぎは良くない。
「解った、それで妥協するか。
ところで、俺はこの国に来てまだ日が浅い、ここの死体の埋葬は、どうすれば良いかな?」
「あぁ、あの盗賊の死体ですか……おや?左近様、あの盗賊の耳は取ってないのですか?」
「耳を取る?」
「この辺りの国だと、盗賊に懸賞金が懸けられておりまして、装備品なども全て、倒した者の持ち物となります。
倒した証拠に肉体の一部を切断し、騎士団に渡して懸賞金を貰うのです、一般的にはどちらか片方の耳なのです」
「それだと、誰の耳か解らないのでは?」
「騎士団の水晶に当てると、その者の名前とレベルや、職業が解ります」
「そんな物が有るのか、装備品も売ったりして良いのか?」
「勿論で御座います、今は戦時中なので馬や武具は高く売れますよ、馬3頭なのでなかなかの金額になります」
「そうか、じゃあ装備品をお前にやって、護衛の金もいらない代わりに、奴隷を一人でどうだ?」
ゼニトは考えているようであった。
流石に都合が良すぎたかな?奴隷の金額なんて知らないが、おそらくだがとても高価なんだろう、無茶だったかな?
「……解りましたその条件で良いでしょう、ただし私は仕入れの帰りですので、今いる奴隷の中からというのは如何でしょうか?」
「まぁ見てからだな」
「それはそうですね」
そう言うとゼニトは、牽引していたボロい荷馬車の幌を開けると、中には薄着の女性たちがいたのであった。
「お前たち出て来て整列しろ!」
ゼニトの言葉で5人の女性が出て来て整列していったのであった。
俺はその中でひときわ美しい女性を見た。
胸は大きく、金髪の女性で身長は意外と低い、俺の理想の女性であった。
「左近様、この者達は全て性奴隷の了承も得ております」
な・ん・だ・と?
今、性奴隷と言ったのか?そんな素晴らしい奴隷がいるのか?ここは夢の世界じゃないか、この世界に来て本当に良かった、心からそう思う。
しかし、ゼニトの奴がにやけてやがる、なるほど俺がそれ目的だと思ってやがるな……はい、その通りですね。
一応はこの女の子のステータスを観てみるか。
名前:****** 種族:人間 レベル16
職業:奴隷 剣士
奴隷の他に剣士も有るじゃねえか、しかもレベル16って俺より上だし、他の女性はみんな、奴隷の他には村人か、この子だな。
断じて外見じゃ無いからな、断じて。
てかよく考えたらゼニトを殺せば、この女性は俺の物なんじゃ……ダメだ、そんな事をすれば職業が盗賊になるかも知れんし、懸賞金が懸けられて誰かに狙われる毎日は嫌だ、せっかくのこの世界、楽しく生きたいし。
「そろそろ、お決まりになられましたか?」
こ、こいつ解ってて聞いてやがる、癪に障るがここは仕方がない。
「この子にしよう」
「さすがお目が高い、この子はなかなかの掘り出し物ですよ」
そんな事は見れば解る。
「俺の言葉が解るか?」
「解りますしルタイ語もある程度は話せます」
良かった、これで解らないと言われたら、意思の疎通が大変な所だった。
「俺は島左近だ、名前と年齢は?」
「アイリス、15歳」
ま、まじか、15歳でこの巨乳でこの容姿とは破壊力凄すぎだろ、それに15歳とはJCじゃないですか!
俺は、決してロリコンじゃ無い、学術的にロリコンとは、12歳以下の事を言うので15歳は全力でセーフだ、それに昔は例えば14歳で輿入れ、つまり結婚するのは珍しい事じゃ無く普通にあった出来事だ、18歳以上と言う縛りは、後世の者が勝手に作ったルールであり、生物学上は若い女性に引かれるのは生物が生き残る為に必要な事だ。
なので間違っているのは生物学、医学にケンカを売っている、後世のルールを作った者なのだ……ロリコンバンザイ。
「では左近様、このアイリスの主人となる契約を行いましょうか」
「どうすれば良い?」
「簡単で御座います、こちらの水晶を両手で持って頂けますか?」
そう言って渡された水晶を、両手で持つと熱い!メチャクチャ熱い!しかし落として割って弁償って言われたら困るので、気合いで落とさない。
するとゼニトが水晶の下に、綺麗な紙を置き言った。
「次はアイリスだ、左近様から水晶を両手で受け取れ」
アイリスはゼニトが言った様に、俺から水晶を両手で受け取ると叫び声を挙げた。
「がぁぁぁ熱い、身体が熱い!」
そりゃ熱いだろう、俺も両手が燃えるぐらい……ん?身体が熱い?何で身体が?
そう思うとアイリスの左肩から煙が出てきたのであった。
燃えてるじゃねえか!とりあえず水……は無いし、砂で良いか。
そう思い地面の砂を手にした時にゼニトが言った。
「左近様、大丈夫です、今は左近様の奴隷となる為に、魔術刻印を身体に入れている所ですので」
そうゼニトが言った直後に、煙が出なくなり代わりに下に置いた紙に、水晶から発せられたレーザーの様な光線が文字を書いていたが、文字が全く読めない。
何だこの文字は?もしかすると、この文字が彼等の文字なのか?しかし見た事が無い、正直ミミズが這った様な文字だな。
「それでは左近様、こちらが、アイリスが左近様の奴隷となった証明書となります」
そう言うとゼニトは俺に紙を丸めて紐で括り渡して来た。
しかし全く読めない、ここは正直に聞くか、聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥と言うしな。
「所でこれには何と書いてある?」
「あぁ左近様は、ルタイ人でしたね。
これには、アイリスの名前と、左近様の名前と証人として、私の名前が書いております。
そして主人となる者は、奴隷となる者の食を提供し、税金は納めねばならない。
奴隷となる者は、主人の命令には、如何なる事も従わねばならない。
ですね」
「税金だと?いったい幾らかかるのだ?」
「人頭税ですよ、奴隷でこの辺りだと毎年春に1人100シリングになりますね、一般の人は一律で500シリングになります、あくまでも定住すればです。
宿屋にお泊まりでしたら、1回につき1人5シリング税金でかかりますが、野宿は税金がかかりません」
これなら定住の方が安いな、そう言えば性奴隷だから反乱とか、寝首をかかれたりとか有るのか?
「あの荷馬車の幌なら、簡単に逃げれそうだが、奴隷の逃亡とか有るのか?」
「無いですよ、逃亡したり反乱を起こすと、奴隷じゃ無くなり逃亡者になります、逃亡者は捕まえて何をしようが、その人の自由で、大抵はその土地の領主に売られて、領主が住民のガス抜きに私刑にしたりします。
それに奴隷の命は主人の命と連動しているので、主人が死ぬと自分も死にますが、奴隷が死んでも主人は死にません、ですから殺害の心配も低いですね」
その説明だと、俺が死んだら、アイリスも死ぬと言う事か……何だか嫌だな。
しかし、みんな奴隷の女性は裸足じゃないか、せめて靴でもあれば。
「なぁゼニト、あの靴も売るのか?」
「靴なんか売りませんよ」
「じゃあ貰うぞ、アイリス来い」
そう言って死体から靴を脱がせた俺は、アイリスの足に盗賊の靴を履かせた。
「気持ち悪いかもしれんが、金が入ったら新しいのを買ってやるから、少し我慢してくれ」
「そんな私ごとき者に勿体ない」
「良いんだ、裸足じゃ、いざ戦闘の時に何か有ると困るからな。
所で、戦闘は経験有るのか?」
「モンスター相手ですが有ります」
「得意な武器は?」
「剣ですね」
「じゃあ、これで戦え」
そう言って俺は、アイテムボックスから盗賊から取ったレイピアをアイリスに渡したのだが、アイリスは驚き目を丸くしていた。
あれ?何かまずい事をしたのかな?
「どうした?」
「アイテムボックス、初めて見ました……ご主人様は勇者なのですか?」
アイテムボックスは、勇者の固有スキルだったのか、不用意に出したのは失敗したかな。
それにしてもご主人様か、素晴らしい響きじゃないか、このまま奴隷を増やしてハーレムも悪くないな。
何処かに屋敷を作り、そこで酒池肉林の世界、あの神様の希望はBLだったが、俺はノーマルだ、そして性奴隷の制度、ここでハーレムを作らなくて何が男か。
「…様……ご主人様?どうかされましたか?」
「すまん、大丈夫だ。所で勇者と言う職業は、珍しいのか?」
「かなり珍しいですね、魔族の天敵となります。
勇者の職業は、誰でもなれるわけじゃありませんのでかなり重宝されますが、それだけ妬みや嫉妬の対象に、なりやすいのです」
アイリスの言葉を聞いた俺は、ゼニトの方を見たのだが、ゼニトは他の奴隷達と死体から装備品を取るのに夢中で、気付いていない様であった。
助かった、今は出来るだけ、秘密にしておいた方が懸命だもんな。
「アイリスこの事は秘密で頼む、それと俺はこの国に来て何も知らない、全くの赤子レベルと思ってくれて良い、だからお前の知識で俺を助けてくれ」
「はい、解りました」
「所で、アイリスは王都までの道が解るか?」
「それなら、この街道を真っ直ぐに、約2日の距離で御座います」
「そうか、ならこの馬車を運転して王都まで頼む」
そう、もしも襲撃があれば、俺が戦えば良い事だし、アイリスにそんな危険なことはさせられない。
「かしこまりました」
そう言って俺達一行は盗賊の死体から耳を取り、王都レンヌまで馬車で移動しだしたのであった。
俺はアイリスと二人で少し狭いが、馬車の運転台に座り、街道の景色を眺めていた。
しかし、太陽が登ると暖かくポカポカとしている、今の季節は、春なのだろう、馬車の揺れが電車の揺れの様で、眠気を誘う。
既に落ちた者が俺の後ろの馬車の中で爆睡しているのか、激しいイビキが聴こえる。
コイツ危機感0だろ、しかし暖かいな、兜を取って少し風を感じるか、このままじゃ禿げる原因になる、設定が18だが、今からのケアは大切だ。
決して昔に禿げていた訳ではないぞ。
「……綺麗」
「えっ?」
「す、すみませんご主人様、あまりにもご主人様の髪の毛と、瞳の色が黒く美しくて思わず……」
そう言ってアイリスは、顔を赤くして照れて言っていた。
か、可愛い、アイリスが照れた姿はメチャクチャ可愛いじゃねえか、こんな子が俺の、お、俺の性奴隷なんて……最高の人生だな。
「ありがとう。俺から見たら、アイリスの髪の毛と、瞳の色はとても美しいと思うよ」
「あ、ありがとうございます」
アイリスは、更に照れた様だった。
や、やっぱり可愛い、こんなに可愛い子と今晩……ダメだこんなに可愛い子だからこそ、大切にムードの有る所で、思い出になる忘れられないエッチをしないと。
やはり、ここに来る前に童貞だったのが、影響しているのかな?夢を見すぎの様な気がするが……ええい俺の愚息よ、お前の出番は今じゃない、暴走するな。
何故に今立つ、何故だ!……坊やだからさ。
……外の景色でも見て、落ち着かせよう。
それでも無理だったら般若心経を唱えるか。
ん?あの山、煙か?何か出ているぞ。
「なぁアイリス、あの山、所々に煙みたいなのが出ているが、あれは?」
「あれは湯気ですね、あの山には所々に熱湯が出るので、その湯気で御座います」
何だって!?それは、温泉じゃないか!あそこに露天風呂を作りアイリスと二人で……野望が膨らむ。
決めた、あの山に住もう!
「あの山の熱湯って人が入る事は出来る?」
「そんなのは無理ですよ、熱過ぎて大火傷します。
それにあそこの熱湯は、変な臭いがするから危ないので、誰も近寄りません」
変な臭い?硫黄の臭いかな? まぁ鑑定で調べればすぐに解るだろう、しかし出るのが熱湯だけなら飲み水に困るな。
「それじゃ、あの山から出るのは熱湯だけか?」
「いえ豊富な湧き水も出るのですよ、ですので山の近くに大きな都市も在りますが、あまり近付かない方が良いですね」
「何で?」
「その都市はナッソーと言って、傭兵の集まる都市になっており、荒くれどもが多くおります」
「じゃあ、ゼニトもそこで護衛を探せば良いんじゃ?」
「それがあの近くには、食いつめた傭兵が盗賊になっており、普通の者は辿り着けませんよ」
「そうか……傭兵で思い出したのだが、護衛の仕事で1日500シリングって高いのか?」
「普通の護衛の仕事ならば、1日300シリングで、モンスターならば1匹100シリング、盗賊になると一人200シリングの撃退すれば特別料金と言った所ですね」
「なるほど、では盗賊等が出なければ、この契約は得をしたのか」
「出ますよ、この辺りは先程も言いましたが、盗賊の多い地域ですので」
「そうか、あの山に住居を構えて暮らそうと思っていたのだが」
「ご主人様は傭兵になられるのですか?」
「まぁそれも有りだな、まだキチンと何になりたいか考えていないのだが、嫌か?」
「いえ、ご主人様の身体が心配なのです」
そっか、まぁ俺が死ねばアイリスも死ぬからな、俺の心配をするのは仕方がない。
仕方がないが……寂しくなんか無いやい。
とりあえず、早速にでも気配探知を使っておくか……おっ、早速反応が既に3つ、森の中をこちらに向かって来るな、これはもしかして追われているのか?
と、言う事はまた盗賊か、本当にここは盗賊が多いな。
「アイリス、誰か森から近付いて来る、どうやら追われている様だ、もう少しで馬車の前に出てくる警戒しておけ」
「かしこまりました」
「もう少しで、追われている人が馬車の前に出てくる、アイリス馬車を止めろ」
「了解!」
「ぎゃっ!何だ?何だ?」
どうやらゼニトがどうやら椅子から落ちた様だ。
「来るぞ、戦闘準備だ」
すると森から飛び出て来たのは、鎧姿の赤い髪の女の子だった。
「お、女の子?」